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育成就労制度の妊娠・出産対応|産休・育休・給付金と女性労働者保護

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結論から言えば、2027年4月1日に施行予定の育成就労制度のもとでも、外国人女性労働者は日本人と同じく労働基準法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法の母性保護規定が全面的に適用され、妊娠・出産・育児休業の取得を理由とする解雇その他の不利益取扱いは法律で明確に禁止されます。受入れ機関が「妊娠したら帰国・退職させる」といった取扱いをすることは違法であり、私生活の自由を不当に制限する行為にもあたります。私たち行政書士法人Treeは、在留資格に関する申請取次と登録支援機関としての支援を職域とし、産休・育休時の在留資格上の取扱いを整理してご支援します。就業規則の作成、社会保険・雇用保険の手続、妊娠を理由とする不利益取扱いの是正その他の労務問題については、社会保険労務士または弁護士の領域となるため、必要に応じて連携してご案内します。

育成就労制度の位置づけと女性労働者の保護の基本

育成就労制度は、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法。2024年6月公布、2027年4月1日施行予定)に基づき、技能実習制度を発展的に解消して創設される新たな制度です。育成就労外国人ごとに「育成就労計画」(育成期間は原則3年以内)を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける計画認定制が採られます。

重要なのは、育成就労外国人も「労働者」であり、日本の労働関係法令が全面的に適用される点です。妊娠・出産・育児に関する母性保護や不利益取扱いの禁止は、国籍や在留資格にかかわらず適用されます。厚生労働省も「妊娠、出産等による不利益取扱いは、外国人労働者についても禁止されています」として、14か国語のリーフレットを作成・周知しています。

労働基準法による産前産後の母性保護

女性労働者の妊娠・出産に直接かかわる中心的な規定が労働基準法第65条(産前産後)です。具体的には次のとおりです。

  • 産前休業:6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間以内)に出産予定の女性が請求した場合、就業させてはなりません(本人の請求が要件)。
  • 産後休業:産後8週間を経過しない女性を就業させてはなりません。ただし産後6週間を経過し、本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務には就かせることができます。
  • 軽易業務への転換:妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければなりません(労働基準法第65条第3項)。

あわせて労働基準法第19条(解雇制限)により、産前産後の女性が第65条によって休業する期間およびその後の30日間は、原則として解雇が禁止されます。これらは育成就労外国人にもそのまま適用されます。

男女雇用機会均等法・育児介護休業法による不利益取扱いの禁止

男女雇用機会均等法第9条は、婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定めや、これらを理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止しています。さらに同条により、妊娠中・出産後1年以内の女性に対する解雇は、事業主が妊娠・出産等を理由とするものでないことを証明できない限り無効とされます。

育児介護休業法でも、育児休業の申出・取得を理由とする解雇その他の不利益取扱いが禁止されています。技能実習制度の運用でも、結婚・妊娠を理由とする制限や不利益な取扱いは「私生活の自由を不当に制限する行為」として認められておらず、この考え方は育成就労制度でも引き継がれます。受入れ機関や監理支援機関が「妊娠したら一方的に契約を終了する」「帰国させる」といった対応をとることは、これらの規定に反します。

育児休業の取扱いと有期雇用労働者の要件

育成就労外国人の多くは有期労働契約ですが、有期雇用労働者であっても育児休業を取得できます。2022年4月1日施行の育児介護休業法改正により、従来あった「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が撤廃され、現在の取得要件は次の1点に整理されています。

  • 子が1歳6か月に達する日までに、労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

なお、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者などについては、労使協定を締結することで育児休業の対象から除外できる仕組みは残されています。育児休業は原則として子が1歳に達するまで取得でき、保育所に入所できない等の事情があれば最長2歳まで延長が可能です。受入れ機関は、育成就労外国人に対し育児休業制度の利用可否を説明し、取得希望を確認することが求められます。

出産育児一時金・出産手当金・育児休業給付金と社会保険料免除

育成就労外国人にも、国籍を問わず日本人と同じ健康保険・厚生年金保険・雇用保険の適用基準が用いられます。各制度の被保険者となり、それぞれの支給要件または免除要件を満たす場合には、産休・育休中の給付や社会保険料免除の対象となります。代表的な制度は次のとおりです。

制度 内容(概要)
出産育児一時金 1児につき原則50万円(令和5年4月から増額。産科医療補償制度の対象外出産等は48.8万円)。健康保険・国民健康保険の被保険者が対象。
出産手当金 健康保険の被保険者が出産で休み給与が支払われない期間について、出産日(予定日より遅れた場合は予定日)以前42日(多胎は98日)から出産後56日までの範囲で、標準報酬日額の3分の2相当額を支給。
育児休業給付金 雇用保険から、原則として休業開始時賃金日額を基礎に、育児休業開始から180日までは67%、181日目以降は50%相当を支給。育休開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上または賃金支払基礎時間数80時間以上の完全月が通算12か月以上あること等が要件。
出生後休業支援給付金 2025年4月に創設。本人と配偶者が一定期間内にそれぞれ通算14日以上の育児休業等を取得するなどの要件を満たす場合、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%相当を上乗せして支給。配偶者の育児休業を要件としない例外もあります。
社会保険料の免除 産前産後休業中・育児休業中は、申出により健康保険・厚生年金保険の保険料(本人負担分・事業主負担分とも)が免除されます。

