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共同親権とは?2026年4月施行の改正民法のポイントと影響を解説

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2026年4月の民法改正により、離婚後の親権の取扱いが大きく変わりました。これまで離婚後は父母のどちらか一方のみが親権者となる「単独親権」しか認められませんでしたが、改正後は父母双方が親権を持つ「共同親権」も選択できるようになっています。さらに、法定養育費制度、親子交流に関する見直し、財産分与請求期間の延長など、離婚後の子の養育に関するルール全体が改正されています。本記事では、改正民法(令和6年法律第33号)の内容をもとに、共同親権制度の仕組み・選択方法・親権行使のルール・認められないケースなどを解説します。離婚後の養育費や親子交流との関係にも触れていますので、離婚を検討中の方も、すでに離婚された方もぜひご確認ください。

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共同親権とは?改正民法のポイント

「共同親権」とは、離婚後も父母の双方が子の親権者となる制度です。婚姻中は父母が共同で親権を行使するのが原則ですが、離婚後にこの形を継続・選択できるようになった点が、今回の改正の最大のポイントです。

改正前の制度(単独親権のみ)

改正前の民法では、離婚する際に父母のいずれか一方を親権者と定めなければなりませんでした(旧民法819条)。協議離婚の場合は離婚届に親権者を記載し、裁判離婚の場合は裁判所が親権者を指定します。離婚後に親権を持たない親は、子の養育や教育に関する法的な決定権を失うため、面会交流(親子交流)や養育費の取り決めが重要な意味を持っていました。

改正後の制度(共同親権が選択可能に)

2024年5月17日に成立した「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)により、離婚後の親権について次の選択肢が設けられました。

  • 共同親権: 離婚後も父母の双方が親権者となる
  • 単独親権: 従来どおり、父母の一方のみが親権者となる

どちらを選択するかは、協議離婚であれば父母の話し合いで決め、合意に至らない場合は家庭裁判所が「子の利益」を基準に判断します。共同親権はあくまで選択肢の一つであり、全ての離婚で共同親権が強制されるわけではありません。

改正法の全体像については、法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」で確認できます。

施行日と経過措置

改正民法の施行日は2026年(令和8年)4月1日です。施行日以降に離婚届を提出する場合から、共同親権を選択できるようになります。

なお、施行前にすでに離婚が成立しているケースについても、施行日以降であれば家庭裁判所への申立てにより、単独親権から共同親権への変更が可能です(後述の「既に離婚している場合の変更手続き」で詳しく解説します)。

共同親権の選択方法

共同親権と単独親権のいずれにするかを決める方法は、離婚の形態や状況によって異なります。

協議で決める場合

協議離婚の場合、父母の話し合いにより、共同親権とするか単独親権とするかを決めます。共同親権を選ぶ場合は、離婚届の親権者欄に「父母の共同親権」と記載します。

協議で共同親権を選択する際は、以下の点についても事前に話し合っておくことが望ましいです。

  • 子の住所(居所の指定)をどうするか
  • 監護者をどちらか一方に定めるか
  • 重要な決定を行う際の連絡・協議方法
  • 養育費・親子交流(面会交流)の取り決め

これらの取り決めは離婚協議書に書面化しておくことで、後々のトラブル防止につながります。協議書作成のポイントについては「離婚の種類と手続きガイド」も参考にしてください。

家庭裁判所の判断(調停・審判)

父母の協議がまとまらない場合や、裁判離婚の場合は、家庭裁判所が親権の在り方を判断します。裁判所は「子の利益」を最優先の基準とし、以下のような事情を総合的に考慮します。

  • 父母それぞれの監護の実績・能力
  • 子の意思(子の年齢に応じて考慮)
  • 父母間の協力関係の見通し
  • DV・虐待の有無
  • 子の生活環境の安定性

裁判所が共同親権を定める場合でも、父母の一方を監護者と指定し、日常の監護を主に担う親を明確にすることができます。

既に離婚している場合の変更手続き

2026年4月1日の施行前に離婚が成立した場合は、その時点では必ず単独親権となります(旧法適用)。施行日以降であれば、すでに離婚している元夫婦も、単独親権から共同親権への変更を申し立てることが可能です。手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 元夫婦の一方が、家庭裁判所に「親権者変更」の調停を申し立てる
  2. 調停で合意に至れば、共同親権への変更が認められる
  3. 調停不成立の場合は審判に移行し、裁判所が判断する

