入管・ビザ関連

在留資格「医療」の要件と申請方法|医師・看護師等の就労ビザを解説

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「外国人医師を病院で雇用したい」「海外の看護師資格を持つ方を招へいしたい」——医療分野で外国人材を受け入れる場合、在留資格「医療」の取得が必要となります。ただし、「医療」は日本の国家資格保持が原則要件となるため、他の就労ビザと比べて取得ハードルが高い在留資格です。この記事では、在留資格「医療」の対象職種・要件・申請手続きを行政書士の視点で解説します。

結論として、在留資格「医療」は日本の医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・診療放射線技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・臨床工学技士・義肢装具士の14種類の国家資格を有する外国人が対象です。日本の国家試験に合格していることが原則要件で、海外資格のみでは該当しません。なお、臨床検査技師・歯科技工士・言語聴覚士・救急救命士は対象外です。

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在留資格「医療」の概要

対象となる活動

出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表では、在留資格「医療」について「医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動」と定めています。具体的に対象となる業務は以下のとおりです。

  • 医師・歯科医師による診療・治療
  • 薬剤師による調剤・服薬指導
  • 保健師・助産師・看護師・准看護師の看護業務
  • 歯科衛生士の歯科衛生業務
  • 診療放射線技師の放射線検査業務
  • 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)のリハビリテーション業務
  • 視能訓練士・臨床工学技士・義肢装具士の業務

在留資格「医療」の対象外となる職種(注意)

以下の職種は資格を有していても在留資格「医療」の対象となりません(厚生労働省通知)。

  • 歯科技工士
  • 臨床検査技師・衛生検査技師
  • 言語聴覚士(ST)
  • 救急救命士
  • あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師
  • 介護福祉士(在留資格「介護」の対象)
  • 看護助手(就労可能な在留資格なし)

在留資格「医療」の取得要件

要件1: 日本の国家資格を有すること

最も重要な要件は、上記の業務に対応する日本の国家資格を有することです。海外で取得した医師免許・看護師免許のみでは「医療」の在留資格は取得できません。日本の医師国家試験・看護師国家試験等に合格し、免許証の交付を受けていることが必要です。

海外の医療資格を有する方が日本で医師として働く場合、通常は以下のプロセスを経ます。

  1. 厚生労働省に医師国家試験の受験資格認定申請
  2. 受験資格が認められたら医師国家試験を受験
  3. 合格後に医師免許の申請・交付
  4. 在留資格「医療」の申請

要件2: 准看護師の活動期間制限

かつては歯科医師に「免許取得後6年以内」、保健師・助産師・看護師に「免許取得後4〜7年以内」といった活動期間制限がありましたが、平成22年の基準省令改正により、これらはすべて撤廃されました。現在、在留資格「医療」に残る活動期間制限は次の1点のみです。

  • 准看護師: 日本で准看護師の免許を受けた後4年以内の期間中に、研修として業務を行うこと

また、薬剤師・歯科衛生士・診療放射線技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・臨床工学技士・義肢装具士として従事する場合は、日本の医療機関または薬局に招へいされることが要件となります。

要件3: 報酬水準の要件

在留資格「医療」の許可にあたっては、外国人が受ける報酬額が日本人の同種業務従事者と同等以上であることが求められます。これは他の就労系在留資格と共通の運用基準です。

在留期間と申請手続き

在留期間の種類

在留期間
5年
3年
1年
3か月

※ 実際に付与される在留期間は、申請内容や在留状況等を踏まえて個別に判断されます。

カテゴリー区分

在留資格「医療」の申請では、申請人の資格によりカテゴリーが区分され、提出書類が異なります。

  • カテゴリー1: 医師・歯科医師の資格を有する場合(提出書類が簡略化)
  • カテゴリー2: 医師・歯科医師以外の資格(薬剤師・看護師等)を有する場合

必要書類(認定証明書交付申請の場合)

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(460円分切手貼付。2024年10月1日の郵便料金改定後の金額。内訳:定型郵便110円+簡易書留350円)
  • ※ 電子メールでの在留資格認定証明書受領を選択する場合は返信用封筒は不要
  • 日本の医師免許証・看護師免許証等(写し)
  • 研修期間修了の証明書(医師・歯科医師の場合)
  • 雇用契約書または勤務先の労働条件通知書
  • 勤務先の概要(登記事項証明書、病院・診療所の開設許可証等)
  • 本人の履歴書(職歴・学歴)

