結論から言えば、これまで技能実習制度を支えてきた「監理団体」は、2027年4月1日に施行される育成就労制度の下で「監理支援機関」へと位置づけが改められ、現在の許可を持っているだけでは新制度の業務を行えません。改めて主務大臣の新規許可を受ける必要があり、その申請受付は施行日前の2026年4月15日から始まっています。許可要件には外部監査人の必置や受入れ機関との中立性確保など、技能実習時代より厳格な項目が加わりました。行政書士法人Treeでは、官公署に提出する許可申請書類の作成や提出手続を取り扱う行政書士の立場から、監理支援機関への移行を検討する団体の許可申請・体制整備をご支援します。財務や労務の論点が絡む場面では、税理士・社会保険労務士・弁護士など各士業と連携し、職域を超えない形で進めてまいります。
目次
育成就労制度とは|技能実習に代わる新制度
育成就労制度は、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号、令和6年6月21日公布)によって創設された新しい受入れの枠組みです。施行日は2025年9月26日の閣議決定により2027年(令和9年)4月1日と定められ、従来の技能実習制度は段階的に廃止されます。
育成就労は、対象分野で原則3年間就労することを通じて特定技能1号の水準に達する人材を育成し、あわせて当該分野の人材を確保することを目的とします。技能実習が「技能移転による国際貢献」を建前としたのに対し、育成就労は「人材育成と人材確保」を正面から目的に掲げる点が大きく異なります。本人の意向による転籍も、一定の要件のもとで認められます。
監理支援機関とは|役割と「監理団体」からの変更点
監理支援機関とは、主務大臣の許可を受けたうえで、外国人と受入れ機関のマッチング、受入れ機関(育成就労実施者)に対する監理・指導、育成就労外国人の支援・保護などを担う非営利の法人です。本人意向の転籍が生じる際の関係機関との連絡調整も役割に含まれます。技能実習制度における「監理団体」の機能を引き継ぎつつ、外国人保護の役割が強化されています。
主な変更点は次のとおりです。
- 名称が「監理団体」から「監理支援機関」へ変更
- 受入れ機関と資本関係など密接な関係のある者を監理の業務に関与させない、中立性の確保が明確化
- 外部監査人の設置がすべての機関で必須化(技能実習では一般監理事業以外で任意の余地があった)
- 育成就労外国人の支援・保護や転籍時の調整など、支援的な役割の強化
あわせて、認定・監督を担う機関も再編されます。これまでの外国人技能実習機構は「外国人育成就労機構」へ改組され、育成就労計画の認定や監督指導、相談援助などの機能を担うこととされています。
旧監理団体からの移行は自動ではない|新規許可が必須
もっとも注意すべき点は、現在の監理団体の許可が育成就労制度の監理支援機関の許可へ自動的に引き継がれるわけではないことです。出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」でも、技能実習制度の監理団体が育成就労制度で業務を行うには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があるとされています。
許可申請のスケジュールは次のように整理できます。
| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 改正法の公布 | 令和6年(2024年)6月21日 |
| 施行日前申請の受付開始 | 令和8年(2026年)4月15日 |
| 施行と同時の業務開始を希望する場合の申請推奨期限 | 令和8年(2026年)9月30日 |
| 施行日前申請の受付期間 | 令和8年(2026年)4月15日~令和9年(2027年)3月31日 |
| 育成就労制度の施行日 | 令和9年(2027年)4月1日 |
| 技能実習制度の経過措置 | 施行日時点で実施中の技能実習など、法令上の条件を満たすものに限り、各技能実習計画の期間に応じて施行後も継続可能 |
