公開日:2026年5月3日
個人情報の漏えい・不正利用は、企業の信用問題にとどまらず、被害者個人の生活にも深刻な影響を及ぼします。退職者による顧客名簿の持ち出し、内部不正による名簿業者への売却などは、個人情報保護法上の個人情報データベース等不正提供等罪が問題となる場合があります。一方、SNSでの晒し行為や不正アクセスによる漏えいについては、個人情報保護法だけでなく、名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪・不正アクセス禁止法違反・リベンジポルノ防止法違反・民事上のプライバシー侵害等を個別に検討する必要があります。被害に遭った場合、個人情報保護委員会への相談・情報提供・苦情申出により行政上の対応を求めるルートと、犯罪事実がある場合に警察へ告訴・告発を行い刑事処罰を求めるルートを検討します。本記事では、現行個人情報保護法(令和3年改正・令和4年4月1日施行)の罰則体系と、行政書士が作成代行できる範囲の告訴・告発状について解説します。
結論として、個人情報保護法違反のうち刑事告発の対象となる主な行為は、(1)個人情報データベース等不正提供等罪(現行第179条/1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、(2)個人情報保護委員会の命令違反罪(現行第178条/1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)、(3)報告徴収・立入検査等に関する虚偽報告・検査拒否等(現行第182条/50万円以下の罰金)、(4)法人重課・両罰規定(現行第184条/178条・179条違反で1億円以下の罰金が科される可能性)の4類型です。
※ 令和3年(2021年)改正(令和4年=2022年4月1日施行)により条文番号が大幅変更されました。旧第83条→新第179条、旧第84条→新第178条、旧第85条→新第182条、旧第87条→新第184条です。古い情報源(2022年3月以前の記事等)では旧条文番号で記載されているため、現行条文番号で再確認することが重要です。
犯罪被害者または告訴権者が処罰を求めて申告するものが告訴、告訴権者以外の第三者が犯罪事実を申告して処罰を求めるものが告発です。行政書士法人Treeは、事実関係の整理と警察署長宛て告訴状・告発状の書面作成(権利義務・事実証明に関する書類)を承ります。一方、検察庁宛ての告訴・告発状作成、相手方との示談交渉、損害賠償請求、訴訟代理は弁護士業務であり、提携弁護士をご紹介します。税務に関する事項は税理士業務です。
状況別のご相談窓口
- 退職者が顧客名簿を持ち出した疑いがある → 告発状作成のご相談
- SNSで個人情報を晒された/流出した → 告訴状作成のご相談(罪名整理を含む)
- 不正アクセスで個人情報が漏えいした → 不正アクセス禁止法違反、個人情報保護法上の安全管理措置・漏えい等報告の問題を分けて整理
- 取引先の従業員が個人情報を不正利用している → 告発状作成のご相談
- 個人情報保護委員会に相談・情報提供したいが書面の整え方が分からない → 事実関係整理書面の作成
- 損害賠償請求や示談交渉を行いたい → 提携弁護士をご紹介
- 登記簿、法人登記、公開情報等の資料確認が必要 → 取得可能な公的資料・公開資料の整理をサポート
目次
1. 個人情報保護法の概要と改正の流れ
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、2003年(平成15年)に制定され、複数回の改正を経て現在の体系が整備されました。
主要な改正:
- 2003年(平成15年):個人情報保護法制定、2005年4月全面施行
- 2015年(平成27年)改正:2017年5月30日施行、5,000人要件撤廃・個人情報保護委員会設置等
- 令和2年(2020年)改正:2022年4月1日施行、個人の権利保護強化、漏えい等報告義務化(現行第26条)、罰則強化
- 令和3年(2021年)改正:2022年4月1日同時施行、個人情報保護法・行政機関個人情報保護法・独立行政法人等個人情報保護法の3法統合、官民・行政の規律一元化、条文番号大幅変更(旧83条→新179条等)
