結論から言えば、育成就労制度では外国人一人ひとりについて作成する「育成就労計画」が認定制となり、その認定を受けなければ受入れを開始できません。育成就労法(令和9年4月1日施行予定)のもとで、計画の認定や受入れ機関・監理支援機関の許可といった事務を担うのが、新たに設けられる外国人育成就労機構です。当事務所(行政書士法人Tree)は在留資格・登録支援の手続を職域として、計画認定の準備をお手伝いします。人材の紹介・あっせんは、職業紹介の許可を持つグループ会社の株式会社TreeGlobalPartners(許可番号13-ユ-317879)が担当し、行政書士業務と切り分けてご案内します。なお制度の細目は政省令・分野別運用方針・運用要領で順次定まるため、本記事は執筆時点で確認できた範囲に絞っています。
目次
育成就労制度と「育成就労計画認定」の位置づけ
育成就労制度は、令和6年6月21日公布の改正法(令和6年法律第60号)によって創設されました。施行日は令和9年4月1日です。従来の技能実習法は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(育成就労法)」へと改められ、技能実習に代わる人材育成・確保の仕組みとして運用が始まります。
この制度の中核が「育成就労計画」の認定です。育成就労外国人ごとに、原則として3年間の育成就労の期間、業務・技能・日本語能力に関する目標、育成の内容や方法などを記載した計画を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。転籍後に残りの期間について計画を作成する場合など、法令上の例外では3年未満となることがあります。つまり「誰を、どの業務で、どこまで育てるか」を一人単位で計画化し、機構の審査を通すことが受入れの前提となります。技能実習における技能実習計画の認定制を引き継いだ枠組みと整理すると理解しやすいでしょう。
計画認定を受ける主体と申請の流れ
育成就労計画の認定を受けるのは、外国人を受け入れて育成就労を行う事業者(育成就労実施者)です。多くの分野では、監理支援機関(旧・監理団体に相当)のもとで受け入れる「監理型」が想定されており、計画の作成・申請にあたっては監理支援機関の関与が見込まれます。施行日前の準備として、育成就労計画の認定に係る施行日前申請は令和8年9月1日から受付が開始される予定です。受入れを令和9年4月の施行直後から始めたい事業者は、この施行日前申請のスケジュールを念頭に置く必要があります。
- 育成就労計画を一人ごとに作成(期間・目標・内容を明記)
- 施行日前は外国人技能実習機構へ、令和9年4月1日施行後は外国人育成就労機構へ計画の認定を申請
- 機構による審査・認定
- 認定後、在留資格「育成就労」に係る在留諸申請(出入国在留管理庁)へ
計画認定と在留資格の手続は別個のステップです。機構の計画認定を得たうえで、在留資格認定証明書交付申請などの入管手続に進む流れになります。
機構の審査ポイント①:受入れ機関(育成就労実施者)の適格性
計画認定では、受入れ機関そのものが育成就労を適正に行える事業者かどうかが審査されます。出入国在留管理庁のQ&Aで示されている主な要件には、次のようなものがあります。
- 過去1年以内に、受入れ機関または監理支援機関の責めに帰すべき事由で行方不明者を発生させていないこと
- 労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること
- 受入れ対象分野ごとに設けられる分野別協議会に加入していること
これらに加え、育成就労指導員や生活相談員の配置、育成を行わせる体制、事業所の設備、業務内容及び時間配分なども認定基準となります。詳細は主務省令、育成就労制度運用要領及び対象分野の分野別運用方針に示されています。認定基準は今後の法令改正等により変動する可能性があるため、申請時に最新の公表資料を確認する必要があります。
機構の審査ポイント②:技能・日本語の目標水準
育成就労は、原則3年の就労を通じて特定技能1号の水準に達する人材を育てることを目的とします。計画には、その到達目標が具体的に盛り込まれます。技能目標としては、技能検定3級や特定技能1号評価試験など、特定技能1号相当の技能試験への合格が目標として位置づけられます。
日本語能力の最終目標は、原則として日本語教育の参照枠のA2相当であり、育成就労終了までに分野別運用方針で定める試験への合格によって確認します。入国時や本人意向による転籍時に必要となる日本語水準、受講すべき日本語講習及び試験は分野によって異なるため、対象分野の分野別運用方針を確認し、段階的な学習計画を育成就労計画に反映させる必要があります。育成就労終了時の技能試験又は日本語試験に不合格となった場合は、再受験に必要な範囲で、一定の要件のもと育成就労期間を最長1年延長できる場合があります。
機構の審査ポイント③:転籍要件と就労期間の設計
育成就労では、本人の意向による転籍が一定の要件のもとで認められる点が、技能実習からの大きな変更点です。転籍をめぐっては、計画段階から次の点を踏まえた設計が求められます。
- 本人意向による転籍が可能となるまでの就労期間は、当分の間、分野ごとに1年~2年の範囲で設定されます(分野別運用方針による)。
- 転籍先は、原則として同一の業務区分内に限られます。