施行と同時に監理支援機関として業務を始めたい団体は、施行日前申請の枠組みを利用し、2026年4月15日以降の早い段階で準備を整えておく必要があります。外国人技能実習機構(OTIT)は、施行後の早期に監理支援事業を行うことを希望する場合の申請の目安として、2026年9月30日までの申請を案内しています(この期限までに申請しても施行日時点での許可を確約するものではありません)。なお、監理支援機関の許可に関する主務省令、育成就労制度運用要領、申請様式、提出書類一覧、記載例および手数料案内は既に公表されています。申請時には、出入国在留管理庁および外国人技能実習機構が掲載する最新版の運用要領・申請書類を確認してください。
監理支援機関の主な許可要件
監理支援機関の許可を受けるには、育成就労法、主務省令および育成就労制度運用要領に定められた要件を満たす必要があります。主な要件は次のとおりですが、申請時には最新の運用要領と提出書類一覧を確認する必要があります。
- 欠格事由に該当しないこと:法令違反歴などの欠格事由がないこと。
- 財産的基礎:安定的に業務を遂行できる経営基盤を有し、債務超過がないこと。
- 外部監査人の設置:監理の独立性・透明性を担保するため、外部監査人を必ず置くこと。
- 中立性の確保:受入れ機関と資本関係など密接な関係のある者を監理の業務に関与させないこと。
- 体制・人員:監理支援を行う育成就労実施者が原則として2者以上であることに加え、監理支援事業に従事する常勤役職員1人当たりの育成就労実施者数を8者未満、育成就労外国人数を40人未満とするなど、主務省令・運用要領所定の人員体制を整えること。
外部監査人には、原則として過去3年以内に所定の養成講習を修了し、弁護士、社会保険労務士、行政書士その他育成就労に関する知見を有する者であることが求められます。また、監理支援機関の役職員ではないことに加え、監理対象となる育成就労実施者の現在または過去5年以内の役職員、その配偶者・二親等以内の親族、監査の公正を害するおそれのある社会生活上の密接な関係を有する者などは選任できません。個別の関係性が要件に抵触しないか、最新の運用要領で確認する必要があります。
監理支援機関の許可申請方法・必要書類・手数料
施行日前申請は外国人技能実習機構へ所定の方法で提出します。申請書、監理支援事業計画書、申請者の概要書、役員・監理支援責任者・外部監査人に関する書類、財産的基礎や事業体制を確認する資料、調査手数料および登録免許税に関する書類などが必要です。提出書類や様式は更新されることがあるため、申請時には外国人技能実習機構の最新の提出書類一覧・確認表を使用してください。
許可の有効期間と更新
監理支援機関の許可には有効期間が設けられます。原則として3年を下回らない政令で定める期間とされ、監査その他の業務遂行に関して主務省令で定める基準に適合すると認められる優良な機関については、5年を下回らない政令で定める期間とされる枠組みです。技能実習制度の監理団体許可(一般監理事業・特定監理事業で有効期間が異なる仕組み)と同様、優良性に応じて期間が長くなる設計と理解できます。
有効期間が満了した後も業務を続けるには、期間内に更新の手続が必要です。具体的な有効期間の年数・更新手数料・申請様式は政令・省令および各事務局の案内で確定するため、申請前に必ず公式情報をご確認ください。
受入れ機関(育成就労実施者)が押さえておくべき影響
監理支援機関への移行は、現に技能実習生を受け入れている企業にも影響します。委託先の監理団体が監理支援機関の許可を取得できるか、その時期によって施行後の受入れ継続に差が生じうるためです。育成就労では受入れ機関側にも育成就労計画の作成・認定が求められ、本人意向の転籍(転籍制限期間は分野ごとに1年以上2年以下の範囲で設定)への対応も新たな実務となります。早めに委託先の方針を確認し、自社の受入れ体制を見直しておくことが望まれます。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、申請取次を業務とする行政書士の立場から、監理支援機関への移行をめざす団体および育成就労外国人を受け入れる企業を、次の範囲でご支援します。
- 監理支援機関の許可要件の確認と必要書類の作成、申請書類の提出代行
- 外部監査人の選任に関する論点整理、中立性確保の体制づくりの助言
- 受入れ企業の育成就労外国人にかかる在留資格認定・変更・期間更新の申請取次
外国人ご本人の在留資格手続については、就労ビザ・在留資格サポートとして承っております。料金の目安は、在留資格認定・変更のスタンダードプランが89,800円(税込)、在留期間更新のスタンダードプランが33,000円(税込)です(同一企業での継続案件は企業継続割引をご用意しています)。万一不許可となった場合の無料再申請保証もお付けしています。なお、入管へ納める手数料は2025年4月1日改定により、在留資格変更・在留期間更新が窓口6,000円・オンライン5,500円です。