これらの手続には事業主からの申出が必要なものが多く、受入れ機関が制度を理解していないと給付の機会を逃すおそれがあります。なお2025年4月からは、本人と配偶者がともに一定期間(原則14日以上)の育児休業を取得した場合に育児休業給付金へ13%が上乗せされる「出生後休業支援給付金」が新設され、対象期間(最大28日間)は合計80%相当(育休中の社会保険料免除・非課税を踏まえると実質手取り10割相当)の給付を受けられます。育成就労外国人にとっては母国語での説明が不可欠であり、制度情報や説明資料の整備が実務上の課題となります。

在留資格・育成就労計画への影響と転籍

妊娠・出産・育児休業を取得しても、在留資格そのものが当然に失われるわけではありません。産休・育休は労働契約が継続したうえでの休業であり、就労を一時的に中断するだけです。育成就労計画は原則3年以内とされますが、休業によって計画どおりの育成が一時的に進まないことを理由に、本人の意に反して帰国させることは適切ではありません。

また、育成就労制度では技能実習制度では原則認められなかった「本人意向による転籍」が一定要件のもとで認められる方向です(転籍時の職業紹介は監理支援機関・外国人育成就労機構・ハローワークが担い、民間の職業紹介事業者は関与しません)。妊娠・出産を契機とした働き方の見直しにあたっても、こうした制度設計を踏まえた対応が求められます。育成就労計画の認定基準、転籍要件、分野別運用方針等については、関係省令、告示、分野別運用方針および育成就労制度運用要領が公表されています。今後も資料が改訂される可能性があるため、手続時点の最新版を確認する必要があります。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、育成就労・特定技能をはじめとする就労系在留資格の申請取次と、登録支援機関として行うことができる支援業務を承っています。妊娠・出産・育児休業に関しては、産休・育休中の在留資格および在留手続上の留意点をご案内します。社会保険・雇用保険の手続、就業規則その他の労務管理上の法的助言、不利益取扱いへの対応および個別の労使紛争については、社会保険労務士または弁護士の領域となるため、必要に応じて連携してご案内します。また、人材紹介は当グループの株式会社TreeGlobalPartners(有料職業紹介事業許可13-ユ-317879)が担当します。

登録支援機関として行う義務的支援の内容・費用は、受入企業様の状況に応じて個別にお見積りします。詳しくは就労ビザ・登録支援のサポートページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

外国人材の受入れ・登録支援でお困りの企業様へ。行政書士法人Treeでは、在留資格の申請取次に加え、支援計画の作成や各種届出までをサポートします。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

育成就労制度のもとでも、外国人女性労働者には労働基準法第65条・第19条の産前産後休業と解雇制限、男女雇用機会均等法第9条と育児介護休業法による不利益取扱いの禁止、出産育児一時金(原則50万円)・出産手当金・育児休業給付金・社会保険料免除といった保護が日本人と同じく適用されます。「妊娠したら帰国・退職」は違法であり、私生活の自由の不当な制限にもあたります。受入れ機関には、母国語での制度説明と適正な労務管理が求められます。関係省令、告示、分野別運用方針および育成就労制度運用要領は既に公表されていますが、今後改訂される可能性があるため、手続時点の最新版を確認しながら準備を進めることが大切です。

育成就労制度の女性労働者保護に関するよくある質問

Q:育成就労外国人が妊娠したら、帰国させる必要がありますか。

A:いいえ。妊娠・出産は産前産後休業や育児休業の対象であり、就労を一時的に中断するだけで在留資格が当然に失われるわけではありません。妊娠を理由に一方的に契約を終了させたり帰国を求めたりすることは、男女雇用機会均等法第9条等に反する不利益取扱いであり、私生活の自由の不当な制限にもあたります。

Q:有期契約の育成就労外国人でも育児休業を取得できますか。

A:取得できます。2022年4月の育児介護休業法改正で「1年以上の継続雇用」要件は撤廃され、現在は「子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了し更新されないことが明らかでないこと」が要件です。ただし継続雇用1年未満の労働者は労使協定により対象外とできる場合があります。

Q:産前産後の休業期間はどれくらいですか。

A:労働基準法第65条により、産前は本人が請求した場合に6週間(多胎妊娠は14週間)、産後は8週間が原則就業禁止です。産後6週間を経過し、本人が請求して医師が認めた業務には就かせることができます。あわせて休業期間とその後30日間は解雇が制限されます。

Q:出産や育休中にもらえるお金にはどのようなものがありますか。

A:各制度の要件を満たす場合、健康保険から出産育児一時金(1児につき原則50万円)と出産手当金(標準報酬日額の3分の2相当)、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。育児休業給付金の支給率は原則として育児休業開始から180日までは67%、181日目以降は50%相当です。2025年4月からは、本人と配偶者が一定期間(原則14日以上)の育児休業を取得した場合に、最大28日間13%相当を上乗せする出生後休業支援給付金も設けられています。さらに産前産後休業・育児休業中は、申出により健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。具体的な支給要件は保険者またはハローワークにご確認ください。

Q:産休・育休に関する手続を行政書士に依頼できますか。

A:行政書士には、在留資格に関する申請取次や、妊娠・出産・育児休業が在留手続に与える影響について相談できます。一方、社会保険・雇用保険の手続、就業規則や労務関係の社内規程の作成、不利益取扱いへの対応および個別の労使紛争については、社会保険労務士または弁護士の領域となるため、当事務所では必要に応じて連携してご案内します。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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