結論から言えば、小規模事業者持続化補助金の審査では、様式2(経営計画兼補助事業計画①)で示す「自社の現状と強み」と、様式3(補助事業計画②)で示す「補助金をどう使い、いくらかかるか」との整合性が、採否を分ける重要な評価要素になります。当事務所は行政書士法人として、補助金申請に係る書類作成の専門家の立場から、要領の読み解きと様式の記載を支援します。記載例を交えて様式2・様式3の書き方を整理しますが、雇用関係助成金は社会保険労務士、税務処理は税理士の職域ですので、必要に応じて各士業と連携してご案内します。なお制度の数値は第20回公募(一般型・通常枠)の公募要領を前提とします。
目次
様式2・様式3とは何か(申請書類の全体像)
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の申請では、主に次の様式を提出します。様式2と様式3が「事業計画書」の中核で、審査の対象となる書類です。
| 様式 | 正式名称 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 様式1 | 申請書 | 申請者・宣誓事項等 |
| 様式2 | 経営計画書兼補助事業計画書① | 経営計画(自社の現状分析)と補助事業計画(取組内容) |
| 様式3 | 補助事業計画書② | 経費明細表・資金調達方法 |
| 様式4 | 事業支援計画書 | 商工会議所・商工会が交付する確認書類 |
様式4は事業者が自分で書く書類ではなく、地域の商工会議所または商工会に相談して交付を受けるものです。様式2・様式3を作り込んだうえで窓口に相談する流れが基本となります。第20回公募では様式4(事業支援計画書)発行の受付締切が2026年12月4日(金)、申請受付締切が同年12月15日(火)17時とされており、窓口交付に時間を要するため早めの着手が要点です。
様式2「経営計画」の書き方(4項目の記載例)
様式2の前半は「経営計画」です。次の4項目を、後半の補助事業計画につながる形で書きます。
- 1.企業概要…設立年・事業内容・代表者の経歴・人員体制・主力商品やサービスの売上構成を記載します。記載例:「当店は20XX年開業の洋菓子店。代表は製菓専門学校卒業後、都内ホテルで8年勤務。売上構成は店頭販売70%、卸20%、ネット10%」。
- 2.顧客ニーズと市場の動向…顧客が何を求めているか、競合や来店客数の増減など今後の市場見通しを記載します。記載例:「主要顧客は徒歩圏の30〜50代女性。手土産需要が安定する一方、近隣に競合2店が出店し新規来店が減少傾向」。
- 3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み…他社にない優位性を、口コミ・アンケート・リピート率など客観的な根拠とともに書きます。記載例:「国産小麦と地元果樹園の果実を使った焼き菓子。アンケートでリピート意向85%、贈答用の評価が高い」。
- 4.経営方針・目標と今後のプラン…1〜3を踏まえた方針と数値目標を書きます。記載例:「2年以内に新規来店客数20%増、客単価を1,800円から2,200円へ引き上げる」。
ポイントは、これら4項目が分断された自己紹介にならないことです。「強みがあるのに、市場の変化でこの課題が生じている。だから次のプランが必要」という因果でつなぐと、後半の補助事業計画の必然性が読み手に伝わります。
様式2「補助事業計画」の書き方
様式2の後半は「補助事業計画」です。補助金で実際に何をするかを具体的に書く部分で、おおむね次の構成です。
- 補助事業で行う事業名…30文字以内で端的に。記載例:「焼き菓子ギフトの新ブランド化とECサイト構築による販路開拓」。
- 販路開拓等(生産性向上)の取組内容…事業の概要、これまでの取組との違い、創意工夫した点、具体的な進め方を記載します。「いつ・何を・どう実施するか」をスケジュール感とともに書くと説得力が増します。
- 業務効率化(生産性向上)の取組内容…任意項目。販路開拓と併せて効率化に取り組む場合に記載します。
- 補助事業の効果…自社の売上増加見込みに加え、取引先・地域経済への波及効果を記載します。経営計画で立てた数値目標と整合させることが重要です。
審査では、経営計画で示した課題に対して補助事業が的確な打ち手になっているか(自社の強みを活かしているか、実現可能性があるか)が見られます。様式2前半と後半の一貫性が採択の分かれ目です。
様式3「経費明細表」の書き方
様式3は前半が「経費明細表」です。補助事業に必要な経費を区分ごとに記載します。経費区分は機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8種類です。特に第20回公募からは、広報費とウェブサイト関連費にそれぞれ補助金交付申請額の上限30万円(税込)が設けられ、いずれも単独では申請できず、他の経費区分と組み合わせる必要があります。最新の公募要領で対象範囲を必ず確認してください。記載のポイントは次のとおりです。
- 区分ごとに「内容・必要理由」「経費内訳(単価×数量)」を具体的に書きます。様式2の取組内容と一致させ、計上した経費が事業に不可欠であることを示します。
- 補助金申請額は、補助対象経費に補助率を乗じた額(1円未満切り捨て)と補助上限額を比較し、低い方が支給されます。一般型・通常枠の補助率は原則3分の2、基本の補助上限額は50万円です(インボイス特例・賃金引上げ特例の上乗せは後述)。
- 消費税の扱いは、課税事業者は「税抜」で計上し、免税事業者、簡易課税事業者および2割特例事業者は「税込」で計上するのが事務局の取扱いです。課税区分の選択を誤ると補助金申請額に影響するため、自社の区分が分からない場合は税理士にご確認ください。
