結論から言えば、特定技能1号「外食業分野」は受入れ見込数(上限)への到達が見込まれたことを受け、出入国在留管理庁が令和8年(2026年)4月13日から在留資格認定証明書(COE)の交付を一時停止しました。海外からの新規入国を伴うCOE交付申請は原則「不交付」、他の在留資格から外食業特定技能1号への変更許可申請は原則「不許可」となっています。一方で、既に外食業で働く特定技能1号の方の在留期間更新と、外食業内での転職(分野内転職)は今回の措置の対象外で、これまでどおり審査が続きます。私たち行政書士法人Treeは、申請取次行政書士として、要件整理・書類作成・申請取次・代替在留資格の検討を通じて、新規採用ができなくなった企業様と、在留に不安を抱える外国人ご本人の双方を支援します。なお、交付停止・不許可の可否判断や審査結果そのものは入管庁の専権事項であり、労使紛争や在留特別許可の係争は弁護士、社会保険・労務は社会保険労務士と連携して対応します。
目次
何が起きたのか
特定技能1号「外食業分野」は、飲食物調理・接客・店舗管理を業務範囲とする在留資格で、分野の所管は農林水産省、在留審査は出入国在留管理庁が担っています。この外食業分野について、農林水産大臣が令和8年(2026年)4月3日に法務大臣へ交付停止を要請し、出入国在留管理庁が出入国管理及び難民認定法(入管法)第7条の2(第3項・第4項)に基づき、令和8年(2026年)4月13日に在留資格認定証明書(COE)交付の一時停止措置を実施しました。
これは、特定技能制度が平成31年(2019年)に始まって以降、受入れ見込数(上限)への到達を理由に新規受入れが停止された初めての分野とみられます。なお、農林水産省は令和8年(2026年)3月27日付で運用の方針を事前に公表しており、時系列としては、3月27日(農水省による事前周知)→4月3日(農林水産大臣から法務大臣への正式要請)→4月13日(入管庁による措置実施)という流れになります。
本記事は、令和8年(2026年)6月時点における在留審査の最新状況、すなわち変更許可申請の受付期限や、在留期間更新・分野内転職の実務上の取扱いに焦点を当てて解説します。受入れ停止に至った背景や基本的な対応の考え方については、特定技能「外食業」が4月13日から受入れ停止|背景と今後の対策もあわせてご覧ください。
受入れ上限と到達の経緯
外食業分野の特定技能1号の受入れ見込数(受入れ上限)は、現在5万人です。もともと令和6年(2024年)3月29日の閣議決定「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」では、令和6年度から令和10年度までの5年間で最大5万3,000人と設定されていました。その後、令和8年(2026年)1月23日の閣議決定(制度運用方針の一部変更)で、外食業分野の特定技能1号の受入れ見込数は5万人に再設定(実質的な引下げ)されています。あわせて、令和9年度(2027年度)に始まる育成就労制度において外食業の別枠5,300人が新設され、分野全体では5万5,300人という構成です。出入国在留管理庁の運用文書「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」でも、今回の交付停止の基準となる受入れ上限は「5万人」と明記されています。
在留者数は、令和8年(2026年)2月末時点で約4万6,000人(速報値)に達していました。このままでは令和8年(2026年)5月頃に受入れ上限の5万人を超えることが見込まれたため、超過が現実化する前の「超過見込み」の段階で、入管法第7条の2第3項・第4項に基づき交付停止が発動されたという建て付けです。なお、令和10年度には外食業分野で約25万3,000人の人手不足が見込まれており、この受入れ枠は、生産性向上や女性・高齢者を含む多様な国内人材の確保を進めてもなお不足する分として算定されたものです。
令和8年4月13日以降の取扱い(不交付・不許可)
令和8年(2026年)4月13日以降に受理された申請の取扱いは、申請の種類によって次のように分かれます。
第一に、海外からの新規入国を伴う在留資格認定証明書(COE)の交付申請は、原則として「不交付」となります。第二に、他の在留資格から特定技能1号(外食業)への在留資格変更許可申請は、原則として「不許可」となります。たとえば、留学から外食業への就職、あるいは技術・人文知識・国際業務(技人国)や他分野の特定技能から外食業への転職を予定していたケースは、この変更不許可の影響を直接受けることになります。
なお、令和8年(2026年)4月12日までに受理された申請は不交付・不許可の対象外で、受入れ見込数の枠内で受付日順に順次審査・交付(許可)されます。ただし、現に日本に在留している方からの変更許可申請が優先して処理されるため、海外からのCOE案件については相当な遅延が見込まれるとされています。
例外類型・更新・分野内転職の扱い
交付停止といっても、すべての申請が止まるわけではありません。受入れ見込数の枠内で引き続き審査される例外類型があります。
一つ目は、技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」を修了した方から外食業特定技能1号への移行です。二つ目は、既に外食業分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けている方からの移行です。これら2類型は、受入れ上限の枠内で順次審査されます。
