初公開:2026年7月25日 / 制度・料金確認・内容更新:2026年10月15日
介護タクシーと訪問介護を併設しても、利用料金が全部1~3割負担になるわけではありません。車で運ぶ部分は運賃、介護保険の条件を満たす介助は介護報酬。この違いを、許可・指定の申請から料金表、サービス記録まで一貫させる必要があります。
「許可が出たのに介護保険の指定日が先だった」「指定は取れたが運送の準備が終わっていない」。こうした日程の食い違いを避けるには、二つの手続きを一枚の開業計画にまとめることが有効です。行政書士法人Treeが、併設の組合せと準備の順序、利用者への請求で混同しやすい点を整理します。
運送と介護、どちらから手を付けるか迷ったら
既存の訪問介護事業所に車両を追加したい方も、これから法人を作る方もご相談いただけます。Treeが現在の許可・指定と開業予定地から、必要な申請と準備の順序を確認します。
先に決めるのは「誰が、何を提供する事業か」
介護タクシーの新規開業では、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可と、訪問介護の指定を組み合わせる方法が基本になります。運送許可だけなら個人開業も可能ですが、通常の指定訪問介護は法人を申請主体として体制を整えます。運送を個人、介護を別法人で行うなど、申請主体が違う計画では、許可の名義や契約関係を含めた別の整理が必要です。
| いまの状態 | 併設へ向けた確認 |
|---|---|
| これから両方を始める | 法人、人員、営業所・車庫、指定申請の締切をまとめて検討 |
| 訪問介護指定を既に持っている | 定款目的、運送許可、車両・運転者、既存指定の変更届等を確認 |
| 個人で運送許可を持っている | 法人化と事業承継の手続、訪問介護指定、契約・資産の名義を確認 |
訪問介護の人員配置、資格、設備を詳しく確認したい場合は、介護保険・障害福祉指定の要件と請求準備をご覧ください。このページでは、二つの制度をどう組み合わせて開業へつなげるかに絞ります。
二つの申請を並行し、提供開始日を合わせる
最初に、同じ法人・同じ計画として整合させる
開業予定地、申請法人、提供する介護サービス、車両と運転者、職員の勤務表を先に整理します。建物の一部を運送営業所と訪問介護事業所で使うなら、使用権原、用途、専用区画、相談・記録保管の環境を両方の基準で確認します。介護指定で使えるから運送営業所にも使える、またはその逆と判断しないでください。
新設法人の定款には予定する事業目的を整えます。既存法人の場合も、介護事業の目的があるだけで運送事業の準備がすべて済むわけではありません。会社設立・目的変更の登記を要する場合は、司法書士が行う手続と、運輸局・指定権者への申請を区別して進めます。
運送許可と運賃認可は「必ず順番待ち」ではない
関東運輸局の案内では、介護タクシーの経営許可申請と運賃設定認可申請は同時に申請できます。原則として許可処分と併せて運賃の認可処分を行うため、「許可後に初めて運賃申請を始める」前提で日程を組む必要はありません。関東運輸局の運賃設定認可申請の流れで確認できます。
同局が示す経営許可の標準処理期間は、書類に不備がない場合で2か月です。物件・資格の準備、補正に要する期間、許可後の車両登録等を含めた「開業まで必ず2か月」という意味ではありません。また、関東の福祉輸送事業限定では法令試験を省略できる取扱いがあり、すべての案件で試験待ちが必須という説明も正確ではありません。
介護指定の締切から逆算する
訪問介護の指定には自治体ごとの事前相談・申請締切・指定日があります。人員・物件を確保したうえで指定申請と必要な体制の届出を進め、運送許可側の準備とすり合わせます。指定の申請を出しただけで給付サービスを始めることはできません。指定日、算定できる体制、道路運送法上の手続がそろった日を確認してサービス提供を始めます。
- 計画の確認:法人・物件・職員・車両と、所管窓口の締切を整理。
- 並行して申請準備:運送許可・運賃認可と介護指定の書類を整え、共通情報を合わせる。
