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離婚時の退職金・年金分割|将来退職金の財産分与・年金分割5年期限を解説

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離婚に伴う財産分与の中でも、退職金と年金分割は将来の生活設計に直結する重要な論点です。まだ受け取っていない退職金は分与対象になるのか、年金分割はいつまでに請求しなければならないのか、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)はどう扱うのか――。条文上は短く規定されていても、実務では算定方法・評価時点・請求期限など、判断を誤ると数百万円単位で結果が変わる場面が少なくありません。本記事では、2026年4月1日施行の改正法(年金分割・財産分与の請求期間延長)を踏まえつつ、離婚協議書・公正証書を作成する行政書士の立場から、退職金と年金分割の基本的な考え方、算定の実務、書面化の留意点を整理します。

本記事の結論:

  • 婚姻期間中に夫婦の協力により形成された退職金部分は財産分与(民法768条)の対象となり、すでに支給済みの退職金はもちろん、将来支給予定の退職金も、支給の蓋然性が高い場合には分与対象または分与額算定上の一事情として考慮されることがあります。
  • 年金分割は、合意分割(厚生年金保険法78条の2)と3号分割(同法78条の14)の2制度があり、按分割合は最大0.5です。請求期限は、2026年4月1日以後に離婚等をした場合は原則として離婚等をした日の翌日から5年以内、2026年4月1日前に離婚等をした場合は原則として2年以内です(経過措置)。
  • 財産分与の請求期間も2026年4月1日以後の離婚は原則5年、それ以前の離婚は原則2年です(民法768条2項)。
  • 確定拠出年金(DC・iDeCo)は離婚時点の評価額のうち婚姻期間中の拠出・運用益部分を基礎に財産分与で清算し、年金分割制度の対象にはなりません。確定給付企業年金(DB)は制度内容により評価方法が異なります。
  • 書面化にあたっては、算定根拠・支払方法・年金分割の按分割合を明確に記載し、後日の紛争を避けることが重要です。税務上の取扱い(譲渡所得・贈与税の論点等)は税理士の専管業務となるため、提携税理士をご紹介します。

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根拠法令・参考リンク

  • 民法768条(財産分与)── 2026年4月1日以後の離婚は請求期間5年、それ以前は2年
  • 厚生年金保険法78条の2(合意分割)・78条の14(3号分割)── 2026年4月1日以後の離婚等は請求期限5年、それ以前は2年(経過措置)
  • 確定拠出年金法
  • 確定給付企業年金法
  • 退職金の財産分与については、将来退職金の支給蓋然性、退職金規程、勤務年数、定年までの期間等を考慮した裁判例・実務が蓄積されています。最高裁判例を引用する場合は、事件番号・判示内容・射程を確認します。
  • 日本年金機構「離婚時の年金分割」案内(2026年4月1日以後の離婚等は原則5年以内、2026年4月1日前の離婚等は原則2年以内)

1. 離婚時の財産分与とは|民法768条・2分の1ルール・婚姻期間の考え方

離婚に伴う財産分与は、民法768条に基づき、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を清算する制度です。対象となるのは「実質的に共有とみられる財産」であり、名義の如何を問いません。預貯金・不動産・有価証券のほか、退職一時金、確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)などは、制度の性質に応じて財産分与上の評価方法が異なります。

分与割合は、夫婦双方の寄与を平等とみて2分の1ずつとする考え方が実務上広く用いられています。ただし、特有財産、別居期間、特殊な資産形成事情などにより個別調整が問題となることがあります。分与方法は現金一括が中心ですが、不動産の名義移転、退職金の将来支給時清算、年金分割(請求書提出)など、財産の性質に応じた整理が必要です。

2. 退職金は財産分与の対象?将来退職金・定年退職・離婚時退職仮定法

2-1. 既に支給済みの退職金

離婚時点で既に受領済みの退職金は、預貯金等として残っていれば、その残額のうち婚姻期間に対応する部分が財産分与の対象になります。既に消費されている場合でも、浪費、隠匿、別資産への転化、基準時後の処分などが問題となることがあります。婚姻前に勤務開始した期間がある場合は、婚姻期間に対応する按分計算を行います。分母を離婚時までの勤務期間とするか、定年までの勤務見込期間とするかは、採用する算定方式や合意内容により異なります。

