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産廃業者に経審は必要?建設業許可・公共工事入札との関係を行政書士が解説

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産業廃棄物処理業者の方から「経営事項審査(経審)は受けるべきか」「産廃の許可だけでは公共工事を受注できないのか」というご相談をよくいただきます。結論から申し上げると、経審はあくまで「建設業者」が公共工事を発注者から直接請け負う(元請する)ために受ける審査であり、産業廃棄物処理業の許可とは別の制度です。産廃処理業者が公共工事と関わるのは、収集運搬・処分の許可だけでなく、廃棄物処理施設の建設・解体・据付といった建設工事を自社で請け負う場面です。本記事では、行政書士の立場から、産廃処理業者と経審・公共工事の関係を整理します(経審の評価項目は令和7年7月施行分に加え、令和8年7月施行予定の改正点も反映しています)。

産業廃棄物処理業の許可と建設業許可は別の制度です

まず前提として、産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可(廃棄物処理法)と、建設業許可(建設業法)は、根拠法も所管も審査の目的も異なる別個の制度です。産廃の許可は都道府県知事(政令市長)が、廃棄物の適正処理を担保するために行うものです。一方の建設業許可は、建設工事を一定規模以上請け負う事業者に求められる許可です。

経営事項審査(経審)は、この建設業許可を前提とした制度です。したがって、産廃の収集運搬業や処分業を営んでいるだけでは経審の対象にはなりません。経審が関係してくるのは、産廃処理業者が「建設工事」を自ら請け負う立場になるときです。

経営事項審査(経審)とは何か

経審は、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを、発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です(建設業法第27条の23)。発注機関は競争入札への参加資格を審査する際、客観的事項(経審の結果)と発注者別の主観的評価を点数化し、等級(ランク)の格付けを行います。この「客観的事項」にあたる審査が経審です。

経審は、大きく次の項目を数値で評価します。

  • 経営状況(Y点):負債・利益・自己資本など財務の健全性。国土交通省の登録を受けた経営状況分析機関の分析を受けます。
  • 経営規模(X1・X2):完成工事高、自己資本額、利益額など。
  • 技術力(Z点):技術職員の数や保有資格、元請完成工事高。
  • その他の審査項目(社会性等=W点):建設業退職金共済への加入、法令遵守、防災協定、若年技術者の育成、建設機械の保有、CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用状況など。

これらを合算した総合評定値(P点)が、入札参加資格の格付けの基礎になります。

産廃処理業者が経審・公共工事と関わる場面

産廃処理業者が公共工事や経審に関係するのは、典型的には「廃棄物に関わる建設工事を自社で請け負う」ケースです。具体的には、次のような業種の建設業許可を取得し、公共発注の工事を元請受注する場合が考えられます。

  • 解体工事業:建物の解体を請け負う場合。建設リサイクル法に基づく分別解体や、発生した特定建設資材廃棄物の再資源化とも密接に関わります。
  • とび・土工・コンクリート工事業:中間処理施設の基礎・据付工事、重量物の揚重運搬・据付などを行う場合。
  • 清掃施設工事業:公共団体が設置するごみ処理施設や、汲取方式により収集したし尿を処理する施設の建設工事など。
  • 管工事業・水道施設工事業:浄化槽によるし尿処理施設(管工事)、下水道で収集した汚水を処理する施設(水道施設工事)など、施設の種類に応じた区分。

これらの工事を、国・都道府県・市町村などの公共発注者から元請として直接請け負う場合に、経審の受審が前提になります。逆に、産廃の収集運搬・処分そのものは「建設工事」ではないため、その役務委託は経審の対象外です(同じ自治体案件でも、入札制度や登録区分が異なります)。

経審が必要になる工事の規模と有効期間

経審を受けなければ直接請け負えない「公共工事」とは、国・地方公共団体・法人税法別表第一に掲げる公共法人などが発注する施設・工作物の建設工事で、1件の請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)のものをいいます(建設業法施行令)。これ未満の工事や、下請として施工するだけの場合は、経審が必須というわけではありません。

また、経審の結果(総合評定値の通知)には有効期間があり、審査基準日から1年7か月です。公共工事を継続して受注するには、決算ごとに経審を受け直し、空白期間が生じないよう毎年更新していく必要があります。経審の前提として決算変更届(事業年度終了届)の提出が必要となる点にも注意が必要です。

経審の最新改正で押さえておきたい点

経審の評価項目は、建設業を取り巻く環境に合わせて見直されています。施行時期が異なる改正が続いているため、ご自身の審査基準日がどの基準で審査されるかを確認することが大切です。

令和7年7月1日施行分

一定の要件を満たす資本性借入金について、経営事項審査上、負債から控除し、自己資本として取り扱える事務取扱いが運用開始されています。この取扱いは経営状況(Y点)だけでなく、経営規模(X点)の自己資本評価にも影響しうるため、該当する借入れがある場合は契約書・証明書等の確認が必要です。

