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建設業許可の営業所専任技術者の兼務ルール|2024年改正・ICT活用を解説

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「営業所の専任技術者を複数営業所で兼務させたい」「現場主任技術者と専任技術者の兼任は可能か」「ICT活用で専任技術者要件は緩和されたのか」——建設業許可の営業所体制について、実務では常に悩ましい論点が残ります。本記事では、建設業法第7条第2号・第15条第2号の営業所技術者等(旧・専任技術者)要件、令和6年12月13日改正による「営業所技術者等」への用語変更、ICT活用による兼務緩和特例、現場配置技術者との兼任ルール、社会保険加入確認、罰則・許可取消リスクまで、行政書士が実務目線で解説します。

結論として、営業所技術者等は原則として他の営業所・現場との兼務が禁止されますが、令和6年12月13日施行の改正により「営業所技術者等」へ用語変更され、ICT活用を前提とした兼務緩和特例が導入されました。一定要件下で複数営業所の技術者を同一人とすることが可能になり、また現場配置技術者との兼任要件も緩和されています。ただし通信環境・近接性・勤務実態の確認が厳格化されているため、体制整備前に管轄行政庁の運用基準確認が必須です。

建設業許可の営業所体制設計から申請書作成まで、行政書士法人Treeが実務に即してサポートします。

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根拠法令は建設業法、改正概要は国土交通省「建設業法等改正の概要」もご参照ください。

営業所技術者等(旧・専任技術者)の法的根拠

建設業法第7条第2号(一般建設業)および第15条第2号(特定建設業)は、建設業許可を受けるために各営業所に専任の技術者を置くことを義務付けています。

令和6年12月13日施行の改正建設業法により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者等」に名称変更されました。専任性とは「その営業所に常勤して専らその職務に従事すること」を意味し、建設業法第26条の5(技術者の職務)と同法施行規則で具体化されています。

営業所技術者等の資格要件

区分 要件
一般建設業 1級・2級の建設業関連国家資格、または10年以上の実務経験、または指定学科卒業+3〜5年の実務経験
特定建設業 1級資格、または所定の指導監督的実務経験+一般技術者要件

令和6年12月13日改正の概要

令和6年12月13日施行の改正建設業法施行規則により、建設業の人手不足と働き方改革への対応として、以下の改正が行われました。

  • 「専任技術者」→「営業所技術者等」へ用語変更
  • 「経営業務の管理責任者」→「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」へ用語変更
  • 情報通信技術(ICT)を活用した遠隔管理体制を整備した場合の専任義務緩和
  • 現場配置技術者の兼任要件緩和(一定の請負金額未満の工事)

兼務禁止の原則と例外

  • ✔ 原則:営業所技術者等は当該営業所に常勤し、他営業所・他社の役職・工事現場専任主任技術者との兼務は不可
  • ✔ 例外1:請負金額4,500万円(建築一式7,000万円)未満の工事で、近接現場の主任技術者との兼務は条件付きで可
  • ✔ 例外2(令和6年12月〜):ICT活用による複数営業所の兼任が可能(要件該当時)
  • ✔ 住所と営業所の通勤可能距離、勤務実態の確認が厳格化

ICT活用による兼務特例の要件

項目 内容
情報通信環境 各営業所にWeb会議システム・常時接続可能な端末を設置
業務実施体制 見積・契約・技術指導が遠隔でも遅滞なく実施できること
兼務可能営業所数 原則として同一都道府県内の近接営業所(運用基準に準拠)
記録管理 業務日誌・通信記録を保管し、行政の監督に対応
申請時必要書類 ICT活用体制図、勤務実態申告書、常勤確認資料

現場配置技術者との兼任ルール

建設業法第26条の現場配置技術者(主任技術者・監理技術者)と営業所技術者等の兼任は、以下のルールに従います。

主任技術者の現場専任要件

  • 請負金額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)の工事は専任配置
  • 専任配置工事と営業所技術者等の兼任は不可
  • 専任配置不要の工事は営業所技術者等が兼任可能(営業所と現場の近接性等の要件あり)

監理技術者の現場専任要件

  • 特定建設業者が一定の下請発注を行う工事は監理技術者の専任配置
  • 監理技術者資格者証の保有が必要
  • 監理技術者補佐の配置で1人の監理技術者が複数現場を兼任可能(2020年改正)

