結論から言えば、運送業のGマーク(安全性優良事業所)は、公益社団法人全日本トラック協会が事業所(営業所)単位で安全性を評価し、一定の基準を満たした事業所を認定する制度で、2003年7月から運用されています。取得すれば違反点数の消去期間短縮やIT点呼の導入、行政・協会からの各種助成優遇といったメリットがある一方、申請には事業開始後3年の経過や車両5両以上といった要件があり、38の評価項目で100点満点中80点以上を確保する必要があります。行政書士は運送業許可(一般貨物・貸切バス・タクシー等)や車庫証明・登録の専門家として、Gマークに必要な運行管理・整備管理体制の書類整備をお手伝いできます。労働・社会保険関係の書類作成や手続は社会保険労務士の業務のため、提携社会保険労務士と連携します。審査・認定は全日本トラック協会の安全性評価委員会が行うため当所が合否を保証するものではありません。また、労務・社会保険は社会保険労務士、税務は税理士、登記は司法書士の職域ですので、必要に応じて各士業と連携して進めます。
目次
Gマーク(安全性優良事業所)とは
Gマークは、正式には「貨物自動車運送事業安全性評価事業」による安全性優良事業所の認定制度です。国土交通省が推奨し、実施主体は公益社団法人全日本トラック協会(全ト協)です。荷主や一般消費者がトラック運送事業者の安全性を判断しやすくするとともに、事業者の安全性向上への取り組みを促すことを目的として、2003年(平成15年)7月から開始されました。
Gマークは会社単位ではなく「営業所(事業所)単位」で認定される点が特徴です。同じ会社でも、認定を受けた営業所と受けていない営業所が併存し得ます。認定を受けた営業所は、緑地に白抜きの「G」を配した認定マークやステッカーを車両・封筒等に表示でき、対外的に安全性優良事業所であることをアピールできます。
認定事業所数は年々増加しており、全ト協の公表では、2025年12月時点で約2万9千事業所(全事業所の34%前後)が認定を受けています。
申請できる事業所の要件
新規にGマークを申請するには、営業所単位で次の要件を満たす必要があります。いずれも申請年度の受付基準日を基準に判断されます。
- 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の営業所であること(貨物軽自動車運送事業(軽トラック等)の営業所は対象外)
- 事業開始(運輸開始)後、申請する営業所として3年を経過していること
- 当該営業所に配置する事業用自動車の数が5両以上であること
- 過去に虚偽申請等の不正で申請の却下・評価の取消しを受けた場合は、当該却下・取消しに係る申請年度後の所定の経過期間(2事業年度)を満たしていること
申請書類は、各都道府県のトラック協会に置かれた「適正化事業実施機関」に提出し、全日本トラック協会の安全性評価委員会が審査します。
評価項目と配点(38項目・100点満点)
Gマークの評価は、3つのテーマ・合計38の評価項目で構成されます。各テーマに「配点」と「基準点数(クリアすべき最低点)」が設定されており、全テーマで基準点数以上を取り、かつ合計で100点満点中80点以上を得ることが認定要件です。
| 評価テーマ | 配点 | 基準点数 | 主な評価内容 |
|---|---|---|---|
| 安全性に対する法令の遵守状況 | 40点 | 32点 | 運行管理者・整備管理者の選任、点呼、運行記録、乗務時間管理、車両の点検整備などの巡回指導結果・遵守状況 |
| 事故や違反の状況 | 40点 | 21点 | 重大事故の有無、行政処分の状況など |
| 安全性に対する取組の積極性 | 20点 | 12点 | 安全方針の掲示、安全教育計画、事故防止会議、健康管理、荷主との連携など自主的な取り組み |
「法令遵守状況」は、適正化事業実施機関による巡回指導の結果が反映されるため、日頃から点呼記録簿・運転者台帳・整備記録等を適切に備え付けておくことが重要です。「取組の積極性」は自主的な安全対策の実施状況を書類で示す部分で、行政書士が体制整備の書類作成をお手伝いしやすい領域です。
認定の有効期間と更新の仕組み
Gマークの有効期間は、認定回数を重ねるごとに延びる仕組みになっています。継続的に安全水準を維持する事業所ほど更新の負担が軽くなる設計です。
- 新規認定:有効期間は2年間
- 1回目の更新:有効期間は3年間
- 2回目以降の更新:有効期間は4年間
更新を怠ると失効し、再取得の際は新規扱いとなります。更新申請には通常申請(A方式)と、前回の評価点数を引き継げる特例申請(B・C・E方式。D方式は2023年度に廃止)があり、方式に応じて挙証書類の提出が省略され申請が簡素化されます。更新事業所への加点措置はありません。更新時期は認定証・ステッカーに記載された有効期限で管理し、失効しないよう申請受付期間中に手続きを行ってください。なお、申請受付期間は例年7月頃に設定され、認定は翌年1月1日付で発効します。
Gマーク認定で受けられる主な優遇措置
国土交通省および全日本トラック協会は、認定事業所に対して次のようなインセンティブを設けています(内容は改定されることがあるため、最新の全ト協・運輸局の案内で確認してください)。
- 違反点数の消去期間短縮:付与された違反点数が、その後2年間新たな付与がなければ消去されます(通常は3年)。
