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契約書の損害賠償条項の書き方|賠償範囲・上限額・免責条項との関係

更新: 約17分で読めます

「損害賠償条項にはどこまで書けばよいのか」「賠償の上限額はいくらに設定すべきか」——契約書を作成・レビューする場面で、損害賠償条項の設計に悩む方は少なくありません。損害賠償条項は、契約違反が起きたときに「誰が」「どの範囲の損害を」「いくらまで」賠償するかを定める条項であり、契約書全体のリスク配分を左右する核心部分です。条項の設計を誤ると、想定外の高額賠償を負担するリスクや、逆に損害を十分に回収できないリスクが生じます。

契約書の損害賠償条項で決めるべきポイントは、(1)賠償責任の発生要件(故意・過失・無過失)、(2)賠償範囲(通常損害・特別損害・逸失利益の扱い)、(3)賠償額の上限設定、(4)免責条項との整合性、の4点です。違約金条項との使い分けも重要な論点になります。

この記事では、民法の損害賠償に関する規定(415条・416条・420条)を整理したうえで、賠償範囲の設定方法や上限額の定め方を条文例付きで解説します。免責条項や違約金条項との関係についても取り上げ、自社の立場に応じた条項設計の考え方を示します。

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損害賠償条項とは?契約書に定める意味と役割

損害賠償条項とは、契約当事者の一方が契約上の義務に違反した場合に、相手方に生じた損害をどのように賠償するかを定める条項です。

民法には債務不履行に基づく損害賠償の一般規定(415条・416条)が設けられているため、損害賠償条項がなくても損害賠償の請求自体は可能です。しかし、民法の規定だけでは賠償範囲が広くなりすぎたり、逆に特定の損害をカバーできなかったりする場合があります。契約書に損害賠償条項を設けることで、賠償の発生要件・範囲・上限額を当事者間で合意し、リスクを予測可能な範囲にコントロールできるようになります。

損害賠償条項を設計する際には、自社がサービスを提供する側(受注側)か、サービスを受ける側(発注側)かによって、条項の方向性が大きく異なります。受注側であれば賠償範囲を限定し上限額を設ける方向に、発注側であれば賠償範囲を広く確保する方向に条項を調整するのが一般的な考え方です。

民法の損害賠償規定はどうなっている?415条・416条の基本

損害賠償条項を理解するには、まず民法の損害賠償に関する規定を把握しておく必要があります。2020年4月施行の改正民法により、損害賠償に関するルールも一部見直されています。

条文 見出し 概要
415条 債務不履行による損害賠償 債務者が債務の本旨に従った履行をしない場合、債権者は損害賠償を請求できる。ただし不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由による場合は免責
416条1項 損害賠償の範囲(通常損害) 債務不履行による損害賠償は、通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする
416条2項 損害賠償の範囲(特別損害) 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは賠償の対象となる
420条 賠償額の予定 当事者はあらかじめ損害賠償の額を予定できる。違約金は賠償額の予定と推定される

「通常損害」と「特別損害」の違いは何か

民法416条は損害を「通常損害」と「特別損害」に分けています。通常損害とは、その種の債務不履行があれば通常生じるであろう損害をいいます。たとえば、納品された製品に不良があった場合の修理費用や代替品の調達費用がこれに該当します。

一方、特別損害は、特別な事情によって生じた損害です。たとえば、納品遅延により発注者が第三者との取引機会を失った場合の逸失利益などが該当します。特別損害が賠償の対象となるには、債務者がその事情を「予見すべきであった」ことが必要です。

契約書の損害賠償条項では、この通常損害と特別損害の区別を意識して、賠償範囲を明確に定めることが重要です。特別損害や逸失利益を含めるのか、除外するのかによって、リスクの大きさは大幅に変わります。

改正民法で変わったポイント

2020年の民法改正では、損害賠償に関する主な変更点が2つあります。第一に、415条の免責事由について、旧民法の「債務者の責めに帰することができない事由」という抽象的な基準に代わり、「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」判断するという客観的基準が明示されました。第二に、416条2項の特別損害について、「予見し、又は予見することができた」から「予見すべきであった」に改められ、予見可能性の判断が客観的・規範的なものであることが明確化されました。

これらの改正は、従来の判例・通説の考え方を条文化したものであり、実務上の取扱いに大きな変更はありません。しかし、契約書の損害賠償条項を設計する際には、改正後の条文を正確に理解しておくことが前提となります。

損害賠償条項にはどのような内容を定めるべきか?