- 転籍を希望する外国人には、技能検定基礎級又はこれに相当する育成就労評価試験への合格に加え、分野別運用方針で定める日本語能力試験への合格が求められます。
- 就労期間を1年超に設定する分野では、運用方針で定める待遇向上措置を講じる必要があります。
このほか、人権侵害や受入れ機関側の事情がある場合の転籍(やむを得ない転籍)も認められます。受入れ計画は、こうした転籍ルールと整合する就労期間・待遇の設計になっているかという観点からも確認されることになります。具体的な期間や水準は分野ごとに異なるため、自社の対象分野の運用方針を必ず参照してください。
監理支援機関の許可との関係
監理型で受け入れる場合、外国人を監理・支援する監理支援機関にも機構の許可が必要です。許可の要件として、外部監査人の設置、債務超過がないこと、常勤の役職員が2人以上いることなどが示されています。受入れ機関の計画認定と、監理支援機関の許可は別の制度ですが、実務上は両者がそろって初めて受入れが動き出します。どの監理支援機関と組むか、自社が企業単独型を選べる分野かどうかも、計画準備の早い段階で整理しておくと安心です。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、在留資格・登録支援を職域として、育成就労計画の認定準備(記載事項の整理、受入れ体制の確認、必要書類の組み立て)から、在留資格「育成就労」に係る在留諸申請まで、書類作成・申請取次の面でお手伝いします。施行日前申請(令和8年9月1日開始予定)を見据えたスケジュール設計のご相談にも対応します。詳しいサービス内容と料金は就労ビザのご案内ページ(https://office-tree.jp/shuro-visa/)をご覧ください。なお、人材の紹介・あっせんは職業紹介の許可を持つ株式会社TreeGlobalPartners(許可番号13-ユ-317879)が担当し、行政書士業務とは切り分けてご案内します。ご相談は何度でも無料です。
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まとめ
育成就労制度は令和9年4月1日に施行され、外国人一人ごとの「育成就労計画」について認定を受ける仕組みが導入されます。審査では、①育成就労実施者の適格性、②特定技能1号水準に達する技能検定3級又はこれに相当する試験と原則日本語教育参照枠A2相当の試験への合格を見据えた目標設定、③業務内容・時間配分・育成体制、④本人意向による転籍の要件との整合などが確認されます。監理型育成就労では計画認定とは別に監理支援機関の許可が必要ですが、企業単独型では監理支援機関を介しません。主務省令、分野別運用方針及び育成就労制度運用要領は既に公表されているため、令和8年9月1日からの施行日前申請に向けて、対象分野の最新の運用方針及び上乗せ基準を確認しながら早めの準備を進めることが重要です。
育成就労計画認定に関するよくある質問
Q:育成就労計画の認定は誰が行うのですか。
A:育成就労計画の認定、育成就労実施者からの届出の受理、監理支援機関の許可申請の受理や実地検査などは外国人育成就労機構が担います。在留資格そのものの審査・許可は出入国在留管理庁が行うため、育成就労計画の認定と入管の在留手続は別のステップです。なお、施行日前の計画認定申請は、改称前の外国人技能実習機構が受け付けます。
Q:いつから申請できますか。施行はいつですか。
A:育成就労法の施行日は令和9年4月1日です。育成就労計画の認定に係る施行日前申請は、令和8年9月1日から受付が開始される予定です。施行直後の受入れを目指す場合は、この施行日前申請の時期を見込んで準備を進める必要があります。
Q:育成就労計画認定の主な要件は何ですか。
A:育成就労実施者について、過去1年以内に責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させていないこと、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること、対象分野の協議会に必要な時期までに加入することなどが求められます。このほか、業務内容と時間配分、育成就労指導員・生活相談員の配置、報酬、宿泊施設、技能及び日本語教育の実施体制なども認定対象です。詳細は主務省令、育成就労制度運用要領及び対象分野の分野別運用方針を確認する必要があります。
Q:育成就労の期間や目標はどう設定しますか。
A:育成就労の期間は原則3年以内です。計画には、特定技能1号水準を見据えた技能目標(技能検定3級・特定技能1号評価試験などへの合格)と、日本語教育の参照枠でA2相当の能力を目標とする内容を盛り込みます。試験不合格時には一定の要件のもと最長1年の延長が認められる扱いも示されています。
Q:転籍は計画にどう影響しますか。
A:本人意向による転籍は、分野ごとに1年~2年の範囲で定める就労期間の経過などを要件に認められ、転籍先は原則として同一の業務区分内に限られます。就労期間を1年超に設定する分野では待遇向上措置が必要になるため、計画は転籍ルールと整合した期間・待遇の設計になっているかが問われます。具体的な水準は分野別運用方針で異なります。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


