公開日:2026年5月3日|最終更新日:2026年5月4日
「自分にもしものことがあったとき、家族はどこに何の財産があるか分かるだろうか」——終活を始めるきっかけは人それぞれですが、最大の難所は財産目録の作成と、近年急増しているデジタル遺品の整理です。預貯金や不動産だけでなく、ネット銀行・暗号資産・SNS・サブスクリプションといった「画面の中にしか存在しない財産・アカウント」を残されたご家族が把握できないケースが増えています。本記事では、行政書士の業務範囲(業際)を踏まえながら、終活における財産目録の作り方と、デジタル遺品整理の実務ポイントを行政書士が解説します。
結論として、終活における財産目録は「ご家族が迷わず手続きを進められる地図」を作る作業です。紙の財産(不動産・預貯金・有価証券・保険・年金・負債・動産)に加え、ネットバンキング、証券のオンライン口座、暗号資産(取引所アカウント・ウォレット情報)などの財産性があるものと、SNS、サブスクリプション、クラウドストレージ、メールアカウント、スマートフォン本体のロック解除情報など死後事務・アカウント管理に関わるものを区別して整理することが重要です。財産目録は、遺言書に添付する法的な財産目録として整備する方法と、家族や死後事務受任者向けの附属メモとして整備する方法があります。ID・パスワード・シードフレーズ等の秘密情報は、遺言書本文や財産目録本体には記載せず、封印封筒・貸金庫・信頼できる第三者への託送など、別管理するのが実務上安全です。なお、相続税の申告・節税・暗号資産の評価額算定は税理士業務、相続放棄の申述書作成や遺産分割調停関係の裁判所提出書類作成は司法書士、代理対応や紛争対応は弁護士、不動産の相続登記は司法書士、成年後見の申立書類作成・申立代理等は司法書士・弁護士等の業務範囲です。行政書士は遺言書(原案)作成、財産目録作成、任意後見契約書(公正証書)の事前準備、死後事務委任契約書作成といった書類面でご家族の負担を軽減します。
こんなお悩みはありませんか?
- 終活を始めたいが、何から手を付ければ良いか分からない
- ネット銀行や証券口座が複数あり、家族には伝えていない
- 暗号資産(ビットコイン等)を保有しているが、家族に引き継げる気がしない
- SNSアカウントやサブスクの解約方法を残しておきたい
- 遺言書と財産目録をセットで整備したい
- 認知症になる前に任意後見契約を結んでおきたい
- 独居のため、死後事務委任契約も検討している
目次
根拠法令・参考資料
- 民法(遺言・相続関連条文、968条2項は平成30年法律第72号により改正、2019年1月13日施行)
- 法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号、2020年7月10日施行)
- 任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号、平成12年4月1日施行)
- 個人情報の保護に関する法律(令和3年改正、2022年4月1日施行)
- 電気通信事業法4条(通信の秘密)
- 金融庁(暗号資産関連)
- 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(情報)」(令和元年12月発出)
終活と財産目録の意義
終活は「人生の終盤を自分の意思で設計する活動」です。中でも財産目録は、ご家族が相続手続きや生前整理をスムーズに進めるための「地図」として機能します。財産目録がない場合、ご家族は通帳を一枚ずつ探し、契約書類を片端から確認し、PCやスマートフォンの中身を手探りで調べることになります。これは精神的にも時間的にも大きな負担となり、結果として「分からない財産」が手付かずで残ってしまう原因にもなります。
近年は法務局の自筆証書遺言書保管制度(法務局における遺言書の保管等に関する法律、平成30年法律第73号、2020年7月10日施行)の利用も広がり、自筆証書遺言に添付する財産目録は、自署でなくパソコン作成や通帳コピー等でも可能となりました(民法968条2項、平成30年法律第72号による改正、2019年1月13日施行)。ただし、その目録の各ページに署名押印が必要(民法968条2項後段)です。これにより、財産目録の更新はしやすくなっています。もっとも、遺言書に添付する法的な財産目録を差し替える場合は、署名押印等の方式、遺言書全体との整合性、法務局保管制度を利用している場合の手続に注意が必要です。
財産目録の書き方と基本構成|相続手続で家族が困らないテンプレート項目
財産目録には次の項目を網羅すると、相続発生時にご家族が困らない構成になります。
1. 不動産
