初公開:2026年4月28日 / 制度・料金確認・内容更新:2026年10月15日
「介護タクシーを始めたい。でも、車を買うのが先なのか、免許や物件を決めるのが先なのか分からない」。開業準備で止まりやすいのは、書類の書き方よりも、この順序です。
東京・埼玉・神奈川・千葉で福祉輸送限定の介護タクシーを始める場合、個人・法人とも1両から許可申請を検討できます。ただし、二種免許、使える営業所と車庫、車両、資金、安全管理の条件を一緒に整える必要があります。行政書士法人Treeが、契約前に確かめたい点から整理します。
車や物件を決める前に、開業の条件を確認しませんか
開業予定の市区町村、個人・法人の予定、二種免許の有無をお知らせください。車両・営業所・開業時期が未確定でも相談できます。
介護タクシーの許可で、誰をどこへ運べますか?
ここで扱うのは、道路運送法4条の一般乗用旅客自動車運送事業に「福祉輸送サービスに限る」という条件を付した許可です。誰でも乗れる一般タクシーとは輸送対象が異なります。
対象は、身体障害者手帳の交付を受けた方、要介護認定・要支援認定を受けた方、それら以外でも障害等により単独での移動と公共交通機関の利用が困難な方、消防機関等を介して患者等搬送サービスを受ける患者、およびその付添人です。高齢であることだけを理由に、すべての人を対象にできるわけではありません。
関東の福祉輸送限定の営業区域は原則として都県単位。県境の隣接地域を含める扱い等は審査基準で確認します。道路運送法20条では、原則として出発地・到着地の両方が営業区域外になる運送は禁止されています。たとえば東京都を営業区域とする事業で、東京から神奈川へ送る運行と、神奈川から埼玉へ送る運行は同じ扱いではありません。
また、訪問介護等と組み合わせる事業や、非営利主体等による福祉有償運送は別の制度です。名前が似ていても、申請先・利用者・契約関係が変わります。違いは福祉有償運送の登録と介護タクシーの違いで整理しています。
開業前に何をそろえる?関東の6つの確認事項
運転する人と、使う車の組み合わせ
4条許可の介護タクシーを運転する方には、使用車両に対応する二種免許が必要です。介護資格があることと、有償の旅客運送を運転できることは別問題。運転を雇用する方に任せる場合も、必要な運転者を確保する計画を立てます。
リフト・スロープ・回転シート等を備えた福祉自動車と、それ以外のセダン型等の一般車両では、乗務する方の資格・研修の扱いが異なります。国の通達や関東の手引きはケア輸送サービス従事者研修等を挙げる一方、関東の審査基準別紙には介護福祉士・訪問介護員・居宅介護従業者等の記載があります。保有する証明書と車両仕様を示し、適用を事前に確認してください。
福祉車両だから介助の準備が不要という意味でもありません。安全に乗降・固定・介助できるかを、想定する利用者と車両の仕様に照らして検討します。購入の判断軸は介護タクシーの福祉車両比較をご覧ください。
営業所・休憩施設・車庫
関東の審査基準では、営業所は営業区域内に置き、土地・建物の使用権原は原則1年以上。都市計画法・建築基準法等に抵触せず、事業に必要な規模を備えることが必要です。自宅や借家を候補にするなら、事業利用の可否まで契約書・管理規約等で確かめます。
車庫は営業所への併設が原則。併設できない場合は、原則として営業所から直線2km以内で管理できることが求められます。基準上、遠隔点呼を行う車庫の扱いは別に定められていますが、単に電話がつながるだけで距離制限が外れるわけではありません。
車庫の使用権原も原則1年以上です。すべての計画車両を収容でき、点検・清掃等ができる広さ、出入口、前面道路との関係を確認します。私道から出入りする場合は原則として通行の承認も必要。月額の安さだけで駐車場を契約すると、あとで使用できないと分かるおそれがあります。
自己資金・保険・管理体制
自己資金は「車が買える金額」だけで決まりません。関東では、所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上を申請日以降常時確保する基準です。二つのうち好きな方を選べるのではなく、両方を満たします。
車両・物件の支払方法によって計算が変わり、備品、運転資金、保険料・租税公課等も対象になります。残高の確認も「必ず2回で終わり」ではなく、申請時と処分までの適宜の時点の残高証明書等で行われます。見せる日のためだけに残高を増やす計画は避けましょう。
計画車両すべてについて事業内容に合う任意保険・共済への加入計画を用意し、運行管理、点検、事故・苦情対応の責任者と手順も整理します。法人の場合は、専従する役員を1名以上置く基準があります。1台・1人でも安全管理そのものが免除されるわけではありません。
必要書類は、どの資料から集めると進めやすいですか?