そして、特に重要なのが次の2点です。まず、在留期間の更新許可申請は今回の措置の対象外です。既に外食業で在留している特定技能1号の方の更新は止まりません。通常どおり審査・許可されますので、雇用を継続している企業様もご本人も、この点は安心していただけます。次に、外食業内での分野内転職(特定技能(外食業)→特定技能(外食業))は、全申請が審査対象です。既に外食業の特定技能1号として在留している方が別の飲食店へ移る転職は、4月13日以降も継続して可能です。
ここで注意したいのは、特定活動(特定技能1号移行準備)への扱いです。既に外食業の特定活動(移行準備)の許可を持つ方からの移行は審査対象ですが、令和8年(2026年)4月13日以降に他資格から「特定活動(特定技能1号移行準備)」へ新規に変更する申請自体は、原則不許可とされています。「特定活動への移行は誰でも自由に選べる救済策」と誤解されやすい部分ですので、(1)入管庁が許可対象者に案内する場合がある特定活動と、(2)新規には原則閉じている特定活動への変更を、明確に区別する必要があります。
審査状況ページが示す受付期限
出入国在留管理庁の審査状況ページ(MOJ 10_00259、令和8年(2026年)6月26日付更新)では、変更許可申請の受付期限が次の4類型で整理されています。
(1)技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」からの変更=令和8年(2026年)5月31日までの申請。(2)外食業の特定活動(特定技能1号移行準備)からの変更=令和8年(2026年)5月31日までの申請。(3)特定技能(外食業)からの変更(分野内転職)=全ての申請。(4)その他の在留資格からの変更=令和8年(2026年)4月12日までの申請(4月13日以降に受理されたものは原則不許可)。
本記事の執筆時点である令和8年(2026年)6月30日においては、(1)(2)の受付期限である令和8年(2026年)5月31日は既に経過しています。これから新たにこれらのルートで申請することはできませんので、時点にはご注意ください。なお、審査は受入れ見込数の範囲内で受付日順に処理されますが、在留期限との関係で受付日が前後して許可される可能性があるとされています。
また、変更が認められない申請者に対しては、不法残留を防止する観点から、入管庁が「特定活動(特定技能1号準備)(外食業分野)」への在留資格変更許可申請等を案内する場合があるとされています。
企業・申請者がいま取るべき対応
新規採用が止まったなかでも、企業様が取り得る現実的な選択肢は複数あります。
まず最優先は「守り」です。既存の外食業特定技能1号人材の在留期間更新は止まりませんので、在留期限を早期に把握し、可能な範囲で前倒しして更新申請を行い、雇用継続を確実にすることが第一の対応です。次に「採用ルートの確保」として、外食業内で既に就労している人材の受入れ(分野内転職)は全件審査対象で継続できます。新規参入が止まることで国内の経験者を巡る獲得競争が激しくなるとみられますので、処遇改善や定着策で自社が選ばれる側になる工夫が重要になります。
中長期の本命策としては、特定技能2号への移行が挙げられます。外食業は令和5年(2023年)から特定技能2号の対象で、2号は受入れ上限の対象外、在留期間更新の上限なし、家族帯同も可能です。要件として技能測定試験の合格や日本語能力試験N3以上、一定の実務経験等が必要ですので、社内でのN3対策やキャリアパスの明文化が後押しになります。加えて、永住者・定住者・日本人の配偶者等といった就労制限のない身分系在留資格に該当する方の採用も、有力な代替母集団です。一方で、外食業の試験合格は他分野の特定技能にそのまま流用できず、業務範囲も異なるため、他分野への安易な横展開には注意が必要です。
申請者ご本人については、何よりも在留期限の管理が最重要です。変更が認められない場合に備え、別分野の特定技能(試験合格が前提)、技人国や特定活動46号など要件に合致する他の在留資格、身分系在留資格への変更可能性を、ご本人の経歴・学歴に即して早めに検討する必要があります。いずれにも該当しない場合は、在留期限の到来をもって帰国準備が必要となります。期限を徒過すると不法残留(オーバーステイ)となるため、期限到来前の手続着手が不可欠です。
今後の見通し(再開の可能性)
現行の交付停止について、出入国在留管理庁・農林水産省のいずれの公式資料にも、再開予定日や解除時期、再開条件は明記されていません。措置は「一時的」と位置づけられており、農林水産省は外食業特定技能1号評価試験を当面の間、国内外ともに実施しないとしています。入口にあたる試験も止まっているため、当面の再開は見込みにくいとみられます。再開措置をとるかどうかを含め、現時点では未定です。
もう一つ押さえておきたいのが、受入れ枠の構造です。前述のとおり、外食業の特定技能1号の受入れ見込数は、令和8年(2026年)1月23日の閣議決定で、当初の5万3,000人から5万人へ引下げられています。当面、枠が拡大する方向にはありません。受入れ枠は制度上おおむね5年ごとに見直される設計のため、将来の見直し次第で再開の余地はあるものの、直近の方向性は据置から引下げにあり、当面は新規入国と分野外からの変更が閉じたまま続くとみられます。次の見直しの公式日程は現時点で公表されていませんので、今後の公表に注意が必要です。
