結論から言えば、特定技能外国人を受け入れている企業(特定技能所属機関)は、雇用契約や支援計画に変更が生じたとき、あるいは受入れの継続が困難になったときに、その事由が生じた日から「14日以内」に出入国在留管理庁へ随時届出を行う義務があります。年1回まとめて行う定期届出とは別物で、うっかり期限を過ぎると指導や受入れ停止、最悪は欠格事由につながりかねません。私たち行政書士は申請取次の専門家として、どの様式をいつ出すべきかの判断と書類作成・提出代行をお引き受けします。労務トラブルが絡む場面では社会保険労務士や弁護士と、給与計算や源泉徴収が論点になる場面では税理士と連携し、職域を越えずにワンストップで対応します。本記事では随時届出の全体像と「14日ルール」の実務を、根拠条文と公式様式に沿って整理します。
目次
随時届出とは何か(定期届出との違い)
特定技能所属機関の届出には、大きく分けて「定期届出」と「随時届出」の2種類があります。根拠はいずれも出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の18(平成31年4月1日施行)で、特定技能所属機関に課された届出義務です。
- 定期届出……一定期間の受入れ状況・支援実施状況・活動状況などを定期的にまとめて報告するもの。現在は対象期間(4月1日〜翌年3月31日)について翌年5月31日までに提出する年1回の運用に変更されています(定期届出の詳しい書き方・提出手順については関連記事をご参照ください)。
- 随時届出……雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、支援委託契約の変更、受入れ困難の発生など、特定の「事由」が生じたつど個別に提出するもの。原則として事由が生じた日から14日以内が期限です。
定期届出が「決まった時期にまとめて」なのに対し、随時届出は「出来事が起きたらその都度」という性格の違いがあります。一つの事実から複数の届出事由が生じることもあるため、契約終了、受入れ困難、支援計画変更、支援委託契約変更などの各該当性を確認し、必要な届出をそれぞれ判断する必要があります。届出先は管轄の地方出入国在留管理局で、電子届出システムによるオンライン提出も可能です。
14日ルールの起算点と期限の数え方
随時届出の最大のポイントが「14日以内」という期限です。入管法第19条の18第1項は、各号に定める事由が生じた日から14日以内に、その旨と法務省令で定める事項を記載した書面を地方出入国在留管理局に提出しなければならないと定めています。
起算点は原則として「事由が生じた日」です。たとえば雇用契約を変更した日、契約が終了した日、支援計画を変更した日などがこれにあたります。14日は決して長い猶予ではありません。社内で事由の発生を把握してから様式を作成し、添付書類をそろえて提出するまでを2週間以内に完結させる必要があるため、発生段階で早めに準備を始めることが肝心です。期限を過ぎたり虚偽の届出をしたりすると、後述のとおり罰則や受入れ停止のリスクが生じます。
契約変更・終了の届出(参考様式第3-1号系統)
特定技能雇用契約について変更・終了・新たな締結があった場合の届出です。入管法第19条の18第1項第1号が根拠で、期限は事由が生じた日から14日以内です。届出が必要となる主な場面は次のとおりです。
- 特定技能雇用契約を変更したとき(法務省令で定める軽微な変更を除く)
- 特定技能雇用契約が終了したとき
- 新たな特定技能雇用契約を締結したとき
使用する公式様式は、契約変更時が「参考様式第3-1-1号」、契約の終了や新たな締結時が「参考様式第3-1-2号」です。複数の対象者や届出事由がある場合は別紙を用います。賃金や業務内容など契約条件の見直しは随時届出の対象になりやすい一方、「軽微な変更」は除かれるため、どの変更が届出対象にあたるかの線引きには注意が必要です。なお、契約条件そのものが労働法令に適合しているかという論点は社会保険労務士・弁護士の領分であり、私たちは届出手続の適正という観点からお手伝いします。
支援計画・支援委託契約の変更等の届出(参考様式第3-2号・第3-3-1号・第3-3-2号)
1号特定技能外国人支援計画を変更した場合(軽微な変更を除く)も、変更日から14日以内の届出が必要です。使用する様式は「参考様式第3-2号」です。事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保・生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、定期的な面談など、支援計画の内容に変更が生じたときが対象になります。
また、支援の全部または一部を登録支援機関へ委託している場合、その支援委託契約の変更・終了・新規締結があったときも届出が必要です。様式は「参考様式第3-3号」系統を用います。登録支援機関を切り替える、委託範囲を変えるといった場面では、支援計画変更の届出とあわせて検討することになります。どの様式をどの順序で出すかは個別事情によって変わるため、変更を決める前の段階でご相談いただくとスムーズです。
受入れ困難・基準不適合・支援計画の実施困難に係る届出
随時届出のなかでも特に重要なのが「受入れ困難に係る届出」です。様式は「参考様式第3-4号」、期限は事由が生じた日から14日以内です。次のような、受入れの継続が困難になる事態が生じたときに提出します。
- 経営上の都合や倒産などにより特定技能外国人の受入れ継続が難しくなったとき
- 特定技能外国人が行方不明となったとき
- 特定技能外国人の死亡、病気・けが、行方不明、帰国、経営上の都合その他の事情により、引き続き受け入れることが困難となったとき
