結論から言えば、育成就労外国人が配偶者や子どもを日本に帯同することは原則として認められません。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aも「原則として、家族の帯同を認めないこととしています」と明示しており、在留資格「家族滞在」の扶養者にもなれない建付けです。家族と日本で暮らす道が開けるのは、育成就労(原則3年)→特定技能1号(通算5年)を経て特定技能2号へ移行してから――というのが2027年(令和9年)4月1日施行の制度設計です。本記事では、「いつから家族を呼べるのか」という時間軸を、このサイトの行政書士法人Treeが整理します。ただし、夫婦がそれぞれ自分の在留資格で在留する形や、人道上の配慮が個別に認められる場合など、例外的な場面もあります。本記事では、就労系在留資格の申請取次を行う行政書士法人Treeが、原則・例外・特定技能移行後の扱いを整理します。なお、妊娠・出産時の雇用管理や社会保険は社会保険労務士、紛争性のある事案は弁護士の職域であり、当法人は必要に応じて連携して対応しています。
目次
育成就労制度における家族帯同の原則――公式Q&Aが明示する「原則不可」
育成就労制度は、技能実習法(平成28年法律第89号)を令和6年法律第60号で改正・改題した「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に基づく制度で、施行日は2027年(令和9年)4月1日です。在留資格「育成就労」は入管法別表第一の二の表に新設され、原則3年で特定技能1号水準の人材を育成する制度です。
家族帯同について、出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは「原則として、家族の帯同を認めないこととしています」と端的に回答しています。現行の技能実習でも家族帯同は認められておらず、この扱いは新制度に引き継がれます。育成就労は限られた期間で技能を修得する段階と位置づけられ、家族を扶養して生活基盤を築く段階とは区別されているためです。
法的な仕組み――在留資格「家族滞在」の対象から外れている
外国人が配偶者や子を日本に呼び寄せる際の受け皿は、入管法別表第一の四の表に定める在留資格「家族滞在」です(出入国管理及び難民認定法・e-Gov法令検索)。家族滞在は、就労系や留学の在留資格をもって在留する者の「扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」を対象としますが、下欄の括弧書きで扶養者になれない在留資格が除外されています。現行法では外交・公用・特定技能1号・技能実習・短期滞在がその除外対象で、改正法施行後は「技能実習」に代わり「育成就労」が扶養者から外れる枠組みです。
なお、家族滞在の対象は原則として法律婚の配偶者と子に限られ、親や兄弟姉妹は家族滞在では呼び寄せられません。ただし高度専門職外国人の親など、在留資格「特定活動」で例外的に在留が認められる場合があります。
例外的に家族と日本で暮らせるケース――「帯同」ではなく別ルート
家族滞在が認められない以上、家族が日本で暮らすには「帯同」以外の法的ルートを検討することになります。実務上あり得るのは次のパターンです。
- 夫婦がそれぞれ育成就労等の在留資格を取得する――帯同ではなく、配偶者自身が受入れ機関との雇用契約など各自の要件を満たして就労する形です。同じ地域・同じ受入れ機関で働けるかは求人次第です。
- 配偶者が留学や技術・人文知識・国際業務など自分の在留資格を取得する――入学許可や学歴と職務の関連性など、各在留資格の要件を独立に満たす必要があります。
- 短期滞在での一時的な訪問――親族訪問目的の短期滞在(最長90日)での来日は可能ですが、就労はできず、反復利用にも限界があります。
- 人道上の配慮による「特定活動」――特定技能1号の運用では、日本で1号外国人同士の間に子が生まれた場合など、人道上配慮すべき事情があるときに「特定活動」への変更が認められる場合があります(里帰り出産で本国に子を養育する人がいる場合は対象外)。育成就労での運用は公表資料上明示されておらず、個別の確認が必要です。
いずれも帯同が認められるのではなく、家族側が独立の在留資格で在留する構成です。「家族も一緒に行ける」といった不正確な説明は、失踪や紛争の火種になります。
特定技能1号へ移行しても家族帯同は認められない