2-2. 将来発生予定の退職金

退職金がまだ支給されていない場合でも、近い将来に受給の蓋然性が高いと認められる範囲で、財産分与の対象または分与額算定上の一事情として考慮されることがあります。具体的には、定年までの期間、勤務先の財務状況、退職金規程の有無、勤務継続の蓋然性等を考慮し、合理的に算定します。なお、別居期間が長く夫婦の経済的協力関係が失われている場合は、別居時点をどう基準時に取るかが問題になります。

2-3. 算定方法の代表例

  • 離婚時自己都合退職と仮定した場合の退職金額(離婚時点退職仮定法)
  • 定年退職時の支給見込額を、婚姻期間/勤務全期間で按分する方法
  • 支給見込額を現在価値に引き直す方法(中間利息控除)。割引率・係数・計算方法は法定利率や裁判実務により変わるため、具体的計算は弁護士等に確認します

協議離婚で書面化する場合は、当事者間でどの算定方式を採用するかを合意できます。合意できない場合は、家庭裁判所の調停・審判・訴訟等で、具体的事情に応じて判断されます。算定根拠を協議書本文または別紙に明記しておくことで、後日の解釈紛争を防止できます。

3. 退職金分与の支払方法|一括払い・分割払い・退職時清算の条項例

退職金分の財産分与は、支払い方法も論点になります。離婚時に手元資金から一括で支払うパターンと、実際に退職金が支給された時点で支払うパターンがあります。

  • 離婚時一括清算:算定額が確定するため後日の紛争が少ない反面、手元資金の確保が必要
  • 将来支給時清算:実際の退職金額に応じて支払うため公平だが、退職時期・転職・倒産等のリスク管理が必要

将来清算方式を選ぶ場合、支払時期・金額算定式・支払方法・連絡義務等を協議書に詳細に記載します。可能であれば公正証書化し、金額・支払期限・支払条件をできる限り特定した金銭債務として記載することで、不履行時の備えになります。ただし、将来支給額が不確定な条項は強制執行可能性が問題となるため、公証人・弁護士に事前確認することが望ましいです。

4. 離婚時の年金分割とは|合意分割・3号分割・按分割合0.5の違い

4-1. 合意分割(厚年法78条の2)

婚姻期間中の厚生年金保険料納付記録(標準報酬)を、当事者の合意(または家庭裁判所の審判)に基づいて分割する制度です。按分割合は最大0.5(2分の1)まで、当事者の合意で決定します。対象となるのは、婚姻期間等のうち厚生年金保険の標準報酬記録です。国民年金のみの期間や厚生年金に加入していない期間は、年金分割の対象外です。

4-2. 3号分割(厚年法78条の14)

2008年(平成20年)4月1日以後の国民年金第3号被保険者期間について、相手方の合意なしに標準報酬記録を2分の1に分割できる制度です。3号被保険者だった側が単独で年金事務所に請求できます。完全自動ではなく、請求手続をしなければ分割は行われません。

4-3. 両制度の関係

2008年4月以降の3号被保険者期間については、合意分割の請求があれば3号分割も同時に請求があったものとみなされます。婚姻期間中に合意分割の対象期間と3号分割の対象期間が混在する場合は、両制度の関係を整理する必要があります。実務では、情報通知書を確認したうえで、合意分割の按分割合を0.5とする合意をするケースが多く見られます。

5. 年金分割の請求期限は5年?2026年改正・2年期限との違いと手続き

年金分割の請求期限は、2026年4月1日以後に離婚等をした場合、原則として離婚等をした日の翌日から起算して5年以内です(厚年法78条の2第6項、改正後)。なお、2026年4月1日前に離婚等をした場合は、経過措置により原則として2年以内です。期限を過ぎると原則として請求できなくなるため、早めに年金事務所で確認することが重要です。

請求手続きの流れは概ね次のとおりです。

  1. 年金事務所で「情報通知書」を取得(婚姻期間中の標準報酬の状況確認)
  2. 当事者間で按分割合を協議・合意
  3. 当事者双方が年金事務所で請求する場合は、所定の合意書等で対応できる場合があります。一方のみで請求する場合は、公正証書、公証人の認証を受けた私署証書、調停調書、審判書等が必要となるため、年金事務所で確認します
  4. 離婚成立後、当事者双方または要件を満たす一方が、年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出します。一方のみで請求する場合は、上記の公正証書・認証私署証書・調停調書・審判書等の添付が必要となります