- IT点呼の導入:カメラ付き機器等を用いた営業所間等でのIT点呼が可能になります。
- 点呼の優遇:2地点間を定時運行する形態での他営業所点呼や、同一敷地内のグループ企業間点呼が承認される場合があります。
- 安全性優良事業所表彰:連続10年以上の認定など、特に高い水準にある事業所が表彰の対象となります。
- 基準緩和自動車の有効期間延長:基準緩和自動車の認定有効期間が延長される取り扱いがあります。
- 特殊車両通行許可の有効期間延長:Gマーク認定に加え、業務支援用ETC2.0車載器の装着・登録および過去2年間に特殊車両通行許可違反による警告等がないことという要件を併せて満たす場合に、許可の有効期間が最長2年から4年間(超重量・超寸法車両は1年から2年間)に延長されます。
- 特定技能外国人の受入れ要件:特定技能「自動車運送業分野」のトラック区分では、受入れ企業は「働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度)」またはGマーク認定のいずれかの取得が必須です(バス・タクシー区分はGマークでの代替はできません)。
- 協会の助成優遇:都道府県トラック協会によるドライバー安全教育の受講料助成や、点呼機器・安全装置導入助成などで、認定事業所が優遇される場合があります。
取得までの流れ
おおまかな流れは次のとおりです。書類の作成・整備には一定の準備期間が必要ですので、受付期間から逆算して早めに着手することをおすすめします。
- 要件確認(事業開始3年・車両5両以上・対象事業か)
- 申請案内・様式の入手(都道府県トラック協会/適正化事業実施機関)
- 点呼記録・運転者台帳・整備記録・安全方針など評価に必要な書類の整備
- 受付期間中に適正化事業実施機関へ申請書類を提出
- 安全性評価委員会による審査
- 認定(翌年1月1日付発効)・認定証/ステッカーの交付
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、運送業(一般貨物自動車運送事業・貸切バス・タクシー・介護タクシー・福祉有償運送等)の許可申請に加え、車庫証明・名義変更・各種登録まで、車両と運送事業に関する手続を幅広くお手伝いしています。Gマーク取得に向けても、運行管理・整備管理体制の確認や、点呼記録・運転者台帳・安全方針など「取組の積極性」で評価される書類の整備をサポートします(Gマークの審査・認定は全日本トラック協会の安全性評価委員会が行うもので当所が合否を保証するものではありません。労務・社会保険は社会保険労務士、税務は税理士、登記は司法書士の職域のため、必要に応じて連携します)。
料金の目安は、車庫証明5,500円(税込)〜、名義変更7,000円(税込)〜です(個人・法人の別や地域により変動します)。運送業許可やGマーク取得支援などは事案により内容が異なるため、お見積りのうえご案内します。詳しくは車両・運送業サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
Gマーク(安全性優良事業所)は、全日本トラック協会が営業所単位で安全性を評価する認定制度で、事業開始3年・車両5両以上などの要件を満たしたうえで、38項目・100点満点中80点以上(各テーマの基準点数を含む)を確保することが必要です。有効期間は新規2年・初回更新3年・2回目以降4年と、更新を重ねるほど延びます。違反点数の消去期間短縮やIT点呼、特殊車両通行許可の有効期間延長など実務上のメリットも多く、荷主からの信頼獲得にもつながります。取得を検討される際は、要件確認と書類整備を早めに進めることが成功の近道です。
Gマークに関するよくある質問
Q:Gマークは会社単位で取得するのですか。
A:いいえ、営業所(事業所)単位です。同じ会社でも営業所ごとに申請・認定され、認定を受けた営業所と受けていない営業所が併存することがあります。複数営業所がある場合は、認定を受けたい営業所を管轄する適正化事業実施機関に申請します。
Q:申請にはどのような要件がありますか。
A:主な要件は、一般貨物・特定貨物自動車運送事業の営業所であること、事業開始(運輸開始)後3年を経過していること、当該営業所に配置する事業用自動車が5両以上あることです。貨物軽自動車運送事業(軽トラック等)の営業所は対象外です。
Q:認定に必要な点数はどのくらいですか。
A:3つの評価テーマ(法令遵守40点・基準32点、事故や違反40点・基準21点、取組の積極性20点・基準12点)で、各テーマの基準点数以上を取り、かつ合計100点満点中80点以上を得る必要があります。
Q:有効期間と更新について教えてください。
A:新規認定は2年間、1回目の更新は3年間、2回目以降の更新は4年間が有効期間です。期間内に更新しないと失効し、再取得は新規扱いになります。更新申請も受付期間中に行う必要があります。
Q:Gマークを取得すると具体的にどんなメリットがありますか。
A:違反点数の消去期間が3年から2年に短縮される、IT点呼が導入できる、特殊車両通行許可の有効期間が最長4年に延長される、協会の各種助成で優遇される、といったメリットがあります。荷主からの信頼獲得や入札での評価につながる面もあります。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