申請先

雇用予定の病院・診療所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局です。東京であれば東京出入国在留管理局、大阪であれば大阪出入国在留管理局が管轄となります。

EPAによる看護師・介護福祉士候補者との違い

インドネシア・フィリピン・ベトナムとの経済連携協定(EPA)に基づいて来日する看護師・介護福祉士候補者は、通常、在留資格「特定活動」(告示)で受け入れられます。日本の国家試験合格後は以下の選択肢があります。

  • EPA看護師合格後: 「特定活動(EPA看護師)」のまま継続就労、または在留資格「医療」へ変更
  • EPA介護福祉士合格後: 「特定活動(EPA介護福祉士)」のまま継続就労、または在留資格「介護」へ変更

国家試験不合格の場合は原則帰国となりますが、一定の得点基準(合格基準点の5割以上)を満たすなどの条件で、1年間の特例的な滞在期間延長が認められる場合があります(閣議決定に基づく措置)。

在留資格「介護」については「在留資格「介護」の要件と取得方法」で解説しています。

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「医療」と他の在留資格の選び方

在留資格 該当する人材
医療 日本の医師・看護師等の国家資格保持者
介護 日本の介護福祉士資格保持者
特定活動(EPA看護師・介護福祉士) インドネシア・フィリピン・ベトナムのEPA枠で国家資格取得後の就労者
特定技能(介護分野) 介護分野の技能試験・日本語試験合格者
研究・教授 大学病院等で研究活動を行う医師(業務割合が医療か研究か)
文化活動・研修 臨床修練制度で知識・技能を修得する海外医師資格者
特定活動(医療滞在) 日本で高度医療を受ける外国人患者

医師国家資格を持たずに医療関連業務を行う場合、「医療」の在留資格は取得できません。特定技能の介護分野、技能実習(介護)、技人国等を個別検討する必要があります。

よくある質問

Q. 海外で医師免許を取得している外国人を、日本の病院で研修名目で雇用できますか?

海外医師資格者が日本で臨床研修を行う場合、外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第17条等の特例等に関する法律に基づく臨床修練制度があります。この制度では「文化活動」または「研修」の在留資格で受け入れるのが一般的で、厚生労働大臣の許可を得た医療機関での臨床修練に限定されます。日本の国家資格を必要としない医療関連の知識・経験を活かす活動は、「教授」「研究」「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格が検討対象です。

Q. 「医療」の在留資格で家族を呼び寄せることはできますか?

はい。「医療」の在留資格者は、配偶者と子を「家族滞在」の在留資格で呼び寄せることができます。家族滞在については「家族滞在ビザの申請条件・手続き・就労制限」で解説しています。

Q. 「医療」から永住権取得までの期間は?

永住許可の原則要件として、継続して10年以上日本に在留し、そのうち就労資格で5年以上在留する必要があります。「医療」の在留資格での就労期間は永住申請時にカウントされます。永住要件の詳細は「永住許可の要件と申請方法」をご参照ください。

Q. 外国人薬剤師が調剤薬局で働く場合も「医療」ですか?

はい。日本の薬剤師国家試験に合格している外国人薬剤師が、調剤業務に従事する場合は在留資格「医療」の対象となります。製薬会社のMRなどの販売・研究職の場合は、別の在留資格(技人国等)が検討対象となります。

Q. 2026年4月15日の技人国日本語要件は「医療」にも適用されますか?

2026年4月15日以降に入管庁が明確化した言語能力に関する追加資料の取扱いは、主に在留資格「技術・人文知識・国際業務」で言語能力を用いる対人業務等に従事する場合に関するものです。在留資格「医療」に同制度が直接適用されるわけではありませんが、医療業務の性質上、日本人患者との日本語コミュニケーションは実務上重要であり、国家試験受験や現場対応の観点から相応の日本語能力が求められます。

まとめ

  • 在留資格「医療」は日本の国家資格保持者が医療業務に従事するための在留資格
  • 対象は医師・歯科医師・看護師・薬剤師・PT・OT・ST等、医療関連国家資格全般
  • 海外資格のみでは不可で、日本の国家試験合格が必須
  • EPA枠の看護師・介護福祉士候補者は特定活動から変更する流れ
  • 申請先は勤務先所在地を管轄する地方出入国在留管理局

他の就労系在留資格との比較は「在留資格の種類一覧|就労・身分・留学ビザの違いと選び方」をご参照ください。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の出入国管理及び難民認定法に基づく一般的な解説です。個別の申請に当たっては入管庁の最新案内をご確認ください。

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