申請書だけ先に埋めるより、「誰が・どこで・何を使い・いくらで始めるか」を証明する資料からそろえると、計画の食い違いを見つけやすくなります。関東運輸局の福祉輸送限定用の手引きを基に、個人・法人、車両の取得方法等で必要な添付を選びます。
| 資料のまとまり | 確認する内容 |
|---|---|
| 申請者・運転者 | 住民票や法人の登記事項証明書・定款、免許・資格等 |
| 営業所・車庫 | 所有・賃貸等の権原、位置図・平面図、出入口や前面道路 |
| 車両 | 見積書・売渡承諾書・契約書等、車両諸元、取得済みなら車検証情報 |
| 事業と資金 | 事業計画、所要資金・収支、残高証明書等、管理運営体制 |
新車が未納車だから申請の検討を始められない、ということではありません。手引きには、購入予定車について見積書等で準備する扱いもあります。ただし、購入・リースの条件と、実際の仕様・資金計算を一致させることが前提です。
相談時の記入例:「八王子市で個人開業を予定。二種免許は取得済み。自宅1室と近隣の月極駐車場を検討中。スロープ車の見積あり。介護保険は使わず自費から開始したい」。この程度のメモでも、次に調べる資料を具体化できます。住所や車種が未定なら、その旨をそのまま記載してください。
物件・車・資金の計画を、申請前に一緒に整理します
✔ 使用できる営業所・車庫かを資料で確認
✔ 車両の取得方法に合わせて必要書類を整理
✔ 許可と運賃・登録の手続を一つの工程にまとめる
申請から営業開始までは、どう進みますか?
基本は、要件確認、計画と添付資料の作成、営業所所在地を管轄する運輸支局への申請、審査・補正、許可、その後の開始準備という順序です。東京・埼玉・神奈川・千葉はいずれも関東運輸局管内ですが、提出先は営業所所在地で確認します。
関東の細部取扱い12(1)は福祉輸送サービスに限定する事業の法令試験を省略できるとしています。「関東なら申請内容にかかわらず一切試験がない」と広げて理解しないでください。
公式の標準処理期間は2か月です。これは開業準備を思い立ってから営業できる日までの総期間ではありません。資料収集、契約の調整、補正に要する期間、車の納期、登録・運賃等の手続は別に見込みます。一律に「必ず2か月」「実務は必ず4〜5か月」とは決められません。
運賃認可は必ず許可後に着手するものでもありません。関東では福祉輸送限定の経営許可と運賃認可を同時に申請する処理方法が示されています。認可等が必要な運賃・料金、事業用車両の手続、保険、安全管理を整え、許可条件の開始期限も確認して営業を始めます。
運輸開始届は、実際に開始した後に遅滞なく提出するものです。先に届出を出せば、その時点から自由に営業できるという手続ではありません。継続運営は許可後の運行管理・変更・承継手続にまとめています。
介護保険対応や8ナンバーは、最初から必要ですか?
自費の福祉輸送から始めるなら、訪問介護事業所の指定を必ず同時に受けるわけではありません。介護保険の通院等乗降介助を扱う場合は、指定・人員配置・ケアプラン・報酬算定等を別に満たす必要があります。運送の許可を取ることと、介護保険の対象になることを分けて判断しましょう。
訪問介護員等の自家用車による運送に使う78条3号の許可も、すべての開業者に必須の「3点セット」ではありません。提供する仕組みから要否を判断します。併設の検討は介護タクシーと訪問介護を併設する場合の準備へ。
8ナンバーも介護タクシー許可と同義ではなく、車両構造・用途の区分です。回転シート車や一般車両を含め、すべての車を8ナンバーにする必要はありません。税金・保険が自動的に安くなるとも限らないため、購入前に仕様、登録区分、保険見積を確認します。
準備で遠回りしないために、避けたい3つのこと
第一は、要件確認前の取り消しにくい契約です。住宅として使える物件でも営業所に使えるとは限りません。車庫の寸法・私道・使用期間や、車両の仕様も確認してから判断します。
第二は、自己資金を預金残高だけで考えること。契約の頭金や車両代を支払ったあとも、審査基準を満たす資金を保てるかまで見込みます。第三は、営業開始日だけを先に約束することです。許可・運賃・登録・納車の工程をそろえ、補正や納期の変動を吸収できる計画にしましょう。
