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福祉有償運送の登録と運営協議会|運転者要件・対価基準・実施主体

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結論から言えば、福祉有償運送は道路運送法第79条に基づく「自家用有償旅客運送」の登録制度で、NPO法人や社会福祉法人等が、単独でタクシー等を利用しづらい高齢者・障害者の方を会員として、自家用車(白ナンバー)で有償送迎を行う仕組みです。一般のタクシー(緑ナンバー)とは異なり営利を目的としない実費弁償の枠内で運営され、登録の前提として市町村が主宰する運営協議会での合意が欠かせません。行政書士は運輸支局への登録申請書類の作成・提出代理を担います。法人設立は司法書士、税務は税理士、会員とのトラブル対応は弁護士と、士業連携で進めるのが実務上は安全です。本記事では運営協議会・対価の考え方・セダン特区の経緯・運転者要件を、根拠条文とともに整理します。

福祉有償運送とは何か(道路運送法第79条)

道路運送法では、他人の需要に応じ有償で旅客を運送する事業は原則として国土交通大臣の許可(緑ナンバー)が必要です。ただし、バス・タクシーによる輸送が困難な場合に自家用車を用いて行う有償旅客運送について、同法第79条以下で「自家用有償旅客運送」の登録制度が設けられています。この制度は平成18年10月1日施行の改正道路運送法で創設されました。

自家用有償旅客運送は、令和2年11月の施行規則改正で市町村運営有償運送が廃止され、現在は交通空白地有償運送と福祉有償運送の2類型に区分され、福祉有償運送は移動制約者を会員として運送する類型です。登録を受けられる運送主体は、NPO法人、一般社団法人・一般財団法人、社会福祉法人、医療法人、認可地縁団体、農業協同組合、消費生活協同組合、商工会議所・商工会、労働者協同組合、営利を目的としない法人格を有しない社団等とされています。株式会社等の営利法人は福祉有償運送の実施主体にはなれない点に注意が必要です。

対象となる旅客(会員)の範囲

福祉有償運送の旅客は、他人の介助によらずに移動することが困難で、かつ単独でタクシー等の公共交通機関を利用することが困難な方のうち、あらかじめ運送主体に会員登録した方とその付添人に限られます。おおむね次のいずれかに該当する方が対象です。

  • 身体障害者福祉法上の身体障害者
  • 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けた方
  • 同条第2項に規定する要支援認定を受けた方
  • 介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に規定される基本チェックリスト該当者
  • その他、肢体不自由・内部障害・知的障害・精神障害等により単独での移動が困難な方

誰でも乗せられる「乗合・流し」ではなく、会員制・事前登録・ドア・ツー・ドアが基本である点が、タクシーとの決定的な違いです。

運営協議会の役割と協議事項

福祉有償運送の登録を受けるには、運送しようとする区域を管轄する市町村(または都道府県)が主宰する「運営協議会」での協議が調っていることが前提となります。運営協議会には、自治体、地域の交通事業者(タクシー・バス)、住民・利用者代表、福祉関係者等が参加し、地域の輸送資源全体を見渡したうえで福祉有償運送の必要性を判断します。

運営協議会で協議される主な事項は次のとおりです。

  • 当該地域における福祉輸送の必要性(タクシー等で充足できているか)
  • 運送の区域(発地・着地のいずれかが区域内であること等)
  • 旅客から収受する対価(料金)の額と算定方法
  • 運行管理・整備管理・事故時の対応体制
  • 使用車両や運転者の確保状況

運営協議会は通年開催ではなく、年数回(例:6月・9月・12月・3月の年4回など)に限られることが多く、受付締切も開催のおおむね1〜2か月前に設定される例があります。協議が調った後、運輸支局(地方運輸局)へ登録申請を行う流れです。

対価(料金)の基準と考え方

福祉有償運送は営利を目的としないため、収受できる対価は「実費の範囲内」であり、運営協議会の合意を得た額に限られます。タクシーのような認可運賃ではなく、運営協議会での協議を経て地域ごとに設定されます。

対価は、移動に対する対価(運送の対価)と、迎車・待機・介助等のその他の対価とに分けて設定するのが一般的です。運送の対価については、国土交通省の通達・処理方針上、地域のタクシー運賃を勘案してこれを下回る妥当な範囲であり、かつ実費の範囲内であることが求められます。実務上は、地域のタクシー運賃のおおむね2分の1(半額)程度を目安とする運用が広く用いられています(地域特性等を勘案して運営協議会が判断)。最終的に有効な金額は運営協議会で合意された額であり、本記事の数値は目安です。

対価の区分 内容の例
運送の対価 距離制・時間制等。地域のタクシー運賃を基準に営利とならない水準で設定
その他の対価 迎車回送料、待機料、介助料、乗降介助・付添等の費用

使用できる車両とセダン特区の経緯

福祉有償運送で使用できる車両は、運営協議会での協議を経て登録された自家用自動車です。車両は構造により次のように区分されます。

  • 福祉自動車:寝台車、車いす車、兼用車、回転シート車(スロープ・リフト・回転シート等を備えた車両)
  • セダン等:上記以外の一般的な乗用車(いわゆるセダン型車両)

