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永住者の国民健康保険・社会保険料未納|公租公課と在留資格取消事由(改正入管法22条の4第1項第8号・2027年4月1日施行)

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「永住者」の在留資格を持つ方の国民健康保険・後期高齢者医療制度・健康保険等の保険料未納は、2024年に公布された改正入管法(令和6年法律第60号)における永住許可制度の適正化と関連して、近年大きく注目されている論点です。

本記事の最重要ポイントは、この改正規定の施行日です。永住許可制度の適正化(故意の公租公課不払いを在留資格取消事由に追加する規定)の施行日は令和9年(2027年)4月1日であり、本記事執筆時点では未施行です。「2024年に公布されたから既に取消対象になる」という説明は誤りで、公布と施行の区別が極めて重要です。

施行後は、改正後の入管法第22条の4第1項第8号により「故意に公租公課の支払をしないこと」が永住者の在留資格の取消事由となり得ます。ただし、対象となるのは「支払能力があるにもかかわらず、あえて支払わない悪質ケース」に限られ、病気・失業等のやむを得ない未納は想定されていません。なお、入管特例法に基づく特別永住者は本改正の対象外です。

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目次

  1. 永住者が加入する公的医療保険
  2. 2024年公布・2027年4月1日施行|改正入管法22条の4第1項第8号
  3. 「故意に公租公課の支払をしないこと」要件の正確な意味
  4. 未納時の現時点のリスクと施行後のリスク
  5. 特別永住者は本改正の対象外
  6. 市区町村等での納付相談・分割納付・減免猶予
  7. 在留資格取消事由該当時の取扱い(直ちに出国ではない)
  8. 業務範囲|行政書士・市区町村窓口・税理士・社労士
  9. よくある質問

永住者が加入する公的医療保険

本記事は入管法上の「永住者」の在留資格を対象としています。永住者が加入する公的医療保険は、就業形態・年齢により次のいずれかとなります。

  • 国民健康保険:自営業・無職・パート短時間労働者等で、勤務先の健康保険に加入していない方が市区町村ごとに加入
  • 後期高齢者医療制度:原則75歳以上。65歳以上75歳未満で一定の障害があると後期高齢者医療広域連合の認定を受けた方も対象
  • 健康保険(被用者保険):勤務先で健康保険に加入する被用者
  • 共済組合:公務員等

これらの保険料は公租公課に該当し、改正入管法22条の4第1項第8号(2027年4月1日施行)の永住者の在留資格取消事由の対象となり得ます(特別永住者は対象外。後述)。

2024年公布・2027年4月1日施行|改正入管法22条の4第1項第8号

2024年(令和6年)6月21日に公布された令和6年法律第60号により、「永住者」の在留資格について、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正が行われました。改正後の入管法第22条の4第1項第8号は、永住者の在留資格の取消事由として、次のような行為を新たに追加しています。

  • 故意に公租公課の支払をしないこと(税金・社会保険料等の故意の不払い)
  • 一定の入管法令違反

同じ第22条の4第1項では、1年を超える拘禁刑に処せられたこと等が第9号に規定されています。

施行日は2027年4月1日(執筆時点で未施行)

この永住許可制度の適正化部分の施行日は令和9年(2027年)4月1日です(公布日から3年以内の政令で定める日)。出入国在留管理庁および複数の専門事務所がこの施行日で一致しています。

すなわち、本記事執筆時点では当該規定はまだ施行されておらず、保険料未納を理由に永住者の在留資格が取り消される運用は現に行われていません。一部の解説で「2024年改正で取消事由になった」と現在形で書かれることがありますが、公布と施行を区別すれば、適用が始まるのは2027年4月1日です。

「故意に公租公課の支払をしないこと」要件の正確な意味

2027年4月1日の施行後も、すべての未納が一律に取消対象となるわけではありません。出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」によれば、取消事由となるのは次の要件を満たすケースです。

  • 公租公課の支払義務を認識している
  • 支払能力があるにもかかわらず
  • 督促等にも応じずあえて支払わない

逆に、次のようなケースは取消事由として想定されていません。

  • 病気・失業・事業悪化等のやむを得ない事情による未納
  • 納付相談・分割納付・減免申請を行い、誠実に対応している場合
  • 納付計画を継続して履行している場合