申立てに必要な費用は収入印紙1,200円(子ども1人につき)と連絡用郵便切手です。手続きの詳細は裁判所「親権者変更調停」のページで確認できます。

親権制度の基本については「子どもの親権とは?」で詳しく解説しています。

共同親権における親権行使のルール

共同親権を選択した場合、全ての事項について父母が常に一緒に決めなければならないわけではありません。改正民法は、共同で行使が必要な事項と、単独で行使できる事項を区別しています。

共同で行使が必要な事項(教育方針、医療、財産管理等)

子に対して重大な影響を与える事項については、原則として父母が共同で親権を行使する必要があります。具体的には以下のような事項が該当します。

  • 進学先の決定(入学・転校など)
  • 重大な医療行為の同意(手術など)
  • 子の財産に関する重要な処分
  • 子の住所の変更(転居を伴うもの)
  • 子に関する重要な行政手続(具体的な必要書類や同意の要否は各手続の窓口で確認が必要です)

単独で行使できる事項(日常の行為、急迫の事情)

改正民法824条の2は、以下の場合に親権の単独行使を認めています。

(1)監護及び教育に関する日常の行為(同条第2項)

日々の生活の中で生じる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものについては、各親権者が単独で判断できます。

  • 日常の食事・衣服の選択
  • 習い事の選択
  • 高校生の一般的な課外活動への参加(※アルバイト等の営業許可は個別判断が必要な場合あり)
  • 一般的な服薬の判断
  • 定期的なワクチン接種

(2)子の利益のため急迫の事情があるとき(同条第1項但書)

父母間の協議や裁判所の手続きを経ていては間に合わず、子の利益が害されるおそれがある場合は、単独での親権行使が認められます。

  • DV・虐待からの緊急避難(転居を含む)
  • 緊急の医療行為への同意
  • 入学手続きの期限が迫っている場合

以下の表で、共同行使と単独行使の違いを整理します。

区分 具体例 根拠条文
共同行使が必要 進学先の決定、重大な医療行為の同意、子の財産の処分、転居、パスポート申請 改正民法824条の2第1項本文
単独行使可(他方が行使できないとき) 他方が行方不明・長期入院・重病等で意思表示不能の場合 改正民法824条の2第1項1号・2号
単独行使可(急迫の事情) DV・虐待からの緊急避難、緊急手術の同意、入学手続きの期限対応 改正民法824条の2第1項但書(3号)
単独行使可(日常の行為) 日常の食事・衣服、習い事、一般的な服薬・ワクチン接種 改正民法824条の2第2項
特定事項につき裁判所が単独行使者を指定 父母間で意見対立する特定事項について家庭裁判所が申立てを受けて判断 改正民法824条の2第3項

条文の原文はe-Gov法令検索(民法)で確認できます。

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共同親権を選択する場合、親権行使のルール・養育費・親子交流の方法を書面化しておくことが重要です。行政書士法人Treeが離婚協議書の作成をサポートします。

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共同親権を選ぶ場合の注意点・デメリット

共同親権には多くのメリットがある一方、選択する際には以下の点に注意が必要です。

意見対立時の解決コスト:進学先や医療方針など重要事項で父母の意見が対立した場合、家庭裁判所に申立て(民法824条の2第3項)が必要になることがあり、手続きの時間・費用・精神的負担が生じます。

再婚・養子縁組への影響:共同親権下では、再婚相手と子が養子縁組する際に他方親権者の同意または家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。

ひとり親支援への影響確認:ひとり親家庭支援(児童扶養手当等)は親権の有無ではなく監護・扶養の実態に基づく制度のため、共同親権を選択しても支援の対象外になるわけではありませんが、行政窓口への確認を推奨します。

共同親権が認められないケース

共同親権はすべてのケースで選択できるわけではありません。家庭裁判所が親権を判断する際、以下に該当する場合は共同親権とすることができず、父母の一方を親権者と定めなければなりません。

DV・虐待がある場合

父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき、家庭裁判所は共同親権を定めることができません。具体的には以下のようなケースが想定されます。

  • 子に対する身体的・精神的虐待の事実がある、またはそのおそれがある
  • 父母の一方が他方に対して身体的暴力やモラルハラスメント等を行っている

DV・虐待がある場合は子の安全が最優先です。必要に応じて配偶者暴力相談支援センターや警察への相談も検討してください。

父母間の協力が困難な場合

DV・虐待に限らず、父母間で親権に関する協議が円滑に行えない場合も、共同親権が認められない可能性があります。たとえば以下のような事情です。

  • 一方の親が連絡を拒否しており、協議自体が成立しない
  • 深刻な感情的対立が続いており、子に関する合意形成の見通しが立たない
  • 過去に一方の親が合意事項を守らなかった経緯がある