令和2年改正では、課徴金制度ではなく、刑事罰の強化および法人重課を含む両罰規定が整備され、法人に対して1億円以下の罰金が科される可能性がある規定が設けられています(現行法第184条、旧87条)。
監督機関は内閣府の外局である「個人情報保護委員会(PPC)」で、報告徴収・立入検査・指導助言・勧告・命令の権限を持ちます。命令違反に対しては刑事罰が科されます。
根拠法令:個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) / 個人情報保護委員会
2. 個人情報保護法の罰則体系|現行第178条・第179条の不正提供等罪・第184条両罰規定
個人情報保護法の罰則は、行為類型ごとに刑の重さが異なります。2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」は「拘禁刑」へ呼称が統一されています。
※ 令和3年(2021年)改正(令和4年=2022年4月1日施行)により条文番号が大幅変更されました。旧条文(83条〜87条)を引用している古い情報源にご注意ください。
| 現行条文 | 旧条文 | 行為類型 | 法定刑 |
|---|---|---|---|
| 第178条 | 旧84条 | 個人情報保護委員会の命令違反 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 第179条 | 旧83条 | 個人情報データベース等不正提供等罪 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 第180条 | 旧82条等 | 個人情報保護委員会職員等の秘密漏示 | 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 第182条 | 旧85条 | 報告徴収・立入検査等に関する虚偽報告・検査拒否等 | 50万円以下の罰金 |
| 第184条 | 旧87条 | 両罰規定(法人重課) | 178条・179条違反は法人に1億円以下の罰金 |
個人情報取扱事業者、従業者、元従業者等が、業務に関して取り扱った個人情報データベース等を、自己または第三者の不正な利益を図る目的で提供し、または盗用した場合、個人情報保護法第179条の対象となる可能性があります。退職後の名簿売却や、業務上取り扱った顧客データベース等を不正な利益目的で外部提供・盗用したケースが典型例です。SNSへの投稿についても、個人情報データベース等から取得した情報か、不正な利益目的があるか、名誉毀損・侮辱・脅迫・リベンジポルノ等の別犯罪が問題となるかを個別に整理する必要があります。
3. 個人情報保護委員会への相談・情報提供と刑事告訴・告発の違い
個人情報保護法違反への対応は、目的に応じて2つのルートを使い分けます。
3-1. 個人情報保護委員会への相談・情報提供・苦情申出
事業者の不適切な取扱いについて、個人情報保護委員会へ相談・情報提供・苦情申出を行うルートです。委員会は事案に応じて、報告徴収、立入検査、指導助言、勧告、命令等を判断します。被害者個人だけでなく、第三者からの情報提供も受け付けています。命令が出ればその違反は現行第178条で刑事罰の対象となります。
なお、漏えい等報告義務は、原則として個人情報取扱事業者側に課される義務です(現行第26条1項)。一定の漏えい事案(要配慮個人情報の漏えい・財産的被害が生じるおそれのある漏えい・不正の目的によるおそれがある漏えい・1,000人超の本人に係る漏えい等)については、個人情報保護委員会への報告(速報3〜5日以内、確報30日以内または60日以内)が義務付けられています。
3-2. 警察署長宛て告訴・告発
現行第179条違反等の犯罪事実を申告し、捜査・起訴・処罰を求めるルートです。被害者本人が行うものを「告訴」、第三者が行うものを「告発」と呼びます(刑事訴訟法230条・239条)。両ルートは並行して進めることが可能です。
4. 告訴と告発の違い、提出先の整理
刑事訴訟法上、告訴と告発は次のように区別されます。
- 告訴:犯罪被害者または告訴権者(法定代理人等)が、犯罪事実を捜査機関に申告し、犯人の処罰を求める意思表示(刑訴230条)
- 告発:告訴権者以外の第三者が、犯罪事実を申告し処罰を求める意思表示(刑訴239条)
法人が被害者となる場合は、代表者や担当者の権限関係を整理する必要があります。