所在地・地番・家屋番号・登記簿上の所有者・固定資産評価額・住宅ローン残高など。登記事項証明書や固定資産評価証明書を別添するとより確実です。なお、相続登記の申請代理は司法書士業務です。
2. 預貯金
金融機関名・支店名・口座種別・口座番号。残高は変動するため「目安」で構いません。ネット銀行も漏れなく記載します。
3. 有価証券
証券会社名・支店(オンライン専業の場合は「オンライン口座」と明記)・口座番号・主な保有銘柄を記載します。NISA口座、iDeCo、企業型DC等も忘れずに整理しますが、iDeCo等は死亡一時金としての手続や受取人・税務上の取扱いが通常の証券口座と異なるため、制度ごとに連絡先を記載しておきます。
4. 保険
生命保険・医療保険・個人年金・損害保険の契約会社名、証券番号、受取人。受取人指定の生命保険金は、民法上は原則として相続財産ではなく受取人固有の財産となります。ただし、相続税上はみなし相続財産として課税対象となる場合があるため、税理士確認が必要です。
5. 年金
公的年金(基礎年金番号)・企業年金・個人年金の連絡先。
6. 負債
住宅ローン・自動車ローン・カードローン・連帯保証債務など。負債は隠さず記載することが極めて重要です。負債超過の場合、相続人が相続放棄や限定承認を検討できますが、これらの裁判所手続の代理は弁護士業務、書類作成は司法書士業務であり、行政書士の業務範囲外です。
7. デジタル遺品
暗号資産・電子マネー・ネット銀行・SNS・サブスク・クラウドストレージ・メール・各種オンラインサービス。電子マネー・QR決済は、サービス名、登録電話番号・メールアドレス、残高の有無、払戻・相続手続の窓口を一覧化し、承継可否は各サービス規約で確認します。後述の通り、特殊な配慮が必要です。
8. 動産
自動車・貴金属・骨董品・コレクション・楽器など。価値が高い物は写真と購入時資料も残しておくと良いでしょう。
デジタル遺品・デジタル資産の整理方法|暗号資産・SNS・サブスクの注意点
デジタル遺品は「物理的に存在しない」「アクセス情報がなければ事実上引き継げない」「サービス事業者ごとに承継ルールが異なる」という三つの特殊性があります。
暗号資産の相続対策|ビットコイン・シードフレーズ・秘密鍵の管理方法
暗号資産は、取引所に預けている場合と、自己管理ウォレット(ハードウェアウォレット・スマホアプリ等)で保有している場合で、相続人がアクセスできる難易度が大きく変わります。
- 取引所口座:取引所名・登録メールアドレス・口座番号(顧客番号)を財産目録に記載。多くの国内取引所には相続手続きの窓口がありますが、相続人代表者への出金、暗号資産の移管、売却換金、法定通貨での払戻し等、対応は取引所ごとに異なります。取引所名・登録情報・相続窓口を記録しておくことが重要です。
- 自己管理ウォレット:シードフレーズ(リカバリーフレーズ)や秘密鍵を失えば、相続人は資産にアクセスできません。シードフレーズは紙に書いて貸金庫や封印封筒で保管し、保管場所だけを財産目録に記載します。シードフレーズ自体を財産目録本体に書き込まないことが鉄則です。
- 相続税評価:暗号資産は相続開始時点の時価評価が問題となります(国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(情報)」令和元年12月発出)。取引所の残高証明、取引履歴、相続開始日の価格情報、ウォレットの保有数量等を確保する必要があり、具体的な評価額算定・申告書作成は税理士業務です。当事務所は提携税理士をご紹介します。
- 相続放棄の判断:価格変動が大きく、負債超過の判断は熟慮期間(原則3か月)内に行う必要があります。また、相続放棄を検討している段階で暗号資産を移動・換金・処分すると、単純承認と評価されるリスクがあるため、弁護士・司法書士へ確認してから対応する必要があります。
ネットバンキング・オンライン証券
金融機関名・支店名・口座番号または顧客番号、相続手続窓口、連絡先電話番号を財産目録に記載します。ログインIDやパスワードはセキュリティ情報に当たるため、目録本体に書くか別管理にするかを慎重に判断し、パスワード本体は別管理を原則とします。相続発生後の解約・名義変更は、各金融機関所定の相続手続に従います。口座凍結、戸籍収集、遺産分割協議書、代表相続人の指定、残高証明・取引履歴の取得等が必要となる場合があります。
SNSアカウントの死後対応|追悼アカウント・削除申請・遺族ログインの注意点
SNSの死後対応・規約は頻繁に変わるため、財産目録にはアカウント名・登録メールアドレス・希望する死後対応とともに、公式ヘルプの確認先を記載しておきます。
- Facebook:追悼アカウント化、削除申請、レガシーコンタクト等の制度が用意されています。「追悼アカウント管理人」を設定しておくと、ご家族の負担が軽くなります。