監理支援機関の許可制度や育成就労計画については、省令、告示、運用要領、申請様式および提出書類が公表されています。ただし、運用要領や分野別基準は更新されることがあるため、申請時には最新版を確認する必要があります。財務評価は税理士、労務管理は社会保険労務士、紛争性のある事案は弁護士と連携し、職域を超えない形で進めます。ご相談は何度でも無料です。
【監理団体の方へ】行政書士法人Tree|監理支援機関の許可申請代行・外部監査人就任
行政書士法人Treeでは、育成就労制度の監理支援機関 許可申請の書類作成・提出代行から、許可申請時に必須となる外部監査人への就任・月次外部監査まで、行政書士法人がワンストップでお引き受けしています。施行日前申請(2026年4月15日〜2027年3月31日)に対応、全国オンライン完結です。
料金プラン:監理支援機関 許可申請代行 198,000円(税抜)/外部監査人就任+月次外部監査 19,800円/月(税抜)/育成就労計画 認定申請 29,800円/人(税抜・2人目以降19,800円)。許可申請+初年度外部監査のセットは10%割引の392,040円(税抜)。不許可時の再申請は無料です。
まとめ
育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日に施行され、これまでの監理団体は「監理支援機関」として改めて主務大臣の許可を受ける必要があります。許可は自動移行ではなく、施行日前申請の受付は令和8年(2026年)4月15日から始まっています。外部監査人の必置、中立性の確保、所定の養成講習、常勤役職員1人当たりの監理対象数など、主務省令・運用要領に定められた要件を満たさなければなりません。許可の有効期間は原則3年を下回らない期間、一定の優良基準を満たす機関は5年を下回らない期間とされる枠組みです。運用要領や分野別基準の更新を確認しながら、早めに申請書類と組織体制を整えることが重要です。手続でお困りの際は、お早めにご相談ください。
育成就労の監理支援機関に関するよくある質問
Q:今ある監理団体の許可は、そのまま監理支援機関の許可になりますか。
A:いいえ。自動的には移行しません。育成就労制度で監理支援機関として業務を行うには、新たに主務大臣の許可を受ける必要があります。施行日前申請の受付は令和8年(2026年)4月15日から始まり、外国人技能実習機構は施行後の早期に業務を行いたい場合の目安として2026年9月30日までの申請を案内していますので、施行と同時に業務を始めたい場合は早めの準備が必要です。
Q:監理支援機関と監理団体は何が違うのですか。
A:名称が変わるだけでなく、受入れ機関と資本関係など密接な関係のある者を監理業務に関与させない中立性の確保が明確化され、外部監査人の設置がすべての機関で必須になりました。育成就労外国人の支援・保護や転籍時の調整といった支援的役割も強化されています。
Q:外部監査人にはどのような人がなれますか。
A:原則として過去3年以内に所定の養成講習を修了し、弁護士、社会保険労務士、行政書士その他育成就労に関する知見を有する者であることが必要です。監理支援機関の役職員や、監理対象となる育成就労実施者の現在または過去5年以内の役職員、その配偶者・二親等以内の親族など、監査の公正を害するおそれのある密接な関係者は選任できません。
Q:監理支援機関の許可の有効期間は何年ですか。
A:原則として3年を下回らない政令で定める期間とされ、監査その他の業務遂行が優良と認められる機関は5年を下回らない政令で定める期間とされる枠組みです。具体的な年数や更新手数料は政令・省令で確定するため、申請前に公式情報をご確認ください。
Q:受入れ企業として、いま準備しておくことはありますか。
A:委託している監理団体が監理支援機関の許可を取得する見込みと時期を確認することが第一です。あわせて、育成就労計画の作成・認定への対応や、本人意向による転籍(転籍制限期間は分野ごとに1年以上2年以下の範囲で設定)への備えなど、受入れ体制の見直しを進めておくとよいでしょう。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


