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育成就労制度のハラスメント防止対策│企業が講ずべき就業規則・相談体制の整備

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結論から言えば、育成就労制度(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(平成28年法律第89号。令和6年法律第60号による改正・改称)、令和9年〔2027年〕4月1日施行)では「外国人の保護」が制度の柱に据えられており、ハラスメントや人権侵害は受入れ自体を揺るがすリスクになります。一方で、ハラスメント防止の中心はあくまで労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法に基づく既存の「雇用管理上の措置義務」であり、育成就労に固有の特別な防止法が新設されるわけではありません。当事務所(行政書士法人Tree)は在留資格手続や育成就労計画に関する手続を支援し、特定技能1号については登録支援機関としての支援にも対応する立場です。就業規則そのものの作成・届出や個別労使紛争の代理は社会保険労務士・弁護士の職域です。本記事では2027年施行をにらんだ就業規則整備の考え方を、士業連携の前提で整理します。

育成就労制度における「外国人の保護」とハラスメントの位置づけ

育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、特定技能1号水準の人材育成と人材確保を目的とする新制度です。改正法は令和6年6月21日に公布(法律第60号)され、関係省令(育成就労法施行規則等)は令和7年9月30日に、施行期日を定める政令(令和7年政令第340号)は令和7年10月1日に公布され、施行は令和9年(2027年)4月1日と正式に決定しています。

育成就労では、受入れを行う「育成就労実施者」が作成する育成就労計画について機構の認定を受ける必要があり(育成就労法第8条・第9条)、その認定基準のなかに「外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止」が含まれます。これは憲法第14条の平等原則、労働基準法第3条(国籍を理由とする労働条件の差別的取扱いの禁止)と軌を一にするものです。ハラスメントや差別的取扱いは、この認定基準への適合性を損ない、受入れの継続そのものに影響し得る点が、一般の労務管理とは異なる重みを持ちます。

  • 賃金・昇給・手当・有給休暇など労働条件の差別的運用
  • 技能習得と無関係な単純作業への限定や不利な配置
  • 暴行・脅迫・パワハラ等の人権侵害行為

育成就労では、暴力、脅迫、ハラスメント等の人権侵害により育成就労を継続することが困難となるやむを得ない事情がある場合の転籍(受入れ先の変更)が認められています。また、一定の要件を満たす場合には本人の意向による転籍も認められ、監理支援機関や外国人育成就労機構が転籍先の確保等を支援します。ハラスメントの放置は、転籍のほか育成就労計画の認定取消しや機構による指導・検査につながり得ます。具体的な転籍要件、講習、技能評価等は、出入国在留管理庁の育成就労制度運用要領、分野別運用方針、関係省令・告示の最新版で確認してください。

ハラスメント防止の法的な土台は「措置義務」

育成就労外国人も日本人労働者と同じく労働関係法令の保護を受けます。職場のハラスメント防止の中核は、以下の3法に基づく事業主の「雇用管理上の措置義務」です。育成就労に固有の防止法ができるのではなく、既存の措置義務を外国人にも当然に及ぼす、という整理が実務上の出発点です。

ハラスメントの種類 根拠法
パワーハラスメント 労働施策総合推進法 第30条の2
セクシュアルハラスメント 男女雇用機会均等法 第11条
妊娠・出産等に関するハラスメント 男女雇用機会均等法 第11条の3
育児休業・介護休業等に関するハラスメント 育児・介護休業法 第25条

パワーハラスメント防止措置義務は、令和2年6月1日に大企業へ、中小企業へは令和4年4月1日から適用が拡大され、現在はすべての事業主の義務です。育成就労を受け入れる中小の事業所であっても、規模を問わず措置義務の対象である点に注意が必要です。

事業主が講ずべき措置の「4つの柱」

厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号等)は、事業主が雇用管理上講ずべき措置を大きく4つの柱で示しています。就業規則整備はこの柱に沿って組み立てると漏れがありません。

  • 方針の明確化と周知・啓発:ハラスメントの内容、あってはならない旨の方針を明確化し、行為者には厳正に対処する旨と対処内容を就業規則等に規定して周知する。
  • 相談に応じる体制の整備:相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知し、相談に適切に対応できるようにする。育成就労では母国語・やさしい日本語での対応や、実施者を介さずに相談できる中立的な経路が重視されます。
  • 事後の迅速かつ適切な対応:事実関係を迅速・正確に確認し、被害者への配慮措置、行為者への措置、再発防止措置を適正に行う。
  • 併せて講ずべき措置:相談者・行為者等のプライバシー保護と、その周知。相談・事実確認協力を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止の明文化。

2026年・2027年に向けて押さえるべき改正

就業規則整備の前提として、近接する法改正のスケジュールも把握しておくべきです。とくにハラスメント分野は令和7年(2025年)の改正で対象が拡大しています。

  • 令和8年(2026年)10月1日:労働施策総合推進法等の改正(令和7年6月11日公布)により、カスタマーハラスメント対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる就活セクハラ)対策が、事業主の雇用管理上の措置義務として施行されます。育成就労の受入れ前の面接・募集段階も視野に入ります。
  • 令和9年(2027年)4月1日:育成就労制度の施行。育成就労計画の認定基準への適合(差別的取扱いの禁止を含む)が、受入れの前提になります。

つまり、2026年10月のカスハラ・就活セクハラ対応の義務化と、2027年4月の育成就労施行は時期が近く、就業規則・社内規程の見直しを一度にまとめて行うのが合理的です。具体の施行日・指針内容は厚生労働省・出入国在留管理庁の最新公表を必ず確認してください。