判断にあたっては、改正法附則において、これまでの納付状況や現在の生活状況その他の事情を十分に考慮するものとされており、未納額・未納期間・督促等への対応・事後的な解消状況などを総合的・慎重に判断することが示されています。

未納時の現時点のリスクと施行後のリスク

保険料未納時のリスクは、現時点と2027年4月1日施行後で区別して理解する必要があります。

現時点(2027年3月31日まで)のリスク

  • 督促状の送付、延滞金の加算
  • 給与・預貯金・財産の差押え(地方税法・国民健康保険法・高齢者医療確保法の各規定)
  • 短期被保険者証・資格証明書への切替えによる医療費10割負担リスク
  • 永住申請・在留資格更新等の審査では、公的義務の履行状況(納付実績)が現時点でも考慮要素

2027年4月1日施行後のリスク

  • 上記に加え、改正後の入管法第22条の4第1項第8号により、故意の公租公課不払いが永住者の在留資格取消事由に該当し得る
  • 取消事由に該当しても直ちに出国とはならず、原則として職権で永住者以外の在留資格への変更が検討される(後述)

特別永住者は本改正の対象外

特別永住者は、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に基づく地位であり、入管法第22条の4の在留資格取消し制度とは法的枠組みが異なります。

出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」でも、特別永住者は今回の永住許可制度の適正化の対象ではないと明記されています。本記事は入管法上の「永住者」の在留資格を対象とするものであり、特別永住者の方は本記事の取消事由の対象には含まれません。

市区町村等での納付相談・分割納付・減免猶予

保険料の納付が困難になった場合は、放置せず早期に窓口で相談することが重要です。

  • 国民健康保険:市区町村の国保担当窓口
  • 後期高齢者医療制度:後期高齢者医療広域連合または市区町村の担当窓口
  • 健康保険:勤務先(被保険者は給与天引きが原則)/全国健康保険協会・健康保険組合

窓口では、収入・資産・生活状況を説明したうえで、次のいずれかを協議します。

  • 分割納付(分納)の計画策定と納付誓約
  • 減免・猶予の申請(所得激減・災害・失業等の事由が必要)
  • 納付計画の見直し

重要なのは、相談後に決められた納付計画を継続して履行することです。相談だけして履行しないと、改善が見られないと評価される可能性があります。なお、分割納付の相談・履行があれば必ず取消しを回避できるというものではありませんが、支払に向けた対応状況として考慮要素となり得ます。

在留資格取消事由該当時の取扱い(直ちに出国ではない)

2027年4月1日施行後、永住者の在留資格取消事由(第22条の4第1項第8号)に該当すると判断された場合でも、直ちに退去強制となるわけではありません。出入国在留管理庁Q&Aによれば、原則として職権で永住者以外の在留資格(定住者等)への変更が検討される仕組みです。

  • 意見聴取の手続きを経て、本人の事情を確認
  • 取消事由に該当する場合は、永住者から他の在留資格(定住者・家族滞在等の該当しうる資格)への変更を職権で検討
  • 他の在留資格への該当性がない場合に在留資格の取消し(退去強制手続きへ)

「永住資格を失う=直ちに帰国」という単純な構造ではありませんが、永住者として確立した生活基盤・将来設計に直接影響するため、施行に向けた事前の備えが重要です。

業務範囲|行政書士・市区町村窓口・税理士・社労士

  • 行政書士:永住申請・更新申請の取次、納付状況に関する事実関係整理書面の作成、在留資格変更申請(永住者から他資格)の取次
  • 市区町村・広域連合の窓口:納付相談、分割納付の計画、減免・猶予の申請受付
  • 税理士:所得税・住民税の申告、未納税金の整理、海外所得・国際課税
  • 社会保険労務士:健康保険・厚生年金の事業所手続、被保険者資格の整理
  • 弁護士:差押え・滞納処分の不服申立て、紛争性のある事案

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よくある質問

Q. 保険料を未納にすると、今すぐ永住が取り消されますか.
A. 現時点では取り消されません. 故意の公租公課不払いを永住者の在留資格取消事由とする改正入管法第22条の4第1項第8号の施行日は2027年4月1日です. 施行までは現行制度のもとで延滞金加算・差押え等のリスクはありますが、本規定による取消しの運用はまだ行われていません.