育成就労は、原則3年の育成を経て特定技能1号へ移行することを想定した制度です。移行には技能検定3級等または特定技能1号評価試験の合格に加え、日本語能力A2相当以上(日本語能力試験N4等)の合格が必要です(2025年9月30日公布の関係省令・告示、同年10月1日公布の関係政令で具体化済み)。ただし、移行しても家族帯同の扱いはすぐには変わりません。出入国在留管理庁の特定技能制度Q&Aは、特定技能1号では家族の帯同は認められないと明示しています。特定技能1号は在留期間が原則として通算5年までに限定され(入管庁の取扱いも「原則」としており、例外的な取扱いがあります),家族滞在の扶養者からも除外されているためです。育成就労3年と特定技能1号の原則5年を通じて、家族と別居する期間が通算8年程度に及ぶ可能性があります。
なお、留学から特定技能1号へ変更した際、既に家族滞在で在留していた配偶者・子は特定活動への変更が認められる場合があるという取扱いもありますが、育成就労から移行する場合、家族はもともと家族滞在で在留していないため基本的に対象外です。
特定技能2号への移行で家族滞在が可能に――要件と手続
家族と日本で暮らす道が開けるのは、熟練した技能を要する業務に従事する特定技能2号への移行後です。2号は在留期間更新の回数に上限がなく、配偶者と子の「家族滞在」による帯同が認められます。3つの在留資格の違いは次のとおりです。
| 在留資格 | 位置づけ | 在留期間 | 家族帯同 |
|---|---|---|---|
| 育成就労 | 特定技能1号水準への育成期間 | 原則3年 | 原則不可 |
| 特定技能1号 | 相当程度の知識・経験を要する技能 | 通算5年まで | 不可 |
| 特定技能2号 | 熟練した技能 | 更新上限なし | 配偶者・子の家族滞在が可能 |
特定技能2号の家族滞在にも要件があります。配偶者は法律婚に限られ(内縁・事実婚は対象外)、子には養子等も含まれます。扶養者本人には家族を扶養できる収入・資力が求められます。手続は、海外の家族は在留資格認定証明書交付申請、国内在留中の家族は在留資格変更許可申請です。家族滞在の配偶者・子は、資格外活動許可を受ければ週28時間以内の就労も可能です。ただし、特定技能2号の対象分野は1号より狭く、現在11分野に限定されます。介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は2号の対象外であり、介護は国家資格取得により在留資格「介護」へ移行する別ルートになります。これら対象外分野では特定技能2号を経由した家族滞在の制度上の道がないため、受入れ側は本人と家族に対して正確な説明が必須です。
受入れ企業・監理支援機関が押さえるべき実務ポイント
家族帯同の可否は本人の人生設計に直結し、定着率にも影響します。受入れ側が意識すべき点を挙げます。
- 募集・雇用契約段階での正確な説明――「原則帯同不可」「2号まで進めば家族滞在が可能」という時間軸を、送出し段階から本人と家族に正確に伝えることがミスマッチ防止の第一歩です。
- キャリアパスの提示――育成就労3年、特定技能1号最長5年、その先の2号という道筋と試験合格への学習支援は、長期定着の動機付けになります。
- ライフイベント対応――妊娠・出産を理由とする解雇等の不利益取扱いは男女雇用機会均等法第9条で禁止されています。帰国を迫る対応はせず、在留手続は速やかに専門家へ相談してください。
- 制度詳細の継続確認――受入れ計画認定・講習・技能評価などの細部は、2025年9月30日公布の関係省令・告示、同年10月1日公布の関係政令、および出入国在留管理庁の「育成就労制度運用要領」で既に公表されています。運用要領は今後改訂される可能性があるため、社内資料は必ず最新版に基づき更新してください。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeは、育成就労・特定技能・家族滞在をはじめとする在留資格の申請取次と入管手続の書類作成を行政書士の職域として支援し、特定技能2号移行後の家族呼び寄せ手続にも対応します。人材紹介・職業紹介はグループ会社の株式会社TreeGlobalPartners(有料職業紹介許可13-ユ-317879)が担当し、許認可業務と人材業務を法令上の役割分担どおり切り分けて運営しています。育成就労・特定技能・家族滞在の在留手続については就労ビザ・登録支援のご案内をご覧ください。登録支援・ビザ関連の料金は義務的支援の範囲や対象分野により異なるため、案件内容に応じて個別にご案内しております。別途費用の目安については料金一覧をご確認ください。ご相談は何度でも無料です。
