面談は実施した。生活の相談にも対応した。でも、いつ、誰が、どんな支援をしたのかを聞かれると、担当者のメールやチャットを探すところから始まる。特定技能の支援では、この状態を避けることが大切です。
支援記録は、やったことを後から説明できる形で残すものです。入管への届出を済ませたことと、支援の実施記録を保管していることは別です。担当者の異動や支援機関の変更があっても、必要な記録を取り出せるようにしましょう。
この記事では、1号特定技能外国人の支援について、残す情報、面談・相談の書き方、保存期間と引継ぎを整理します。2026年10月14日に公式の運用要領一覧を確認し、現在掲載されている本体の令和8年8月20日改訂版を参照しています。保存期間は現行の法令本文とも照合しました。
支援を任せたいけれど、会社に何を残すか分からない方へ。行政書士法人Treeでは、登録支援機関サービスのご相談を受け付けています。受入人数、対応言語、現在の記録方法をお知らせください。支援の分担と、委託する内容・料金を確認してからご依頼いただけます。
目次
まず整えるのは、支援の「予定」ではなく「実施した記録」
支援計画には、これから行う支援の内容を書きます。一方、支援記録は、その計画に沿って実際に何を行ったかを残すものです。「日本語学習を案内する予定」と「どの教室を、いつ、どの言語で案内したか」は違います。
作業を増やすための帳簿ではありません。本人から同じ相談を受けたとき、担当者が変わったとき、入管から実施状況の説明を求められたときに、前の対応を確認するための資料です。支援の連絡と記録を結び付けると、対応漏れや重複も見つけやすくなります。
義務的支援の全体像は、特定技能1号の義務的支援10項目の解説をご覧ください。ここでは項目を一から並べ直すのではなく、実施後に証拠と情報を残す方法に絞ります。
支援の文書は、4つに分けると探しやすい
運用要領では、支援の実施体制、支援委託契約、支援対象者、支援の実施状況に関する管理簿を整理しています。最初からすべてを1枚の表に詰め込まず、次の4つのまとまりで保管すると、誰の何の資料かが明確になります。
| 管理するまとまり | 主に確認する情報 | 日々の管理のポイント |
|---|---|---|
| 支援の実施体制 | 事業所、連絡先、支援責任者・担当者、対応言語等 | 担当変更の前後が分かるようにする |
| 支援委託契約 | 契約内容、支援費用等 | 契約書と実際の役割分担を照合する |
| 支援対象者 | 本人情報、在留カード情報、支援計画、支援開始・終了等 | どの計画で支援したかを確認できるようにする |
| 支援の実施状況 | ガイダンス、生活支援、相談、面談等の実施記録 | 日時・担当者・内容・対応を結び付ける |
これは管理の全体像であり、法令上の記載事項をすべて省略してよいという意味ではありません。受入企業と登録支援機関では、管理簿に記載する機関情報などが異なります。自社の立場に合う運用要領の項目と照合してください。
根拠となる受入企業側の説明は、公式運用要領のPDF92ページ以降(本文86ページ以降)です。記録を電子化する場合も、まず必要な情報をそろえ、その後に保存方法を決めましょう。
面談・相談は「実施済み」の一言で終わらせない
相談は、相談内容と対応まで一緒に残す
運用要領では、相談日時、相談内容と対応、行政機関への相談・通報をした場合の日時・相手先、対応した者等を記録することが示されています。参考様式には「相談記録書(参考様式第5-4号)」があります。
日々の相談では、連絡を受けた記録だけでなく、何を案内し、誰が対応し、どこまで終わったかも整理します。追加の確認が必要なら、次に確認する事項と担当を分けて残すと、相談が途中で止まっていることに気付きやすくなります。これは実務上の管理の工夫です。
メールやチャットを使うこと自体が問題なのではありません。ただし、やり取りが複数の端末や個人アカウントに散らばると、必要な項目がそろっているかを確認しにくくなります。会話の履歴と、対応の要点をまとめた記録をひも付けておきましょう。
面談は、外国人本人と監督者の記録を区別する