受入れ困難の届出は、本人の在留や転職にも影響する重要な手続です。困難な事態を把握した場合は、転職支援その他の必要な対応とともに速やかに届出を行う必要があります。あわせて、特定技能雇用契約や支援計画が定められた基準に適合しなくなった場合は「基準不適合に係る届出」(参考様式第3-5号)の提出が必要です。また、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施が困難となる事由が生じた場合は「1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出」(参考様式第3-7号)を提出します。登録支援機関へ支援の全部を委託している場合でも、特定技能所属機関は支援の実施状況を把握し、必要な届出を行わなければなりません。
届出を怠った場合の罰則・不利益
届出義務に違反した場合の不利益は小さくありません。罰則は届出の種類によって異なり、特定技能雇用契約の変更・終了・新たな締結に関する届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合は30万円以下の罰金(法人にも科される両罰規定あり)の対象となります。一方、支援計画・支援委託契約の変更や受入れ困難・基準不適合に関する届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合は10万円以下の過料の対象です。さらに、こうした違反は受入れ機関の基準(欠格事由)に関わり、一定の場合には5年間特定技能所属機関になれない(新たな受入れができない)といった重大な不利益につながります。
出入国在留管理庁は、届出が適正に履行されていない場合には特定技能外国人を受け入れられなくなる旨を明示しています。「14日以内」という短い期限を守り、正確に届け出ることが、安定した受入れ体制を維持する前提になります。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士として、特定技能の随時届出(契約変更・支援計画変更・受入れ困難・基準不適合等)の要否判断、参考様式の作成、地方出入国在留管理局への提出代行までをワンストップでお引き受けします。届出と密接に関わる特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請(89,800円・税込)、在留期間更新許可申請(33,000円・税込)にも対応します。なお在留資格変更・在留期間更新の入管手数料は2025年4月1日改定により、窓口6,000円・オンライン5,500円となっています(旧4,000円)。万一不許可となった場合の無料再申請保証もご用意しています。労務管理や契約内容の適法性は社会保険労務士・弁護士、源泉徴収・給与計算は税理士と連携し、職域を越えない形で総合的に支援します。サービスの詳細は就労ビザ・特定技能サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。
特定技能外国人の受入れをご検討の企業様へ。行政書士法人Treeでは、在留資格の申請取次から支援計画の作成・各種届出までをサポートします。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
特定技能の随時届出は、入管法第19条の18に基づき、雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、支援委託契約の変更、受入れ困難、基準不適合などの事由が生じたつど、原則として事由が生じた日から14日以内に行う届出です。年1回の定期届出とは別物で、参考様式第3-1号系統から第3-5号のほか、自社支援で支援計画の実施が困難となった場合の参考様式第3-7号も、事由に応じた様式を正しく選んで提出する必要があります。期限を守らなければ、雇用契約関係の届出では30万円以下の罰金、支援計画・受入れ困難等の届出では10万円以下の過料に加え、5年間の欠格や受入れ停止といった重い不利益につながります。短い期限のなかで確実に手続を完了させるために、事由の発生段階での早めのご相談をおすすめします。
特定技能の随時届出に関するよくある質問
Q:随時届出の「14日」はいつから数えますか。
A:原則として「事由が生じた日」から起算して14日以内です。たとえば雇用契約を変更した日、契約が終了した日、支援計画を変更した日などが起算点になります。14日は休日も含めて進むため、事由を把握したらすぐに様式の準備に取りかかることをおすすめします。
Q:定期届出と随時届出は両方とも必要ですか。
A:はい、性格が異なる別々の届出です。定期届出は一定期間の受入れ・支援・活動状況を年1回まとめて報告するもの(対象期間4月1日〜翌年3月31日を翌年5月31日までに提出)、随時届出は契約変更などの事由が生じたつど14日以内に行うものです。どちらも特定技能所属機関の義務です。
Q:登録支援機関に支援を全部委託していれば、会社は届出をしなくてよいですか。
A:いいえ。特定技能雇用契約の変更・終了や、受入れ困難の発生といった随時届出は、原則として特定技能所属機関(受入れ企業)が義務を負います。支援委託契約自体の変更等の届出も会社側の手続です。委託していても会社の届出義務がなくなるわけではない点にご注意ください。
Q:届出をうっかり忘れていました。どうなりますか。
A:届出を怠った場合、届出の種類に応じて入管法上の罰則(雇用契約関係は30万円以下の罰金、支援計画・受入れ困難等は10万円以下の過料)の対象となり得るほか、受入れ機関の基準に関わって新たな受入れができなくなるなどの不利益が生じる可能性があります。気づいた時点で速やかに届出を行い、必要に応じて経緯を整理しておくことが大切です。判断に迷う場合は早めにご相談ください。
Q:オンラインで届出はできますか。
A:出入国在留管理庁の電子届出システムを利用すれば、オンラインでの提出が可能です。利用にあたっては事前の利用者登録が必要です。書面で管轄の地方出入国在留管理局へ提出する方法も引き続き利用できます。当事務所では、いずれの方法でも様式作成から提出までを代行いたします。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