契約書の損害賠償条項で定めるべき事項は、大きく分けて「賠償責任の発生要件」「賠償範囲」「賠償額の上限」の3つです。以下、それぞれのポイントを解説します。

1. 賠償責任の発生要件をどう設定するか

民法415条の原則では、債務不履行があれば損害賠償責任が発生し、債務者に帰責事由がないことが立証された場合にのみ免責されます。契約書ではこの原則をベースに、発生要件を調整することが可能です。

設定パターン 条項の内容 効果
民法の原則どおり 「債務不履行により損害を与えた場合は賠償する」 帰責事由がないことを債務者が立証すれば免責
故意・過失に限定 「故意又は過失により損害を与えた場合に限り賠償する」 無過失の場合は免責(受注側に有利)
故意・重過失に限定 「故意又は重大な過失がある場合に限り賠償する」 軽過失は免責(受注側にさらに有利)
無過失責任 「過失の有無にかかわらず賠償する」 帰責事由の有無を問わず賠償義務(発注側に有利)

自社が受注側であれば「故意又は重過失に限定」の方向で交渉し、発注側であれば民法の原則どおり(または無過失責任)を求めるという形が交渉の出発点になります。ただし、消費者との契約(B2C)の場合は、消費者契約法8条により、事業者の故意・重過失による損害賠償責任を免除する条項は無効とされる点に注意が必要です。

2. 賠償範囲はどこまで含めるか

賠償範囲の設定は、損害賠償条項のなかで最も実務上のインパクトが大きい部分です。民法416条の原則(通常損害+予見可能な特別損害)をそのまま適用するか、契約書で範囲を調整するかの判断が求められます。

範囲の設定方法 条文例 想定される場面
通常損害のみ 「直接かつ現実に生じた通常の損害に限り賠償する」 受注側のリスク限定に適する
通常損害+特別損害 「通常生ずべき損害及び予見可能な特別の損害を賠償する」 民法の原則に近い(特段の限定なし)
逸失利益を除外 「逸失利益、間接損害及び特別損害を除く」 IT・SaaS契約で多用される
弁護士費用を含む 「弁護士費用その他の紛争解決費用を含む」 発注側の保護を手厚くする場合

実務上よく見られるのが「直接かつ現実に生じた通常の損害」に限定する方法です。この定め方をすると、間接損害(取引先との関係悪化による機会損失など)や逸失利益(得られたはずの利益)が賠償範囲から除外されるため、受注側のリスクを大幅に抑えることができます。

なお、「直接損害」「間接損害」という用語は民法上の定義がなく、契約当事者間でその範囲をめぐって争いになることがあります。重要な契約では、賠償対象となる損害の具体例を条項内に列挙しておくと、解釈の余地を狭められます。

3. 賠償額の上限をどう設定するか

損害賠償額に上限を設けることは法律上の義務ではありませんが、受注側にとっては予測不能な高額賠償を回避するための重要な手段です。上限額の設定方法にはいくつかのパターンがあります。

  • 契約金額を上限とする:「賠償額の累計総額は、本契約に基づき○○が受領した対価の総額を上限とする」
  • 直近の報酬額を上限とする:「損害賠償額は、損害発生月から遡って直近12か月間に支払われた対価の総額を超えないものとする」(継続的契約で多用)
  • 固定金額を上限とする:「損害賠償額は金○○万円を上限とする」

上限額の設定は受注側に有利に働く反面、発注側から見ると損害を十分にカバーできないリスクがあります。交渉の場面では、上限額を高めに設定する代わりに賠償範囲を限定する、あるいは上限額を低めにする代わりに賠償範囲を広めに認めるといった形で、バランスを取ることが現実的です。