令和8年7月1日施行予定分

令和8年7月1日からは、W点(社会性等)を中心に次の見直しが予定されています。これらの改正は原則として令和8年7月1日以降の申請に適用されます。なお、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の加点については、審査基準日が宣言日以降であることや、宣言書・誓約書の提出など、別途の要件確認が必要です。

  • 建設機械の保有状況の加点対象拡大:加点対象に「不整地運搬車」「アスファルト・フィニッシャ」が追加され、対象が9機種から11機種に広がります。産廃・解体の現場で稼働する機械を保有する事業者には影響があります。
  • 社会保険加入に関する評価項目の削除:社会保険加入は建設業許可の要件として当然に満たすべき事項であることを踏まえ、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に関する確認項目が審査対象から削除されます。
  • 担い手確保・処遇改善に関する評価:「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が新たに加点対象(5点)となる一方、CCUSの就業履歴の蓄積に関する配点が見直されるなど、人材・処遇に関する評価が再構成されます。

改正の細目や対象となる審査基準日は項目ごとに異なり、運用も更新されますので、申請前に最新の取扱いを必ず確認してください。当事務所では、最新の評価基準を踏まえて加点につながる準備をご提案します。

当事務所のサポート

産廃処理業者の方が公共工事への参入を目指す場合、(1)該当する業種の建設業許可の取得・業種追加、(2)決算変更届の整備、(3)経営状況分析の依頼、(4)経審の申請、(5)入札参加資格申請という一連の流れを計画的に進める必要があります。当事務所(行政書士法人Tree)では、これら建設業許可・経審・入札参加資格申請の書類作成・申請手続を一貫してサポートいたします。なお、産業廃棄物処理業の許可についても、あわせてご相談を承ります。

料金の一例として、決算変更届・経営状況分析・経審申請を含む「経審スタンダード」は192,500円(税込)、これに入札参加資格申請(1自治体)を加えた「入札ワンストップ」は220,000円(税込)です(経審申請を中心とした「経審スポット」は159,500円〔税込〕)。事案により最適なプランは異なりますので、まずはお気軽にご相談ください。建設業許可・経審・入札のご相談はこちら。ご相談は何度でも無料です。経審の全体像は経営事項審査(経審)の解説記事もあわせてご覧ください。

まとめ

経審は、産廃処理業の許可そのものに紐づく審査ではなく、建設業者が公共工事を元請として直接請け負うために受ける審査です。産廃処理業者が経審・公共工事に関わるのは、解体工事業・とび・土工・コンクリート工事業・清掃施設工事業などの建設業許可を取得し、廃棄物処理施設の建設・解体等を公共発注で受注する場面です。経審が必要な工事は1件500万円以上(建築一式は1,500万円以上)、結果の有効期間は審査基準日から1年7か月で、毎年の更新が前提となります。令和7年7月の改正に加え、令和8年7月施行予定の改正点も踏まえ、計画的に準備を進めましょう。

産業廃棄物処理業者の経審受審に関するよくある質問

Q:産業廃棄物の収集運搬業の許可だけで公共工事を受注できますか。

A:収集運搬・処分は「建設工事」ではないため、建設工事の元請受注には建設業許可と経審が前提となります。一方、自治体が発注する廃棄物の収集運搬・処分の役務は別の入札・登録区分で扱われます。どちらに参入したいかによって必要な手続が異なりますので、ご相談ください。

Q:経審を受けるには何が必要ですか。

A:前提として該当業種の建設業許可が必要です。そのうえで決算変更届の提出、登録経営状況分析機関による経営状況分析、経審申請という順で進めます。さらに公共工事に入札するには、各発注機関への入札参加資格申請が必要です。

Q:経審の結果はどのくらい有効ですか。

A:審査基準日(通常は直前の決算日)から1年7か月です。継続して公共工事を受注するには、毎年決算ごとに経審を受け直し、有効期間に空白が生じないようにする必要があります。

Q:解体工事業の許可があれば建設リサイクル法の対応も問題ありませんか。

A:建設業許可(解体工事業)や解体工事業登録は工事を行うための要件です。これとは別に、建設リサイクル法に基づく分別解体・再資源化の義務や事前の届出、発生した産業廃棄物の適正処理(許可・委託契約)への対応が必要です。法令ごとに要件が異なるため、全体を整理して進めることをおすすめします。

Q:税務や登記に関わる手続もお願いできますか。

A:税務(法人税・消費税の申告など)は提携の税理士、商業登記は提携の司法書士と連携してご案内します。当事務所は建設業許可・経審・入札参加資格申請・許認可申請の書類作成と手続を担当します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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