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建設業許可の「誠実性」要件|該当ケース・資格処分歴の扱いを解説

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「建設業許可の要件に『誠実性』というのがあるが、具体的に何を意味するのか分からない」——建設業許可の5つの要件のうち、経営業務管理責任者(経管)・専任技術者(専技)・財産的要件・欠格事由に比べて曖昧なのが誠実性要件です。条文の抽象度が高く、どのような場合に該当しないとされるのか判断に迷うケースがあります。この記事では、建設業法7条3号の誠実性要件の具体的な中身、審査で不許可とされた過去の事例類型、該当が疑われる場合の対応方針を解説します。

結論として、誠実性要件は「請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと」を求めるものです(建設業法7条3号)。建築士・宅地建物取引士等の関連資格での不正処分歴、過去の請負契約での詐欺・横領等の事案があると該当とされる可能性があります。

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建設業法7条3号の誠実性要件とは

条文の規定

誠実性要件の具体的な運用基準は、国土交通省が公表している「建設業許可事務ガイドライン」(令和7年2月1日適用)に示されています。本記事もこのガイドラインに基づき解説しています。

建設業法7条3号は、一般建設業の許可要件の一つとして「法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと」と定めています。ここでいう「政令で定める使用人」とは、建設業法施行令3条に定める使用人(支配人及び支店又は営業所の代表者)を指します。特定建設業の許可(同法15条3号)にも同様の規定があります。

「不正」と「不誠実な行為」の定義

  • 不正な行為: 請負契約の締結または履行に際して、詐欺・脅迫・横領等の法律に違反する行為を意味します。
  • 不誠実な行為: 工事内容・工期等について契約違反となる行為を意味します。契約違反となる手抜き工事や虚偽報告も含まれます。

誠実性要件の判断は、これらの行為を将来にわたって行うおそれが明らかかという視点で行われます。過去の一時的な失敗で即座に不許可となるわけではなく、「将来の危険性」という予測的判断が含まれる点が特徴です。

誠実性要件の審査対象となる人

法人の場合

  • 当該法人自体
  • 取締役(代表取締役を含む)※非常勤役員も含む
  • 業務を執行する社員(持分会社の場合)
  • 執行役(委員会設置会社の場合)
  • これらに準ずる者(法人格のある各種組合等の理事等)
  • 相談役・顧問・その他いかなる名称を有する者であっても、業務を執行する社員・取締役・執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するもの
  • 政令で定める使用人(建設業法施行令3条に規定する使用人=支配人及び支店又は常時建設工事の請負契約を締結する営業所の代表者)

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、誠実性要件の審査対象として「その非常勤役員を含む役員」と明示しており、常勤・非常勤を問わず全役員が審査対象となります。名前だけの役員であっても、登記簿上の取締役であれば審査の対象となるため注意が必要です。

なお、執行役員、監査役、会計参与、監事、事務局長等はここでいう「役員」には含まれません(ただし、実質的な支配力を有する相談役・顧問等は上記のとおり含まれます)。

個人の場合

  • 個人事業主本人
  • 支配人(建設業法施行令3条に規定する使用人)

誠実性要件を満たさないとされる具体例

過去に関連資格で処分歴がある場合

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、以下の資格等について不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者は、原則として誠実性要件を満たさないものとして取り扱うとされています。

  • 建築士法による免許取消し(建築士法10条)
  • 宅地建物取引業法による免許取消し(宅建業法66条)
  • その他建築・不動産業関連の法令による同種の処分

また、誠実性要件は関連資格での処分だけでなく、過去の請負契約における不正・不誠実な行為が客観的に確認された場合にも該当する可能性があります。

過去の請負契約で不正・不誠実な行為を行った場合

過去の請負契約において、詐欺・脅迫・横領等の不正行為や、契約違反となる手抜き工事・虚偽報告を行ったことが客観的に明らかな場合は、誠実性要件に該当しないと判断されます。

暴力団関係者との関わり

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、暴力団の構成員である場合又は暴力団による実質的な経営上の支配を受けている者である場合は、誠実性要件の基準を満たさないものとして取り扱うと明示しています(指定暴力団であるかどうかを問わない)。さらに、暴力団員や暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者は、別の欠格事由(建設業法8条9号)にも該当するため、確実に不許可となります。

建設業許可の要件と誠実性要件の位置づけ

要件 概要 主な確認書類
常勤役員等(旧:経営業務管理責任者=経管) 建設業の経営経験(原則5年以上)等 登記簿謄本・確定申告書・工事請負契約書等
専任技術者(専技) 営業所ごとに一定の資格・実務経験を有する者の常勤配置 資格証・実務経験証明書
誠実性 請負契約に関する不正・不誠実な行為のおそれがないこと 誓約書・登記されていないことの証明書・身分証明書
財産的基礎 自己資本500万円以上または500万円以上の資金調達能力等 貸借対照表・残高証明書
欠格事由 成年被後見人・破産者・拘禁刑以上の刑からの経過期間等 身分証明書・登記されていないことの証明書
社会保険加入(2020年10月追加) 健康保険・厚生年金・雇用保険の適切な加入 保険料納入領収証書等

誠実性要件については、申請書類に添付する誓約書(様式第六号)のほか、役員等や建設業法施行令3条に規定する使用人の範囲、過去の処分歴等を踏まえて審査されます。なお、身分証明書登記されていないことの証明書は、主として欠格事由の確認資料として用いられます。

  • 身分証明書:本籍地の市区町村役場の戸籍担当課で取得。禁治産者・準禁治産者の宣告の有無や破産宣告の記録等が記載されます。発行後3か月以内のものを提出。
  • 登記されていないことの証明書:法務局(東京法務局後見登録課または各地方法務局の本局)で取得。成年被後見人・被保佐人に該当しない旨を証明する書類。発行後3か月以内のものを提出。

