告訴状関連

医療費不正請求の告訴状・告発状作成ガイド|警察宛てと行政通報の活用

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結論から言えば、医療機関による診療報酬の不正請求(架空請求・付増請求など)は、刑法246条の詐欺罪として告訴・告発の対象となり得ると同時に、健康保険法80条に基づく保険医療機関の指定取消や、同法58条3項に基づく返還金・加算金の徴収といった行政上の措置によっても責任を追及できます。刑事手続と行政処分は目的も要件も異なる別ルートであり、事案に応じて、刑事手続と行政機関への情報提供を併せて検討することがあります。行政書士法人Treeは、警察署長(司法警察員)宛ての告訴状・告発状の作成を通じて、事実関係と証拠を伝わる形へ整理するお手伝いをします。なお、検察庁に提出する告訴状・告発状の作成は司法書士法3条1項4号により司法書士・弁護士の業務のため行えません。受理後の捜査対応や示談交渉など弁護士の職域に属する事項は、提携弁護士と連携してご案内します。

医療費不正請求とは——診療報酬不正の主な類型

医療費不正請求とは、保険医療機関や保険薬局が、実際には行っていない診療・調剤について診療報酬を請求したり、実際より水増しして請求したりする行為をいいます。地方厚生局の監査で問題とされる典型は次の類型です。

  • 架空請求:診療の事実がないのに診療報酬を請求する
  • 付増請求:実際の診療回数・数量・日数より多く請求する
  • 振替請求:実際の診療内容を点数の高い別の診療に振り替えて請求する
  • 二重請求:自費診療として患者から費用を受領しながら保険にも請求する

厚生労働省の公表資料によると、令和6年度に保険医療機関等の指導・監査等を通じて返還を求めた額は約48億5,000万円、保険医療機関等の指定取消(取消相当を含む)は23件、保険医等の登録取消(登録取消相当を含む)は18人に上ります。不正請求は、保険料と公費を財源とする医療保険財政に対する侵害であり、刑事・行政の両面から追及される行為です。

刑法246条(詐欺罪)——不正請求はなぜ詐欺になるのか

刑法246条1項は「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する」と定めています(令和4年法律第67号による改正で懲役刑から拘禁刑に改められ、令和7年6月1日施行)。診療報酬の不正請求は、虚偽の内容のレセプト(診療報酬明細書)を提出して審査支払機関・保険者を欺き、診療報酬の支払を受ける構図であり、欺く行為・錯誤・財産の交付という詐欺罪の成立要件に当てはまり得ます。患者に過大な一部負担金を窓口で支払わせた部分も、同様に詐欺罪の被害を構成し得ます。

詐欺罪は親告罪ではないため告訴がなくても捜査・起訴は可能ですが、公訴時効は7年(刑事訴訟法250条2項4号)であり、証拠が散逸する前に事実を捜査機関へ届けることには大きな意味があります。組織的に反復された不正請求は被害額が高額化しやすく、開設者・管理者だけでなく請求事務の担当者が共犯として問われることもあります。

告訴と告発の違い——誰が刑事責任を追及できるか

刑事訴訟法230条は「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる」と定めています。医療費不正請求の直接の被害者は診療報酬を支払った保険者(健康保険組合・協会けんぽ・市町村など)ですが、不正な請求に基づき一部負担金を過大に支払わされた患者も、財産的被害を受けた者として告訴を検討する余地があります。

一方、同法239条1項は「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」と定めており、医療機関の元職員や、医療費通知(医療費のお知らせ)で身に覚えのない受診記録に気付いた被保険者などは、被害者でなくても告発という形で処罰を求められます。同条2項は、公務員が職務上犯罪を認めたときの告発義務を定めています。告訴・告発とも、書面または口頭で検察官または司法警察員に対して行います(同法241条1項)。

不正請求の通報先・相談窓口——地方厚生局・保険者と行政処分

刑事告訴と並行して活用できるのが、行政上の責任追及ルートです。主なものは次のとおりです。

手続 根拠条文 内容
保険医療機関の指定取消 健康保険法80条 不正請求を行った保険医療機関・保険薬局の指定を取り消す。地方社会保険医療協議会への諮問を経て行われ、取消後は原則5年間再指定されない
保険医等の登録取消 健康保険法81条 保険医・保険薬剤師の登録を取り消す。地方社会保険医療協議会への諮問を経て行われる
返還金+加算金 健康保険法58条3項 偽りその他不正の行為により支払を受けた額を返還させ、さらに返還額の40%に相当する額を支払わせることができる
医師免許への処分 医師法7条 厚生労働大臣が医道審議会の意見を聴き、戒告・3年以内の医業停止・免許取消を行う

刑事裁判で罰金以上の刑が確定すると、医師法4条3号(罰金以上の刑に処せられた者)に該当し、同法7条の行政処分の事由となります。つまり刑事手続の結果は行政処分にも連動し、告訴・告発は行政上の責任追及の端緒としても機能します。また、令和6年度の指定取消処分(取消相当を含む)23件のうち20件は、保険者・医療機関従事者・医療費通知に基づく被保険者等からの情報提供が端緒であるため、地方厚生局への情報提供と告訴・告発を組み合わせる進め方が現実的です。

