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名誉毀損・侮辱罪の告訴状の書き方|SNS誹謗中傷への対応

更新: 約14分で読めます

SNSやインターネット上での誹謗中傷は年々増加しており、名誉毀損罪や侮辱罪で告訴を検討する方が増えています。しかし、告訴状を作成する段階で「どの罪名に該当するのか」「証拠はどう保全すればよいのか」と手が止まってしまうケースが少なくありません。本記事では、名誉毀損罪・侮辱罪の成立要件の違いを整理したうえで、SNS誹謗中傷に対する告訴状の書き方と証拠保全の方法を解説します。

「SNSで誹謗中傷を受けているが、告訴できるのか知りたい」「名誉毀損と侮辱罪のどちらで告訴すべきかわからない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴状作成の専門家が状況を伺い、最適な対応方針をご提案します。相談は何度でも無料・全国対応です。

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名誉毀損罪・侮辱罪の成立要件

告訴状を作成する前に、名誉毀損罪と侮辱罪の成立要件を正確に理解しておく必要があります。両罪はいずれも「公然と」人の社会的評価を低下させる行為を処罰するものですが、「事実の摘示」の有無によって適用される罪名が異なります。SNSへの投稿は不特定多数が閲覧できるため、「公然」の要件を満たすのが通常です。

名誉毀損罪(刑法230条)の要件

名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立します(刑法第230条)。法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(2025年6月1日施行の改正刑法により「懲役・禁錮」は「拘禁刑」に一本化)。

ここでいう「事実の摘示」とは、具体的な事柄を示すことを指します。その内容が真実であるか虚偽であるかは問いません。たとえば、「○○は不倫をしている」「○○は前科がある」といった投稿は、真偽を問わず事実の摘示に該当します。重要なのは、社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実が示されているかどうかです。

なお、名誉毀損罪には免責規定があります(刑法第230条の2)。摘示された事実が公共の利害に関する事実であり、その目的がもっぱら公益を図るものであり、かつ事実が真実であることの証明がなされた場合は、処罰されません。ただし、個人間のSNSでの誹謗中傷においてこの免責規定が適用されるケースは限定的です。

侮辱罪(刑法231条)の要件

侮辱罪は、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合に成立します(刑法第231条)。法定刑は1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です(2025年6月1日施行の改正刑法により「懲役・禁錮」は「拘禁刑」に一本化)。

2022年の刑法改正により、侮辱罪の法定刑は大幅に引き上げられました。改正前は「拘留又は科料」のみでしたが、改正後は拘禁刑・罰金が追加されています(なお、2025年6月1日施行の刑法改正により「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました)。この厳罰化は、SNSでの誹謗中傷が社会問題化したことを背景としています。

侮辱罪の典型例としては、「バカ」「死ね」「キモい」といった抽象的な罵倒表現がこれに該当します。具体的な事実を示さずに、相手の人格を否定する表現が対象です。

名誉毀損と侮辱罪の違い【比較表】

比較項目 名誉毀損罪(刑法230条) 侮辱罪(刑法231条)
事実の摘示 あり(具体的事実を示す) なし(抽象的な侮辱表現)
投稿の例 「○○は横領して解雇された」 「○○は無能でクズ」
法定刑 3年以下の拘禁刑 or 50万円以下の罰金 1年以下の拘禁刑 or 30万円以下の罰金 or 拘留・科料
親告罪 はい(告訴が必要) はい(告訴が必要)
告訴期間 犯人を知った日から6ヶ月 犯人を知った日から6ヶ月
免責規定 あり(公共性・公益性・真実性の証明) なし
公訴時効 3年 3年(2022年改正により延長)

名誉毀損罪と侮辱罪はいずれも親告罪であり、被害者本人の告訴がなければ検察官は起訴できません(刑事訴訟法第230条)。告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月と定められています(刑事訴訟法第235条第1項)。投稿者の身元が判明してから6ヶ月を超えると告訴権が消滅するため、発信者情報開示請求で犯人を特定した場合は速やかに告訴の準備を進める必要があります。

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名誉毀損・侮辱罪の告訴状の書き方

告訴状には法定の書式はありませんが、捜査機関に受理されるためには、必要な情報を過不足なく記載する必要があります。SNSでの誹謗中傷事案では、投稿内容の特定と「公然性」の立証がポイントとなります。

告訴状の基本構成

告訴状には、以下の項目を順に記載します。

項目 記載内容
表題 「告訴状」と中央に大書
宛先 「○○警察署長 殿」(管轄警察署宛て)
告訴人の情報 氏名・住所・生年月日・職業・連絡先電話番号
被告訴人の情報 氏名・住所(不明の場合は「氏名不詳」でも可)
告訴の趣旨 「被告訴人の下記行為は刑法第230条第1項に該当すると思料されるので、処罰を求めるため告訴します」
告訴事実 犯罪行為の具体的内容(日時・場所・方法・被害内容)
告訴に至る経緯 誹謗中傷の発覚から告訴に至るまでの時系列
証拠資料一覧 添付する証拠の番号・名称・概要
日付・署名・押印 告訴人が署名し、押印する

