公開日:2026年5月19日
「結婚を前提に交際していた相手から金銭を騙し取られた」「結婚意思があるかのように装われて多額の貸付・贈与をさせられた」――いわゆる結婚詐欺・婚姻詐欺は、独立した罪名ではなく、結婚意思があるように装って相手を錯誤に陥れ金銭・物品を交付させた場合に、刑法第246条の詐欺罪として問題となる類型です。単なる婚約破棄や恋愛トラブルとは区別が必要で、欺罔行為・錯誤・財産処分行為・財物交付・故意の各要素について事実と証拠の整理が求められます。本記事では、結婚詐欺の刑事告訴の枠組み、民事救済との使い分け、告訴状作成のポイント、行政書士の業務範囲を整理します。
本記事の結論:
- 結婚詐欺は独立した罪名ではなく、刑法第246条詐欺罪(10年以下の拘禁刑)として問題となる類型。当初から結婚意思がなく結婚を装って金銭・物品を交付させた場合に成立が問題となる。
- 単なる婚約破棄(途中で気持ちが冷めた・事情変更等)は刑事の詐欺罪に該当せず、民事上の婚約不履行・不法行為・損害賠償・慰謝料の問題として整理される。
- 立証ポイントは①結婚意思があるように装う欺罔行為、②錯誤、③金銭交付・振込・贈与・貸付等の処分行為、④財物交付または財産上の利益移転、⑤当初から金銭を取得する目的だった故意・不法領得意思の整理。
- 当事務所は警察署長宛て告訴状の作成・事実関係整理書面の作成を担当します。
結婚詐欺の告訴状作成サポート
次のような被害でお困りの方は、行政書士法人Treeにご相談ください。
- 結婚を約束した相手から多額の金銭を騙し取られた
- 「事業資金」「親の医療費」等の名目で貸付・贈与をした後、相手と連絡が取れない
- マッチングアプリ・SNSで知り合った相手と結婚詐欺被害に遭った
- 同種の被害者が複数存在する組織的結婚詐欺の刑事告訴を検討している
- 国際ロマンス詐欺(外国人を装ったSNS詐欺、暗号資産送金被害等)の対応を相談したい
- 婚約破棄か結婚詐欺かの区別を整理したい
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■ 結婚詐欺は「結婚意思の嘘」と「金銭交付の因果関係」がカギ
いわゆる結婚詐欺は、結婚意思があるように装って相手を錯誤に陥れ、金銭・物品を交付させた場合に、刑法第246条の詐欺罪として問題となる類型です。単に交際中に嘘をついた、気持ちが変わって婚約破棄になった、というだけでは刑事事件としての詐欺罪に直ちに該当するわけではありません。重要なのは、当初から結婚意思がなかったこと、被害者がその結婚意思を信じたこと、そしてその信頼に基づいて貸付・贈与・送金・物品交付等の処分行為をしたことです。LINE・メール・録音・SNS・振込記録・既婚事実・他被害者の存在・連絡途絶の経緯などを時系列で整理し、単なる婚約破棄ではなく、財産取得を目的とした欺罔行為であったことを具体化することが受理の鍵となります。
■ 根拠法令(2026年5月時点)
- 刑法第246条(詐欺罪・10年以下の拘禁刑、2025年6月1日施行の改正で「懲役」から変更)
- 刑法第246条の2(電子計算機使用詐欺罪・電子計算機に虚偽情報等を与えて財産上不法の利益を得る類型で問題となる罪名。SNS・マッチングアプリを使用しただけで直ちに同罪となるわけではなく、通常の結婚詐欺では刑法第246条を中心に検討)
- 刑法第250条(未遂罪)
- 刑法第157条第1項(電磁的公正証書原本不実記録罪・偽装結婚で問題となる罪名、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)
- 民法第709条・第710条(不法行為に基づく損害賠償請求)
- 民法第703条・第704条(不当利得返還請求)
- 民法第742条第1号(婚姻意思の不存在による婚姻無効・最判昭和44年10月31日が実質的意思説を採用)
- 刑事訴訟法第230条(告訴権者)・第241条(告訴・告発の方式、検察官または司法警察員に対して書面または口頭で行う)・第242条(司法警察員の検察官送付義務)
