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「亡くなった家族にどんな財産があるのかわからない」「通帳が見当たらないけれど、他に口座があったかもしれない」――相続が発生した直後、ご遺族がまず直面するのがこうした悩みです。
相続財産の調査とは、被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産・預貯金・株式・生命保険・債務などの全体像を把握する作業です。この調査を十分に行わないまま遺産分割協議を進めてしまうと、後から新たな財産や借金が見つかって協議をやり直す事態になりかねません。また、相続税の申告漏れにもつながるため、漏れのない調査が不可欠です。
「どこから調べればいいかわからない」「故人の財産を整理する時間がない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。不動産・預貯金・株式など、財産調査に必要な資料の収集をお手伝いします。相談は何度でも無料です。
目次
なぜ相続財産の調査が必要なのか?
相続財産の調査には、大きく3つの目的があります。
- 遺産分割協議の前提:財産の全体像がわからなければ「何を・誰に・どれだけ」分けるかを決められない
- 相続放棄の判断材料:借金が財産を上回っていれば相続放棄を検討する必要がある(期限は知った日から3か月)
- 相続税の申告:基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は申告が必要で、すべての財産を正確に把握しなければならない
相続財産の調査は相続開始後なるべく早い段階で着手することが望ましいです。特に相続放棄には3か月の期限(民法第915条)があるため、マイナスの財産(債務)の調査を後回しにすると期限を過ぎてしまうリスクがあります。相続放棄の手続きについて詳しくは相続放棄の手続きと期限の記事をご参照ください。
不動産の調査方法
固定資産税の納税通知書・課税明細書を確認する
不動産調査の第一歩は、被相続人の自宅に届いている固定資産税の納税通知書を探すことです。毎年4〜6月頃に市区町村から届く書類で、課税明細書には所有している不動産の所在地・地番・面積・評価額が記載されています。
名寄帳(課税台帳)を取得する
納税通知書が見つからない場合や、他の市区町村に不動産を所有している可能性がある場合は、市区町村の税務課で名寄帳(なよせちょう)を取得します。名寄帳には、その市区町村内で被相続人名義のすべての不動産が一覧で記載されています。名寄帳は市区町村ごとの資料のため、複数の自治体に不動産がある可能性がある場合は、所在地ごとに取得する必要があります。ただし、自治体によっては免税点未満(同一市区町村内で土地の課税標準額の合計が30万円未満)の不動産が記載されないことがあるため注意が必要です。
登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する
不動産が特定できたら、法務局で登記事項証明書を取得します。所有権の名義人、抵当権の有無、地目・面積などの情報を確認できます。法務局の窓口のほか、登記・供託オンライン申請システムでオンライン請求も可能です(郵送受取520円・窓口受取490円)。なお、「登記情報提供サービス」は登記情報の閲覧用であり、証明書としての効力はありません。
| 調査方法 | 確認できる内容 | 請求先 | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 固定資産税納税通知書 | 課税対象の不動産一覧・評価額 | 被相続人の自宅に届いている | 無料(手元にあれば) |
| 名寄帳 | 市区町村内の被相続人名義の不動産全件 | 市区町村の税務課 | 200〜400円程度 |
| 登記事項証明書 | 所有者・抵当権・地目・面積 | 法務局(窓口またはオンライン) | 窓口600円/オンライン送付520円/オンライン窓口受取490円 |
預貯金の調べ方
通帳・キャッシュカード・郵便物を手がかりにする
まず、被相続人の自宅で通帳・キャッシュカード・金融機関からの郵便物を探します。確定申告書の控えがあれば、利子所得の記載から口座の存在を推測することもできます。ネット銀行を利用していた場合は、パソコンやスマートフォンのブックマーク・メール履歴から手がかりが見つかることがあります。
金融機関に残高証明書・取引履歴を請求する
口座がある金融機関が判明したら、各金融機関に残高証明書の発行を依頼します。残高証明書には相続開始日(死亡日)時点の残高が記載されます。手続きには以下の書類が必要です。
- 被相続人の死亡の事実がわかる戸籍謄本
- 請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本
- 請求者の本人確認書類・印鑑証明書
預貯金の相続手続きに必要な書類は金融機関ごとに異なるため、事前に各金融機関の窓口またはウェブサイトで確認してください。全国銀行協会のサイトでも預金相続の手続きに必要な書類が案内されています。
口座の存在がわからない場合の対処法
「どの銀行に口座があったかわからない」という場合は、被相続人の生活圏にある金融機関に個別に照会する方法が一般的です。各金融機関に「被相続人名義の口座の有無」を問い合わせれば、口座が存在するかどうかを回答してもらえます。心当たりのある金融機関が複数ある場合は、順番に照会を進めていきます。
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行政書士法人Treeでは、相続に必要な財産調査をサポートしています。
- ✔ 不動産の名寄帳取得から登記事項の確認まで対応
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株式・有価証券の調べ方
証券会社からの書類やオンライン口座を確認する
証券会社から届いた取引報告書・特定口座年間取引報告書・配当金計算書などが手がかりになります。近年はネット証券の利用者も増えているため、被相続人のメール受信ボックスで証券会社からの通知メールを確認することも有効です。確定申告書に「株式等に係る譲渡所得」の記載があれば、株式保有の有力な証拠になります。
証券保管振替機構(ほふり)に開示請求する