- 提供前の確認:許可・認可・指定、車両の事業用登録、保険、契約・料金表・記録様式などを点検。
- 開始後の届出:運送事業の運輸開始届は、開始した後に遅滞なく提出。必要な請求・実績管理も運用する。
基本の許可要件と物件選びは、介護タクシー開業の許可取得ガイドでも確認できます。
白ナンバーを使う78条3号許可は、別の条件付き手続き
訪問介護員等の自家用車を有償の輸送に使う場合、訪問介護の指定があるだけでは足りません。道路運送法第78条第3号に基づく、訪問介護員等による自家用自動車有償運送の許可を検討します。第4条等の旅客運送事業の許可を持ち、訪問介護等の指定も受けた事業者との契約関係のもとで行う、別の許可です。
介護サービス計画や支給決定に沿った訪問介護サービス等と、連続または一体となる輸送が前提になります。白ナンバーなら車を自由に増やせる、家族送迎と同じ感覚で運賃を受け取れる、といった制度ではありません。運転者の免許・研修、車両、安全管理、契約なども許可基準に照らして確認します。
一方、第79条の福祉有償運送は、対象となる主体や協議・登録の仕組みが異なります。「78条の許可」と「79条の登録」を同じ意味で使わないようにしましょう。NPO等による地域の移動支援を計画する場合は、福祉有償運送の登録制度として別に検討します。
「緑ナンバーと白ナンバー、どちらの手続き?」を整理します
- ✔ 既存の指定・運送許可と申請主体を確認
- ✔ 車両・運転者の使い方に合う手続を整理
- ✔ 運賃・介助料金と開業スケジュールを整合
まだ車を契約していなくても相談可能です。予定しているサービスから、先に確認すべき条件を具体化します。
運賃と介助は、利用者への請求書でも分ける
運賃と介護報酬は異なるサービスの対価です。両方を受け取れること自体が二重請求なのではなく、同じ介助を介護保険で算定しながら、名前を変えて自費でも請求するなどの扱いが問題になります。運賃・介護保険の自己負担・保険外サービスを、契約時の説明と記録から分けて管理します。
| 区分 | 請求の考え方 |
|---|---|
| 車両での運送 | 認可を受けた運賃等。介護保険給付ではなく、利用者が負担 |
| 介護保険の対象となる介助 | 計画・算定要件に沿って介護報酬を算定。利用者は原則1~3割を負担 |
| 給付対象外の介助等 | 保険サービスと内容・時間等を区分し、利用者へ説明・同意を得て取り扱う |
通院等乗降介助は、訪問介護員等が自ら運転する車両への乗降介助と、乗車前後の移動や受診等の手続・移動の介助を一体的に行うサービスです。基本報酬は1回97単位。単に病院へ運んだ、乗降時に声をかけた、というだけで一律に算定できるわけではありません。要介護者について、ケアプラン・訪問介護計画と実際の提供内容を確認します。
例えば計画に基づいて通院等乗降介助を提供した場合は、認可運賃と介護保険対象部分の自己負担を区分します。その同じ乗降介助に、さらに自費の「基本介助料」を上乗せする前提にはしません。保険対象外の別サービスを提供する場合も、同じ行為を二度請求していないか、保険者の取扱いと利用者への説明を確認します。
身体介護との算定関係、院内介助、家族の同乗などは事情により確認が必要です。「家族が乗ればすべて算定不可」「院内の待ち時間はすべて身体介護」と一律に決めず、必要な介助と計画の内容をケアマネジャー・保険者に確認してください。
「介護運賃」という名前でも、運賃が保険給付になるわけではない
関東の福祉輸送サービスの運賃制度では、ケア運賃、介護運賃、民間救急運賃を区分しています。介護運賃は、ケアプランや支給決定に基づく訪問介護サービス等と連続・一体となる輸送に関する区分です。「訪問介護指定があれば、どの輸送でも自由に介護運賃を使える」という意味ではありません。
関東運輸局の現行運賃制度は、運送に直接伴わない介護料金等を運賃・料金の認可等と区別しています。ただし、運輸局の認可が不要だからといって、介護保険上の区分や説明を省いてよいわけではありません。運賃表と介助サービス料金表の両方を確認することが重要です。