- 交付決定前に発注・契約・支払をした経費は原則として補助対象外です。スケジュールには十分注意してください。
記載例(広報費):「内容・必要理由=新商品の認知拡大のためチラシを作成・配布。経費内訳=デザイン費5万円+印刷費(10円×5,000枚=5万円)=計10万円」。
様式3「資金調達方法」の書き方
様式3の後半は「資金調達方法」です。補助金は事業完了後に精算払い(後払い)されるのが原則のため、事業期間中は自己資金や融資で立替える必要があります。次の2つを記載します。
- 補助対象経費の調達一覧…自己資金、金融機関からの借入、その他をそれぞれ金額で記載し、補助対象経費の総額と一致させます。
- 「補助金」相当額の手当て方法…補助金が入金されるまでの間、その相当額をどう手当てするか(自己資金・借入等)を記載します。融資を予定する場合は金融機関名と借入予定額を書きます。
ここで経費明細表の総額と資金調達の合計が合わない、補助金の後払いを考慮していない、といった不整合は審査でマイナスに働きます。数字の整合性は最後に必ず突き合わせてください。
【第20回】特例・補助上限額と電子申請のポイント
一般型・通常枠の基本は補助上限50万円・補助率3分の2ですが、要件を満たすと上限が上乗せされます。
| 区分 | 上乗せ・効果 |
|---|---|
| 基本 | 上限50万円/補助率3分の2 |
| インボイス特例 | 上限+50万円 |
| 賃金引上げ特例 | 上限+150万円(赤字事業者は補助率4分の3に引上げ) |
| 両特例を満たす場合 | 最大250万円 |
賃金引上げ特例は、第20回公募から要件が見直され、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させることが要件です(第19回までの事業場内最低賃金+50円方式から変更されました)。申請は小規模事業者持続化補助金一般型・通常枠専用の電子申請システムで行い、事前に「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要です(第15回公募以降、Jグランツから切り替わっています)。発行に日数を要するため、これも早めの準備が要点です。第20回公募の申請受付は2026年11月5日(木)からで、要領は同年5月27日に公開されました。各回で要件・様式が更新されるため、必ず最新の公募要領をご確認ください。
持続化補助金の様式2・様式3作成を行政書士に依頼するメリット
行政書士法人Treeでは、補助金申請に係る書類作成の専門家として、様式2・様式3の作成支援を行っています。改正行政書士法(2026年1月1日施行)により、補助金申請書類の作成は行政書士の業務として明確化されました。当事務所では、経営計画のヒアリングから様式2・様式3の記載案作成、経費明細と資金調達の整合チェック、商工会議所・商工会窓口(様式4交付)への相談段取りまで、一貫してお手伝いします。雇用関係助成金は社会保険労務士、税務処理は税理士と連携し、ワンストップでご案内します。詳しくは補助金サポートのご案内をご覧ください。料金や進め方は案件ごとに異なりますので、個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
様式2は「自社の現状・強み・方針」と「補助事業の中身」を一貫した物語で書く書類、様式3は「いくら、何に使い、どう資金を手当てするか」を数字で裏づける書類です。両者の整合性こそが採択の決め手であり、交付決定前の発注は対象外、補助金は後払い、という二点を外さないことが実務上の要点です。数値や特例の要件は公募回ごとに変わるため、申請前には必ず最新の公募要領で裏取りをしてください。
持続化補助金の様式2・様式3に関するよくある質問
Q:様式2と様式3はどちらを先に作るべきですか。
A:様式2の経営計画・補助事業計画を先に固めるのが基本です。何に取り組むかが定まらないと、様式3の経費明細表に計上すべき費目や金額が決まらないためです。様式2で描いた取組と様式3の経費が一対一で対応しているかを最後に必ず確認してください。
Q:補助率や補助上限額はいくらですか。
A:一般型・通常枠は補助率3分の2、補助上限50万円が基本です。インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円(赤字事業者は補助率4分の3)、両方を満たすと最大250万円となります。詳細要件は最新の公募要領でご確認ください。
Q:補助対象経費は税抜と税込のどちらで書きますか。
A:経費明細表では、課税事業者は「税抜」で計上し、免税事業者、簡易課税事業者および2割特例事業者は「税込」で計上するのが事務局の取扱いです。課税区分の選択を誤ると補助金申請額に影響するため、自社の課税区分や簡易課税、2割特例の適用について判断に迷う場合は税理士にご確認ください。
Q:補助金が入る前に経費を払う必要がありますか。
A:補助金は事業完了後の精算払い(後払い)が原則です。事業期間中の支払は自己資金や融資で立替えるため、様式3の「資金調達方法」でその手当てを明記します。また交付決定前に発注・契約・支払をした経費は原則対象外となる点にもご注意ください。
Q:自分で書けば行政書士に頼む必要はないのでは。
A:ご自身での申請も可能です。一方で、審査項目に沿った構成や経費と資金の整合は専門性が問われる部分です。当事務所は書類作成の支援を行い、商工会議所・商工会窓口(様式4)への相談段取りまでお手伝いします。雇用や税務に関わる論点は社会保険労務士・税理士と連携してご案内します。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


