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介護タクシーと訪問介護の併設|通院等乗降介助の要件・許可・運賃認可フロー

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結論から言えば、介護タクシー(道路運送法第4条の一般乗用旅客自動車運送事業・福祉輸送事業限定)と訪問介護(介護保険法に基づく居宅サービス)を一つの事業所で併設すると、利用者から見て「運賃は自費・乗降介助は介護保険」という二層構造のサービスを一体提供でき、事業者は運賃収入と介護報酬の双方を得られます。ただし、運輸局の運送事業許可・運賃認可と、介護保険の事業者指定・体制届という二系統の手続きを同時に満たす必要があり、入口を誤ると算定不能や返戻の原因になります。行政書士は運送事業許可・運賃認可・自家用有償運送(78条許可)といった許認可面を業務として担います。介護保険の指定申請や国保連請求の指導は社会保険労務士・自治体所管課の領域に及ぶため、当事務所は許認可を軸に、必要に応じて社労士・税理士と連携してご支援します。

介護タクシーと訪問介護「併設」の全体像

「介護タクシー」は俗称で、法令上の正式名称は道路運送法第4条に基づく「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」です。これは緑ナンバー(営業ナンバー)で旅客を有償運送する事業許可で、訪問介護の指定がなくても単独で開業できます。一方、訪問介護は介護保険法第41条等に基づく「指定居宅サービス」で、市町村・都道府県の指定を受けた事業者だけが介護報酬を算定できます。

両者を同一事業所で併設する目的は、利用者の通院移動を「車両運送(運賃部分)」と「乗降の身体介助(介護保険給付部分)」に分け、それぞれ適正な財源から賄うことにあります。併設の典型パターンは次の3つです。

  • 第4条許可+訪問介護指定:緑ナンバーの介護タクシー事業者が訪問介護の指定も受け、「通院等乗降介助」を算定する形。最も一般的。
  • 第78条3号許可(いわゆる「ぶら下がり許可」):第4条又は第43条の許可を受けた事業所との連携のもと、訪問介護等の指定事業者が自家用自動車で訪問介護員等による有償運送を行うための許可。介護サービスと連続・一体で行う輸送が前提。
  • 第79条登録(福祉有償運送):NPO等の非営利法人が運営協議会の合意を得て行う登録制の運送。

「通院等乗降介助」とは何か(介護保険給付部分)

訪問介護の基本報酬は「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3区分です。このうち通院等乗降介助は、訪問介護員等が自ら運転する車両への乗車・降車の介助、乗車前後の屋内外における移動の介助、通院先での受診手続や移動の介助などを一体的に行うサービスを指します。算定の取扱いは、留意事項通知(老企第36号 第2の2(7))に定められています。

単位数は令和6年度(2024年度)介護報酬改定で従来の99単位から97単位(1回あたり)に引き下げられ、令和8年(2026年)6月1日施行の臨時改定(介護職員等処遇改善加算の見直し)を経た現在も、この97単位が基本報酬です。回数は片道で1回と数え、往復なら2回(194単位)です。1単位の単価は地域区分により異なり、特定事業所加算・中山間地域等における提供加算・介護職員等処遇改善加算等の適用で変動するため、実際の金額は事業所所在地と算定状況で大きく異なります。

対象は要介護1〜5の方に限られ、要支援者は対象外です。なお病院内での介助(院内介助)は原則として院内スタッフが対応すべきものとされ、適切なケアマネジメントを通じて特段の必要性が確認された場合に例外的に算定できる取扱いです。

併設に必要な許認可①:運送事業の許可と運賃認可

緑ナンバーで運賃を収受するには、地方運輸局の許可が必要です。第4条許可(福祉輸送事業限定)の主な要件は次のとおりです。

  • 運行管理体制:営業所・休憩仮眠施設、車両の確保(福祉車両または乗務員が介護関係資格を保有)。
  • 運転者の資格:第二種運転免許の保有。福祉輸送に対応するため、介護職員初任者研修等の修了が求められる場合があります。
  • 運賃の認可:運賃は地方運輸局の認可運賃の範囲で設定します。距離制・時間制・定額制等から選択でき、自動認可運賃の範囲内であれば手続が簡素化されます。

運賃には、一般の介護タクシー運賃のほかに、訪問介護等の指定事業者が介護サービスと一体で運送を行う場合の福祉輸送限定の介護タクシーは、自動認可運賃表から「ケア運賃」を選択できます。一方、訪問介護等の指定事業者は「介護運賃」という区分も設定可能で、これは指定居宅サービス事業者等でなければ設定できない運賃メニューです。

併設に必要な許認可②:介護保険の事業者指定と体制届

通院等乗降介助を介護報酬として算定するには、訪問介護事業所としての指定(人員・設備・運営基準の充足)に加え、次の手当てが必要です。

  • 道路運送法上の許可または登録:通院等乗降介助は、第4条許可・第78条3号許可・第79条登録のいずれかを取得していなければ算定できません(無許可で運送を行うと算定不可かつ法令違反)。
  • 体制届(サービス提供体制等の届出):通院等乗降介助を算定する旨を指定権者に届け出る必要があります。
  • 運営規程の整備:通院等乗降介助の提供に合わせ、運営規程や重要事項説明書を見直します。
  • ケアプランへの位置づけ:居宅サービス計画(ケアプラン)に通院等乗降介助が位置づけられ、必要性が明確であることが算定の前提です。サービス担当者会議での合意も実務上重要です。