損害賠償条項の条文例(パターン別)

ここからは、実務で使われる損害賠償条項の具体的な条文例を4つのパターンに分けて紹介します。契約の性質や自社の立場に応じて、適切なパターンを選択してください。

パターン1:民法の原則に従う基本形

第○条(損害賠償)

甲又は乙は、本契約に違反し、相手方に損害を与えた場合は、相手方に対しその損害を賠償する責任を負う。

最もシンプルな条文例です。民法415条・416条の原則がそのまま適用されるため、通常損害に加えて予見可能な特別損害も賠償の対象になります。賠償額の上限もありません。両当事者の力関係が対等な場合や、リスクが小さい取引で用いられることがあります。

パターン2:賠償範囲を限定する(受注側に有利)

第○条(損害賠償)

1. 甲又は乙は、本契約に違反し、相手方に損害を与えた場合は、相手方に対し、直接かつ現実に生じた通常の損害に限り賠償する責任を負う。ただし、当該違反が賠償義務者の故意又は重大な過失に基づく場合はこの限りでない。

2. 前項に基づく損害賠償額の累計総額は、本契約に基づき乙が甲から受領した対価の総額を上限とする。ただし、賠償義務者の故意又は重大な過失に基づく場合はこの限りでない。

受注側(乙)のリスクを限定するパターンです。賠償範囲を「直接かつ現実に生じた通常の損害」に限定し、間接損害・逸失利益を除外しています。さらに賠償額の上限を受領した対価の総額に設定しています。ただし書きで故意・重過失の場合を除外しているのは、上限設定が過度に受注側を保護しすぎるのを防ぐためです。IT・システム開発・SaaS・業務委託契約で多用される構成です。

パターン3:賠償範囲を広く確保する(発注側に有利)

第○条(損害賠償)

甲又は乙は、本契約に違反し相手方に損害を与えた場合は、相手方に対し、逸失利益、間接損害及び弁護士費用を含む一切の損害を賠償する責任を負う。

発注側が自社の損害を広くカバーしたい場合のパターンです。逸失利益や間接損害、さらに弁護士費用まで賠償対象に含めることで、万が一のトラブルに備えています。受注側にとっては非常にリスクが高い条項であるため、契約書作成時には上限額の設定とセットで調整するのが現実的です。

パターン4:違約金(賠償額の予定)を設ける場合

第○条(違約金)

1. 甲又は乙が本契約に違反した場合、違反した当事者は、相手方に対し、違約金として金○○万円を支払うものとする。

2. 前項の違約金は、民法第420条第3項に基づく損害賠償額の予定とする。

3. 前項にかかわらず、現実に生じた損害が前項の額を超える場合は、相手方はその超過分の賠償を請求することができる。

違約金を損害賠償額の予定として定めるパターンです。第3項で実損害が違約金額を超える場合の追加請求を認めている点がポイントです。第3項がなければ、違約金額を超える損害が実際に発生しても、違約金額の範囲でしか請求できません。この第3項を入れるかどうかは、当事者間の交渉で決まります。

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免責条項との関係はどう整理する?

損害賠償条項と免責条項は、契約書において表裏一体の関係にあります。損害賠償条項が「賠償する責任の範囲」を定めるのに対し、免責条項は「責任を負わない範囲」を定めます。両者の整合性が取れていないと、いざトラブルが発生した際に適用関係が不明確になり、紛争の原因となります。

免責条項の代表的なパターン

免責条項には、特定の事由について責任を免除するものと、責任の範囲を限定するものがあります。

免責の種類 条文例 想定場面
不可抗力免責 「天災地変、戦争、感染症の流行その他の不可抗力による不履行については責任を負わない」 全契約共通で設けることが多い
間接損害の免責 「間接損害、逸失利益及び特別損害については賠償責任を負わない」 IT・SaaS・業務委託
一定金額以下の免責 「損害額が金○万円以下の場合は賠償責任を負わない」 少額損害の免責(実務では少ない)