告訴状の一般的な構成について、より詳しくは「告訴状の書き方ガイド|構成・記載例・提出先を行政書士が解説」で解説しています。

告訴事実の記載のポイント(SNS誹謗中傷の場合)

告訴事実は告訴状の核となる部分であり、捜査機関が受理を判断する際に最も重視されます。SNS上の誹謗中傷を告訴する場合は、以下の要素を具体的に記述してください。

  • 投稿のあったSNSの種類・アカウント名:「被告訴人は、SNS○○において、アカウント名「△△」を使用し」
  • 投稿の日時:「令和○年○月○日○時頃」(複数回の場合は「令和○年○月○日頃から同年○月○日頃までの間、○回にわたり」)
  • 投稿の具体的内容:原文をそのまま引用する(「」で括る)
  • 公然性:「不特定多数の者が閲覧可能な状態で」と明記
  • 名誉毀損の場合:「事実を摘示し、告訴人の名誉を毀損した」
  • 侮辱罪の場合:「事実を摘示せず、公然と告訴人を侮辱した」

被告訴人が匿名アカウントで身元が特定できていない場合は、「氏名不詳(SNS○○のアカウント名「△△」の使用者)」として告訴状を作成できます。ただし、身元不明のままでは捜査が困難なため、並行して発信者情報開示請求を進めるのが一般的です。

証拠の記載方法

告訴状には、証拠資料を「添付証拠一覧」として番号を付けて整理します。SNS誹謗中傷の告訴で一般的に必要な証拠は以下のとおりです。

  • 証拠1:該当投稿のスクリーンショット(URL・日時・投稿者のアカウント名が写っているもの)
  • 証拠2:投稿者のプロフィールページのスクリーンショット
  • 証拠3:被害の経緯を示す時系列メモ
  • 証拠4:発信者情報開示請求に関する資料(実施済みの場合)
  • 証拠5:被害を裏付けるその他の資料(診断書、精神的被害の記録等)

証拠は原本ではなくコピーを添付し、原本は告訴人側で保管してください。スクリーンショットはカラー印刷し、URLと日時が確認できる状態で出力します。

SNS誹謗中傷の証拠保全の方法

SNSでの誹謗中傷は、投稿者が削除したり、アカウント自体を消去したりする可能性があるため、発見した時点で迅速に証拠を保全することが極めて重要です。証拠が消えてしまうと、告訴状を作成しても立証が困難になります。

スクリーンショットの撮り方

証拠として有効なスクリーンショットを撮るためには、以下の点に注意してください。

  • 投稿の全文が表示されている状態で撮影する(途中で切れていないこと)
  • 投稿の日時が画面に表示されていること
  • 投稿者のアカウント名・表示名が確認できること
  • URLバーが表示されている状態で撮影する(投稿の固有URLが確認できること)
  • 可能であればPC画面とスマートフォン画面の両方で撮影する
  • 撮影日時が記録される方法(OS標準のスクリーンショット機能など)で保存する

スクリーンショットだけでは改ざんの可能性を指摘される場合があるため、ウェブ魚拓サービスを併用して第三者が確認できる形で保全しておくとより確実です。

発信者情報開示請求について

投稿者が匿名の場合、告訴と並行して発信者情報開示請求(情報流通プラットフォーム対処法〔旧:プロバイダ責任制限法〕第5条)を行い、投稿者の氏名・住所を特定する手続きが必要になる場合があります。2022年10月の改正法施行により、従来は2段階の手続き(コンテンツプロバイダへの開示請求→アクセスプロバイダへの開示請求)が必要でしたが、裁判所への1回の申立てで完結する発信者情報開示命令の制度が新設されました。

発信者情報開示請求は裁判手続きであるため、弁護士への依頼が一般的です。開示までに数ヶ月を要することもあるため、告訴期間(犯人を知った日から6ヶ月)の起算点には注意が必要です。インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口として、法務省のインターネット人権相談も利用できます。

証拠保全で注意すべき点

証拠保全において特に見落とされがちなのが、投稿のコンテキスト(文脈)を保全することです。単一の投稿だけでなく、その前後のやり取りやスレッド全体を保全しておくことで、投稿の意図や対象者を明確にできます。また、同一アカウントによる継続的な誹謗中傷の全体像を示すことは、捜査機関に対して被害の深刻さを伝えるうえでも有効です。

なお、SNSプラットフォームによっては投稿データの保存期間が限られている場合があります。プロバイダが保有するアクセスログには通常3〜6ヶ月程度の保存期間があるため、発信者の特定を検討している場合は、早期に弁護士に相談し、ログ保存の仮処分を申し立てることも選択肢の一つです。

