離婚にあたって、お子さまと離れて暮らす親との親子交流(旧・面会交流)をどのくらいの頻度で行うかは、最も悩ましいテーマのひとつです。結論から申し上げると、頻度に法律上の「正解」はなく、子の利益を最優先に、月1回・隔週・週1回などをご家庭の事情に合わせて取り決めることになります(民法766条)。家庭裁判所の実務では「月1回以上」とする例が最も多い一方、ご家庭によっては隔週や週1回が適切な場合もあります。当事務所(行政書士法人Tree)は、ご夫婦の合意内容を後日のトラブルを防ぐ形で離婚協議書に正確に落とし込むお手伝いをしています。この記事では、2026年4月1日に施行された改正民法を踏まえ、頻度ごとの合意設計のポイントを行政書士の立場から解説します。
目次
「面会交流」から「親子交流」へ|2026年4月施行の改正ポイント
2026年4月1日に施行された改正民法・家事事件手続法により、これまで「面会交流」と呼ばれてきた制度の呼称が、条文上は「父又は母と子との交流」(一般に「親子交流」)へと整理されました。具体的には、民法766条1項の文言が「父又は母と子との面会及びその他の交流」から「父又は母と子との交流」へと改められました。「面会」という言葉が対面での短時間の面接を連想させたため、電話・手紙・オンラインのビデオ通話・メッセージのやり取りなど、多様で継続的な交流を含む概念であることを明確にしたものです。
あわせて、改正民法766条では、離婚に際して親子交流その他の子の監護について必要な事項を父母の協議で定めること、その際に子の利益を最も優先して考慮しなければならないことが、より明確にされています。さらに、子のために特に必要があるときは、一定の要件のもとで、家庭裁判所が祖父母など父母以外の親族と子との交流を定めることができる規定(民法766条の2)も新設されました。本記事でも、現行の正式な用語として「親子交流」を用います。なお、共同親権の導入を含む2026年4月施行の改正民法の全体像については、共同親権とは?2026年4月施行の改正民法のポイントと影響を解説もあわせてご覧ください。
頻度に法律上の決まりはない|判断の基準となる「子の利益」
親子交流の頻度について、「月◯回でなければならない」という法律上の数値基準はありません。判断のものさしはあくまで子の利益(子の健全な成長にとって何が望ましいか)です。次のような事情を総合的に考慮して、ご家庭ごとに無理のない頻度を設計します。
- お子さまの年齢・生活リズム(乳幼児か、学齢期か、部活動や受験の有無)
- お子さま自身の意思・気持ち(年齢が上がるほど尊重されます)
- 両親の住まいの距離・移動の負担
- これまでの親子の関係性・交流の継続状況
- 受け渡しを安全・円滑に行えるか(連絡方法や立会いの要否)
頻度はいったん決めても固定ではなく、お子さまの成長や生活環境の変化に応じて見直すことができます。後述のとおり、協議書には「子の成長や事情の変化に応じて協議のうえ変更できる」旨を入れておくと安心です。
家庭裁判所の実務では「月1回以上」が最多
最高裁判所が公表する司法統計(家事編)によれば、家庭裁判所の調停成立・審判で取り決められた親子交流(面会交流)の頻度のうち、「月1回以上」が約4割を占めて最も多くなっています。次いで「2〜3か月に1回以上」「月2回以上」などが続きます。つまり、迷ったときの一つの目安は「月1回程度」だといえます。
ただし、これは調停・審判という紛争解決の場での統計であり、ご夫婦の話し合い(協議離婚)で自由に隔週や週1回と定めること自体に何ら問題はありません。大切なのは「世間の相場」ではなく、お子さまにとって無理なく続けられる頻度を選ぶことです。
頻度パターン別|月1回・隔週・週1回の合意設計
代表的な3つの頻度について、向いているケースと設計上の留意点を整理します。
| 頻度 | 向いているケース | 設計上のポイント |
|---|---|---|
| 月1回 | 遠方に住む/関係を少しずつ築き直す段階/実務上もっとも一般的 | 「毎月第◯日曜」など日を固定すると予定が立てやすい。宿泊の有無も明記 |
| 隔週(月2回) | 比較的近距離/お子さまが交流に前向き/父母の協力関係が保てる | 学校行事・長期休暇との重複ルールを決めておく |
| 週1回 | 近距離で日常的に行き来できる/乳幼児期で短時間の交流を重ねたい | 1回あたりの時間を短めにし、お子さまの負担を抑える工夫を |
頻度に加えて、1回あたりの時間、受け渡しの場所と方法、宿泊や旅行の可否、長期休暇中の特別な日程、学校行事への参加、電話やオンラインでの交流の可否、プレゼントの扱いなども、具体的に合意しておくと後日の食い違いを防げます。なお、養育費の支払いと親子交流は本来別個のものであり、「養育費が滞ったら交流させない」といった条件付けは、子の利益の観点から望ましくないと考えられています。
親子交流の頻度は離婚協議書にどう書く?具体的な設計と柔軟な定め方
取り決めは口約束で終わらせず、必ず離婚協議書などの書面に残しておくことをおすすめします。書面化には、大きく分けて二つの方向性があります。