合意が成立しない場合は、家庭裁判所に按分割合を定める審判または調停を申し立てることになります(調停代理は弁護士業務)。

6. iDeCo・企業型DC・確定給付企業年金DBは財産分与できる?評価方法を解説

6-1. 確定拠出年金(DC・iDeCo)

企業型DCおよび個人型iDeCoは、加入者個人の口座で運用される個人勘定型の年金資産です。年金分割制度(合意分割・3号分割)の対象ではなく、財産分与(民法768条)の対象として、離婚時点の評価額(残高)を基礎に清算します。

口座そのものの移管はできないため、婚姻期間中の拠出分およびその運用益に対応する部分を評価し、現預金等で清算する方法が考えられます。婚姻前拠出分や別居後拠出分がある場合は、按分方法を個別に整理します。

6-2. 確定給付企業年金(DB)

勤務先が運営する確定給付企業年金は、制度内容により一時金、年金、脱退一時金等の形があり、財産分与上の評価が問題となる場合があります。退職金と同様の考え方で評価することもありますが、制度規約・給付見込額・受給可能性を確認します。算定方式は退職金と同様に、離婚時点退職仮定法・按分計算法等を用いる場合もあります。

6-3. 公務員共済年金

2015年10月の被用者年金一元化により、共済年金は厚生年金に統合されています。元公務員の方の年金分割も、基本的には厚生年金保険法に基づく合意分割・3号分割の枠組みで処理されます。ただし、旧共済期間、経過措置、年金払い退職給付等が関係する場合は、共済組合・年金事務所で確認します。

7. 退職金・年金分割を離婚協議書や公正証書に書く方法|強制執行・条項例

退職金・年金分割を書面化する際は、以下の事項を明確に記載することが重要です。

  • 退職金の分与額および算定根拠(採用した算定方式・基礎数値)
  • 支払方法・支払時期・分割払いの場合の各回支払額
  • 年金分割の按分割合(通常0.5)
  • 年金分割請求の協力義務(情報通知書の取得、必要書類への署名押印、離婚後速やかな年金事務所での請求手続、期限徒過防止)
  • 強制執行認諾文言(公正証書の場合、金額・支払期限が特定された金銭債務部分について)

当事務所では、離婚協議書および公正証書原案の作成を行っております。年金分割の合意部分のみを抜き出した合意書案の作成にも対応可能です。ただし、一方のみで年金事務所へ請求する場合は、公正証書または公証人認証私署証書等が必要となるため、手続方法に応じて書式を選ぶ必要があります。

8. 税務上の取扱い|税理士業務

財産分与に伴う税務上の取扱い(不動産分与時の譲渡所得課税、過大な財産分与と贈与税、退職金相当額を清算金として支払う場合の課税関係等)は、個別判断が必要な税理士業務です。本記事では一般的な制度概要にとどめ、個別の税額計算・申告書作成・節税アドバイスは行いません。

税務に関するご相談は、提携税理士をご紹介いたしますのでお気軽にお申し出ください。

料金プラン

プラン 料金(税込) 内容
離婚協議書 ライト 21,780円 基本条項のみのシンプルな協議書作成
離婚協議書 スタンダード 27,500円 養育費・面会交流・財産分与等を含む標準型
離婚協議書 プレミアム 32,780円 退職金・年金分割・複雑な条項を含む詳細型。年金分割で一方のみが請求するため公正証書・公証人認証私署証書が必要な場合は、公正証書サポートまたは認証手続の費用を別途確認
公正証書サポート 62,780円 原案作成・公証役場との打合せ・案文調整

※ 公証人手数料は別途必要です。財産分与、慰謝料、養育費、年金分割合意など、記載内容・目的価額により算定されます。2025年10月1日施行の公証人手数料令改正後の具体的な金額は、公証役場で確認します。

よくある質問

Q1. 結婚前から勤務している場合、退職金はどう計算しますか

退職金額のうち、婚姻期間に対応する部分を按分して算定します。分母を離婚時までの勤務期間とするか、定年までの勤務見込期間とするかは、離婚時退職仮定法・定年退職見込額方式など採用する計算方法により異なります。婚姻前の勤務期間に対応する部分は、原則として分与対象外です。

Q2. 配偶者がまだ若く、退職まで20年以上ある場合も退職金は分与対象ですか

退職までの期間が長い場合、受給の蓋然性が低いとして対象外と判断されることもあります。定年までの期間が短く、退職金規程があり、勤務継続の蓋然性が高い場合は対象となりやすい傾向があります。ただし、「定年まで何年以内なら必ず対象」という一律基準はなく、勤務状況や退職金規程、会社の状況等を総合判断します。