- Instagram:追悼アカウント化または削除を遺族が申請可能。
- X(旧Twitter):遺族または権限ある者からアカウント削除・停止等の申請ができる場合がありますが、原則として遺族がアカウントにログインしたり内容を引き継いだりできるわけではありません。
- LINE:原則として遺族による直接のアカウント引継ぎはできません。日本国内のLINE Payは2025年4月30日にサービス終了済みのため、残高・決済関係については現在利用中のPayPay等の決済サービスを別途整理します。トーク履歴等の閲覧についても、本人の意思・利用規約・プライバシーに配慮が必要です。
サブスクリプション
Netflix・Amazon Prime・Apple One・Spotify・各種クラウドサービス・新聞電子版など、月額/年額で自動課金されるサービスは、本人が亡くなった後も、解約・支払方法停止・サービス側の処理がされるまで課金が継続する場合があります。発見漏れを防ぐため、サービス名・契約者ID・支払い方法・解約窓口を一覧化しておくことが重要です。
クラウドストレージ・メールアカウント
Google Drive・iCloud Drive・Dropbox・OneDriveなどに保管されたファイルや写真、Gmail・Yahoo Mailなどのメールデータも重要なデジタル遺品です。Googleには「アカウント無効化管理ツール」、Appleには「故人アカウント連絡先」といった生前設定機能があります。もっとも、アクセスできるデータの範囲、必要書類、アクセスキー、保存期間、パスワード・DRMコンテンツ等の取扱いはサービスごとに異なるため、公式ヘルプを確認して記録しておくことが重要です。
スマートフォン・PC本体のロック解除情報
これが最大のボトルネックです。本体ロックが解除できなければ、上記すべてのデジタル資産にアクセスできない可能性があります。PINコード、パスコード、パターン、リカバリーコード、バックアップPIN等を封印封筒で残し、保管場所のみを財産目録に記載する方法は実務上考えられます。ただし、スマートフォン内には第三者との通信内容や個人情報が含まれるため、閲覧範囲・目的・死後事務受任者の権限を明確にし、無制限な閲覧を避ける設計が必要です。
財産目録と遺言書の連携|自筆証書遺言の添付目録と附属メモの違い
財産目録は、遺言書に添付する法的な財産目録と、家族向けの附属メモ・連絡先一覧を分けて整備するのが安全です。特にID・パスワード・シードフレーズ等の秘密情報は、遺言書に添付する財産目録や法務局保管制度に提出する書類には記載しない運用が望ましいです。遺言書本文にID・パスワード・シードフレーズ等を書き込むと、変更のたびに作り直しが必要になるだけでなく、閲覧・漏えい時のセキュリティリスクが大きくなります。
- 遺言書本文:誰に何を相続させるかという「分け方の方針」を記載
- 財産目録(附属メモ):具体的な財産の所在情報・連絡先を記載し、毎年更新
- パスワード等の秘密情報:封印封筒で別管理
遺言書(自筆証書/公正証書)原案の作成、附属財産目録の整備は行政書士の業務範囲です。なお、遺言の有効性をめぐる紛争解決や訴訟代理は弁護士業務です。
死後事務委任契約でできること|サブスク解約・SNS削除・デジタル遺品整理
独居の方や、相続人にデジタル遺品整理の負担をかけたくない方には、死後事務委任契約の活用が有効です。受任者(行政書士等)が、サブスクの解約、SNSアカウントの追悼化/削除申請、デジタル機器の処分、葬儀・納骨等の事務を、本人の意思に基づいて行う方法があります。ただし、各サービスの利用規約、相続人の権利、通信の秘密、個人情報保護の観点から、受任者が行える範囲を契約書で具体的に定める必要があります。
死後事務委任契約で扱えるのは「事務」の範囲であり、相続財産の分配や紛争解決は含まれません。財産分配の指示は遺言書で行います。
認知症対策:任意後見契約との連携
判断能力が低下した後にもデジタル資産が放置されると、毎月のサブスク課金が続いたり、ネット銀行の取引が止まったりといった問題が生じます。判断能力があるうちに任意後見契約(任意後見契約に関する法律、平成11年法律第150号、平成12年4月1日施行、公証人法施行規則による公正証書化が必須)を結んでおくことで、将来判断能力が低下した際に、信頼できる任意後見人が代理権目録に定めた範囲内で財産管理(含むデジタル資産の解約・処分)を行うことができます。デジタル資産・サブスク・オンライン口座に関する対応を想定する場合は、代理権の範囲を具体的に整理しておくことが重要です。
任意後見契約の3類型
- 将来型:判断能力が現在十分にある段階で締結し、低下時に発効
