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育成就労制度の外国人保護規定|旅券・在留カードの保管、違約金・強制貯金の禁止と相談窓口

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結論から言えば、育成就労制度では外国人の保護が制度設計の中核に据えられ、旅券(パスポート)・在留カードの保管禁止、違約金・損害賠償額の予定の禁止、強制貯金の禁止、暴行・脅迫・監禁等による就労強制の禁止、法令違反の申告制度および申告を理由とする不利益取扱いの禁止が法律に定められ、一定の違反には罰則が設けられています。また、外国人育成就労機構等による母国語相談を含む相談支援体制も整備されます。育成就労法は令和6年6月21日公布(法律第60号)、令和9年(2027年)4月1日施行予定で、技能実習制度の人権保護の枠組みを引き継ぎ、さらに転籍(転職)を一定要件で認める方向に強化されます。行政書士法人Treeは、受入れ機関・監理支援機関の在留資格手続および体制整備を職域として支援し、労使紛争や刑事告訴に関わる事項は弁護士、賃金・社会保険の実務は社会保険労務士と連携してご案内します。本記事では、人権配慮規定の具体的な禁止行為と窓口整備のポイントを、条文・施行日に即して整理します。

育成就労制度における「人権配慮」の位置づけ

育成就労制度は、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(従来の技能実習法=平成28年法律第89号を、令和6年法律第60号で改正・改称したもの)に基づく制度です。従来の技能実習制度が「人材育成を通じた国際貢献」を建前としながら、転籍が原則認められず、劣悪な労働環境からの失踪が相次いだことへの反省を踏まえ、「人材確保と人材育成」を目的に明確化し、外国人本人の保護を一段と重視した制度として再構築されました。

この保護の柱が、本記事で扱う一連の禁止規定(強制労働・違約金・強制貯金・旅券取り上げ等の禁止)と、外国人が安心して声を上げられる相談・申告体制です。これらは技能実習制度ですでに法定されていた保護規定の枠組みを基礎としており、育成就労制度でも引き続き受入れ機関・監理支援機関(旧・監理団体)に対する規律として機能します。

旅券(パスポート)・在留カードの取り上げ禁止

外国人の旅券や在留カードを使用者側が「保管」することは、外国人の移動の自由を事実上奪い、逃げられない状態に置く典型的な人権侵害として、明文で禁止されています。技能実習法第48条第1項は、技能実習を行わせる者・監理団体・その役職員に対し、外国人の旅券・在留カードを保管してはならないと定めており、育成就労制度でもこの規律が引き継がれます。

「本人が希望したから預かった」という説明も、原則として認められません。在留カードは本人が常時携帯する義務がある書類(出入国管理及び難民認定法第23条第2項)であり、受入れ機関、監理支援機関その他の法令上の規制対象者が保管することは禁止されます。本人の意思に反して保管した場合は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。

外出・私生活の自由を不当に制限する行為の禁止

技能実習法第48条第2項は、外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならないと定めています。具体的には、寮への門限を過度に厳格化して外出を禁じる、携帯電話やスマートフォンを取り上げて外部との通信・面談を妨げる、といった行為が問題となります。

特に、賃金不払いその他の不利益(給与天引き・解雇等)をちらつかせて、就労時間外の通信・面談・外出の全部または一部を禁じる行為は、罰則付きで禁止されています。育成就労外国人が孤立して相談できない状況を作り出すこと自体が、人権侵害として規制の対象になるという考え方です。

違約金・損害賠償額の予定の禁止/強制貯金の禁止

外国人を経済的に縛りつける手口として典型的なのが、「途中で帰国・転籍したら違約金〇〇万円」といった契約や、給与の一部を強制的に積み立てさせる強制貯金です。技能実習法第47条はこれらを明確に禁止しています。

  • 違約金・損害賠償額の予定の禁止:契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額をあらかじめ予定する契約をしてはならない。外国人本人だけでなく、配偶者・親族等との間の同種契約も禁止対象です。
  • 強制貯金の禁止:就労に係る契約に付随して貯蓄の契約をさせたり、外国人との間で貯蓄金を管理する契約をしたりしてはならない。

これらの背景には、送出機関に支払う多額の手数料や保証金が外国人の足かせとなってきた問題があり、育成就労制度では送出機関の規制や手数料負担のあり方についても適正化が図られます。違約金・強制貯金の禁止違反は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。なお、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)・第18条(強制貯金の禁止)も日本人と同様に適用されます。

暴行・脅迫・監禁による就労強制の禁止(強制労働の禁止)

暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、外国人の意思に反して就労を強制することは、最も重大な人権侵害として厳しい罰則が科されます。技能実習法第46条がこれを禁止し、違反には1年以上10年以下の拘禁刑、または20万円以上300万円以下の罰金(併科もあり得る)という重い刑が定められています。これは労働基準法第5条(強制労働の禁止)に対応する、極めて重い類型の規制です。

相談・申告(通報)窓口の整備

禁止規定を実効化するには、外国人が安心して声を上げられる窓口が不可欠です。育成就労制度では、次のような相談・申告体制が用意されます。

  • 母国語相談:外国人技能実習機構(OTIT)は、電話・メール等により母国語での相談を受け付ける体制を整えてきました。育成就労制度でも、同機構が改組のうえ業務を担い、外国人が母国語で相談できる窓口が引き続き設けられる方向です。受入れ機関・監理支援機関の側にも、母国語で相談に応じられる体制の整備が求められます。
  • 法令違反の申告:法令違反の事実がある場合、外国人は出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣に対してその事実を申告することができます(技能実習法第49条第1項に対応)。
  • 不利益取扱いの禁止:申告したことを理由に、就労の中止その他の不利益な取扱いをすることは禁止されます。これに違反した場合も罰則の対象です。