社会保険加入の確認

営業所技術者等の常勤性確認には、社会保険加入が重要な要素となります。

  • 健康保険被保険者証(営業所所在地の医療機関で受診可能)
  • 厚生年金被保険者標準報酬月額決定通知書
  • 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
  • 住民票(営業所通勤可能距離)

料金

法定手数料(参考)

項目 法定手数料
建設業許可(知事・新規) 90,000円(許可手数料)
建設業許可(大臣・新規) 150,000円(登録免許税)
建設業許可(知事・大臣・更新) 50,000円(許可手数料)

行政書士法人Treeの代行報酬(税込)

項目 代行報酬
建設業許可(新規・知事) 110,000円+決算書確認22,000円
建設業許可(新規・大臣) 165,000円+決算書確認22,000円
建設業許可(更新・知事) 55,000円
建設業許可(更新・大臣) 88,000円
変更届(技術者変更等) 27,500円
業種追加(知事/大臣) 55,000円/88,000円

違反時のリスク

  • 営業所技術者等の常勤性欠如 → 許可要件不充足として許可取消(建設業法29条)
  • 虚偽申告による許可取得 → 5年の許可制限(建設業法8条1号)
  • 無許可営業(営業所技術者等不設置) → 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(建設業法47条)
  • 監督処分(営業停止・指示処分)

よくあるケース

  • 本店と支店を同一市内に構える工事業者がICT活用で兼任体制構築
  • 遠隔地営業所の兼任が認められず体制見直しが必要
  • 営業所技術者等が退職・死亡した場合の緊急変更届
  • 新規営業所開設時の技術者配置検討
  • 業種追加時の追加技術者配置

行政書士法人Treeのサポート

  • ✔ 技術者配置計画の策定(兼務可否・専任判定)
  • ✔ ICT活用体制の整備アドバイスと申告書類作成
  • ✔ 新規・更新・変更届の一括対応
  • ✔ 常勤役員等・社会保険加入要件の確認
  • ✔ JCIPによる電子申請対応
  • ✔ 監督処分対応の事前ヒアリング

※ 監督処分・行政訴訟の代理は弁護士業務(弁護士法72条)のため、提携弁護士をご紹介します。

よくある質問

Q1. 現場の主任技術者と営業所技術者等は兼任できますか?

A. 原則禁止ですが、請負金額4,500万円未満(建築一式7,000万円未満)の近接工事であれば、例外的に兼任可能な場合があります。

Q2. ICT活用特例は全ての建設業者が使えますか?

A. 通信環境・記録管理・近接性など複数要件を満たす必要があり、すべての事業者が自動的に対象となるわけではありません。

Q3. 他社役員との兼任は認められますか?

A. 専任性に反するため原則認められません。常勤性を欠くと許可取消リスクがあります。

Q4. 営業所技術者等が退職したらどうなりますか?

A. 速やかに後任者を配置し、変更届(30日以内)を提出する必要があります。後任者を配置できない場合は許可要件を満たさず、許可取消リスクが発生します。

Q5. ICT特例の「同一都道府県内」要件は厳格ですか?

A. 原則として同一都道府県内の近接営業所(通勤30分〜1時間程度の距離)が想定されています。具体的な運用は管轄行政庁により異なるため、事前確認が必要です。

Q6. 監理技術者補佐とはどのような制度ですか?

A. 2020年改正で創設された制度で、監理技術者の補佐を配置することで1人の監理技術者が複数現場(最大2現場)を兼任可能となります。技術検定合格等の資格要件あり。

Q7. 個人事業主の場合も営業所技術者等が必要ですか?

A. はい。個人事業主自身が営業所技術者等の要件を満たせば兼ねることが可能です。事業者本人=営業所技術者等とするケースが多い。

Q8. 経営業務管理責任者と営業所技術者等は兼任できますか?

A. 同一の営業所内であれば1人が兼任可能です。常勤性が要件のため、別営業所での兼任は不可。

行政書士法人Tree|建設業許可サポート

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まとめ

  • 営業所技術者等(旧・専任技術者)は建設業法7条2号・15条2号の要件
  • 令和6年12月13日改正で「営業所技術者等」へ用語変更
  • 原則は他営業所・他社・現場との兼務禁止
  • ICT活用特例で複数営業所の兼任が一定要件で可能
  • 請負金額4,500万円未満の現場は条件付き兼任可
  • 常勤性・社会保険加入の確認が厳格化
  • 違反時は許可取消・3年以下の拘禁刑等のリスク

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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