告訴状の提出先と手続きの流れ

証拠が揃い、告訴状を作成したら、管轄の捜査機関に提出します。以下の4つのステップで手続きを進めます。

Step 1: 証拠を保全する

誹謗中傷の投稿を発見したら、直ちにスクリーンショットを撮影し、ウェブ魚拓も取得します。投稿が複数ある場合はすべてを記録し、時系列で整理してください。投稿者が削除する前に証拠を確保することが最優先です。併せて、被害の経緯(いつ・何を・どのように被害を受けたか)を時系列でメモにまとめておきます。

Step 2: 告訴状を作成する

保全した証拠に基づき、告訴状を作成します。名誉毀損罪か侮辱罪かの判断に迷う場合は、投稿内容に「具体的な事実の摘示」があるかどうかを基準に判断してください。両方に該当する投稿が混在する場合は、双方を併記して告訴することも可能です。告訴事実には投稿の原文をそのまま引用し、どの部分が名誉毀損・侮辱に該当するかを明示します。

Step 3: 警察署に提出する

告訴状は告訴人の住所地または犯罪地を管轄する警察署の刑事課(または生活安全課)に持参します。事前に電話連絡のうえ、担当者との面談日時を調整してください。告訴状は2部用意し、1部に受領印を押してもらい控えとします。刑事訴訟法第241条第1項により、書面による告訴は検察官または司法警察員に対して行います。

警察での受理に時間を要する場合や受理されなかった場合の対処法については、「告訴状が受理されない5つの理由と対策」で詳しく解説しています。

Step 4: 受理後の流れ

告訴が受理されると、捜査機関は捜査を進めるのが通常です。刑事訴訟法第242条により、司法警察員は告訴を受けた場合、速やかに書類および証拠物を検察官に送付する義務があります。受理後の一般的な流れは以下のとおりです。

  • 被告訴人の特定・任意の事情聴取
  • 関係者への聞き取り調査
  • プロバイダへの照会・データの取得
  • 検察官への事件送致(書類送検)
  • 検察官による起訴・不起訴の判断

告訴人には処分結果が通知されます(刑事訴訟法第260条・第261条)。不起訴の場合は、その理由の告知を請求することも可能です。なお、名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪であるため、起訴前であれば告訴を取り消すこともできます(刑事訴訟法第237条第1項)。ただし、一度取り消した告訴を同一事件で再度行うことはできません。

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よくある質問

Q. 匿名の投稿者でも告訴できますか?

はい。被告訴人を「氏名不詳」として告訴状を提出することは法律上可能です。ただし、捜査機関が投稿者を特定できなければ捜査が進まないため、並行して発信者情報開示請求を行い、投稿者の身元を特定する手続きを進めることが重要です。投稿者が判明した時点で、告訴状の被告訴人欄を補正します。

Q. 告訴期間の「犯人を知った日」とはいつですか?

告訴期間の起算点である「犯人を知った日」とは、犯人が誰であるかを知った日です。匿名アカウントの場合は、投稿を発見した日ではなく、発信者情報開示請求等により投稿者の氏名・住所が判明した日が起算点となります。この日から6ヶ月以内に告訴する必要があります。

Q. 名誉毀損の告訴と民事の損害賠償請求は同時にできますか?

はい。刑事の告訴と民事の損害賠償請求は別個の手続きであり、同時に進めることが可能です。刑事告訴による捜査が進むことで民事の立証に有利な情報が得られる場合もあります。民事では慰謝料や削除請求を求めることができ、多くの誹謗中傷事案では刑事・民事の両面から対応が行われています。

Q. 相手が投稿を削除した場合でも告訴できますか?

投稿が削除されても、スクリーンショットやウェブ魚拓など証拠が保全されていれば告訴は可能です。逆に、証拠が一切残っていない場合は立証が困難になるため、誹謗中傷の投稿を発見した段階で直ちに証拠を保全することが不可欠です。投稿の削除自体は犯罪事実の成否に影響しません。

Q. 告訴と被害届の違いは何ですか?

告訴は処罰を求める意思表示であり、親告罪(名誉毀損罪・侮辱罪)では告訴がなければ起訴できません。一方、被害届は被害事実を警察に申告するものであり、捜査の端緒にはなりますが、捜査義務は生じません。名誉毀損・侮辱罪で処罰を求める場合は、被害届ではなく告訴状の提出が必要です。詳しくは「告訴状と被害届の違い」をご覧ください。

まとめ

  • 名誉毀損罪は「事実の摘示」あり、侮辱罪は「事実の摘示なし」で区別される
  • 両罪とも親告罪であり、犯人を知った日から6ヶ月以内に告訴が必要
  • SNS誹謗中傷の証拠はスクリーンショット+ウェブ魚拓で速やかに保全する
  • 匿名投稿者の場合は発信者情報開示請求と告訴を並行して進める
  • 告訴状には投稿内容を原文引用し、公然性・名誉毀損(侮辱)該当箇所を明示する

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