Q3. 退職金の算定額が一括では支払えない場合はどうすればよいですか

分割払いとする方法、実際の退職金支給時に支払う将来清算方式とする方法、不動産等他の財産との相殺で清算する方法があります。書面で支払条件を明確化することが重要です。

Q4. 年金分割をすると、自分の年金額はいくら増えますか

分割後の年金見込額は、年金事務所の「情報通知書」に基づき試算が可能です。具体的な金額は加入歴・標準報酬により大きく異なるため、早めに情報通知書の取得をおすすめします。

Q5. 年金分割の請求期限を過ぎてしまったらどうなりますか

原則として請求できなくなります。2026年4月1日以後の離婚等では、離婚等をした日の翌日から5年以内に年金事務所へ請求する必要があります。2026年4月1日前に離婚等をした場合は、経過措置により原則2年以内です。

Q6. 合意分割の按分割合は0.5以外でも合意できますか

条文上は0.5を上限とし、それ未満の按分割合も合意可能ですが、実務上は0.5で合意するケースが大半です。家庭裁判所の審判でも原則0.5で判断される傾向にあります。

Q7. 3号分割だけ請求することはできますか

2008年4月以後の第3号被保険者期間については、相手方の合意なしに3号分割を単独請求できます。ただし2008年3月以前の期間は合意分割によるしかありません。

Q8. iDeCoの残高はどのように分けますか

口座そのものの移管はできないため、婚姻期間中の拠出分および運用益に対応する評価額を算定し、その2分の1相当額を現預金等で精算する方法が考えられます。婚姻前からの拠出分がある場合は、按分計算で婚姻期間対応分を算出します。

Q9. 公務員の元配偶者との年金分割はどうなりますか

2015年10月の年金一元化により共済年金は厚生年金に統合されています。基本的には厚生年金保険法の合意分割・3号分割の枠組みで処理しますが、旧共済期間や年金払い退職給付がある場合は、共済組合・年金事務所で個別確認します。

Q10. 公正証書にすると退職金未払い時にすぐ差押えできますか

金額・支払期限が特定された金銭債務について強制執行認諾文言を付した公正証書であれば、通常の訴訟を経ずに強制執行手続へ進める可能性があります。ただし、執行文、送達証明書、差押対象の特定などの手続が必要で、実際の強制執行は弁護士・司法書士等に相談します。

Q11. 離婚協議書のみで年金分割はできますか

当事者双方が年金事務所に同行し請求書を提出する場合は、私文書の合意書でも対応できる場合があります。一方のみで手続を行う場合は、公正証書または公証人認証私署証書、もしくは家庭裁判所の調停調書・審判書等が必要です。

Q12. 退職金や年金分割の課税関係を教えてください

税務上の取扱いは税理士の専管業務のため、本記事では具体的な助言は行いません。提携税理士をご紹介いたしますのでお気軽にお申し出ください。

離婚時の退職金・年金分割を書面化したい方へ

当事務所では、当事者間で合意した退職金の算定方式・支払方法・年金分割の按分割合等を、離婚協議書または公正証書原案に明文化します。退職金額をめぐる争い、相手方との交渉、調停・訴訟対応は弁護士業務となります。

初回相談は無料です。退職金規程、退職金見込額証明、給与明細、年金分割のための情報通知書、婚姻期間・別居開始日が分かる資料があると確認がスムーズです。

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まとめ

離婚時の退職金・年金分割は、将来の生活設計を左右する重要な論点です。退職金は婚姻期間に対応する部分が財産分与(民法768条)の対象となり、将来支給分についても合理的な算定方式で評価して清算します。年金分割は合意分割と3号分割の2制度があり、按分割合は最大0.5です。請求期限は、2026年4月1日以後の離婚等では原則5年以内、2026年4月1日前の離婚等では原則2年以内です(経過措置)。財産分与の請求期間も、2026年4月1日以後の離婚は原則5年です。確定拠出年金は財産分与で婚姻期間中の拠出・運用益に対応する評価額を基礎に清算します。書面化にあたっては、算定根拠・支払方法・按分割合を明確に記載し、可能であれば公正証書化して強制執行認諾文言を付すことが、後日の紛争予防に有効です。長期別居がある場合の基準時、税務上の取扱いについては、それぞれ弁護士・税理士へのご確認をおすすめいたします。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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