開業前の最終確認は、初回の利用を想定して行う
許可証と指定通知書がそろったら、仮の利用予定を一つ置いて、予約から支払いまでを確認します。利用者の認定・負担割合、計画上の介助内容、運行する車両、担当者の資格と勤務時間、請求項目を追うと、書類だけでは気付きにくい食い違いを見つけやすくなります。これは試算用の確認であり、架空の提供実績を請求データにするものではありません。
運賃・介助の契約書類、運行と介護の記録、請求データに同じ内容が反映されるかを点検してください。国保連請求の受付結果や返戻確認を担当する人も決め、初回請求の直前まで利用手続やソフトの準備を残さないようにします。指定後の請求準備の詳細は、人員基準と国保連請求の準備にまとめています。
Treeに、許可と指定をまとめて相談する
行政書士法人Treeは、運送許可・運賃認可に加え、訪問介護の指定申請、必要に応じた78条3号許可、運営規程等の書類整備についてご相談を受け付けています。介護指定の申請を一律に行政書士の業務外とするものではありません。登記、労働・社会保険、税務などの専門業務は各士業の範囲を整理し、依頼前に担当と対象手続を明確にします。
「必要な手続きと総額」が分かる状態から、開業を進めませんか
開業予定地、法人の有無、現在の許可・指定、車両・職員の状況を分かる範囲でお知らせください。物件・車両・採用がまだ決まっていなくても構いません。
| サポート | Treeの報酬 |
|---|---|
| 介護タクシー許可・個人開業 | 170,000円(税抜)/187,000円(税込)~ |
| 介護タクシー許可・法人での開業 | 220,000円(税抜)/242,000円(税込)~ |
| 訪問介護指定の追加オプション | 100,000円(税抜)/110,000円(税込)~ |
指定追加は介護タクシー許可サポートへのオプションです。運送許可の登録免許税30,000円やその他実費は別途。法人設立、指定単独、78条3号許可等を含む具体的な組合せは見積りでご案内します。
- ✔ 許可・指定の組合せから相談できる
- ✔ 自治体の締切に合わせて準備を整理
- ✔ 契約前にサポート内容と料金を確認できる
※2026年10月15日確認。運送手続は主に関東運輸局の現行資料に基づく説明です。介護指定の受付日程、個別サービスの算定、保険外料金の取扱いは、管轄運輸支局・指定権者・保険者等への確認が必要です。
よくある質問
Q1. 介護タクシーの許可があれば、介護保険も請求できますか?
運送許可だけでは請求できません。訪問介護の指定、算定に関する届出、必要な人員・資格、利用者ごとの計画と提供内容など、介護保険側の条件を満たす必要があります。運賃そのものは介護保険給付ではありません。
Q2. 運賃認可は、経営許可が出てからしか申請できませんか?
関東運輸局の案内では、福祉輸送限定の経営許可申請と運賃設定認可申請を同時に行えます。原則として許可処分と併せて認可処分を行います。具体的な準備と提出方法は管轄運輸支局に確認します。
Q3. 訪問介護の指定があれば白ナンバーで有償送迎できますか?
指定だけでは足りません。訪問介護員等の自家用車による輸送には、旅客運送事業の許可と訪問介護等の指定を持つ事業者との契約関係などを前提とする、道路運送法78条3号の別の許可を検討します。介護サービス等と連続・一体となる輸送に限られます。
Q4. 通院等乗降介助を請求しながら、自費の乗降介助料も取れますか?
同じ介助を介護保険と自費の両方で重複請求することはできません。運賃、介護保険の自己負担、保険対象外の別サービスを区分し、計画・記録・説明内容を一致させます。個別の取扱いは保険者等に確認してください。
確認に使った公式資料
本記事は2026年10月15日に公式資料を確認し、法令・制度の説明に細心の注意を払って改稿しました。一般的な情報提供であり、個別案件への法的助言や許可・登録・指定を保証するものではありません。地域や事業計画に応じた取扱いは、管轄窓口または行政書士法人Treeへご確認ください。