就業規則・社内規程に盛り込みたい項目

育成就労外国人を受け入れる事業所では、次のような事項を就業規則本体または「ハラスメント防止規程」に整理しておくと、措置義務と育成就労計画の認定基準の双方に対応しやすくなります。なお、就業規則の作成・変更・労働基準監督署への届出の助言や、ハラスメント紛争の代理対応は社会保険労務士・弁護士の職域であり、当事務所はビザ・登録支援の手続面から橋渡しを行います。

  • パワハラ・セクハラ・妊娠出産等・育児介護休業等の4類型と、外国人差別の禁止を明記
  • 違反行為を懲戒事由として規定(処分基準の明確化)
  • 相談窓口の設置と、母国語・やさしい日本語・第三者経路への配慮
  • 相談者・行為者等のプライバシー保護条項
  • 相談・協力を理由とする不利益取扱いの禁止条項
  • 監理支援機関や外国人育成就労機構等への通報・相談ルートの周知

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、育成就労、特定技能、各種就労ビザに関する在留資格手続を支援します。育成就労については育成就労計画等の手続、特定技能1号については在留資格申請や登録支援機関としての支援を、社会保険労務士等による労務体制の整備と連携しながら進めます。就業規則そのものの作成・届出や労使紛争対応は社会保険労務士・弁護士へお繋ぎし、当事務所は行政書士の職域に属する手続を担当します。なお人材紹介(職業紹介)は、グループの株式会社TreeGlobalPartners(許可番号13-ユ-317879)が担います。

育成就労に関する手続費用は、受入れ形態やご依頼内容に応じて個別にお問い合わせください。特定技能1号の義務的支援についても、支援内容や受入企業様の状況に応じて個別にお見積りいたします。詳しくは就労ビザ・登録支援のご案内ページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

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行政書士法人Treeでは、育成就労制度の監理支援機関 許可申請の書類作成・提出代行から、許可要件として求められる外部監査人への就任・月次外部監査まで、行政書士法人がワンストップでお引き受けしています。外部監査人は監理支援機関から独立した中立の立場で監査を行う必要があるため、外部の専門家に委任する方法が実務的です。施行日前申請の受付は2026年4月15日から2027年3月31日までですが、申請は監理支援事業を開始する6か月以上前までに行う必要があるため、施行日(2027年4月1日)から監理支援事業を行うには2026年9月30日までの申請が求められています。

料金プラン:監理支援機関 許可申請代行 198,000円(税抜/税込217,800円)/外部監査人就任+月次外部監査 29,800円/月(税抜/税込32,780円・監理支援事業所1か所、受入れ機関20社まで)/育成就労計画 認定申請 29,800円/人(税抜/税込32,780円・2〜9人目19,800円、10人目以降14,800円)。月次外部監査を12ヶ月同時にご契約の場合、許可申請代行を148,000円(税抜/税込162,800円)に割引し、初年度セットは505,600円(税抜/税込556,160円)です。不許可時の再申請は無料です。全国オンライン完結です。

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まとめ

育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日施行予定で、「外国人の保護」と差別的取扱いの禁止が育成就労計画の認定基準に組み込まれます。ハラスメント防止の法的土台は、労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法に基づく事業主の措置義務であり、これは中小企業を含む全事業主に適用されています。2026年10月のカスハラ・就活セクハラ義務化と2027年4月の育成就労施行が近接することを踏まえ、就業規則・ハラスメント防止規程を一体的に整備するのが現実的です。手続面は行政書士、就業規則・紛争対応は社会保険労務士・弁護士という職域を意識し、専門家と連携して準備を進めてください。

育成就労制度のハラスメント防止に関するよくある質問

Q:育成就労には専用のハラスメント防止法ができるのですか。

A:育成就労に固有の防止法が新設されるわけではありません。ハラスメント防止の中核は、労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法に基づく既存の措置義務で、育成就労外国人にもこれらが当然に及びます。加えて育成就労計画の認定基準に差別的取扱いの禁止が含まれる点が制度上の特徴です。

Q:中小企業でもパワハラ防止措置は義務ですか。

A:義務です。パワハラ防止措置義務は令和2年6月1日に大企業へ、令和4年4月1日から中小企業へも適用が拡大され、現在は規模を問わずすべての事業主の義務です。育成就労を受け入れる小規模事業所も対象です。

Q:就業規則の作成や届出も行政書士に頼めますか。

A:就業規則の作成・変更・労働基準監督署への届出の助言や、労使紛争の代理対応は社会保険労務士・弁護士の職域です。当事務所はビザ・登録支援の手続面を担当し、必要に応じて社会保険労務士・弁護士へお繋ぎします。

Q:2026年に施行されるカスハラ対策は育成就労と関係しますか。

A:関係します。令和7年6月11日公布の改正で、カスタマーハラスメントと就活セクハラの防止措置が令和8年(2026年)10月1日から事業主の義務となります。育成就労の募集・面接段階や接客現場での就業にも関わるため、2027年4月の育成就労施行と合わせて規程整備を行うのが合理的です。

Q:ハラスメントが起きた場合、外国人本人はどこに相談できますか。

A:社内の相談窓口のほか、監理支援機関や外国人育成就労機構、労働局・労働基準監督署などの公的窓口に相談・通報できます。育成就労では実施者を介さずに相談できる中立的な経路や母国語対応が重視されており、人権侵害があった場合など、本人保護のための転籍(受入れ先の変更)は育成就労法上認められており、その要件・手続の詳細は運用要領で整備されています。具体の運用は最新の運用要領をご確認ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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