公開日:2026年10月24日 / 制度・資料確認:2026年10月24日
『最初は1人だから個人で申請して、軌道に乗ったら会社にしよう』。介護タクシーの開業で考えやすい進め方ですが、個人で取った許可を、新しい会社がそのまま使えるわけではありません。将来の法人化も含めて、最初に誰の名義で申請するかを決めることが大切です。
福祉輸送限定の許可は個人でも法人でも検討できます。どちらが必ず有利、という答えではなく、車両・物件・口座の名義と、その後の運営計画が合う形を選びましょう。この記事は初回の申請主体の選び方に絞って整理します。
個人・法人のどちらで進めるか、開業計画をTreeに相談する →
まず比べるのは、税金より『誰が事業を営むか』
個人事業では申請者本人、法人では会社等が事業者になります。代表者が同じ人でも、個人と法人は別の主体です。この違いは申請書の名前だけでなく、預金、車両を使う権利、営業所・車庫の契約、役員の資料に及びます。
| 比べる項目 | 個人で申請 | 法人で申請 |
|---|---|---|
| 事業者の名義 | 本人 | 会社等 |
| 資金を示す資料 | 本人の資産・預貯金等 | 法人の決算・資金等 |
| 主体の添付資料 | 資産目録、戸籍抄本、履歴書等 | 定款、登記、決算書、役員資料等 |
| 契約の確認 | 本人が車両・施設を使えるか | 法人が車両・施設を使えるか |
| 管理体制 | 本人を含む計画に合わせて整備 | 専従する役員等も含め確認 |
| 後に法人化する場合 | 譲渡譲受等の事前確認が必要 | 現在の法人での計画変更等を確認 |
書類欄は関東運輸局の福祉輸送限定用手引を基にした概要です。法人が設立済みか設立予定かでも資料は変わります。どちらを選んでも、車両・営業所・車庫・運転者・資金など、許可に必要な要件を満たす準備は必要です。
個人で始めるなら、将来の予定もメモにする
申請主体が自分自身なので、本人の資産や契約を中心に資料を整理します。会社を設立する手続きが前提でない一方、個人名義で進めた契約を後から法人へ切り替える場合の確認は残ります。
最初の相談では、『当面は自分1人で運転する』『いずれ会社へ引き継ぎたい』『既存の介護事業も行いたい』など、今後の予定も伝えてください。予定が固まっていなくても構いません。法人化をすぐ考えているのか、まだ未定なのかで、契約前に確認したい条件が違ってきます。
なお、ここでいう個人による福祉輸送限定事業と、一般にいう『1人1車制の個人タクシー』は同じ申請区分ではありません。関東の福祉輸送限定用手引も、1人1車制個人タクシーを除く一般乗用の申請資料です。個人タクシー向けの経験年数等の情報を、そのまま自分の準備に当てはめないようにしましょう。
法人で始めるなら、会社の資料と役員の体制を先に確認
既にある会社で事業を追加する場合、関東の手引は、定款等、登記簿謄本、直近事業年度の貸借対照表、役員又は社員の名簿・履歴書などを求めています。申請資料は『社長本人の書類一式』だけでは終わりません。
また、関東の審査基準には法人の役員1名以上が専従する要件があります。会社だけ先に用意すればよいのではなく、誰が運営を担当するかも確認します。事業目的、契約名義、法人側の資金を併せて整理してください。設立する法人で始めたい場合は、設立予定の定款や出資等に関する資料の準備も必要です。
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『後から法人化』は、屋号変更と同じではない
福祉輸送限定の事業について、四国運輸局は事業の譲渡譲受の案内に『法人成りを含む』と明記しています。関東運輸局にも福祉輸送限定用の譲渡譲受認可申請書と審査基準があります。道路運送法第36条では、事業の譲渡譲受は国土交通大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされています。会社を設立しただけで、個人名義の許可による営業を新会社へ引き継ぐことはできません。