定期面談では、対象となる外国人と、監督する立場にある者について、対象者、実施者、日時、面談内容や対応等の情報を残します。参考様式第5-5号は外国人用、第5-6号は監督者用です。会社側の聞取りだけで、本人への面談記録を代用することはできません。
本人が話した内容、会社側の説明、確認できた事実を混ぜずに整理してください。後から記録を読む担当者にとって、誰の発言なのかが分かることが重要です。対応が必要な事項は、面談を行った記録とは別に、対応の経過も追えるようにします。
ガイダンスや生活支援も、実施方法まで記録する
事前ガイダンスや生活オリエンテーションは、日時・場所、内容、実施方法、担当者や通訳などの情報を残します。運用要領では、事前ガイダンス確認書や生活オリエンテーション確認書を作成し、保存する扱いも示されています。
空港への送迎、住居・生活契約の支援、日本語学習機会の提供、交流や転職の支援等も、項目に応じた記録が必要です。「支援費用を払った」「案内資料を渡した」だけで実施状況のすべてが説明できるとは限りません。支援ごとに必要な項目を確認しましょう。
保存期間は、特定技能雇用契約が終わった日から1年以上
支援記録の保存期間を「作成してから1年」と覚えるのは誤りです。受入企業側の支援実施状況に係る文書は、特定技能雇用契約の終了日から1年以上、支援を行う事業所に備え置くことが定められています。根拠は、特定技能基準省令第2条第2項第3号です。
登録支援機関についても、支援の実施状況に係る文書は、当該外国人との特定技能雇用契約の終了日から1年以上、支援業務を行う事務所に備え置くこととされています。根拠は出入国管理及び難民認定法施行規則第19条の21第5号で、公式運用要領のPDF156ページ以降(本文150ページ以降)で確認できます。
支援の委託先が変わった日と、外国人の雇用契約が終わった日は、同じとは限りません。委託契約が終了したから記録をすぐ処分する、という運用は避けてください。雇用契約の終了日をどのように確認するか、受入企業と支援機関で連絡方法を決めておきます。
また、この期間は支援記録に関するものです。雇用、賃金、税務など、別の法令に基づく資料の保存期間まで一律に1年になるわけではありません。1年を過ぎたらすべて廃棄できる、という管理にしないよう注意してください。
電子保存は可能。すぐ表示・印刷できる状態にする
運用要領では、電子データで作成した記録や、紙をスキャンした記録を保存する方法が認められています。ただし、必要なときに直ちに、整然かつ明瞭な形で画面に表示し、印刷できるようにしておく必要があります。単にファイルを保存しただけでは、運用が整ったとはいえません。
会社で使う保存先を決め、対象者ごとに計画・確認書・実施記録の場所をそろえます。ファイル名には、対象者、日付、支援の種類が分かる情報を入れると探しやすくなります。担当者だけが分かる略称ではなく、別の人が見ても目的の記録へたどり着くことを基準にしてください。
個人情報を含むため、必要な担当者が確認できるアクセス権限と、無関係な人が閲覧できない管理の両方が必要です。担当者の退職時に記録を取り出せなくならないか、定期的に確認しましょう。保存形式を変える場合も、古い記録を表示・印刷できるかを確認します。
委託・担当交代の前に、4つを確認する
- 何を誰が記録するか。自社支援と委託する支援の範囲、担当者を確認します。
- 記録をどう確認するか。必要な記録の入手方法、共有のタイミング、保管先を決めます。
- 未対応の相談はあるか。解決した事項と継続対応中の事項を分け、次の担当に伝えます。
- 契約終了後はどう保管するか。雇用契約終了日の確認、保存期間中の照会先を整理します。
入管への届出期限も、支援記録の保存期間とは別に管理します。特定技能の定期届出に関する記事も確認し、記録を作る担当と、届出を確認する担当の間で情報が途切れないようにしてください。
これから支援委託を検討する会社は、料金だけでなく、契約に含まれる支援、会社側に残る作業、記録の確認方法を聞いてください。採用前に役割を決めておくと、受入れが始まってから慌てて帳簿を作り直す負担を減らせます。
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よくある質問
支援記録は作成した日から1年間保存すればよいですか?