個人情報保護法第179条違反は非親告罪であり、告訴がなくとも捜査・起訴は可能です。ただし、告訴・告発があると捜査機関の動きが具体化しやすくなる実務的メリットがあります。当事務所では、提出先は管轄警察署長宛てが基本で、検察庁宛ての告訴・告発状作成は弁護士業務範囲となるため、行政書士は警察署長宛てのみを承ります。
5. 情報漏えい事案の典型例|顧客名簿持ち出し・SNS晒し・不正アクセス
- 退職者による顧客名簿持ち出し:転職先や名簿業者へ売却したケース。現行第179条不正提供等罪の典型
- 内部従業員による不正閲覧・漏えい:単なる閲覧、複製、持ち出し、第三者提供、盗用のどの段階かを整理し、個人情報保護法第179条、不正アクセス禁止法、各業法上の守秘義務違反、就業規則違反等を個別に検討
- 不正アクセスによる漏えい:不正アクセス禁止法違反(同法11条)、電子計算機損壊等業務妨害、個人情報保護法上の安全管理措置・漏えい等報告の問題を分けて整理
- SNSでの個人情報晒し:氏名・住所・勤務先等を無断公開する行為。プライバシー侵害(民事)・名誉毀損罪(刑法230条)・侮辱罪(刑法231条)と並行して刑事告訴を検討
- 委員会命令を無視した事業継続:現行第178条違反として告発対象
6. 個人情報保護法違反の公訴時効は3年|非親告罪と告訴期間の注意点
公訴時効は刑事訴訟法250条に基づき、法定刑に応じて定まります。
- 第178条・第179条(1年以下の拘禁刑または罰金):刑訴法250条2項6号(長期5年未満の拘禁刑または罰金)により3年
- 第182条(50万円以下の罰金のみ):刑訴法250条2項7号(拘禁刑以外の刑)により3年
- 第180条(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金):刑訴法250条2項6号により3年
告訴期間は、親告罪の場合「犯人を知った日から6か月以内」(刑訴法235条)の制限がありますが、個人情報保護法違反自体は非親告罪のため、この6か月制限は適用されません。ただし、名誉毀損罪・侮辱罪等の別罪を併せて検討する場合には、各罪の親告罪性・告訴期間を別途確認する必要があります。公訴時効の経過には注意が必要です。
7. 告訴状・告発状作成の流れ
- 初回相談(無料):事実関係・証拠資料・希望するゴールのヒアリング
- 業務範囲のご説明:書面作成と弁護士領域(交渉・賠償請求・検察庁宛て)の境界をご案内
- 事実関係の整理:時系列・登場人物・証拠リストの作成
- 法令上の論点整理:現行第179条・第178条・第182条等との関係を踏まえ、事実関係・証拠・構成要件上問題となる要素を整理
- 警察署長宛て告訴状・告発状の起案
- 添付資料リストの作成
- 納品(提出は依頼者ご自身、または提携弁護士をご紹介)
8. 料金プラン
| プラン | 料金(税込) | 内容 |
|---|---|---|
| ミニマム | 27,500円 | 事実関係シンプルな告訴・告発状の起案(A4 1〜2枚程度) |
| スタンダード | 55,000円 | 証拠資料整理・関係条文に沿った事実関係整理を含む標準プラン |
| フルプラン | 99,000円 | 複数条文該当・大量証拠の整理を含む詳細起案+添付資料リスト |
※ 相手方との交渉、損害賠償請求、刑事手続の代理、検察庁宛て告訴・告発状の作成は弁護士業務のため、提携弁護士をご紹介します。税務に関する事項は税理士業務のため、提携税理士をご紹介します。
9. 個人情報保護法第179条の告発状サンプル|警察署長宛ての記載例
個人情報データベース等不正提供等罪(現行第179条)に基づく告発状の記載例を、各項目の記載ポイントとともに示します。実際の起案では、事実関係・証拠資料・条文該当性を精査したうえで、被告発人の特定可能な情報、提供された情報の範囲、不正な利益目的を基礎づける具体的事実を補強します。
告 発 状
令和8年5月3日
○○警察署長 殿
告発人
商号 株式会社○○
本店所在地 東京都○○区○○町○丁目○番○号
代表者 代表取締役 ○○ ○○ 印
担当者 法務部 ○○ ○○
連絡先 03-○○○○-○○○○
被告発人
住所 東京都○○区○○町○丁目○番○号
氏名 ○○ ○○(昭和○年○月○日生)
職業 会社員(元・告発人会社 営業部所属、令和○年○月退職)