これらの証明書は、法人の場合は全役員分(非常勤役員を含む)および政令で定める使用人分、個人の場合は本人および支配人分について必要となります。

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要件診断でチェックできること

  • 役員全員(非常勤含む)の処分歴・刑罰歴の確認
  • 過去の建設業許可取消歴がある場合の5年経過の確認
  • 建築士法・宅建業法等の関連資格処分歴の影響判定
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実務上の不許可ケース例

誠実性要件や関連する欠格事由で実際に不許可となったケースとして、以下のような例が上位競合の行政書士事務所で紹介されています。

  • 宅建取引士の名義貸し歴を申告せず申請:役員が過去に他社で宅建取引士として名義貸しをしていた事実を申告せずに申請し、虚偽申請として許可が取り消された事例
  • 過去の工事における詐欺・横領の刑事処分:役員が過去に工事代金を巡る詐欺や横領で刑事処分を受けていた場合
  • 建築士法違反による免許取消歴がある役員:役員が過去に建築士法違反で最終処分から5年以内の免許取消歴を持つ場合
  • 親会社の元役員が処分歴を持つケース:親会社で処分歴のある役員が子会社の役員として就任しており、誠実性要件で疑義が生じた事例

これらのケースでは、申告の正確性処分日からの経過期間の確認が重要になります。疑義がある場合は、虚偽申請による取消しのリスクを避けるため、事前に行政書士にご相談ください。

誠実性要件に該当が疑われる場合の対応

行政処分からの経過期間の確認

過去の処分が5年以上前であれば、一般的には誠実性要件への影響は少なくなります。正確な処分日・処分内容を確認し、経過年数を整理することがまず重要です。

処分内容による判断

建築士法・宅建業法等の処分には、軽い順に「指示処分」「業務停止命令」「免許取消し」があります。国土交通省ガイドラインで誠実性要件に該当するとされるのは「不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受けた」場合であり、指示処分や業務停止命令のみの場合は、原則として誠実性要件には直接該当しません。ただし、業務停止命令違反や取消処分の前段階としての指示処分である場合など、事案によっては審査で個別に考慮される可能性があります。免許取消しの場合は、その最終処分日から5年を経過するまでは誠実性要件に該当するおそれがあります。

行政庁への事前相談

該当の可能性が曖昧な場合は、許可権者(都道府県または国土交通省地方整備局)に事前相談を行うのが実務上有効です。書面や相談票による正式照会ではなく、窓口での口頭相談から始めるのが通例です。

よくある質問

Q. 過去に個人として交通違反で罰金刑を受けたことがあります。誠実性要件に影響しますか?

交通違反等の業務と無関係な刑罰は、原則として誠実性要件には直ちに該当しません。ただし、拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない場合は、別の「欠格事由」(建設業法8条)に該当する可能性があります。建設業法違反や請負契約に関する不正行為等の処分歴がある場合は、要件該当の個別確認が必要です。

Q. 代表取締役を交代したら、前任者の処分歴は問題なくなりますか?

代表取締役から退任して役員から完全に外れた場合は、その者については誠実性要件の審査対象外となります。ただし、非常勤役員として残留する場合相談役・顧問等として支配力を維持している場合は引き続き審査対象となるため、実質的な経営関与からの離脱が必要です。

役員交代にあたっては、以下の手続きが必要です。

  1. 株主総会決議による役員交代
  2. 法務局での役員変更登記
  3. 新役員の身分証明書・登記されていないことの証明書の取得
  4. 建設業許可を既に取得している場合は、2週間以内の変更届の提出

行政書士法人Treeでは、役員交代に伴う一連の手続きを司法書士と連携してサポートできます。

Q. 新設法人ですが、誠実性要件の判断基準はありますか?

新設法人の場合は、法人としての過去実績がないため、役員および支配人の過去の行為が審査対象となります。新設法人でも役員個人の資格処分歴・刑罰歴等がある場合は誠実性要件の審査で個別確認が行われます。

Q. 建設業許可を一度取り消された会社が再取得する場合、誠実性要件への影響はありますか?

建設業許可の取消しには、不正行為(手抜き工事・虚偽申請等)による制裁的取消しと、自主廃業・要件喪失による行政的取消しがあります。前者の場合は5年経過するまで誠実性要件に該当する可能性があります。後者は直接的な影響はありませんが、事実関係の整理が必要です。

Q. 誠実性要件を満たさないとされた場合、他の許可業種に影響はありますか?

誠実性要件はすべての建設業種の許可に共通する要件です。特定の業種で不許可となる場合、同時に申請する他の業種の許可にも影響が及ぶのが通常です。

まとめ

  • 誠実性要件は建設業法7条3号に定める許可要件で、請負契約に関する不正・不誠実な行為のおそれが明らかでないことを求める
  • 審査対象は法人役員・支配人・個人事業主本人で、関連資格での処分歴等がチェックされる
  • 建築士法・宅建業法等での過去5年以内の免許取消処分は典型的な該当例
  • 該当が疑われる場合は、処分日からの経過年数確認・処分内容の整理・行政庁への事前相談が有効

建設業許可の5つの要件全体については「建設業許可の5つの要件|経管・専技・財産・誠実性・欠格事由」で解説しています。欠格事由の詳細は「建設業許可の欠格事由一覧|該当した場合の対応と回避策」をご参照ください。

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サービス 料金(行政書士報酬・税込) 別途必要な法定費用
建設業許可 新規(知事許可) 100,000円 申請手数料 90,000円
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※ 法定費用は国・都道府県に納付するもので、行政書士報酬とは別途必要です。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の建設業法に基づく一般的な解説であり、個別の許可審査における判断をお約束するものではありません。

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