- 刑事訴訟法第250条第2項第4号(詐欺罪の公訴時効7年)・第253条第1項(時効起算点:犯罪行為が終わった時から進行)
- 家事事件手続法第277条第1項(合意に相当する審判・婚姻無効確認の手続)
- 出入国管理及び難民認定法第74条の8第2項(不法在留援助罪・ブローカー介在偽装結婚で問題となる罪名)
- 行政書士法第1条の2第1項(官公署に提出する書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成)
■ 1. 結婚詐欺と婚約破棄の区別
刑事責任が問われる結婚詐欺の要件
結婚詐欺として刑法第246条詐欺罪が問題となるためには、以下の要素について事実と証拠の整理が必要です。
- 結婚意思があるように装う欺罔行為:当初から結婚する意思がないのに、結婚を装って言動する
- 錯誤:被害者が「相手は結婚意思がある」と信じる
- 錯誤に基づく処分行為:信じたことによって金銭交付・振込・贈与・貸付等を行う
- 財物の交付または財産上の利益移転:刑法第246条の条文構造に即して財物交付か利益移転かを整理
- 故意・不法領得意思:当初から金銭を取得する目的だったこと
婚約破棄との違い
単なる婚約破棄(途中で気持ちが冷めた・事情変更・第三者の介入等)は、原則として刑法第246条詐欺罪に該当せず、民事上の婚約不履行、不法行為(民法第709条)、損害賠償、慰謝料の問題として整理されます。婚約破棄の場合、結納金・婚約指輪・結婚式準備費用等の返還・損害賠償請求は民事訴訟で行います。
区別のポイントは、当初から結婚意思がなかったかに加え、その虚偽の結婚意思表示を信じたために被害者が金銭・物品を交付したという因果関係があるかです。当初は結婚意思があり後で気が変わった場合は原則として婚約破棄の問題ですが、当初から結婚意思がなく、「結婚するから貸してほしい」「新居・式場・親族挨拶のために必要」などと結婚意思を利用して財産処分をさせた場合は、詐欺罪として問題となります。
参考判例:婚姻意思については最判昭和44年10月31日が実質的意思説を採用し、社会通念上夫婦と認められる関係性形成意思が必要としています。結婚詐欺の故意(当初から騙す意図)については、(1)既婚事実の隠蔽、(2)同時期の多重交際、(3)金銭授受直後の連絡途絶、(4)虚偽の事業計画・身分(医師・経営者等)の称呼、(5)被害者複数の存在等が、当初からの詐欺の故意を推認する間接事実として裁判例で多数認定されています。
■ 2. 結婚詐欺の典型手口(刑法第246条詐欺罪の類型)
- 既婚者なのに独身を装う:戸籍・配偶者の存在を隠して結婚を約束
- 多重交際で多数被害者を作る:同時期に複数の被害者と結婚を約束し金銭を要求
- 事業資金・医療費等の名目で金銭要求:「結婚後に返す」「結婚資金に使う」等の虚偽の用途説明
- マッチングアプリ詐欺・国際ロマンス詐欺:SNS・マッチングアプリで知り合い、対面前から金銭要求。海外を拠点とした組織犯罪化・暗号資産送金被害が増加傾向
- 結婚式・新居資金を流用:結婚準備金として受け取った金銭を流用
- 家族・親族を巻き込む:被害者の家族・親族からも金銭を引き出す
参考:偽装結婚との区別 在留資格取得が主目的の偽装結婚(婚姻意思のない婚姻届出)は、結婚詐欺(刑法第246条詐欺罪)とは罪名・構成要件が異なる別類型で、刑法第157条第1項「電磁的公正証書原本不実記録罪」(戸籍は電子化されているため。法定刑は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)として独立して処罰されます。ブローカー介在の場合は出入国管理及び難民認定法第74条の8第2項により5年以下の拘禁刑及び500万円以下の罰金。また、偽装結婚は民法第742条第1号(婚姻意思の不存在)により婚姻自体が無効となり(最判昭和44年10月31日:実質的意思説)、家事事件手続法第277条第1項に基づく合意に相当する審判(婚姻無効確認調停)または婚姻無効確認訴訟で婚姻無効が確定します。詳細は関連記事の偽装結婚関連告訴状記事をご参照ください。