【監理団体・受入れ機関の方へ】行政書士法人Tree|監理支援機関の許可申請代行・外部監査人就任
行政書士法人Treeでは、育成就労制度の監理支援機関 許可申請の書類作成・提出代行から、許可要件として求められる外部監査人への就任・月次外部監査まで、行政書士法人がワンストップでお引き受けしています。外部監査人は監理支援機関から独立した中立の立場で監査を行う必要があるため、外部の専門家に委任する方法が実務的です。施行日前申請の受付は2026年4月15日から2027年3月31日までですが、申請は監理支援事業を開始する6か月以上前までに行う必要があるため、施行日(2027年4月1日)から監理支援事業を行うには2026年9月30日までの申請が求められています。
料金プラン:監理支援機関 許可申請代行 198,000円(税抜/税込217,800円)/外部監査人就任+月次外部監査 29,800円/月(税抜/税込32,780円・監理支援事業所1か所、受入れ機関20社まで)/育成就労計画 認定申請 29,800円/人(税抜/税込32,780円・2〜9人目19,800円、10人目以降14,800円)。月次外部監査を12ヶ月同時にご契約の場合、許可申請代行を148,000円(税抜/税込162,800円)に割引し、初年度セットは505,600円(税抜/税込556,160円)です。不許可時の再申請は無料です。全国オンライン完結です。
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まとめ
育成就労外国人の家族帯同は原則不可であり、出入国在留管理庁の公式Q&Aにも明示されています。「家族滞在」の扶養者から除外されるため、家族が日本で暮らすには、各自が独立した在留資格を取得するか、人道上の配慮による特定活動といった個別判断のルートしかありません。特定技能1号へ移行しても帯同不可は変わらず、配偶者・子の家族滞在が認められるのは特定技能2号からです。2027年4月1日の施行に向けて、受入れ側は「いつから家族と暮らせるのか」という時間軸を正確に説明できる体制づくりが重要です。育成就労・特定技能の受入れや在留手続についてのご相談は、就労ビザ・登録支援のご案内ページからお寄せください。
育成就労外国人の家族帯同に関するよくある質問
Q:育成就労で来日するとき、配偶者や子どもを連れて行けますか?
A:原則としてできません。出入国在留管理庁の公式Q&Aで原則不可と明示されており、育成就労外国人は「家族滞在」の扶養者になれません。家族が日本で暮らすには、家族自身が別の在留資格を取得する必要があります。
Q:夫婦がともに育成就労で来日することはできますか?
A:制度上は可能です。ただし「帯同」ではなく、夫婦それぞれが受入れ機関との雇用契約など各自の要件を満たす形です。同じ地域・受入れ機関で働けるかは求人の状況次第で、事前の調整が課題になります。
Q:育成就労中に日本で子どもが生まれた場合はどうなりますか?
A:個別の事情に応じた判断となります。特定技能1号では、日本で生まれた子などについて人道上の配慮から「特定活動」への変更が認められる場合があり、育成就労外国人の出生子等について特定技能1号と同様の特定活動運用が行われるかは、公表資料では明示されていないため、出生後速やかに地方出入国在留管理局へ確認してください。妊娠・出産を理由とする解雇等の不利益取扱いは男女雇用機会均等法第9条で禁止されており、早めの専門家への相談が重要です。
Q:特定技能1号に移行すれば家族を呼べますか?
A:呼べません。特定技能1号でも家族帯同は認められず、在留も通算5年が上限です。配偶者・子の家族滞在が認められるのは、熟練技能者向けの特定技能2号へ移行してからです。
Q:特定技能2号に移行したら、家族はどのような手続で来日しますか?
A:海外にいる配偶者・子については、「家族滞在」の在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局に行い、交付後に在外公館で査証を取得して来日する流れです。対象は法律婚の配偶者と子に限られ、親や兄弟姉妹は対象外です。扶養できる収入・資力の立証が必要です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


