契約書

売買契約書の書き方|不動産・動産の取引で注意すべき条項

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売買契約書の作成で最も見落とされがちなのが、「引渡し後に目的物の欠陥が発覚した場合の責任をどこまで定めるか」という点です。不動産であれ動産であれ、売買契約は口頭でも法的に成立しますが、高額な取引で契約書を作成しなければ、後からトラブルが発生した際に双方の合意内容を証明できません。売買契約書の作成で重要なのは、目的物の特定・代金の支払条件・引渡し条件・契約不適合責任の4項目を明確にすることです。この記事では、不動産売買・動産売買それぞれの契約書に盛り込むべき条項と作成時の注意点を整理します。

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売買契約書とは?民法上の位置づけ

売買契約は、民法第555条に規定されており、「当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約する」ことで成立する契約です。法律上は口頭の合意だけで契約が成立しますが、「何をいくらで売買するか」「引渡しの時期はいつか」「不具合があった場合の対応はどうするか」といった内容を書面にしておかなければ、当事者間で認識の食い違いが生じた際に立証が困難になります。

売買契約書は大きく「不動産売買契約書」と「動産売買契約書」に分類されます。不動産は登記制度が存在するため所有権移転登記に関する条項が必要になり、動産は目的物の検品・検収に関する条項が重要になるなど、対象物によって記載すべき事項が異なります。

売買契約書に記載すべき必須条項は?

不動産・動産を問わず、売買契約書には以下の基本条項を盛り込む必要があります。個別の取引事情に応じて追加すべき条項もありますが、まずは基本となる項目を押さえることが重要です。

条項 記載内容 注意点
当事者の表示 売主・買主の氏名(法人名)・住所 法人の場合は代表者名も記載
目的物の特定 売買対象物の名称・数量・品質・仕様等 不動産は登記簿の表示を正確に転記
売買代金 金額・消費税の扱い・支払期日・支払方法 分割払いの場合は各回の金額と期日
引渡し条件 引渡しの時期・場所・方法 不動産は所有権移転登記の時期も明記
所有権の移転時期 代金完済時・引渡し時など 登記と引渡しの時期がずれる場合は特に重要
契約不適合責任 不適合があった場合の修補・代金減額・損害賠償・解除 通知期間の設定が必須(後述)
危険負担 引渡し前に目的物が滅失・毀損した場合の処理 民法改正により買主は代金支払いを拒否可能
解除条項 契約解除できる事由と手続き 手付解除・債務不履行解除を区別して記載
損害賠償 違約金の額・算定方法 上限額を定めておくと紛争防止になる
合意管轄 紛争時の管轄裁判所 双方の所在地から合理的な裁判所を選定

不動産売買契約書で注意すべき条項

目的物の表示はどう書く?

不動産売買では、目的物を登記簿に記載されたとおりに正確に表示する必要があります。土地であれば「所在・地番・地目・地積」、建物であれば「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を登記事項証明書(登記簿謄本)の記載と一字一句合わせて転記します。公簿面積と実測面積が異なる場合は、どちらの面積を基準として売買するか(公簿売買か実測売買か)を明記しておくことが重要です。

手付金と手付解除の定め方

不動産売買では手付金を交付するのが一般的です。手付金は売買代金の5〜10%程度が目安とされています。手付解除については、「買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を返還することにより、契約を解除できる」旨を定めます。ただし、手付解除ができる期限(「相手方が契約の履行に着手するまで」等)を明確に記載しないと、いつまでも解除できる状態が続いてしまう点に注意してください。

契約不適合責任の通知期間

2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変更されました(民法第562条〜第564条)。買主は、引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合、修補・代替物の引渡し等の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除が可能です。民法上は、買主が不適合を知ったときから1年以内にその旨を売主に通知する必要がありますが(民法第566条)、契約書で通知期間を短縮または排除することも可能です。個人間の取引では「引渡しから3ヶ月」とする例が多く見られます。

なお、不動産の所有権移転登記は司法書士の業務範囲です。行政書士は売買契約書の作成を担当し、登記手続きは司法書士が行います。

動産売買契約書で注意すべき条項

目的物の特定と検品条項

動産売買では、目的物を具体的に特定することが重要です。製品名・型番・数量・仕様書番号等を正確に記載します。さらに、買主が目的物を受け取った際の検品に関する条項(検品期間・検品方法・不合格時の対応)を設けておくと、品質に関するトラブルを防ぎやすくなります。「納品後○営業日以内に検品を行い、不合格の場合は書面にて通知する」といった具体的な期限を定めてください。

所有権留保条項

動産の継続的な売買取引(商品の卸売り等)では、代金の未払いリスクに備えて「所有権留保条項」を設けることがあります。これは「代金の完済まで目的物の所有権は売主に留保される」と定めるもので、買主が代金を支払わない場合に売主が商品の返還を求める根拠になります。