裁判所は、これらの事情を「子の利益」の観点から総合的に考慮し、単独親権が相当と判断する場合があります。共同親権が認められるかどうかは個別の事情によりますので、不安がある場合は弁護士への相談も検討してください。

共同親権と養育費・面会交流(親子交流)の関係

共同親権を選択した場合でも、養育費や親子交流(従来「面会交流」と呼ばれてきたもの)は引き続き重要な取り決め事項です。

養育費について

共同親権であっても、子と同居していない親には養育費の支払い義務があります。改正法では「法定養育費制度」も新設され、養育費の取り決めがない場合には、暫定的・補充的な制度として、子ども1人あたり月額2万円を基準とする法定養育費を請求できるようになりました。もっとも、本来は父母の協議や家庭裁判所の手続により、収入等を踏まえた適正額を定めることが重要です。養育費の具体的な金額の決め方については「養育費の相場と決め方」をご覧ください。

親子交流(面会交流)について

共同親権を選択した場合は、父母双方が親権者であるため、親子交流(面会交流)の取り決め方にも変化が生じます。共同親権のもとでは、子との交流は「権利」としてより明確に位置づけられますが、具体的な頻度・方法はやはり父母間で取り決める必要があります。面会交流の進め方については「面会交流の決め方と進め方」で解説しています。

いずれの取り決めも、口頭の合意だけでは後に争いになるおそれがあります。離婚協議書として書面に残し、可能であれば公正証書にしておくことを強くお勧めします。

よくある質問

Q. 共同親権は必ず選ばなければならないのですか?

共同親権は選択肢の一つであり、強制ではありません。改正後も、従来どおり父母の一方のみを親権者とする単独親権を選ぶことができます。協議離婚であれば父母の話し合いで、裁判離婚であれば家庭裁判所の判断で決まります。

Q. 共同親権を選んだ後に、単独親権に変更することはできますか?

可能です。共同親権から単独親権への変更は、家庭裁判所への「親権者変更」の調停・審判を通じて行います。子の利益のために変更が必要と認められれば、単独親権への変更が認められます。

Q. 共同親権の場合、子どもはどちらの親と暮らすのですか?

共同親権を選択しても、子どもが物理的に両方の家に住むわけではありません。通常は父母の一方を「監護者」と定め、監護者のもとで子が生活します。もう一方の親は、親子交流(面会交流)を通じて子との関係を維持します。

Q. 相手がDVをしていた場合でも共同親権になってしまいますか?

DVや虐待のおそれがある場合、家庭裁判所は共同親権を定めることができません。協議離婚で相手から共同親権を求められた場合でも、応じる義務はありません。DVの証拠がある場合は、弁護士や配偶者暴力相談支援センターに相談することをお勧めします。

Q. 既に離婚していますが、共同親権に変更できますか?

2026年4月1日の施行日以降であれば、既に離婚している方も家庭裁判所への申立てにより共同親権への変更が可能です。元配偶者の同意がある場合は調停で変更でき、同意が得られない場合は審判で裁判所が判断します。

Q. 法定養育費制度とは何ですか?

今回の改正で新設された制度で、養育費の取り決めがない場合でも、暫定的・補充的な制度として、子ども1人あたり月額2万円を基準とする法定養育費を非同居親に請求できる仕組みです。もっとも、これは取決め等がされるまでの最低限の仕組みであり、最終的には父母の協議や家庭裁判所の手続により、収入等を踏まえた適正額を定めることが想定されています。

まとめ

2026年4月1日施行の改正民法により、離婚後の親権について「共同親権」と「単独親権」を選択できるようになりました。主なポイントを整理します。

  • 離婚後も父母双方が親権者となる共同親権が選択可能になった
  • 親権の在り方は父母の協議で決め、まとまらなければ家庭裁判所が判断する
  • 共同親権でも、日常の行為急迫の事情がある場合は単独で親権行使できる
  • DV・虐待がある場合は共同親権が認められない
  • 既に離婚している場合も、施行日以降は共同親権への変更が可能
  • 養育費の取り決めがなくても請求できる法定養育費制度が新設された

共同親権を選択する場合は、親権行使のルール・養育費・親子交流(面会交流)の方法などを離婚協議書に明記しておくことが大切です。離婚後の子どもの戸籍や氏の取扱いについては「離婚後の子どもの戸籍と氏の変更」も併せてご確認ください。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の民法・家事事件手続法に基づく解説です。共同親権制度は施行直後であり、運用の詳細は今後の裁判例等により変わる可能性があります。個別の事案では弁護士への相談もご検討ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。記事の内容には細心の注意を払っておりますが、正確性・完全性を保証するものではありません。

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