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離婚届不受理申出の手続き|勝手な届出を防ぐ申出方法と注意点を解説

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「配偶者が勝手に離婚届を提出するのではないかと不安」「話し合いが続いている途中で一方的に離婚届を出されないようにしたい」——このような不安を抱える方に有効なのが離婚届不受理申出の制度です。市区町村役場に申出書を提出しておけば、本人の意思に基づかない離婚届の受理を防止できます。この記事では、離婚届不受理申出の手続き・有効期間・撤回方法を解説します。

結論として、離婚届不受理申出を行っておけば、協議離婚届については、申出人本人が役所窓口に出頭して本人確認を受けたうえで届出する場合を除き、受理されません(戸籍法27条の2第4項)。申出の有効期間に上限はなく、本人が取下げない限り効力が継続します。もっとも、裁判により離婚が確定した場合など、不受理申出をしていても受理される届出があります。配偶者の勝手な離婚届提出を予防したい方は、あらかじめ本籍地または住所地の市区町村役場で申出をしておきましょう。

「配偶者が離婚届を勝手に出しそうで不安」「離婚協議が平行線で勝手な手続きを防ぎたい」とお悩みの方は、行政書士法人Treeにご相談ください。離婚届不受理申出の進め方や、離婚協議書の作成について専門家がサポートします。相談は何度でも無料・全国対応です。

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離婚届不受理申出とは

制度の趣旨

離婚届不受理申出は、戸籍法27条の2第3項に基づく制度です。日本の協議離婚制度では、夫婦の署名・押印(2021年9月1日施行の戸籍法施行規則改正により押印は任意化)と証人2名の署名がそろった離婚届が市区町村役場に提出されると、家庭裁判所の関与なく離婚が成立してしまいます。この仕組みを悪用して、一方の配偶者が他方の意思によらずに離婚届を提出するケース(いわゆる「勝手離婚届」)が問題となっていました。

特に深刻なのが未成年の子がいる家庭での親権問題です。離婚届には未成年の子の親権者を指定する欄があり(民法819条1項)、勝手な離婚届により自分に不利な親権者指定で離婚が成立してしまうと、後から親権を取り戻すには家庭裁判所に「親権者変更の調停または審判」を申し立てる必要があり、時間・労力・精神的負担が非常に大きくなります。不受理申出は、親権を巡る不利益を予防する最も強力なセーフティーネットです。

離婚届不受理申出は、本人の意思に基づかない届出を防ぐためのセーフティーネットとして1976年に戸籍先例・通達による運用が始まり、2008年(平成20年5月1日施行)の改正戸籍法により法制化されました。それ以前は有効期限が最長6か月とされていましたが、法制化に伴いこの期間制限は廃止され、本人が取下げない限り無期限で効力が継続する現行制度となりました。

不受理申出ができる人

離婚届不受理申出は、婚姻関係にある夫婦のいずれか一方が行うことができます。離婚協議中・調停中・別居中であっても、戸籍上の配偶者である限り申出は可能です。なお、離婚届以外にも、婚姻届・養子縁組届・養子離縁届・認知届についても同様の不受理申出が可能です。

不受理申出で止められない届出(報告的届出)

不受理申出の効力が及ぶのは、届出によって身分行為の効力が生じる「創設的届出」(協議離婚届・婚姻届・養子縁組届・養子離縁届・認知届)に限られます。すでに家庭裁判所の調停・審判・判決により離婚が確定した場合の離婚届(「報告的届出」)は、不受理申出をしていても受理されます。調停離婚・裁判離婚が成立した場合、申立人は確定判決等に基づき単独で離婚届を提出でき、不受理申出ではこれを止めることはできません。

不受理申出を行うべき典型的なケース

以下のような状況にある方は、速やかに離婚届不受理申出を行うことをお勧めします。

  • 配偶者が早急な離婚を迫り、強引に署名・押印を求めてきている
  • 配偶者に不倫相手がおり、次の結婚を急いでいる様子が見られる
  • 離婚協議中に一度は署名・押印した離婚届を配偶者に渡してしまった
  • 親権・養育費・財産分与・慰謝料の話し合いがまとまらないうちに離婚届を提出されそう
  • 別居中で配偶者と直接連絡が取れず、勝手に届出される不安がある
  • DV・モラハラから避難中で、配偶者が報復的に届出する可能性がある
  • 離婚調停中だが、調停と並行して勝手な届出を防ぎたい