いいえ。当該外国人との特定技能雇用契約の終了日から1年以上です。受入企業は支援を行う事業所、登録支援機関は支援業務を行う事務所に備え置きます。作成日や支援委託契約の終了日とは区別してください。
登録支援機関へ委託した場合、何を確認すればよいですか?
委託する支援の範囲、会社と支援機関の担当、記録の入手・確認方法、契約終了後の保管や照会先を確認します。記録に必要な情報と、雇用契約終了日の連絡方法も整理してください。
紙の帳簿でなければいけませんか?
電子データによる作成・保存や、紙をスキャンして保存する方法も認められています。必要なときに直ちに、整然かつ明瞭に画面表示・印刷できる状態を確保してください。
相談のチャット履歴を残せば十分ですか?
履歴があるだけで十分とは限りません。相談日時、内容と対応、担当者など、必要な情報が確認できるかが重要です。履歴と対応の要点をまとめた記録を結び付け、すぐ取り出せるようにします。
支援記録があれば、入管への届出は不要ですか?
不要にはなりません。支援の実施記録を作成・保存することと、入管へ必要な届出を行うことは別です。担当と期限を分けて管理し、どちらも確認してください。
Treeの月額基本料金で、義務的支援10項目をすべて委託できますか?
基本料金だけですべての義務的支援が含まれるわけではありません。追加支援は1時間5,000円(税別・税込5,500円)です。
登録支援をご委託の企業様は、認定・変更申請50,000円、更新申請25,000円(ともに税込・月額基本料とは別)です。更新は初回から同じ料金です。公的手数料等の実費を含む総額をご依頼前にご案内します。
まとめ
支援記録は、実施したことを後から確認できる状態にするための資料です。支援体制、委託契約、対象者、実施状況を分け、日時・担当・内容・対応がつながるように整理しましょう。支援を実施した担当者の記憶だけに頼らない状態をつくることが、最初の一歩です。
保存期間は、特定技能雇用契約の終了日から1年以上です。記録を作った日や委託先を変えた日から数えるのではありません。雇用契約終了日の確認方法も含め、保存の担当を決めてください。委託先を変更するときには、必要な記録の照会先も引き継ぎます。
電子化する場合は、保存先に置くだけでなく、必要な記録をすぐ表示・印刷できることを確認します。担当者が交代しても、本人への支援と未対応の相談が途切れない管理を目指しましょう。受入れが始まる前に会社と支援機関で役割を確認しておくと、日々の対応を整理しやすくなります。
支援の分担と記録の引継ぎを、受入れ前に整理。
現在の記録方法、受入れ予定の人数、委託したい支援をお聞かせください。会社に残る作業とTreeへ任せる支援を分け、記録の確認方法も一緒に整理します。採用予定の段階や、委託先の切替からでもご相談いただけます。
基本契約の初期費用は0円。支援内容と費用のご相談は無料です。
| 月額基本支援(1人) | 9,800円(税別)税込10,780円 |
| 追加支援(1時間) | 5,000円(税別)税込5,500円 |
| 在留資格認定・変更申請 | 50,000円(税込) |
| 在留期間更新申請 | 25,000円(税込)初回から同じ料金 |
認定・変更・更新は、登録支援をご委託の企業様向けの料金です。公的手数料等の実費は別途。必要な支援の内容・時間数・総額を、ご依頼前にご案内します。
料金確認:2026年10月16日
根拠・参考資料
2026年10月14日確認。現行の公式一覧には、要領本体の最終更新として2026年8月20日が掲載されています。本体の帳簿・電子保存の説明と、現行省令の保存期間を参照しています。分野別要領や支援に係る別冊はそれぞれ更新時期が異なるため、申請・運用の前に必要な資料を確認してください。
- 出入国在留管理庁:特定技能運用要領の現行一覧
- e-Gov:特定技能基準省令(第2条第2項第3号)
- e-Gov:出入国管理及び難民認定法施行規則(第19条の21第5号)
- Tree:登録支援機関サービスの内容・料金
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