よくある質問
Q. 個人・車1台でも介護タクシーを開業できますか?
関東運輸局の福祉輸送限定では1両から申請でき、個人でも法人でも開業を検討できます。ただし、運転者、営業所・車庫、使用する車両、資金、安全管理などの要件は必要です。1両なら無条件で許可されるという意味ではありません。
Q. 関東では法令試験を受けなくてよいのですか?
関東運輸局の許可審査基準の細部取扱い12(1)は、福祉輸送サービスに限定する事業について法令試験を省略できるとしています。全国一律の免除ではなく、法令を守る義務もなくなりません。一般タクシーへの限定解除など、別の手続では試験の扱いを確認します。
Q. セダン型の一般車両でも申請できますか?
福祉自動車以外のセダン型等でも、乗務する方の資格・研修などの条件を満たせば検討できます。国の通達・関東の手引きと審査基準別紙の資格の記載を確認し、保有する修了証等が対象になるかを管轄運輸支局に事前確認してください。二種免許だけで一般車両を使えると判断しないことが大切です。
Q. 自宅の部屋と駐車場を使うことはできますか?
自宅でも、事業に使用できる権原、関係法令への適合、事務・休憩施設の確保、車庫の収容力や出入口などを満たせば候補になります。関東では営業所・車庫等の使用権原は原則1年以上です。住宅の賃貸契約や管理規約で事業利用が認められるかも確認します。
Q. 個人で始めた後に法人へ事業を引き継げますか?
法人化しただけで個人名義の許可をそのまま使うことはできませんが、道路運送法36条の譲渡譲受認可によって法人へ事業を承継する方法があります。法人側の要件審査、車両・物件契約の名義整理等が必要です。「法人化は必ず新規許可しかない」とは限りません。
Q. 許可が出ればすぐに営業を始められますか?
許可だけでは足りません。運賃・料金の手続、事業用車両の手続、保険、安全管理体制などを整えてから開始します。関東の許可条件では許可日から6か月以内の開始が示されています。運輸開始届は開始前の営業許可ではなく、実際に開始した後、遅滞なく行う届出です。
開業費用と、Treeに依頼できること
Treeでは、営業所・車庫・車両等の資料を確認し、事業計画・申請書類の作成と提出をサポートします。ご自身で取得する免許、車両の販売・架装、会社の登記、税務・社会保険等は、それぞれの担当・専門家の領域と分けてご案内します。
| 新規開業の申請サポート | Treeの報酬 |
|---|---|
| 個人開業 | 187,000円〜(税込/税抜170,000円〜) |
| 既存法人での開業 | 242,000円〜(税込/税抜220,000円〜) |
登録免許税30,000円、車両代、保険料、証明書取得費などの実費は別途です。申請の範囲・追加手続と総額をお見積もりで確認してからご依頼いただけます。不許可の場合は無料で再申請し、再申請でも不許可なら当法人の報酬を返金します。実費は返金対象外です。
確認に使った公式資料
- 関東運輸局:法人タクシー事業の許可申請の審査基準(福祉輸送限定を含む)
- 関東運輸局:許可申請の審査基準に係る細部取扱い
- 関東運輸局:経営許可申請書作成の手引き(福祉輸送限定・5両未満)
- 関東運輸局:介護タクシー事業の経営許可までの流れ
- 関東運輸局:認可申請等の審査基準に係る細部取扱い
- 関東運輸局:福祉輸送限定の経営許可・運賃認可の処理方法
- e-Gov:道路運送法
- 行政書士法人Tree:料金一覧
※ 2026年10月15日時点の法令・公式資料を確認し、細心の注意を払って作成した一般的な情報です。本記事の主な対象は東京・埼玉・神奈川・千葉を含む関東運輸局管内の福祉輸送限定です。地域、車両、許可条件、提供する介護サービスによって必要な確認が異なります。個別の許可・認可の可否や税務判断を保証するものではありません。個別案件への法的助言や許可・登録・指定を保証するものではありません。