- 具体的に書く方法:「毎月第2日曜日の午前10時から午後5時まで」など、日時・場所・方法を細かく定める。予定が明確になりトラブルを防ぎやすい反面、柔軟性に欠ける面があります。
- 包括的に書く方法:「親子交流は1か月に1回を基準とし、具体的な日時・場所・方法は子の利益と意思を尊重して父母が協議のうえ定める」など、枠組みだけ定める。家庭裁判所の実務でも広く用いられる書き方です。
関係性が安定しているご家庭では具体的に、今後の関係づくりに不安が残る場合は包括的な定めに「協議による変更条項」を組み合わせるなど、ご家庭の状況に応じた設計が有効です。なお、公正証書にしておくと、養育費などの金銭支払条項については不履行時の手続を取りやすくできる場合がありますが、親子交流そのものについては、公正証書だけで直ちに強制執行できるとは限りません。親子交流の不履行が問題となる場合は、家庭裁判所の調停・審判、履行勧告などが問題となるため、必要に応じて弁護士に確認することが重要です。書き方の具体例は、当事務所の面会交流の決め方や離婚協議書における書き方の解説記事もあわせてご覧ください。
なお、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の親子交流調停を利用することになります。調停や審判の代理は弁護士の業務となりますので、当事務所では提携する弁護士と連携してサポートいたします。
合意がまとまらないとき・取り決めの変更について
当初は月1回で始めたものの、お子さまの成長や進学、転居によって頻度を見直したくなることはよくあります。協議で合意できれば、書面を作り直すことで頻度を変更できます。一方、当事者間で折り合わない場合は、家庭裁判所での調停・審判によって頻度の変更を求めることになります。こうした紛争性のある手続の代理は弁護士の職域ですので、当事務所は協議が整った内容の書面化を担い、必要に応じて弁護士をご紹介・連携いたします。
親子交流の合意設計は当事務所にご相談ください
行政書士法人Treeでは、親子交流の頻度や方法を含む取り決めを、後日のトラブルを防ぐ形で離婚協議書として作成するサポートを行っています。離婚協議書の作成はミニマムプラン21,780円(税込)、製本・郵送までのスタンダードプラン27,500円(税込)、公証役場との手続まで代行する公正証書作成サポートプラン32,780円(税込)からお選びいただけます。どのプランにも財産分与・親権・養育費・親子交流などの取り決めを盛り込めます。「月1回か週1回か迷っている」「将来の変更に備えた書き方にしたい」といったご相談も歓迎です。離婚協議書作成サポートの詳細はこちらからご確認ください。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
親子交流の頻度に法律上の正解はなく、判断の基準は「子の利益」です。家庭裁判所の実務では月1回以上が最も多いものの、近距離で関係が良好なら隔週・週1回も選択肢になります。2026年4月施行の改正民法により呼称が「親子交流」へ整理され、対面だけでなく電話・オンラインなど多様な交流が想定されています。頻度・時間・受け渡し方法・変更条項までを離婚協議書に具体的に落とし込んでおくことが、トラブル予防の鍵です。書面化は当事務所が、調停・審判は連携する弁護士が、それぞれの役割でサポートいたします。
親子交流の頻度設計に関するよくある質問
Q:親子交流の頻度は月1回にしなければならないのですか。
A:いいえ。月1回は家庭裁判所の実務で最も多い目安にすぎず、法律上の決まりではありません。子の利益を最優先に、隔週や週1回など、ご家庭の事情に合わせて自由に取り決めできます。
Q:いったん決めた頻度を後から変更できますか。
A:できます。父母の協議で合意すれば書面を作り直して変更できます。協議書にあらかじめ「子の成長や事情の変化に応じて協議のうえ変更できる」旨を入れておくとスムーズです。合意できない場合は家庭裁判所での手続となり、その代理は弁護士の職域です。
Q:「親子交流」(旧:「面会交流」)は何が変わったのですか。
A:基本的に同じ制度を指します。2026年4月施行の改正で、条文上の用語が整理され、対面だけでなく電話・手紙・オンラインなど多様な交流を含むことを明確にする趣旨で「親子交流」が用いられるようになりました。
Q:養育費が支払われない場合、親子交流を拒否できますか。
A:養育費と親子交流は本来別個の問題であり、未払いを理由に一方的に交流を拒むことは、子の利益の観点から望ましくないと考えられています。支払いの確保については別途、専門家にご相談ください。
Q:離婚協議書には頻度をどこまで細かく書くべきですか。
A:関係が安定していれば日時・場所まで具体的に、不安があれば「月1回を基準とし詳細は協議で定める」といった包括的な書き方が向いています。当事務所がご家庭の状況に応じた設計をお手伝いします。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。