どの証券会社に口座があるかわからない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、振替株式等に係る口座の開設先となっている証券会社・信託銀行等を確認できます。ただし、銘柄名・保有残高・取引履歴は開示されず、非上場株式や外国株式等の一部は対象外です。
| 必要書類 | 備考 |
|---|---|
| 開示請求書(所定様式) | ほふりのウェブサイトからダウンロード |
| 被相続人の死亡がわかる戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図でも可 |
| 請求者が法定相続人であることの証明 | 戸籍謄本または法定相続情報一覧図 |
| 請求者の本人確認書類 | 運転免許証等のコピー |
| 手数料 | 1件につき6,050円(税込) |
口座の開設先が判明したら、各証券会社に残高証明書を請求して、保有銘柄・株数・評価額を確認します。
その他の財産・債務の調査
生命保険
被相続人が加入していた生命保険は、保険証券や保険会社からの通知書から確認します。保険証券が見つからない場合は、生命保険協会に「生命保険契約照会制度」を利用して照会できます(WEB申請6,000円・書面申請7,000円・税込。2026年4月1日改定後)。なお、生命保険金は受取人固有の財産であり、原則として遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の課税対象にはなります。
債務(借入金・ローン・保証債務)
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(債務)の調査も重要です。以下の信用情報機関に開示請求を行えば、被相続人の借入状況を確認できます。
| 信用情報機関 | 主な加盟金融機関 | 開示請求手数料 |
|---|---|---|
| CIC | クレジットカード会社・信販会社 | 500円(インターネット)/ 1,500円(郵送) |
| JICC | 消費者金融・一部銀行 | 2,177円(税込・郵送。被相続人の開示は郵送手続きのみ) |
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行・信用金庫 | 800円(インターネット)/ 2,403円(郵送)※2026年4月1日改定後 |
法定相続人であれば本人に代わって開示請求が可能です。被相続人が連帯保証人になっていた場合、保証債務も相続の対象となるため、これらの調査は相続放棄を検討するうえでも欠かせません。
相続財産調査の流れ|チェックリスト
| 財産の種類 | 調査方法 | 請求先 |
|---|---|---|
| 不動産 | 固定資産税通知書・名寄帳・登記事項証明書 | 市区町村税務課・法務局 |
| 預貯金 | 通帳・残高証明書・金融機関への照会 | 各金融機関 |
| 株式・有価証券 | 取引報告書・ほふりへの開示請求 | 各証券会社・証券保管振替機構 |
| 生命保険 | 保険証券・生命保険契約照会制度 | 各保険会社・生命保険協会 |
| 自動車 | 車検証・自動車税納税通知書 | 運輸支局 |
| 債務 | 信用情報機関への開示請求 | CIC・JICC・KSC |
よくある質問
Q. 相続財産の調査に期限はありますか?
相続財産の調査自体に法律上の期限はありません。ただし、相続放棄の期限(3か月)と相続税の申告期限(10か月)に間に合わせる必要があります。特に債務の存在を早期に把握しなければ、相続放棄の判断が遅れるリスクがあるため、相続開始後できるだけ早く着手することをおすすめします。
Q. ネット銀行やネット証券の口座はどうやって調べますか?
被相続人のパソコン・スマートフォンのメール受信ボックスで金融機関からのメールを検索するのが最も効率的です。ブラウザのブックマークや保存されたパスワード情報も手がかりになります。ネット銀行に心当たりがある場合は、各銀行に直接問い合わせれば口座の有無を確認できます。株式についてはほふりへの開示請求でネット証券の口座も調査できます。
Q. 被相続人の財産目録はどのように作成しますか?
調査で判明したすべての財産と債務を一覧表にまとめたものが財産目録です。法定の様式はありませんが、財産の種類・所在(口座番号等)・評価額を一覧にしておくと、遺産分割協議や相続税の申告に役立ちます。行政書士に依頼すれば、調査結果を踏まえて財産目録の作成まで対応できます。
Q. 相続人ではない家族が財産調査をすることはできますか?
金融機関への残高証明書の請求や信用情報機関への開示請求は、法定相続人であることが条件です。相続人ではない方(内縁の配偶者など)は原則として請求できません。ただし、遺言執行者に指定されている場合は財産調査の権限があります。
Q. 調査後に新たな財産が見つかった場合はどうなりますか?
遺産分割協議の後に新たな財産が見つかった場合は、その財産について追加の遺産分割協議を行います。あらかじめ遺産分割協議書に「本協議書に記載のない財産が発見された場合は、相続人○○が取得する」といった条項を入れておくと、再度全員の合意を取り直す手間を省けます。
まとめ
相続財産の調査は、正確な遺産分割と相続税の適正申告のために避けて通れない工程です。不動産・預貯金・株式・債務のそれぞれについて、漏れなく調査を進めましょう。
- 不動産は固定資産税通知書・名寄帳・登記事項証明書で確認
- 預貯金は各金融機関に残高証明書を請求
- 株式は証券保管振替機構(ほふり)への開示請求が有効
- 債務はCIC・JICC・KSCの3つの信用情報機関に開示請求
- 調査結果をもとに財産目録を作成し、遺産分割協議に備える
遺産分割協議書の作成については遺産分割協議書の書き方の記事で詳しく解説しています。
相続財産の調査から協議書作成まで、専門家がサポートします
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|---|---|
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※ 2026年3月時点の民法・相続税法に基づく一般的な解説です。税額の計算は税理士、訴訟については弁護士にご相談ください。
※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。