第1 告発の趣旨
被告発人の下記所為は、個人情報の保護に関する法律第179条(個人情報データベース等不正提供等罪)に該当すると思料するので、厳重に処罰されたく告発する。
第2 告発事実
1. 被告発人の地位
被告発人は、平成○年○月から令和○年○月まで、告発人(株式会社○○)の営業部に勤務しており、業務として顧客データベース管理システム「○○○」へのアクセス権限を有していた。被告発人は、個人情報保護法第179条に規定する「その業務に関して取り扱った」者に該当する。
2. 個人情報データベース等の内容
被告発人が業務上取り扱っていた個人情報データベース等は、告発人が事業活動のために体系的に整理した顧客約○○○名分の電磁的記録であり、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、購入履歴、クレジットカード番号下4桁、生年月日等を含む。本データベースは個人情報保護法第16条1項に規定する「個人情報データベース等」(特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの)に該当する。
3. 不正提供の事実
被告発人は、令和○年○月○日頃、告発人の社内ネットワークから上記顧客データベース等をUSBメモリに複製し(個人情報保護法第179条の「その全部又は一部を複製し、又は加工したもの」に該当)、退職後の令和○年○月○日頃、競合他社である株式会社△△(被告発人の転職先)の営業活動に利用させる目的で、同社営業部長○○○○に対しメール添付の方法で提供したものである。
4. 不正な利益を図る目的
被告発人は、本件提供の対価として、株式会社△△から金○○万円を受領し、また、転職先での営業成績向上による歩合給の増額を図るとともに、自らの新たな地位の確保を目的としていた。これらは個人情報保護法第179条の「自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的」に該当する。
第3 罰条
個人情報の保護に関する法律第179条
(個人情報データベース等不正提供等罪:1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)
※ 本件においては、被告発人の転職先である株式会社△△が組織的に関与した事実が判明した場合、同社にも個人情報保護法第184条(両罰規定)により1億円以下の罰金が科される可能性があるほか、不正競争防止法第21条1項(営業秘密侵害罪:10年以下の拘禁刑若しくは2000万円以下の罰金又は併科)の併合告発も検討する。
第4 立証方法
別紙証拠資料一覧のとおり。主要証拠は次のとおり。
(1) 株式会社○○のアクセスログ抜粋(被告発人による異常なダウンロード履歴)
(2) 顧客からの問い合わせ記録(株式会社△△からの不審な営業連絡を受けた旨)
(3) 被告発人の在職時の雇用契約書および機密保持誓約書
(4) 被告発人と株式会社△△との金銭授受を示す資料(取得可能な範囲で)
(5) 株式会社○○の社内調査報告書
第5 告発に至る経緯
告発人は、令和○年○月○日、自社顧客から「株式会社△△の営業担当者から、当社にしか伝えていない購入履歴を把握した上で営業を受けた」との通報を受けた。社内調査の結果、被告発人によるアクセスログの異常が判明し、また、被告発人退職後に複数の顧客から同種の通報が継続したことから、本件不正提供の事実が明らかとなった。なお、告発人は、本件漏えいについて個人情報保護法第26条1項に基づき、個人情報保護委員会へ漏えい等報告を行っている。
以上
添付書類
1. 証拠資料一覧 1通
2. 上記証拠資料の写し 各1通
3. 告発人(法人)の登記事項証明書(履歴事項全部証明書) 1通
4. 告発人代表者の印鑑証明書 1通
5. 個人情報保護委員会への漏えい等報告書の写し 1通
※ 上記は記載例のイメージです。実際の起案では、事実関係・証拠の精度・条文該当性を精査したうえで、被告発人の行為内容、データベースの該当性、不正な利益目的の具体性を補強します。被告発人が特定できない場合は「被告発人不詳」として告発を検討しますが、その場合でも漏えい経路・アクセス権限・被害発生状況等の具体的事実の整理が重要です。
9-1. 告発状作成時の主な記載ポイント