■ 3. 告訴状作成のポイント
記載必須事項
- 告訴人(被害者)の氏名・住所・連絡先
- 被告訴人(結婚詐欺加害者)の氏名・住所・職業・既婚状況等
- 告訴の趣旨(罰条と処罰を求める旨)
- 告訴の事実(時系列での事実関係・5W1H)
- 構成要件に対応する事実・証拠の整理(欺罔行為、錯誤、財産的処分行為、財物交付・財産上の利益移転、故意を示す具体的事実)
- 立証方法・添付証拠の一覧
添付証拠の例
- 結婚を約束した具体的言動の証拠(LINE・メール・録音・写真・SNS投稿・通話履歴)
- 金銭授受の客観的証拠(振込記録・受領証・領収書・暗号資産送金記録)
- 相手の既婚事実・多重交際の証拠(戸籍・他被害者陳述書)
- 結婚式・新居準備の証拠(式場予約・物件契約等の具体的準備行動)
- 相手が結婚意思がなかったことを示す状況証拠(連絡途絶・引越・SIM変更・連絡先変更)
- 被害者の経済状況・贈与・貸付の経緯
- 相手の虚偽の事業計画・身分(医師・経営者・公務員等の称呼)の裏付け
■ 4. 民事救済との並行
結婚詐欺被害者は、刑事告訴と並行して民事救済を進めることができます。
民事救済の主な手段
- 不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条・第710条):贈与額・精神的損害(慰謝料)
- 不当利得返還請求(民法第703条:善意の受益者は利益が現存する限度で返還、第704条:悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還)
- 消費貸借契約に基づく返還請求(民法第587条以下):金銭を貸付と整理される場合
- 婚姻無効確認:偽装結婚の場合は民法第742条第1号(当事者間に婚姻をする意思がない場合は婚姻無効)に基づき、家事事件手続法第277条第1項の合意に相当する審判(婚姻無効確認調停での合意+家裁の正当性認定)により婚姻無効を確定。調停不成立時は婚姻無効確認訴訟。判例(最判昭和44年10月31日)は婚姻意思について実質的意思説を採用
これらの民事救済の代理は弁護士業務(弁護士法第3条)です。訴額140万円以下の簡裁訴訟代理は認定司法書士(司法書士法第3条第1項第6号)も対応可能です。家事審判の代理人活動(調停同席・主張立証)は弁護士業務、家事審判申立書の作成は司法書士業務(司法書士法第3条第1項第4号)となります。
結婚詐欺被害の事実関係整理サポート
LINE・メール・SNS・録音・振込記録など多岐にわたる証拠の時系列整理から、警察署長宛て告訴状の作成・添付証拠目録の整理まで、行政書士法人Treeが対応します。スタンダード 38,280円(税込)/お急ぎ特急 49,280円(税込)/不受理時対応オプション +33,000円(税込)。
■ 5. 公訴時効と告訴前の確認事項
結婚詐欺の刑事告訴を行う前に、以下を確認します。
【公訴時効】
- 刑法第246条詐欺罪(法定刑10年以下の拘禁刑)の公訴時効は7年(刑事訴訟法第250条第2項第4号)
- 起算点は「犯罪行為が終わった時」から進行(刑事訴訟法第253条第1項)
- 結婚詐欺で複数回の金銭授受がある場合は、各交付行為ごとに時期を整理し、最後の交付時期だけでなく個々の被害金について公訴時効を確認。包括一罪として処理される場合は最終行為時から、併合罪として処理される場合は各個別行為時から起算
【告訴前の確認事項】
- 被告訴人の特定情報(氏名・住所・電話番号・写真・SNSアカウント・勤務先・職業等)
- 金銭授受の客観的証拠(振込記録・現金授受の領収証・LINE・暗号資産送金記録)
- 結婚を装う具体的言動の証拠(LINE・メール・録音・写真・SNS投稿)
- 相手の既婚事実・多重交際の証拠(戸籍・他被害者陳述書)