告訴状に盛り込むべき記載事項と証拠

告訴状に法定の書式はありませんが、捜査機関が事件として受け付けるか判断できるだけの具体性が必要です。一般に次の事項を整理して記載します。

  • 告訴人・被告訴人の特定(医療機関名、開設者・管理者の氏名、担当医など)
  • 告訴の趣旨(刑法246条1項の詐欺罪として処罰を求める旨)
  • 犯罪事実(いつ、どの診療について、どのような虚偽の請求が行われ、誰がいくらを交付したのか)
  • 立証資料(診療明細書・領収書、医療費通知、レセプト開示資料、通院記録、勤務時の内部資料など)

患者の立場では、保険者へのレセプト開示請求と手元の領収書・医療費通知との突合により、実際の受診状況と請求内容のずれを客観的資料で示せると説得力が増します。推測や伝聞だけで「不正があるはずだ」と記載しても受理は困難で、日時・金額・診療項目を特定した事実の記載が要になります。数年分に及ぶ不正が疑われる場合でも、疑われる各行為について、日時・請求内容・金額と対応する証拠を整理し、記載範囲は事案に応じて慎重に検討する必要があります。

提出後の流れと実務上の留意点

告訴・告発が受理されると、捜査機関は捜査を行い、検察官が起訴・不起訴を判断します。告訴・告発をした者には、検察官から起訴・不起訴等の処分結果が通知され(刑事訴訟法260条)、不起訴の場合は請求により理由の告知を受けられます(同法261条)。他方で、犯罪事実の特定が不十分な書面は受け取られず補正を求められる運用も少なくないため、提出前の書面の完成度が結果を左右します。

なお、検察庁宛ての告訴状作成、受理に向けた捜査機関との交渉、受理後の対応や医療機関側との示談交渉は当事務所では行わず、弁護士への相談をご案内します。事案の性質上、当初から弁護士への依頼が適切な場合は、その旨を率直にご案内します。

当事務所のサポート

行政書士は、行政書士法1条の2に基づき権利義務・事実証明に関する書類の作成を業として行うことができ、告訴状・告発状の作成もこれに含まれます。行政書士法人Treeでは、時系列の整理、証拠資料の目録化、犯罪事実の特定という観点から、警察署長(司法警察員)宛ての告訴状・告発状を作成します。検察庁に提出する告訴状・告発状の作成は司法書士法3条1項4号により司法書士・弁護士の業務のため行えません。提出先の選定助言・受理後の捜査対応・示談交渉・刑事弁護は弁護士の業務であるため当事務所では行わず、必要に応じて提携弁護士をご紹介し連携して対応します。

告訴状・告発状の作成は38,280円(税込)〜(事案により変動)で承っています。医療費通知に身に覚えのない診療が載っている、勤務先の医療機関の請求に疑問がある——そうした段階の整理からお手伝いしますので、告訴状・告発状作成サポートのページからお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。

告訴状・告発状の作成でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、警察署(司法警察員)に提出する告訴状・告発状について、事実関係と証拠を整理した書面の作成を承ります。書類作成に関するご相談は何度でも無料です。※検察庁に提出する書類の作成は司法書士・弁護士の業務です。また、提出先の選定に関する法的助言、告訴の代理、受理後の捜査対応や示談交渉は弁護士の業務であり、当法人では取り扱いません。

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まとめ

診療報酬の不正請求は、刑法246条の詐欺罪(10年以下の拘禁刑)として刑事責任を問い得ると同時に、健康保険法80条の指定取消、同法58条3項の返還金と40%加算金、医師法7条の免許への処分という行政上の責任追及が並行して機能する分野です。告訴・告発を実らせる第一歩は、医療費通知やレセプト開示資料に基づいて日時・金額・診療項目を特定し、証拠と結び付いた告訴状・告発状を作成することです。書面の完成度が受理の可否を左右するからこそ、作成段階から専門家の関与をご検討ください。

医療費不正請求の告訴に関するよくある質問

Q:患者本人でなくても告訴や告発はできますか。

A:告発は「何人でも」できます(刑事訴訟法239条1項)。医療機関の元職員や取引先など、被害者でない立場の方は告発として捜査機関に処罰を求めることになります。過大な一部負担金を支払わされた患者は、被害者として告訴し得る立場です。

Q:告訴状を提出すれば必ず捜査してもらえますか。

A:受理されれば捜査は行われますが、犯罪事実の特定が不十分な書面は受理自体に至らないことがあります。日時・金額・診療項目を特定し、診療明細書やレセプト開示資料など客観的証拠を添えることが重要です。

Q:何年前の不正請求まで告訴できますか。

A:詐欺罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。反復された不正請求では行為ごとに時効の起算点が異なり得るため、直近の行為から整理するのが現実的です。行政上の返還請求は刑事の時効とは別の枠組みで進みます。

Q:名前を出さずに不正を知らせる方法はありますか。

A:告訴・告発は氏名を明らかにして行うのが原則ですが、監査の端緒となる情報提供は管轄の地方厚生局に対して行えます。まず情報提供で行政の調査を促し、必要に応じて告訴・告発を検討する順序も考えられます。

Q:行政書士にはどこまで依頼できますか。

A:行政書士に依頼できるのは、警察署長(司法警察員)宛ての告訴状・告発状という書類の作成までです。検察庁宛ての告訴状・告発状の作成、受理後の捜査対応、示談交渉、刑事手続の代理は弁護士の業務のため、当事務所では提携弁護士と連携してご案内します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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