- 移行型:任意代理(財産管理委任)契約と同時締結し、判断能力低下まで任意代理で対応、低下後に任意後見へ移行
- 即効型:判断能力が軽度低下している段階で締結し、即時発効
当事務所は、任意後見契約書(公正証書)の事前準備(原案作成・公証役場との調整)を業務範囲としております。なお、すでに判断能力が低下した方の法定後見(成年後見)の申立書類作成・申立代理等は、司法書士・弁護士等の業務範囲であり、行政書士の業務範囲外です。提携司法書士・弁護士へお繋ぎいたします。
個人情報保護法・通信の秘密との関係
デジタル遺品整理では、メールやSNSのメッセージ等、本人・第三者のプライバシー、通信の秘密、個人情報、サービス利用規約に触れる場面が出てきます。
根拠法令:
- 電気通信事業法4条(秘密の保護):「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」
- 個人情報の保護に関する法律(令和3年改正、2022年4月1日施行)
原則として、これらの内容を遺族や受任者が無制限に閲覧することは想定されておらず、サービス事業者の規約上も「アカウントの一身専属性」が定められていることが多いです。財産目録にも、メールやメッセージ本文の引用は記載せず、「アカウントの存在」「希望する処理(削除等)」のみを記載する設計が安全です。
財産目録・遺言書・死後事務委任契約の作成費用|行政書士法人Treeの料金プラン
| サービス | 料金(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 終活相談(初回無料) | 0円 | 方針整理・必要書類のご案内 |
| 財産目録作成サポート(原案作成) | 33,000円〜 | デジタル遺品含む整理 |
| 自筆証書遺言(原案作成) | 55,000円〜 | 法務局保管制度ご案内含む(保管申請3,900円・遺言書情報証明書1,400円・遺言書保管事実証明書800円) |
| 公正証書遺言(原案・公証役場調整) | 88,000円〜 | 公証人手数料は別途 |
| 任意後見契約書(公正証書)原案作成 | 88,000円〜 | 公証人手数料は別途 |
| 死後事務委任契約書作成 | 88,000円〜 | 受任業務範囲はご相談 |
※2025年10月1日施行の公証人手数料令改正により、目的価額が算定不能な契約は13,000円、目的価額50万円以下は3,000円となりました。ただし、公正証書遺言・任意後見契約・死後事務委任契約では、目的価額、契約内容、枚数、正本・謄本、送達等により手数料が変わるため、最新の手数料は公証役場でご確認ください。
※相続税・贈与税の申告・節税相談は税理士業務のため、提携税理士をご紹介します。
よくある質問
Q1. 財産目録は法的に作成義務がありますか?
生前の財産目録に法的な作成義務はありません。ただし、相続人が遺産分割協議の前提として作成する財産目録には実務上の重要性があり、生前に整えておくことでご遺族の負担が大きく軽減されます。
Q2. 財産目録はどのくらいの頻度で更新すれば良いですか?
年1回の見直しを推奨します。資産構成や口座開設・解約があった都度に追記するのが理想ですが、誕生日や年末など決まったタイミングでの定期更新が続けやすいです。
Q3. 暗号資産のシードフレーズは財産目録に書いて良いですか?
書かないことを強く推奨します。シードフレーズが第三者に渡れば資産が即座に流出するリスクがあるためです。シードフレーズは紙に書いて封印封筒や貸金庫で保管し、財産目録には「保管場所」のみを記載してください。
Q4. 暗号資産の相続税評価はどうなりますか?
国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(情報)」(令和元年12月発出)により、相続発生時の時価で評価されます。取引所で取引されている暗号資産は相続日の取引価格、取引所外で保有する暗号資産は他の合理的な方法による評価が必要です。具体的な評価額算定・申告書作成は税理士業務のため、提携税理士をご紹介します。
Q5. 暗号資産の価値が下落した場合、相続放棄は可能ですか?
相続放棄は暗号資産だけを放棄する制度ではなく、相続全体について行う手続です。相続全体が負債超過である場合などには、原則として相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述することで相続放棄を検討できます。申述書類作成は司法書士業務、代理は弁護士業務であり、行政書士の業務範囲外です。提携司法書士・弁護士をご紹介します。
Q6. SNSアカウントは遺族が勝手にログインしても良いですか?