- 結婚相談所・マッチングサービス・国際結婚仲介業者など事業者が関与する場合は消費生活センター等への相談記録
■ 6. 警察への告訴受理を促す実務ポイント
告訴は、犯罪事実を申告し犯人の処罰を求める意思表示です。司法警察員が告訴を受けた場合は、速やかに関係書類・証拠物を検察官に送付する必要があります(刑事訴訟法第242条)。ただし、結婚詐欺は「民事不介入」「恋愛トラブル」との境界が問題になりやすい類型のため、告訴状では、単なる婚約破棄ではなく詐欺罪として評価される具体的事実と証拠を整理することが重要です。以下のポイントで受理を促します。
- 当初から騙す意図があったことを示す状況証拠の充実(既婚事実・他被害者の存在・連絡途絶パターン)
- 金銭授受の客観的証拠(振込記録・暗号資産送金記録)
- 結婚を装う具体的言動(録音・LINE・SNS)
- 被害金額の特定(複数項目を時系列整理)
- 同種被害者との連携(共同告訴・告発状)
- 結婚相談所等の事業者が関与する場合の消費生活センター・国民生活センターへの相談記録
■ 7. 業務範囲の整理
行政書士の業務範囲(行政書士法第1条の2第1項:官公署に提出する書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成)
- 警察署長宛て告訴状・告発状の作成
- 事実関係整理書面の作成(時系列での欺罔行為・錯誤・財産的処分行為・財物交付・故意を示す事実の整理)
- 添付証拠目録の整理
- 事実証明書類の作成(被害経緯の整理、LINE・SNS等のテキスト化整理、他被害者陳述書のテンプレート作成等)
業務範囲外(連携先専門家)
- 検察庁に提出する告訴状の作成(司法書士業務・司法書士法第3条第1項第4号)
- 捜査機関(検察官・警察官)への代理対応・示談交渉・代理出廷(弁護士業務・弁護士法第72条)
- 被害金返還の交渉代理(弁護士業務・弁護士法第72条)
- 不法行為(民法第709条・第710条)・不当利得返還請求(民法第703条・第704条)の民事訴訟代理(弁護士業務・弁護士法第3条)。訴額140万円以下の簡裁訴訟代理権・即決和解・支払督促代理・民事保全等は認定司法書士(司法書士法第3条第1項第6号)も対応可能
- 婚姻無効・取消等の家事事件の代理人活動(弁護士業務・弁護士法第3条)
- 家庭裁判所提出書類の作成(司法書士業務・司法書士法第3条第1項第4号)
- 消費生活センター相談(自治体窓口・消費生活相談員)
- 家族・配偶者への影響対応(弁護士・家族カウンセラー)
■ FAQ|よくあるご質問
Q1. 結婚詐欺と婚約破棄の違いはどう判断しますか?
A. 「当初から結婚意思があったか」に加え、「その虚偽の結婚意思表示を信じたために被害者が金銭・物品を交付したという因果関係」があるかが判断基準です。当初は結婚意思があり後で気が変わった場合は婚約破棄(民事問題)、当初から結婚意思なく騙す目的だった場合は結婚詐欺(刑事問題)です。立証は困難ですが、既婚事実・他被害者の存在・連絡途絶パターン・虚偽の身分の称呼等が立証要素となります。
Q2. マッチングアプリで知り合った相手による被害も告訴できますか?
A. 可能です。マッチングアプリやSNSで知り合った相手による被害でも、結婚意思や交際継続を装って金銭・物品を交付させた事情があれば、刑法第246条詐欺罪として告訴を検討できます。特に「国際ロマンス詐欺」(外国人を装ったSNS・マッチングアプリでの結婚詐欺、組織犯罪化・海外拠点化)は警察庁・国民生活センターでも警鐘が鳴らされており、暗号資産による送金を要求するケースも増加しています。アプリ内メッセージ(スクリーンショット)、プロフィール、SNSアカウント、送金記録(振込記録・暗号資産送金記録)、通話履歴、相手の身元情報を早期に保全することが重要です。海外拠点犯罪の場合は捜査困難なケースもありますが、まずは警察相談から始めることが推奨されます。
Q3. 加害者の所在が分かりません。告訴できますか?