制度創設前後の時期には、回転シート等を備えない一般のセダン型車両の使用は、構造改革特区(いわゆる「セダン特区」)の認定を受けた地域に限って認められていました。その後、特区での運用実績を踏まえて規制が全国展開され、現在はセダン型車両であっても、後述の「セダン等運転者講習」の修了など一定の運転者要件を満たすことを条件に全国で使用できます。したがって、これから始める場合に改めて特区の認定を取得する必要はなく、運営協議会での協議と運転者要件の充足が実務上のポイントです。

運転者の要件

運転者には、車両の種類に応じて運転免許と講習修了の要件が課されます。基本は次のとおりです。

  • 普通第二種運転免許を保有し、その効力が停止されていない者
  • または、普通第一種運転免許を保有し、国土交通大臣が認定する講習(福祉有償運送運転者講習、ケア輸送サービス従事者研修等)を修了した者

さらに、回転シート等を備えないセダン型車両を運転する場合は、上記に加えてセダン等運転者講習の修了、または介護福祉士・訪問介護員(ホームヘルパー)等の福祉資格を有すること等が求められます。補助設備がない分、安全な乗降介助・移乗の技能を担保する趣旨です。免許の効力停止中の者を運転に従事させることはできません。

登録の有効期間と更新

福祉有償運送の登録には有効期間があり、新規登録は原則2年です。更新登録は、一定の法令違反や輸送の安全確保命令その他の行政処分を受けていないなどの要件を満たす場合に3年とされ、それ以外は2年です。継続する場合は期間内に更新登録の手続きが必要で、更新時にも運営協議会での協議が前提となるため、開催スケジュールを見越して早めに準備を進めてください。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、運送業許可・自家用有償旅客運送の分野で、運輸支局(地方運輸局)への登録申請書類の作成・提出代理をはじめ、運営協議会への提出資料の整備、車両・運転者要件の確認、対価設定の整理まで一貫してサポートいたします。福祉有償運送に加え、一般貨物自動車運送事業・介護タクシー・貸切バス等の許可、車庫証明・名義変更などの自動車登録手続きも当事務所の業務範囲です。運輸局・地方運輸局の最新基準を確認のうえ対応します。詳しくは車両・運送業務のページをご覧ください。

料金の目安は、車庫証明が5,500円(税込)〜、名義変更が7,000円(税込)〜です(個人・法人や地域により変動します)。福祉有償運送の登録申請をはじめとする運送業関係の手続きは、事案の規模・車両台数・運営協議会の状況により異なるため、お見積りのうえご提示します。法人設立は司法書士、税務は税理士、紛争性のある案件は弁護士と連携してご案内します。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

福祉有償運送は、道路運送法第79条に基づく自家用有償旅客運送の一類型で、平成18年10月1日施行の制度です。登録の前提として市町村が主宰する運営協議会での合意が必要で、対価は実費の範囲内で、タクシー運賃のおおむね半額(2分の1)を目安として運営協議会が判断します。かつてセダン型車両は構造改革特区(セダン特区)でのみ認められていましたが、現在は全国で、セダン等運転者講習の修了等を条件に使用できます。運転者は二種免許または一種免許+認定講習が必要で、登録の有効期間は新規2年・更新は要件を満たせば3年です。運営協議会の開催スケジュールが手続きの鍵を握るため、計画的な準備をおすすめします。

福祉有償運送に関するよくある質問

Q:株式会社でも福祉有償運送の登録はできますか。

A:できません。福祉有償運送の運送主体は、NPO法人、社会福祉法人、一般社団・財団法人、医療法人、認可地縁団体、農協・生協、商工会議所・商工会、労働者協同組合、営利を目的としない法人格を有しない社団等に限られます。営利法人である株式会社は実施主体になれないため、法人形態の検討段階から、必要に応じて司法書士と連携してご相談ください。

Q:普通免許(第一種)しか持っていなくても運転者になれますか。

A:可能な場合があります。普通第二種免許がなくても、普通第一種免許を保有し、過去2年以内に免許停止処分を受けておらず、国土交通大臣が認定する講習(福祉有償運送運転者講習等)を修了すれば運転者になれます。さらにセダン型車両を運転する場合は、セダン等運転者講習の修了や介護福祉士等の福祉資格が必要です。免許の効力が停止されている間は運転に従事できません。

Q:料金はタクシーと同じくらいに設定してよいですか。

A:いいえ。福祉有償運送は営利を目的としない実費弁償の枠内で運営するため、運送の対価は地域に適用されるタクシー運賃のおおむね半額(2分の1)を目安に、運営協議会の合意を得た額とするのが一般的です。最終的に有効な金額は運営協議会での協議で決まりますので、設定前に必ず協議を経てください。

Q:運営協議会はいつでも申し込めますか。

A:自治体によりますが、運営協議会は年数回の開催にとどまることが多く、開催のおおむね1〜2か月前までに受付を締め切る例があります。協議が調って初めて運輸支局へ登録申請ができるため、開催日程から逆算した準備が重要です。具体的な日程は運送区域を管轄する市町村にご確認ください。

Q:今からセダン型車両で始めるには特区の認定が必要ですか。

A:必要ありません。かつてセダン型車両は構造改革特区(セダン特区)で限定的に認められていましたが、現在は規制が全国展開され、セダン等運転者講習の修了等の運転者要件を満たせば、特区認定なしに全国で使用できます。実務上は運営協議会での協議と運転者要件の充足が要点になります。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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