- 被告発人の特定:氏名・住所・生年月日・職業・在職期間等。不詳の場合は「被告発人不詳」と記載し、判明している属性(職務上の関係・アクセス権限の有無等)を可能な限り特定する
- 「個人情報データベース等」該当性:個人情報保護法第16条1項の定義(特定の個人情報を電子計算機を用いて検索できるよう体系的に構成したもの等)に該当する旨を明示する
- 「業務に関して取り扱った」要件:被告発人が職務上アクセス権限を有していた事実、その範囲を具体的に記載する
- 「不正な利益を図る目的」要件:転職先での営業利用、名簿業者への売却、報酬受領、競業目的、復讐目的等、目的を基礎づける具体的事実を記載する。単なる過失や好奇心では本要件を満たさないため要件該当性に注意
- 提供・盗用の態様:USBメモリ複製・メール送信・クラウド共有・印刷物持ち出し等、行為の手段を具体的に記載する
- 立証方法:アクセスログ、顧客からの通報記録、雇用契約書、機密保持誓約書、社内調査報告書、金銭授受を示す資料等、入手可能な証拠を整理する
- 告発に至る経緯:被害発生の認知契機、社内調査の経過、個人情報保護委員会への漏えい等報告(現行第26条)の有無等を記載すると、警察での説明がスムーズになる
9-2. 告発状の提出先と運用
当事務所の運用方針として、告発状の作成・納品は管轄警察署長宛てに限定しています(検察庁宛ては弁護士業務としてお取り扱い)。提出は依頼者ご自身が行うか、提携弁護士をご紹介します。なお、警察での受理には、事実関係の具体性、証拠の整合性、構成要件への該当性が重要であり、当所では事前ヒアリングを通じて警察相談に耐えうる書面を起案します。
よくある質問
Q1. 個人情報を晒されました。被害届と告訴状はどちらを出せばよいですか?
A. 被害届は被害事実の申告、告訴状は処罰意思を含む申告です。ただし、SNSでの晒し行為が個人情報保護法違反に当たるとは限らず、名誉毀損・侮辱・脅迫・リベンジポルノ防止法違反等の別犯罪や民事上のプライバシー侵害として整理する場合があります。警察の運用上、まず被害届・相談から始まることもあります。
Q2. 告訴状を行政書士に依頼するメリットは?
A. 行政書士は権利義務・事実証明に関する書類の作成代行が可能です(行政書士法1条の2)。事実関係、証拠、関係条文上の論点を整理して書面化することで、警察へ相談・提出する際に説明しやすくなります。ただし、告訴・告発の受理や捜査の開始を保証するものではありません。
Q3. 告訴状は自分で出せますか?
A. 出せます。提出主体は依頼者ご自身です。行政書士は書面作成までを担当し、提出は依頼者が行います。
Q4. 検察庁に直接提出したいのですが?
A. 当事務所の運用方針として、検察庁宛ての告訴・告発状作成は弁護士業務範囲としてお取り扱いします。行政書士は警察署長宛てのみ承ります。検察庁宛てをご希望の場合は提携弁護士をご紹介します。
Q5. 告訴したら必ず起訴されますか?
A. いいえ。捜査の結果、嫌疑不十分・起訴猶予となる場合があります。告訴は処罰意思の表明であり、起訴判断は検察官に委ねられます。
Q6. 個人情報保護委員会への申告だけで十分ですか?
A. 事業者への行政上の対応を求める場合は、個人情報保護委員会への相談・情報提供が有用です。刑事処罰を求める場合は、警察への相談、被害届、告訴・告発を事案に応じて検討します。行政ルートと刑事ルートを並行して検討することもあります。
Q7. 名誉毀損やプライバシー侵害との関係は?
A. 個人情報の晒し行為は、個人情報保護法だけでなく、名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪・ストーカー規制法・リベンジポルノ防止法、民事上のプライバシー侵害等と競合する場合があります。当所では事実関係と証拠を整理したうえで書面作成をサポートしますが、罪名選択を含む法的判断、民事請求、交渉・代理対応は弁護士へご相談ください。
Q8. 法人を告発できますか?
A. 現行法第184条の両罰規定により、行為者個人の違反行為が法人の業務に関して行われた場合、法人にも罰金刑が科される可能性があります。そのため、告発状では、行為者個人の行為内容と法人の業務との関係、法人側の管理体制・関与状況を整理することが重要です。
Q9. 加害者が不明でも告発できますか?