免責条項が無効になるケース

免責条項には法律上の限界があります。特に注意すべきは以下の2つの場面です。

第一に、事業者と消費者の間の契約(B2C)では、消費者契約法8条により、事業者の損害賠償責任を全部免除する条項や、故意・重過失がある場合に責任を一部免除する条項は無効とされます。ECサイトの利用規約や各種サービス約款を作成する際には、この制限を必ず意識する必要があります。

第二に、事業者間の契約(B2B)であっても、故意による債務不履行について免責を定める条項は、公序良俗(民法90条)に反して無効と判断される可能性があります。免責条項を設ける場合は、「故意又は重過失の場合を除く」というただし書きを付すのが安全です。

損害賠償条項と免責条項の整合性を確認するには、リーガルチェックが欠かせません。「契約書のリーガルチェックとは?確認すべき10のポイント」で全体的なチェック方法を解説しています。

違約金条項と損害賠償条項はどう違う?

違約金条項と損害賠償条項は混同されがちですが、法的な性質と効果が異なります。両者の違いを正確に理解したうえで、契約書に盛り込むかどうかを判断する必要があります。

3つの違いを比較表で整理

比較項目 損害賠償条項 違約金条項
法的根拠 民法415条・416条 民法420条
損害額の立証 必要(請求側が損害額を立証する) 不要(予定額を請求できる)
実損害との関係 実際に発生した損害額に基づく 実損害の額にかかわらず予定額を請求(民法420条1項)
契約書に定めがない場合 民法の規定に基づき請求可能 請求できない
上限額の設定 任意で設定可能 予定額自体が実質的な上限

違約金は「損害賠償額の予定」と推定される

民法420条3項は「違約金は、賠償額の予定と推定する」と規定しています。つまり、契約書に「違約金」として金額を定めた場合、特段の定めがなければ損害賠償額の予定として扱われます。この場合、違約金額を超える損害が実際に発生しても、原則として違約金額の範囲でしか賠償を請求できません。

もし違約金を「損害賠償額の予定」ではなく「違約罰」(制裁金)として位置づけたい場合は、契約書にその旨を明記する必要があります。違約罰の場合は、違約金とは別に実損害の賠償を請求できるため、違約金が損害填補の機能を持たないことになります。

違約金条項を設けるメリット・デメリット

違約金条項の最大のメリットは、損害額の立証負担がなくなる点です。損害賠償請求では請求側が損害額を立証する必要がありますが、賠償額の予定として違約金を定めておけば、契約違反の事実さえ立証すれば予定額を請求できます。

一方、デメリットとして、実際の損害が違約金額を大幅に上回った場合でも、原則として違約金額までしか請求できないという点があります。この問題を回避するために、前述のパターン4のように「現実に生じた損害が違約金額を超える場合は超過分の賠償を請求できる」旨の定めを設けるケースもあります。

損害賠償条項を設計する際のよくある不備と注意点

損害賠償条項は契約書の中でも紛争が生じやすい部分であり、条項設計の際に見落とされがちなポイントがいくつかあります。

損害賠償条項と解除条項の連動を忘れない

契約を解除した場合でも損害賠償を請求できる旨を明記しておくことが重要です。民法545条4項は「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」と定めていますが、この点を契約書でも確認的に規定しておくと、解除後の損害賠償請求に関する疑義を防止できます。条文例として「本契約の解除の有無にかかわらず、損害賠償の請求を妨げないものとする」と付記するのが一般的です。

存続条項で解除後も損害賠償条項の効力を維持する

損害賠償条項は、契約が終了した後も効力を維持させる必要があります。契約期間中に発生した債務不履行が、契約終了後に判明するケースは珍しくありません。存続条項(サバイバル条項)に損害賠償条項を含めておくことで、契約終了後も損害賠償を請求できる状態を確保できます。