多くのSNSは利用規約でアカウントの一身専属性を定めており、遺族による直接ログインは推奨されません。仮に本人が生前に意思表示していた場合でも、第三者とのメッセージ内容には通信の秘密・プライバシーの問題があるため、閲覧範囲を限定することが重要です。各サービスが用意する「追悼アカウント化」や「削除申請」の手続を利用するのが原則です。
Q7. サブスクの解約を遺族に確実に伝える方法は?
サービス名・契約者ID・支払いカード・解約手順を一覧表にして財産目録に綴じ込み、保管場所をご家族に伝えておく方法が最も確実です。死後事務委任契約で受任者に解約事務を依頼する方法もあります。
Q8. 遺言書に「デジタル資産はすべて削除する」と書けますか?
遺言書本文に書くこと自体は可能ですが、技術的な実行はサービス事業者の協力が前提となります。実行可能性を高めるため、財産分配や遺言内容の実現は遺言執行者、サブスク解約・SNS削除申請・デジタル機器処分等の事務は死後事務委任契約の受任者というように、役割を分けて指定しておくと安心です。
Q9. 認知症になった後でも財産目録を作れますか?
判断能力が低下している場合、事実整理としての財産一覧を作成することはあり得ますが、遺言書や任意後見契約など法的効果を伴う書面の有効作成は難しくなります。判断能力が十分なうちに任意後見契約と併せて整備しておくことを強く推奨します。
Q10. ネット銀行は通帳がないので、家族はどうやって気付くのですか?
登録メールアドレスに届く取引通知メール、確定申告関連書類、クレジットカード明細、郵便物、スマートフォンの金融アプリ、パスワード管理アプリ、家計簿アプリ等が手がかりになります。発見漏れを防ぐためにも、財産目録への明記が重要です。
Q11. 死後事務委任契約と遺言書はどう使い分けますか?
遺言書は「相続財産の分配」を、死後事務委任契約は「葬儀・納骨・解約等の事務」を扱います。性質が異なるため、両方を併用するケースが多いです。
Q12. 行政書士と司法書士・弁護士・税理士の役割の違いは?
行政書士は遺言書(原案)・財産目録・任意後見契約書(公正証書)原案・死後事務委任契約書等の書類作成を担当します。相続登記は司法書士、相続放棄・遺産分割調停・訴訟代理は弁護士、成年後見申立書類作成・申立代理は司法書士・弁護士、相続税申告は税理士の業務範囲です。当事務所は各士業との連携体制を整えています。
Q13. 民法968条2項の自筆証書遺言の財産目録自署不要は何年に施行されましたか?
平成30年法律第72号(民法の一部を改正する法律)による改正により、2019年1月13日施行されました。財産目録(附属書類)の自署が不要となり、パソコン作成・通帳コピー添付が可能となりましたが、各ページに署名・押印が必要(民法968条2項後段)です。
Q14. 法務局自筆証書遺言書保管制度の根拠法令と保管手数料は?
平成30年法律第73号「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が2020年7月10日施行されました。主な手数料は保管申請3,900円・遺言書情報証明書交付1,400円・遺言書保管事実証明書交付800円です。
Q15. 任意後見契約の3類型(将来型・移行型・即効型)はどう違いますか?
(1)将来型:判断能力が現在十分にある段階で締結し、低下時に発効、(2)移行型:任意代理(財産管理委任)契約と同時締結し、判断能力低下まで任意代理で対応、低下後に任意後見へ移行、(3)即効型:判断能力が軽度低下している段階で締結し、即時発効、の3類型があります。任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号)に基づき、いずれも公正証書による契約が必須です。
終活・財産目録・デジタル遺品整理のご相談はお気軽に
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まとめ
終活における財産目録は、ご家族が相続手続きで迷わないための「地図」です。不動産・預貯金・有価証券・保険・年金・負債・動産といった伝統的な財産に加え、暗号資産・ネット銀行・オンライン証券など財産性のあるデジタル資産と、SNS・サブスク・クラウド・メール・スマートフォンなどのデジタル遺品・死後事務対象を区別して整理することが、現代の終活では重要です。財産目録は、遺言書に添付する法的な財産目録と家族向けの附属メモを使い分け、秘密情報は封印封筒等で別管理し、年1回の見直しを習慣化しましょう。判断能力低下に備える任意後見契約や、独居の方の死後事務委任契約と組み合わせることで、より安心な備えとなります。なお、相続登記は司法書士、相続放棄・調停・訴訟代理は弁護士、成年後見申立書類は司法書士・弁護士、相続税申告は税理士の業務範囲です。当事務所は書類作成と各士業との連携窓口として、皆さまの終活を支えます。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