A. 所在不明でも告訴は可能で、警察が捜査により所在特定を試みます。ただし、被告訴人の特定情報(氏名・住所・電話番号・写真・SNSアカウント・勤務先・職業等)が多いほど捜査が進めやすくなります。
Q4. 結婚詐欺の公訴時効は何年ですか?
A. 刑法第246条詐欺罪(法定刑10年以下の拘禁刑)の公訴時効は、刑事訴訟法第250条第2項第4号により7年です。刑事訴訟法第253条第1項により「時効は、犯罪行為が終った時から進行する」と規定されており、結婚詐欺で複数回の金銭授受がある場合は、包括一罪として処理される場合は最終行為時から、併合罪として処理される場合は各個別行為時から起算します。各交付行為ごとに時期を整理し、個々の被害金について公訴時効を確認します。
Q5. 被害金は必ず返ってきますか?
A. 刑事告訴により加害者が刑事処罰を受けても、被害金が当然に返ってくるわけではありません。被害金回収は別途、民事訴訟・強制執行による必要があります。被害金回収のための交渉・訴訟代理は弁護士業務となります。
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結婚詐欺の告訴状作成サポート
結婚詐欺・婚姻詐欺(既婚者の独身偽装・多重交際・事業資金等の名目での金銭要求・マッチングアプリ詐欺・国際ロマンス詐欺等)について、警察署長宛て告訴状の作成・事実関係整理書面の作成・添付証拠目録の整理を行政書士法人Treeで対応します。スタンダード 38,280円(税込)/お急ぎ特急 49,280円(税込)/不受理時対応オプション +33,000円(税込)。
■ まとめ
結婚詐欺・婚姻詐欺は独立した罪名ではなく、結婚意思があるように装って相手を錯誤に陥れ金銭・物品を交付させた場合に、刑法第246条詐欺罪(10年以下の拘禁刑)として問題となる類型です。重要なのは、当初から結婚意思がなかったことに加え、その虚偽の結婚意思表示を信じたために被害者が金銭・物品を交付したという因果関係があるかです。
立証ポイントは①結婚意思があるように装う欺罔行為、②錯誤、③錯誤に基づく金銭交付・贈与・貸付等の処分行為、④財物交付または財産上の利益移転、⑤当初から金銭を取得する目的だったことを示す故意・不法領得意思の5要素について、事実と証拠を時系列で整理することです。婚姻意思については最判昭和44年10月31日が実質的意思説を採用しており、虚偽の事業計画・身分の称呼、既婚事実の隠蔽、多重交際、連絡途絶パターン等が当初からの詐欺の故意を推認する間接事実として裁判例で多数認定されています。
典型手口として、既婚者の独身偽装、多重交際、事業資金・医療費名目での金銭要求、マッチングアプリ詐欺・国際ロマンス詐欺、結婚式・新居資金の流用等があります。在留資格取得が主目的の偽装結婚は刑法第246条詐欺罪ではなく、刑法第157条第1項「電磁的公正証書原本不実記録罪」として独立して処罰される別類型です。民法第742条第1号により婚姻自体が無効となり、家事事件手続法第277条第1項の合意に相当する審判等で婚姻無効が確定します。
公訴時効は7年(刑事訴訟法第250条第2項第4号)で、犯罪行為が終わった時から進行します(同法第253条第1項)。複数回の金銭授受がある場合は包括一罪・併合罪の処理によって起算点が変動するため、各交付行為ごとに時期を整理することが重要です。告訴状は警察署長宛てに提出し、構成要件に対応する事実と証拠(LINE・録音・SNS・振込記録・他被害者陳述書)の整理が受理可否を左右します。
当事務所は警察署長宛て告訴状の作成・事実関係整理書面の作成・添付証拠目録の整理を行政書士業務として対応します(行政書士法第1条の2第1項)。刑事告訴と民事救済を並行することで、加害者の刑事処罰と被害金回収の両面で対応することが可能です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。