必要な認可等と、車両・賃貸借・保険・資金の関係を、管轄支局に事前確認します。会社設立の日だけ先に決めると、許認可や契約の切替との間にずれが生じることがあります。『いつから会社の売上にするか』などの税務は税理士へ、会社設立・変更の登記は司法書士等へ、それぞれの業務範囲で確認してください。
既に個人で許可を持っている方は、許可後の運営・事業承継の確認点も参考になります。新規申請か承継かで、必要な準備を混ぜないことが大切です。
相談前に決めるのは、この三つから
- 初回申請の候補:本人、新設法人、既存法人のどれを考えているか。
- 既に契約したもの:車両、営業所、車庫、保険の名義と、変更できる条件。
- 開業後の計画:担当者・台数・将来の法人化や介護事業との関係。
税金が安くなるはず、会社の方が信用されるはず、といった一つの理由だけで決めず、必要な人・資金・契約を維持できるかで検討します。税負担は所得や経費、他事業の状況でも変わるため、この記事で個人・法人どちらが節税になるとは断定しません。
全体要件から確認したい方は介護タクシーの開業許可ガイドへ。訪問介護との併設も考えている場合は介護タクシーと訪問介護を併設する場合の手続きで、運送の許可と介護事業の指定を分けて確認してください。
個人・法人の選び方でよくある質問
- 1台で始めるなら、必ず個人で申請しますか?
- 必ず個人というわけではありません。福祉輸送限定では法人での開業も検討できます。運営計画、申請主体、車両・施設の契約、資金等を確認して選びます。
- 会社を作れば、個人の許可をそのまま使えますか?
- 会社を作っただけでは、個人名義の許可で会社が営業することはできません。個人と法人は別の事業主体で、事業の譲渡譲受には道路運送法第36条に基づく認可が必要です。契約・資金の切替も含め、引継ぎ前に管轄支局へ確認します。
- 新設会社でも相談できますか?
- できます。会社の設立予定、事業目的、出資、役員、車両・施設の確保状況などを伺い、設立準備と許可申請の順番を整理します。
- Treeに税金や会社登記もまとめて頼めますか?
- Treeへのご相談では許可申請の準備・提出等を中心にご案内します。税務や会社登記は、それぞれ税理士・司法書士等の専門家の業務範囲で確認します。
許可名義を決める段階から、相談できます
営業予定の都県、法人の設立状況、車両・営業所・車庫の確保状況を、分かる範囲でお知らせください。車両や物件がまだ決まっていなくても、「未定」のまま相談できます。契約を進める前に申請主体との名義のずれを確認し、個人開業・法人開業・事業承継のどの準備が必要かを整理します。
行政書士法人Treeでは、個人・法人どちらで開業するかも含め、申請計画と資料を整理します。個人開業プランは税込187,000円(税抜170,000円)から、既存法人の新規許可は税込242,000円(税抜220,000円)から。登録免許税30,000円、車両・賃料・保険、会社設立等の実費は別途です。設立や承継が関係する場合も、必要な対応と見積範囲を先にご案内します。
参照した公式案内
情報確認日:2026年10月24日。初回申請の資料・役員要件は関東の資料を基に説明しています。法人成り等の個別手続きは、営業所を管轄する運輸支局へ事前確認してください。
- e-Gov法令検索:道路運送法(第36条・事業の譲渡譲受)
- 関東運輸局:福祉輸送限定用手引(PDF1頁・対象、4頁・個人/既存法人/設立予定法人の資料)
- 関東運輸局:許可申請の審査基準(9・法人役員の専従)
- 四国運輸局:事業の譲渡譲受(法人成りを含む)の案内
- 関東運輸局:認可基準・福祉輸送限定の譲渡譲受様式
本記事は2026年10月24日現在の道路運送法等の法令・制度と関東運輸局等の公表資料に基づき、細心の注意を払って作成しています。一般的な情報提供であり、個別案件に対する法的助言や許可取得の保証ではありません。営業地域・車両・事業計画に応じた取扱いは、管轄窓口または行政書士法人Treeへご確認ください。