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公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)の登録要件・運用実務~運賃・保険・有効期間

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結論から言えば、公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)を実際に走らせる際の運用は、「運賃(対価)」「運行管理・整備管理の体制」「事故時の保険」の三本柱を、道路運送法と運営協議会・地域公共交通会議での合意に沿って設計できるかどうかで決まります。登録を取れば終わりではなく、登録後に毎日続く運行管理・点呼・記録・更新(新規は2年、更新は原則2年で一定要件を満たす場合は3年)こそが本番です。行政書士は、登録申請書類の作成と運輸支局・自治体への提出代行、協議会向け資料の整理を職域として担います。保険契約の引受審査は保険会社、運行中の労務・社会保険は社会保険労務士、車検・整備の実施は整備工場というように、各専門家と連携しながら、制度に適合した運用設計をお手伝いします。

公共ライドシェアとは何か(道路運送法78条2号・79条)

公共ライドシェアは、正式には「自家用有償旅客運送」と呼ばれる、道路運送法(昭和26年法律第183号)第78条第2号・第79条に基づく登録制度です。バスやタクシーといった一般旅客自動車運送事業によって地域の移動手段を確保することが困難な場合に、市町村やNPO法人等が自家用車を使って有償で旅客を運ぶことを、例外的に認める仕組みです。区分は次の2つに整理されます。

  • 交通空白地有償運送:バス・タクシーが行き届かない地域で、住民や観光旅客等を運送するもの。
  • 福祉有償運送:単独では一般の公共交通機関を利用しにくい身体障害者・要介護者等を運送するもの。

2024年4月に始まった「自家用車活用事業(いわゆる日本版ライドシェア。道路運送法78条3号)」とは根拠条文も主体も異なります。日本版ライドシェアがタクシー事業者の管理の下で行われるのに対し、公共ライドシェア(78条2号)は市町村・NPO等が登録主体となる点が大きな違いです。本記事は78条2号の公共ライドシェアの運用に絞って、対価・運行管理・保険・更新の実務ポイントを解説します。

運賃(対価)の決め方|タクシーの概ね8割が目安

運用上もっとも質問が多いのが対価(運賃)の設定です。区域を定めて行う自家用有償旅客運送の対価は、国の運用上、近隣のタクシー運賃の概ね8割程度を目安とすることとされています。あわせて、旅客の運送に要する燃料費・人件費等の実費の範囲内と認められることが必要で、営利目的の事業運賃とは性格が異なります。

もっとも8割は絶対的な上限ではなく、地域公共交通会議・運営協議会等で必要性が認められれば、8割を超える対価設定が可能とされる運用もあります。対価は登録申請の内容として協議で合意し、利用者に分かるよう定めておく必要があります。実費を超える「もうけ」を上乗せする設計は制度の趣旨に反するため避けてください。

区分 対価の考え方
区域運行の運送の対価 近隣タクシー運賃の概ね8割が目安(協議で認められれば8割超も可)。実費の範囲内
運送に付随する対価 待機料・キャンセル料等は協議で定めた範囲で収受可

運行管理・整備管理の体制|責任者の選任が必須

公共ライドシェアでは、事業者と同様に安全管理体制を整えることが登録の前提です。具体的には、運行管理の責任者整備管理の責任者を選任し、申請書に就任承諾書(運営協議会・運輸支局所定の様式。多くの自治体で様式第6号として運用)を添付します。事故・苦情・運転者の健康状態の把握、運行記録の管理などを、これらの責任者が担います。乗車定員11人以上の車両を1台以上、または11人未満の車両を5台以上配置する事務所では、運行管理の責任者は運行管理者資格者証の保有者・運行管理者基礎講習の修了者・安全運転管理者の要件を備える者のいずれかである必要があります。

令和2年に創設された事業者協力型を選ぶと、地域のバス・タクシー事業者が運行管理および車両の整備管理に協力する形が取れます。この場合、協力するバス・タクシー事業者の運行管理者・整備管理者が、そのまま公共ライドシェアの運行管理の責任者・整備管理の責任者として選任され、プロの管理ノウハウを活用できます。事業者協力型を行うには運営協議会等での協議と変更登録が必要です。

運転者の要件|二種免許または一種免許+大臣認定講習

運転者は誰でもよいわけではなく、次のいずれかを満たす必要があります(道路運送法施行規則第51条の16等)。

  • 第二種運転免許を保有し、効力停止中でない者。
  • 第一種運転免許を保有し、過去2年以内に免許の効力を停止されていない者で、国土交通大臣が認定した講習(交通空白地有償運送運転者講習・福祉有償運送運転者講習等)を修了した者。

福祉有償運送でセダン型車両を用いる場合は、上記に加えてセダン等運転者講習の修了、または介護福祉士・訪問介護員等の資格が求められます。なお福祉有償運送運転者講習・セダン等運転者講習の修了証には有効期限がなく、法制度が変わらない限り有効とされています。運転者ごとの要件の充足は登録時だけでなく、運転者を追加するたびに確認・記録しておく必要があります。