なお、技能実習に代わる新たな在留資格「育成就労」は令和9年(2027年)4月1日施行予定で、外食業も対象分野に含まれます。本格稼働後は外食業の新たな受入れ動線になり得ますが、外食業の育成就労枠は令和9年度からの2年間で5,300人と限定的である点には留意が必要です。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeは、申請取次行政書士として、外国人の在留資格に関する要件整理・書類作成・申請取次を行います。今回の措置を受けて、外食業で新規採用ができなくなった企業様には、特定技能2号への移行、分野内転職による人材確保、身分系在留資格の活用、育成就労(令和9年(2027年)4月施行予定)を見据えた受入れ体制の準備など、代替策のご検討と必要書類の整備をご支援します。変更ができず在留に不安を抱える外国人ご本人には、在留期限の確認、更新手続、他の在留資格への変更可能性の整理、入管庁から特定活動への変更を案内された場合の対応まで、状況に応じてサポートいたします。
なお、交付停止・不許可の可否判断や審査結果そのものは出入国在留管理庁の専権事項であり、当事務所は要件整理・書類作成・申請取次・代替在留資格の検討を支援する立場です。労使紛争や在留特別許可の係争等は弁護士、社会保険・労務は社会保険労務士と連携して対応します。
ご相談・代替策のご提案は、就労ビザのサポートをご案内するこちらのページからお問い合わせください。料金は、在留資格認定・変更スタンダードが89,800円(税込)、在留期間更新スタンダードが30,000円(税込)です。不許可となった場合の無料再申請保証もご用意しており、企業様向けの継続割引もございます。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
特定技能1号「外食業分野」は、受入れ見込数(上限)への到達見込みを受けて、令和8年(2026年)4月13日に在留資格認定証明書の交付が一時停止されました。4月13日以降に受理された海外からの新規COE交付申請は原則不交付、他資格からの変更許可申請は原則不許可です。一方で、既存人材の在留期間更新と外食業内での分野内転職は対象外で、引き続き審査されます。技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)や外食業の特定活動(移行準備)からの移行という例外もありますが、その受付期限である令和8年(2026年)5月31日は執筆時点で既に経過しています。再開時期は未定で、受入れ上限は令和8年(2026年)1月23日の閣議決定で5万人へ引下げられているため、当面は新規受入れが閉じた状態が続くとみられます。企業様は更新・分野内転職・特定技能2号移行などで対応し、ご本人は在留期限管理と代替在留資格の検討を急ぐことが肝要です。
外食業分野の特定技能受入れ停止に関するよくある質問
Q:すでに当店で働いている外食業の特定技能1号スタッフの在留期間更新はできますか。
A:できます。今回の交付停止措置は新規のCOE交付や他資格からの変更が対象で、在留期間更新許可申請は対象外です。既に外食業で在留している特定技能1号の方の更新は通常どおり審査・許可されますので、在留期限を確認し、可能な範囲で前倒しして手続を進めてください。
Q:他のお店で働く外食業の特定技能人材を採用したいのですが、可能ですか。
A:可能です。外食業内での転職(分野内転職)は全申請が審査対象で、令和8年(2026年)4月13日以降も止まっていません。ただし、新規参入が停止したことで国内の経験者を巡る採用競争が激しくなるとみられますので、処遇改善や定着策の検討が重要になります。
Q:受入れ上限は5万人ですか、5万3,000人ですか。どちらが正しいのでしょうか。
A:今回の交付停止の基準となる受入れ上限は5万人です。もともと令和6年(2024年)3月29日の閣議決定では5年間で最大5万3,000人とされていましたが、令和8年(2026年)1月23日の閣議決定で外食業分野の特定技能1号は5万人に再設定されました。出入国在留管理庁の運用文書でも受入れ上限は「5万人」と明記されています。なお、令和9年度(2027年度)開始の育成就労には外食業の別枠5,300人が新設され、分野全体では5万5,300人です。
Q:留学生から外食業の特定技能へ就職予定でしたが、もう変更できないのですか。
A:令和8年(2026年)4月13日以降に受理される「他資格から外食業特定技能1号への変更許可申請」は原則不許可です。別分野の特定技能(その分野の試験合格が前提)、要件に合致する他の在留資格、身分系在留資格への変更など、代替の選択肢を早めに検討する必要があります。在留期限の管理が最重要ですので、期限到来前にご相談ください。
Q:交付停止はいつ解除されますか。再開の見込みはありますか。
A:再開予定日や解除時期は公式に示されておらず、現時点では未定です。措置は一時的とされていますが、入口となる外食業特定技能1号評価試験も当面実施が止まっています。加えて次期の受入れ見込数は5万人へ引下げられているため、当面は新規受入れが閉じた状態が続くとみられます。今後の公式の公表にご注意ください。
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