Q. 2027年4月1日以降は、どんな未納でも取消対象になりますか.
A. なりません. 対象となるのは「支払能力があるにもかかわらず、督促等にも応じず、あえて支払わない」悪質ケースに限られます. 病気・失業等のやむを得ない事情による未納や、納付相談・分割納付に誠実に対応している場合は、取消事由として想定されていません.

Q. 特別永住者も対象ですか.
A. 対象外です. 特別永住者は入管特例法に基づく地位で、入管法第22条の4の在留資格取消し制度とは法的枠組みが異なります. 出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」でも、特別永住者は今回の改正の対象ではないと明記されています.

Q. 後期高齢者医療制度は75歳以上だけが対象ですか.
A. 原則75歳以上が対象ですが、65歳以上75歳未満で一定の障害があると後期高齢者医療広域連合の認定を受けた方も対象となります.

Q. 分割納付の相談で取消しを回避できますか.
A. 分割納付の相談や納付計画の履行は、支払に向けた対応状況として考慮される可能性があります. ただし、分納相談や履行があれば必ず取消しを回避できるというものではなく、未納額・未納期間・支払能力・督促等への対応状況などを踏まえて個別に判断されます.

Q. 永住取消事由に該当した場合、直ちに出国しなければなりませんか.
A. 直ちに出国ではありません. 意見聴取の手続きを経て本人の事情を確認したうえで、原則として職権で永住者以外の在留資格(定住者等)への変更が検討されます. 他の在留資格への該当性がない場合に取消し(退去強制手続きへ)となる仕組みです.

Q. 永住申請の段階では、保険料未納は審査にどう影響しますか.
A. 現時点でも、永住申請の審査では公的義務の履行状況(保険料・税金の納付実績)が重要な考慮要素です. 未納がある場合は、申請前に未納を解消し、納付実績を整えてから申請するのが実務上の基本です.

Q. 健康保険(勤務先)の被保険者ですが、滞納はあり得ますか.
A. 健康保険料は給与天引きが原則のため、被保険者個人として滞納するケースは限定的です. ただし、副業所得に対する国民健康保険料、退職後の任意継続・国保切替時の納付遅れ等は留意が必要です.

まとめ

永住者の国民健康保険・後期高齢者医療制度・健康保険等の保険料未納は、2024年に公布された改正入管法(令和6年法律第60号)における永住許可制度の適正化と関連する重要論点です。改正後の入管法第22条の4第1項第8号により、「故意に公租公課の支払をしないこと」が永住者の在留資格取消事由となり得ますが、この規定の施行日は2027年4月1日であり、本記事執筆時点では未施行です。公布と施行を区別して理解することが極めて重要です。

施行後も、対象となるのは「支払能力があるにもかかわらず、督促等にも応じず、あえて支払わない」悪質ケースに限られ、病気・失業等のやむを得ない未納は想定されていません。改正法附則による総合考慮(従来の納付状況・現在の生活状況等)も明文化されており、誠実に納付相談・分割納付・減免申請を行っている場合は取消事由として想定されていません。なお、特別永住者は入管特例法に基づく地位であり、本改正の対象外です。

取消事由に該当した場合でも、直ちに退去強制となるのではなく、原則として職権で永住者以外の在留資格(定住者等)への変更が検討される仕組みです。それでも永住者として確立した生活基盤への影響は大きいため、施行に向けた事前の備え(長期未納の解消、市区町村窓口での納付相談・分割納付計画の履行、永住申請前の納付実績整備)が重要です。

未納がある方は、放置せず早期に市区町村・後期高齢者医療広域連合等の窓口で相談し、納付計画を継続して履行してください。永住申請・更新申請に伴う書類整備、納付状況の事実関係整理は行政書士法人Treeがサポートします。差押え・滞納処分の不服申立てなど紛争性のある事案は提携弁護士をご紹介します。

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※ 本記事は執筆時点の法令(出入国管理及び難民認定法、令和6年法律第60号、入管特例法等)・出入国在留管理庁の公表情報・運用実務に基づき作成しています。永住許可制度の適正化(改正入管法第22条の4第1項第8号)の施行日は令和9年(2027年)4月1日です。施行までに政令・運用指針の整備が進む可能性があるため、最新情報のご確認と専門家へのご相談をお願いいたします。

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