制度の詳細(受入計画認定、監理支援機関の許可要件、講習・技能評価、送出機関規制、相談窓口の具体的運用等)は、関係する政省令や分野別運用方針で定められ、令和7年9月30日に関係省令等が公布されるなど整備が進んでいます。最新の運用要領・政省令の内容は変動し得るため、個別の体制整備に当たっては施行時点の公式情報をご確認ください。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeは、育成就労・特定技能などの在留資格手続と、受入れ機関・登録支援機関の体制整備を職域として支援します。具体的には、在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更/更新申請の代理(取次)、登録支援機関としての支援計画の作成補助、社内規程・誓約書・契約書面が旅券取り上げ禁止・違約金禁止等の法令に適合しているかの確認といった、書類・手続面のサポートを行います。母国語相談体制の構築や雇用契約の整備に当たっては、賃金・社会保険の実務は社会保険労務士、労使紛争・刑事に関わる事項は弁護士と連携してご案内します。なお人材紹介(職業紹介)は株式会社TreeGlobalPartners(許可番号13-ユ-317879)が担当します。

就労ビザ・登録支援に関する詳細は就労ビザ・外国人雇用サポート(LP)をご覧ください。在留資格・登録支援に関する報酬は事案ごとに個別にご案内しており、登録支援機関へ支援業務を委託する場合の月額支援委託費は、市場相場としておおむね2〜3万円程度(税込)が目安です。ご相談は何度でも無料です。

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行政書士法人Treeでは、育成就労制度の監理支援機関 許可申請の書類作成・提出代行から、許可要件として求められる外部監査人への就任・月次外部監査まで、行政書士法人がワンストップでお引き受けしています。外部監査人は監理支援機関から独立した中立の立場で監査を行う必要があるため、外部の専門家に委任する方法が実務的です。施行日前申請の受付は2026年4月15日から2027年3月31日までですが、申請は監理支援事業を開始する6か月以上前までに行う必要があるため、施行日(2027年4月1日)から監理支援事業を行うには2026年9月30日までの申請が求められています。

料金プラン:監理支援機関 許可申請代行 198,000円(税抜/税込217,800円)/外部監査人就任+月次外部監査 29,800円/月(税抜/税込32,780円・監理支援事業所1か所、受入れ機関20社まで)/育成就労計画 認定申請 29,800円/人(税抜/税込32,780円・2〜9人目19,800円、10人目以降14,800円)。月次外部監査を12ヶ月同時にご契約の場合、許可申請代行を148,000円(税抜/税込162,800円)に割引し、初年度セットは505,600円(税抜/税込556,160円)です。不許可時の再申請は無料です。全国オンライン完結です。

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まとめ

育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日に施行されます。旅券・在留カードの保管、外出・私生活の自由の不当な制限、違約金・強制貯金、暴行・脅迫・監禁等による就労強制などが法律で禁止され、一定の違反には罰則が設けられています。法令違反の申告制度や申告を理由とする不利益取扱いの禁止に加え、外国人育成就労機構等による母国語相談を含む相談支援体制も整備されます。受入れを検討する企業は、契約書面や社内運用が法令に適合しているかを施行前から点検することが重要です。関係政省令、分野別運用方針および運用要領は公表されていますが、今後の更新を含め、最新の公式情報をご確認ください。

育成就労の人権配慮規定に関するよくある質問

Q:本人が同意すれば、パスポートを会社で預かってもよいですか。

A:原則として認められません。旅券・在留カードの保管は、本人の同意の有無にかかわらず禁止されています。在留カードは本人の常時携帯が義務付けられた書類でもあり、第三者が保管すること自体が問題となります。違反すると罰則の対象となり得ます。

Q:「途中で辞めたら違約金を払う」という誓約書は有効ですか。

A:契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約は禁止されており、外国人本人だけでなく親族等との間の同種契約も対象です。労働基準法第16条にも抵触し得るため、こうした誓約書は無効と評価されるおそれが高く、作成自体を避けるべきです。

Q:給与の一部を会社が積み立てて帰国時に渡す運用は問題ありますか。

A:就労に係る契約に付随して貯蓄をさせる、または貯蓄金を管理する契約(強制貯金)は禁止されています。労働基準法第18条の強制貯金の禁止にも関わるため、こうした運用は行えません。賃金は全額払いが原則です。

Q:外国人が困ったとき、どこに相談・通報できますか。

A:外国人技能実習機構(育成就労制度では改組のうえ業務を承継)の母国語相談のほか、法令違反については出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣への申告が可能です。申告を理由とする不利益取扱いは禁止されています。具体的な窓口・連絡先は施行時点の公式案内をご確認ください。

Q:育成就労ではいつから転籍(転職)ができるようになりますか。

A:育成就労制度では、やむを得ない事情がある場合の転籍に加え、本人の意向による同一業務区分内の転籍が認められます。本人意向転籍には、分野別運用方針で1年以上2年以下の範囲内に定められる転籍制限期間を経過していること、技能および日本語能力に関する要件を満たすこと、転籍先が所定の受入れ要件を満たすことなどが必要です。転籍先の確保や手続では、監理支援機関、外国人育成就労機構、公共職業安定所等がそれぞれの役割に応じて支援します。具体的な期間・試験水準・手続は、対象分野の最新の運用方針および運用要領をご確認ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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