損害賠償の上限設定と保険のバランス

特にIT・システム開発・コンサルティングなどの契約では、損害賠償の上限額を契約金額に連動させるのが実務上の慣行です。しかし、上限額が低すぎると発注側のリスクカバーが不十分になります。この問題に対処する方法として、受注側が賠償責任保険に加入し、保険の付保範囲・金額を発注側に示すことで、上限額の設定と実質的な賠償能力のバランスを取るアプローチが取られることがあります。

「直接損害」「間接損害」の定義が曖昧にならないよう注意する

繰り返しになりますが、「直接損害」「間接損害」は民法上の法律用語ではなく、契約書で使用する場合はその範囲が不明確になりがちです。契約書で「間接損害を除く」と定めても、当事者間で「間接損害」の定義が異なれば紛争の原因になります。重要な契約では、賠償対象から除外する損害の類型を具体的に列挙する(例:「逸失利益、事業機会の喪失、データの喪失、第三者からの請求に基づく損害」)方が安全です。

よくある質問

Q. 損害賠償条項がなくても損害賠償を請求できますか?

請求は可能です。民法415条の規定により、債務不履行があれば損害賠償を請求する権利が認められています。ただし、損害賠償条項がない場合は、賠償の範囲や上限が民法の一般規定に委ねられるため、当事者間で範囲をめぐる争いが生じやすくなります。リスクを明確にコントロールするためにも、契約書には損害賠償条項を定めておくことをお勧めします。

Q. 損害賠償額の上限を設定するのは一般的ですか?

事業者間の契約(B2B)、特にIT・システム開発・業務委託・SaaSなどの契約では、受注側が賠償額の上限を設定するのは広く行われています。上限額は「契約金額の総額」や「直近12か月間の報酬総額」とするケースが多く見られます。ただし、故意または重過失の場合は上限を適用しない旨のただし書きを設けるのが通常です。

Q. 違約金と損害賠償の両方を請求できますか?

違約金が「損害賠償額の予定」として定められている場合は、違約金と別途の損害賠償を重複して請求することはできません(民法420条)。ただし、違約金が「違約罰」として定められている場合は、違約金に加えて実損害の賠償を請求することが可能です。どちらの性質かは契約書の文言で判断されますが、民法の推定規定により、特段の定めがなければ「損害賠償額の予定」と推定されます。

Q. 消費者向けサービスの利用規約で免責条項を設ける場合、どのような制限がありますか?

消費者契約法8条により、事業者の損害賠償責任を全部免除する条項は無効です。また、事業者に故意または重過失がある場合に責任を一部免除する条項も無効とされます。さらに、2023年6月施行の改正により、免責の範囲を明確にしない「サルベージ条項」(例:「法律上許容される限りにおいて責任を負わない」)も無効となりました。利用規約を作成する際は、軽過失の場合に限り賠償額を上限額の範囲に制限するなど、有効性を確保できる設計にする必要があります。

Q. 損害賠償条項は後から変更できますか?

当事者間の合意があれば変更可能です。覚書(変更覚書)を締結し、損害賠償条項の変更内容を明記する方法が一般的です。ただし、一方的な変更は原則として認められません。契約更新のタイミングで条項の見直しを行うのが実務的なアプローチです。

まとめ

損害賠償条項は、契約違反時のリスク配分を定める契約書の核心部分です。この記事の要点を整理します。

  • 損害賠償条項では「発生要件」「賠償範囲」「上限額」の3点を明確に定める
  • 民法416条の通常損害と特別損害の区別を意識して賠償範囲を設計する
  • 受注側は賠償範囲の限定と上限額の設定、発注側は賠償範囲の拡大が交渉の基本方針
  • 免責条項は損害賠償条項と整合性を確保し、故意・重過失の場合を除外する
  • 違約金条項は損害額の立証負担を軽減するが、実損害を超えて請求できない点に注意
  • 解除条項・存続条項との連動を忘れずに設計する

損害賠償条項の設計は、契約当事者間の利害が直接衝突する部分であり、条項一つで負担するリスクの大きさが大幅に変わります。契約書を作成する際は、自社の立場に適した条項構成になっているかを事前に確認することが不可欠です。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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