A. 被告発人が特定できない場合でも、「被告発人不詳」として告発を検討できる場合があります。ただし、犯罪事実、漏えい経路、アクセス権限、証拠資料、被害発生状況が具体的でないと、警察での相談・受理が難しくなることがあります。
Q10. 損害賠償も同時に請求したいです。
A. 損害賠償請求(民事)は弁護士業務のため、提携弁護士をご紹介します。当事務所は刑事告発書面の作成までを担当します。
Q11. 漏えいの調査費用は税務上どう扱いますか?
A. 税務上の取扱いは税理士業務のため、税理士にご確認ください。提携税理士をご紹介可能です。
Q12. 公訴時効が迫っています。すぐ対応できますか?
A. 期日が迫っている場合は、事実関係・証拠・時効完成日を早急に整理する必要があります。事実関係が整理されている場合には短期間で起案できることもありますが、証拠不足、法的判断、警察対応が必要な場合は弁護士相談を含めて進めます。
Q13. 個人情報保護法83条と179条はどちらが正しい条文ですか?
A. 令和3年(2021年)改正(令和4年=2022年4月1日施行)により条文番号が大幅変更されました。現行条文では「第179条」(個人情報データベース等不正提供等罪)が正しい引用で、旧第83条は現在は存在しません。同様に、旧第84条→現行第178条、旧第85条→現行第182条、旧第87条→現行第184条と変更されています。古い情報源(2022年3月以前の記事等)では旧条文番号で記載されているため、現行条文番号で再確認することが重要です。
Q14. 個人情報保護委員会への漏えい等報告は必要ですか?
A. 現行第26条1項により、一定の漏えい事案(要配慮個人情報の漏えい・財産的被害が生じるおそれのある漏えい・不正の目的によるおそれがある漏えい・1,000人超の本人に係る漏えい等)については、個人情報保護委員会への報告(速報3〜5日以内、確報30日以内または60日以内)が義務付けられています。報告義務違反は現行第182条(50万円以下の罰金)の対象です。
Q15. 個人情報保護法第180条秘密漏示罪とは何ですか?
A. 現行第180条は、個人情報保護委員会の職員等(過去に職員であった者を含む)が、その職務に関して知り得た秘密を漏らしまたは盗用した場合に、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される罰則です。委員会の調査・検査の対象となった事業者の機密情報の保護を目的としています。
Q16. SNSで個人情報を晒された場合、どの罪で告訴できますか?
A. 状況により以下の罪と競合し得ます:(1)個人情報保護法第179条(個人情報データベース等不正提供等罪、業務上扱った情報の場合)、(2)刑法230条名誉毀損罪、(3)刑法231条侮辱罪、(4)プロバイダ責任制限法(2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法による削除請求)、(5)民事のプライバシー侵害による損害賠償請求(弁護士業務)。罪名選択は事実関係により異なるため、当所での事実整理後、必要に応じて弁護士へのご相談をご案内します。
個人情報漏えい・不正利用の告訴・告発をご検討の方へ
事実関係の整理と警察署長宛て告訴状・告発状の作成をサポートします。初回相談は無料で、資料が揃っている場合には速やかに起案準備へ進みます。令和3年改正(2022年4月1日施行)による現行条文番号(178条〜184条)に対応した起案を行います。
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まとめ
個人情報保護法違反では、現行第179条の個人情報データベース等不正提供等罪(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、第178条の命令違反罪(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)、第182条の報告徴収・立入検査等に関する虚偽報告・検査拒否等(50万円以下の罰金)、第184条の両罰規定(最大1億円の罰金)が刑事告発の検討対象となります。令和3年(2021年)改正(令和4年=2022年4月1日施行)により条文番号が旧83条〜87条から大幅に変更されました。被害発生時は、個人情報保護委員会への相談・情報提供・苦情申出と、警察への相談・告訴・告発を並行して検討することが重要です。漏えい等報告義務は、原則として個人情報取扱事業者側に課される義務です(現行第26条)。行政書士法人Treeは、警察署長宛て告訴状・告発状の作成(権利義務・事実証明に関する書類、行政書士法1条の2)を承ります。検察庁宛て告訴・告発状の作成、相手方との交渉・損害賠償請求は弁護士業務、税務関係は税理士業務として提携専門家をご紹介します。公訴時効(3年)にご注意のうえ、早めにご相談ください。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