これらに該当する場合、話し合いが続いていても不受理申出をしておくことで、落ち着いて離婚条件を詰める時間的余裕を確保できます。

離婚届不受理申出の手続き

Step 1: 申出書の入手

市区町村役場の戸籍係窓口で「不受理申出書」の書式を入手できます。自治体によっては公式サイトからダウンロードも可能です。申出人本人が記入・署名する必要があります。

Step 2: 提出先の確認

戸籍法27条の2第3項は本籍地の市町村長に対する申出を規定していますが、実務運用では本籍地以外の市区町村役場でも受付可能で、受付した役所から本籍地役所に申出書(または謄本)が送付される取扱いとなっています。したがって、申出書は以下のいずれかの市区町村役場に提出できます。

  • 申出人の本籍地の市区町村役場(原則)
  • 申出人の所在地(住所地)の市区町村役場(実務運用上可)

本籍地以外の役所で申出を行った場合、その情報が本籍地役所に送付されて戸籍システムに登録されるまでに時間を要する場合があるため、急を要する場合は本籍地に直接申出する方が安心です。なお、申出後に転籍(本籍変更)を行った場合でも、申出の効力は新しい本籍地に対する申出として継続します。

Step 3: 申出書の記入と本人確認

申出書の記入事項は以下のとおりです。

  • 申出人の氏名・生年月日・住所・本籍
  • 配偶者の氏名(特定できる場合)
  • 不受理対象の届出種別(離婚届・婚姻届等)
  • 申出年月日と申出人の署名

窓口では申出人本人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の顔写真付き公的証明書)が必要です。本人確認ができない場合や、本人以外が代理で申出する場合は原則として受理されません(本人出頭主義)。

【例外】疾病等で本人出頭が困難な場合

病気・入院・DVによる避難など、やむを得ない事由で本人が役所窓口に出頭できない場合は、以下の事項を記載した公正証書を添付することで、郵送や使者による申出が例外的に可能です(戸籍法施行規則53条の4第4項)。

  • 申出をする旨
  • 申出の年月日
  • 申出人の氏名・出生年月日・住所・戸籍の表示

詳細は申出予定の市区町村役場の担当部署に事前確認することをお勧めします。

申出後の効力

申出が受理されると、以後、協議離婚届については、申出人本人が役所窓口に出頭し、本人確認を受けたうえで提出する場合を除き、受理されません。郵送での提出や、配偶者・第三者が使者として持参する提出も、本人確認ができない限り受理されません。なお、裁判により離婚が確定した場合などの報告的届出は別途受理されることがあります。

不受理となった場合の本人への通知(戸籍法27条の2第5項)

配偶者などが離婚届を提出しようとして不受理となった場合、市町村長は遅滞なく申出人本人に対し「対象の届出があった旨」を通知する法的義務を負います(戸籍法27条の2第5項)。この通知制度により、申出人は配偶者が実際に離婚届を提出しようとした事実を確実に把握でき、その後の対応(調停申立・弁護士相談・刑事告訴の検討等)につなげることができます。

不受理申出と離婚届が同日に提出された場合

万一、配偶者が離婚届を提出するより先に自分が不受理申出を行おうとしても、同じ日に両方が提出された場合、先に受付された方が優先される取扱いが一般的です。配偶者が勝手な離婚届を出しそうな兆候があるときは、1日でも早く不受理申出を行うことが極めて重要です。

不受理申出の有効期間と撤回

有効期間に上限はない

現行制度(2008年改正後)の離婚届不受理申出は有効期間の上限がありません。申出人が自ら取下げを行うまで、効力は継続します。以前は有効期間6か月と定められていましたが、この期間制限は廃止されました。

取下げの手続き

離婚協議がまとまって離婚に合意した場合や、関係が修復した場合は、不受理申出を取り下げることができます。取下げは以下の方法で行います。

  • 申出を行った市区町村役場(または本籍地役所)に「取下書」を提出
  • 取下書は申出人本人が出頭して提出(本人確認書類が必要)
  • 代理人による取下げは不可

取下げ後は、通常の離婚届と同様に受理されるようになります。離婚届を出したい場合は、取下書と同時に離婚届を提出することも可能です。

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離婚届が勝手に提出されてしまった場合の対応

不受理申出を行う前に、すでに離婚届が勝手に提出・受理されてしまった場合は、戸籍上は離婚が成立した状態になります。このような場合の救済手段は次のとおりです。

家庭裁判所の調停による解決

家庭裁判所に「協議離婚無効確認調停」を申し立てます。離婚の意思がなかったことが認められれば、調停手続を経て離婚の無効確認や戸籍訂正につながります。調停が不成立となった場合は、「離婚無効確認の訴え」の提起を検討することになります。

調停成立・判決確定後は1か月以内に戸籍訂正申請を

調停で離婚が無効であることが合意された場合、または判決で離婚の無効が確認された場合は、その確定から1か月以内に本籍地の市区町村役場に戸籍訂正申請書・判決書謄本(または調停調書謄本)・確定証明書を提出して戸籍訂正の申請を行う必要があります。この申請を忘れると戸籍上は離婚状態が残ったままとなるため、判決確定後は速やかに申請してください。