料金の二層構造と「二重取り」にならない線引き

併設サービスでは、利用者の支払いが次の二層に分かれます。

区分 財源 内容
運賃部分 利用者の自費(運賃) 車両での移動。地方運輸局認可の運賃で収受
乗降介助部分 介護保険(通院等乗降介助 97単位/1回) 乗降・移動・受診手続等の身体介助。利用者は1〜3割を負担

ここで注意すべきは、同一の役務に対して運賃と介護報酬を重複して収受しないことです。移動そのものは運賃で、乗降・移動・受診手続の介助は介護報酬で、という役割分担を明確にしておく必要があります。要介護4・5の方に対し、乗降介助の前後に連続して相当の所要時間(20〜30分程度以上)を要する手間のかかる身体介護を行う場合などは、通院等乗降介助ではなく身体介護中心型として算定する取扱いもあるため、留意事項通知に沿った適用関係の整理が欠かせません。

国保連への介護給付費請求の流れ

通院等乗降介助の介護保険給付分は、国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求します。基本的な流れは次のとおりです。

  • サービス提供:ケアプランに基づき通院等乗降介助を提供し、提供実績を記録。
  • 利用者負担の収受:利用者から1〜3割の自己負担分を収受。残りの7〜9割を給付として国保連へ請求します。
  • 請求期間:サービス提供月の翌月1日〜10日に、給付費明細(サービスコード・単位数・回数等を記載)を国保連へ伝送・提出します。10日が受付最終日です。
  • 審査・支払:国保連の審査を経て、原則として翌々月に給付費が支払われます。記載誤り等があると返戻となるため、サービスコードと体制届の整合が重要です。

運賃部分は介護保険給付ではないため国保連請求の対象外で、利用者から直接収受します。請求実務そのものは介護事業者・社労士の領域であり、行政書士は前段の許認可・運賃認可・運営規程整備の段階で適正な土台づくりを担います。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、介護タクシー(第4条許可・福祉輸送事業限定)の経営許可申請、運賃認可申請、訪問介護員等による自家用有償運送(第78条3号許可)の申請、福祉有償運送(第79条登録)の運営協議会対応、併設に伴う運営規程・約款の整備まで、運送事業の許認可を一貫してご支援します。介護保険の事業者指定申請や国保連請求の運用は社労士・自治体所管課の領域に及ぶため、必要に応じて社会保険労務士・税理士と連携し、許認可から開業後の体制づくりまで切れ目なくお手伝いします。

介護タクシー等の運送業許可・運賃認可・自家用有償運送許可は、車両台数・営業区域・事案により異なるため、車両・運送業許可のサポートのページからお問い合わせのうえ、お見積りをご案内します。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

介護タクシーと訪問介護の併設は、「運賃(自費)」と「通院等乗降介助(介護保険・1回97単位)」の二層構造を、運送事業許可と介護保険指定の二系統の手続きで支える仕組みです。算定には道路運送法上の許可・登録、体制届、ケアプランへの位置づけが必須で、運賃と介護報酬の役割分担を留意事項通知(老企第36号)に沿って整理することが返戻防止の鍵になります。許認可の入口設計を誤らないことが、安定した開業・運営の出発点です。許可取得後の運賃設定・変更申請や営業実務についても、当事務所が継続してサポートします。

介護タクシーと訪問介護の併設に関するよくある質問

Q:介護タクシー(第4条許可)だけで通院等乗降介助は算定できますか。

A:いいえ。通院等乗降介助は介護保険の訪問介護サービスなので、別途、訪問介護事業所としての指定と体制届が必要です。第4条許可は運賃を収受するための運送事業許可であり、それだけでは介護報酬は算定できません。両方を備えて初めて「運賃+乗降介助」の併設が成立します。

Q:通院等乗降介助は要支援の方にも提供できますか。

A:通院等乗降介助の対象は要介護1〜5の方に限られ、要支援1・2の方は対象外です。要支援の方の移動支援は介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)など別の枠組みで検討することになります。

Q:運賃と介護報酬の「二重取り」と指摘されないか心配です。

A:移動そのものは運賃、乗降・移動・受診手続の介助は介護報酬、と役割を明確に切り分けていれば二重取りには当たりません。同一の役務に二重に課金しないこと、留意事項通知に沿って身体介護との適用関係を整理することがポイントです。運営規程と料金表で線引きを明示しておくと安心です。

Q:白ナンバー(自家用車)で介護タクシーはできますか。

A:訪問介護等の指定事業者であれば、道路運送法第78条3号の許可(いわゆるぶら下がり許可)を取得し、訪問介護員等が介護サービスと連続・一体で行う輸送に限って自家用車での有償運送が可能です。一般の旅客運送として誰でも白ナンバーで運賃を取れるわけではない点に注意が必要です。

Q:併設の手続きはどれくらいの期間がかかりますか。

A:運送事業の許可・運賃認可と介護保険の指定では所管も標準処理期間も異なり、地域や事案により幅があります。運送許可は法令試験や審査の日程に左右され、介護保険指定は自治体ごとに申請締切が定められています。確定的な期間は事案ごとに変わるため、当事務所で所管の最新基準を確認のうえご案内します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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