危険負担の取決め

動産売買では、目的物が引渡し前に滅失・毀損した場合のリスクを誰が負担するかを明確にしておく必要があります。2020年の民法改正により、売主の帰責事由によらずに目的物が滅失した場合、買主は代金の支払いを拒否できるのが原則です(民法第536条第1項)。ただし、買主の受領遅滞中に当事者双方の帰責事由によらず滅失した場合は、買主が危険を負担します(民法第567条第2項)。

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売買契約書の収入印紙

不動産売買契約書は印紙税法上の第1号文書(不動産の譲渡に関する契約書)に該当し、契約金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。なお、2027年3月31日までは軽減税率が適用されます。

契約金額 本則税額 軽減税額(〜2027年3月)
500万円超〜1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超〜1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超〜5億円以下 100,000円 60,000円

動産売買契約書は、原則として印紙税の課税文書に該当しません。ただし、継続的な商品取引に関する契約書(第7号文書)に該当する場合は4,000円の印紙が必要です。また、電子契約(PDF等の電磁的記録)で締結した場合は、不動産・動産を問わず印紙税が課されません。

売買契約書の作成でよくある不備

契約書を作成したにもかかわらず紛争に発展するケースには、共通する不備のパターンがあります。以下のポイントを確認してから署名・押印に進んでください。

  • 目的物の記載が曖昧: 「○○一式」のような表現では、何が売買対象に含まれるか争いになる。付属品・備品の有無まで明記する
  • 契約不適合責任の通知期間が未設定: 民法の原則(知ったときから1年)が適用されると、売主にとって長期間のリスクが残る。個人間取引でも通知期間を定めておくべき
  • 手付解除の期限が不明確: 「相手方が履行に着手するまで」とだけ記載すると、「着手」の解釈をめぐって争いになりやすい。具体的な期日を設定しておくほうが安全
  • 公租公課の負担区分が未記載: 不動産売買では、固定資産税・都市計画税の日割精算を定めないと、引渡し前後の税負担で争いになる
  • 登記費用の負担者が不明: 所有権移転登記の費用(登録免許税・司法書士報酬)を売主・買主のどちらが負担するか明記する

よくある質問

Q. 売買契約書は売主・買主のどちらが作成しますか?

法律上、どちらが作成しても構いません。不動産売買の場合は、仲介する宅地建物取引業者が契約書を用意するのが一般的です。個人間の取引や動産売買では、売主側が契約書案を作成し、買主が内容を確認のうえ合意するケースが多く見られます。いずれの場合も、一方にとって不利な条項が含まれていないか、署名前にリーガルチェックを受けることをおすすめします。

Q. 不動産売買契約書は自分で作成できますか?

法律上、当事者が自分で作成することは可能です。ただし、不動産は高額な取引であり、契約不適合責任・危険負担・手付解除など専門的な条項が多く含まれるため、専門家のサポートを受けるのが安全です。なお、所有権移転登記の手続きは司法書士の業務範囲であり、契約書面の作成は行政書士が対応できます。

Q. 売買契約書に収入印紙は必要ですか?

不動産売買契約書は課税文書(第1号文書)に該当するため、契約金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。動産売買契約書は原則として非課税ですが、継続的取引の基本契約書(第7号文書)に該当する場合は4,000円の印紙が必要です。電子契約の場合は印紙税が課されません。

Q. 個人間の売買でも契約書は必要ですか?

法律上、契約書がなくても売買契約は成立します。しかし、後からトラブルが発生した際に「どのような条件で合意したか」を証明する手段がなくなります。特に高額な取引や、引渡し後に不具合が見つかる可能性がある中古品の売買では、契約書を作成しておくことを強くおすすめします。

Q. 売買契約を解除するにはどうすればよいですか?

契約書に定められた解除条項(手付解除・債務不履行解除等)に該当する場合は、その定めに従って解除の意思表示を行います。契約書に解除条項がない場合でも、相手方の債務不履行があれば民法の規定に基づき解除が可能です(民法第541条・第542条)。なお、すでに紛争が生じている場合の交渉は弁護士の業務範囲となります。

まとめ

売買契約書は、取引条件を明確にし、後のトラブルを防ぐための重要な書面です。不動産売買では目的物の登記情報・手付金・契約不適合責任・公租公課の負担が、動産売買では目的物の特定・検品条項・所有権留保が重要なポイントになります。契約書のひな形をそのまま使うのではなく、個別の取引事情に合わせて条項を調整することが、将来のリスクを減らすうえで不可欠です。

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※ 2026年3月時点の民法・商法に基づく解説です。取引の内容や当事者の立場により、記載すべき条項は異なります。重要な取引については専門家にご相談ください。

※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。


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