刑事責任の追及

配偶者が離婚届に勝手に他人(申出人)の署名・押印をした行為は、有印私文書偽造罪(刑法159条1項、3月以上5年以下の拘禁刑)に該当する可能性があります。偽造した離婚届を役所に提出した行為は偽造有印私文書行使罪(刑法161条1項、有印私文書偽造罪と同一の刑)、さらに電子化された戸籍に虚偽の記録をさせた場合は電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪(刑法157条1項・158条1項、5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)に該当する可能性があります。これらの罪は一連の行為として同時に成立するのが通常です。刑事告訴を行う場合は弁護士への相談が必要です。

よくある質問

Q. 不受理申出を出していることを配偶者に通知されますか?

市区町村役場から配偶者に通知が届くことはありません。ただし、配偶者が離婚届を提出しようとして不受理となった場合、その事実が配偶者に知られることになります。不受理申出の事実自体を完全に秘匿することはできない点に留意してください。

Q. 不受理申出を出した後、自分から離婚届を出したい場合はどうすればよいですか?

申出人本人が役所窓口に出頭して離婚届を提出すれば受理されます。出頭時には本人確認書類を持参してください。別の方法として、事前に不受理申出を取り下げてから通常通り郵送等で離婚届を提出することもできます。

Q. 配偶者と別居中ですが、配偶者の住所地の役所にも不受理申出を出すべきですか?

不受理申出は申出人の本籍地または住所地の役所に提出すれば、本籍地経由で登録されます。配偶者の住所地に別途申出をする必要はありません。急ぎのケースでは、本籍地に直接申出しておくとより安心です。

Q. 離婚届不受理申出をした後で、DV被害を受けて住所を変更した場合はどうすればよいですか?

不受理申出の効力は住所変更後も継続します。転居先の市区町村役場には、申出の維持とあわせて住民票の閲覧制限(DV等支援措置)を申請しておくことをお勧めします。

Q. 不受理申出の手数料はいくらですか?

離婚届不受理申出は無料で行えます。申出書の提出、登録、取下げのいずれも手数料はかかりません。

Q. 夜間・休日でも不受理申出を提出できますか?

夜間・休日の時間外窓口では、離婚届・婚姻届等の受付は行っていても、不受理申出は本人確認が必要な性質上、原則として平日の業務時間内での受付となる自治体がほとんどです。配偶者が勝手に届出しそうな緊急性がある場合は、翌開庁日の朝一番に申出する想定でご準備ください。

Q. 病気・入院で本人が窓口に行けません。どうすればよいですか?

病気・入院・DV避難など、やむを得ない事由で本人が窓口に出頭できない場合は、公正証書を添付することで郵送または使者による申出が例外的に可能です(戸籍法施行規則53条の4第4項)。公正証書には「申出をする旨」「申出の年月日」「申出人の氏名・生年月日・住所・戸籍の表示」を記載します。手続きの詳細は申出予定の市区町村役場に事前にご相談ください。

まとめ

  • 離婚届不受理申出は戸籍法27条の2第3項に基づく制度で、勝手な離婚届提出を防止できる
  • 申出人は夫婦いずれか一方で、本籍地または住所地の役所に提出
  • 窓口では本人確認書類が必要で、代理申出は不可
  • 有効期間に上限はなく、取下げまで効力が継続する
  • すでに勝手に離婚届が受理された場合は、協議離婚無効確認の調停・訴えで対応

離婚届の一般的な書き方は「離婚届の書き方と提出方法|記入例付きで解説」、証人の選び方は「離婚届の証人の頼み方ガイド|選び方と記入の注意点」をご参照ください。離婚協議書の作り方は「離婚公正証書の作り方と費用|養育費・財産分与を確実に取り決める」で詳しく解説しています。

【重要】勝手な離婚届が提出される前に、今すぐご相談ください

不受理申出と離婚届が同日に提出された場合、先に受付された方が優先されます。配偶者が勝手な離婚届を出しそうな兆候がある場合は、1日でも早く不受理申出を行うことが重要です。また、不受理申出と並行して離婚協議書(できれば公正証書化)を作成しておくことで、養育費・慰謝料の未払いが発生した場合に直ちに強制執行が可能となり、経済的保全も万全となります。

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  • 離婚届不受理申出書の記入サポート(ただし窓口出頭はご本人による必要があります)
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※ 本記事の内容は2026年4月時点の戸籍法・民法に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言ではありません。訴訟対応は弁護士にご相談ください。

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