保険(任意保険・共済)の要件

事故時の賠償資力を確保するため、運行する自動車について、対人・対物の任意保険または共済に加入していることが運用上求められます。対人8,000万円以上・対物200万円以上を補償し、かつ搭乗者傷害保険または人身傷害保険を含むことが運用上求められます。自家用車をそのまま使うケースが多いため、家庭用の自動車保険のままでは有償運送中の事故が補償対象外となる場合があります。引受可否や特約の要否は保険会社の審査事項ですので、有償運送に対応する契約かどうかを必ず保険会社・代理店に確認してください。

登録の有効期間と更新・変更

登録は一度取れば永続するものではありません。有効期間は、新規登録が2年、更新登録も原則2年で、重大事故を起こしていない等の一定要件を満たす場合は3年です。事業者協力型の自家用有償旅客運送として登録した場合は、有効期間が5年とされています。運送の区域、旅客の範囲、対価、使用車両、運転者、運行管理体制等を変更する場合は、変更登録または変更届出が必要です。更新時期を逃すと運送を続けられなくなるため、満了日の管理と早めの更新手続きが運用上の重要ポイントになります。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)の登録申請に関する書類作成と、運輸支局・自治体(権限移譲を受けた市町村を含む)への提出代行、運営協議会・地域公共交通会議へ提出する区域図・対価表・運行管理体制の整理をお手伝いします。あわせて、運送業の許可全般(一般貨物自動車運送事業、貸切バス、タクシー、介護タクシー、福祉有償運送等)にも対応しています。車庫証明(5,500円(税込)〜)、名義変更(7,000円(税込)〜)といった車両関係の手続も承ります。公共ライドシェアの登録や運送業許可は、区分・地域・事案により手続が異なるため、料金は内容を伺ったうえでお見積りいたします。なお、保険契約の引受は保険会社、運転者の労務・社会保険は社会保険労務士、係争は弁護士の領域となるため、必要に応じて各専門家と連携します。公共ライドシェアの登録についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。

車庫証明・名義変更などの自動車手続でお困りではありませんか。行政書士法人Treeでは、書類の作成から警察署・運輸支局への提出代行まで対応します。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)の運用は、道路運送法78条2号・79条を土台に、(1)対価はタクシーの概ね8割を目安に実費の範囲内で設定、(2)運行管理・整備管理の責任者を選任し、必要なら事業者協力型でプロの管理を活用、(3)運転者は二種免許または一種免許+大臣認定講習、(4)対人8,000万円以上・対物200万円以上で、搭乗者傷害保険または人身傷害保険を含む任意保険・共済を確保、(5)有効期間(新規2年、更新は原則2年で一定要件下で3年、事業者協力型5年)を管理、という流れで設計します。地域公共交通会議・運営協議会での合意形成が出発点となるため、早い段階から書類・体制を整えておくことが安全運用の近道です。

公共ライドシェアに関するよくある質問

Q:公共ライドシェアと日本版ライドシェアはどう違いますか。

A:公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)は道路運送法78条2号・79条に基づき、市町村やNPO法人等が登録主体となる制度です。一方、日本版ライドシェア(自家用車活用事業)は78条3号に基づき、タクシー事業者の管理の下で運行されます。根拠条文も運営主体も異なります。

Q:運賃はどのように決めればよいですか。

A:区域運行の対価は近隣タクシー運賃の概ね8割程度が目安で、燃料費・人件費等の実費の範囲内であることが必要です。地域公共交通会議・運営協議会等で必要性が認められれば、8割を超える設定が可能とされる運用もあります。営利目的の上乗せはできません。

Q:普通の自動車保険に入っていれば足りますか。

A:足りないことがあります。有償運送中の事故が家庭用契約では補償対象外になる場合があるため、対人8,000万円以上・対物200万円以上で、搭乗者傷害保険または人身傷害保険を含む有償運送対応の任意保険または共済への加入が要件とされています。引受可否は保険会社の審査事項のため、必ず保険会社・代理店にご確認ください。

Q:運転者に二種免許は必須ですか。

A:二種免許がなくても運転できます。第一種免許を保有し過去2年以内に効力停止がない方で、国土交通大臣が認定した講習(交通空白地有償運送運転者講習・福祉有償運送運転者講習等)を修了すれば運転者になれます。福祉有償運送のセダン型車両はさらに追加要件があります。

Q:登録の有効期間と更新はどうなっていますか。

A:新規登録は2年です。更新登録も原則2年ですが、重大事故を起こしていない等の一定要件を満たす場合は3年です。バス・タクシー事業者が運行管理・整備管理に協力する事業者協力型として登録した場合は5年とされています。区域・対価・運転者・体制を変える際は変更登録または変更届出が必要で、満了前の更新手続きが欠かせません。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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