結論から言えば、育成就労(令和6年法律第60号、令和9年・2027年4月1日施行)の受入人数枠は、受入機関(育成就労実施者)の常勤職員数に応じて決まります。令和7年9月30日公布の関係省令(育成就労法施行規則)では、常勤職員数の区分に応じた受入れ人数枠が定められました。常勤職員301人以上は一般15%・優良30%の割合で算出しますが、300人以下は技能実習と同様に区分ごとの具体的な人数(例:51~100人なら一般18人、9~30人なら一般9人)が定められた段階的な人数表となっています。ポイントは三つです。第一に、技能実習1号〜3号の区分が廃止されるため、1〜3年目の育成就労外国人「合計」に対する上限となること。第二に、優良な実施者で、優良な監理支援機関の支援を受け、かつ指定区域(地方)に所在する場合は基本枠の3倍(常勤301人以上ならおおむね45%)まで拡大される余地があること。第三に、特定技能1号とは原則「別枠」で運用され、人数枠の単純合算ではなく、それぞれの制度に分野別の受入れ見込数(上限)が設定されることです。当事務所は行政書士法人として在留資格・登録支援の手続を担い、人数枠の前提となる雇用・労務や税務は社会保険労務士・税理士と連携してご案内します。なお分野別の取扱い等は運用方針の最新を要確認です。
目次
育成就労の「受入人数枠」とは何か
育成就労制度は、改正法(令和6年6月21日公布・法律第60号、施行は一部規定を除き令和9年4月1日)により、技能実習制度に代わる新しい受入れの枠組みとして創設されます。出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」では、育成就労実施者の常勤職員数に応じた受入れ上限である「受入れ人数枠」を設け、優良な実施者であれば枠の拡大が認められるとされています。
受入人数枠は、無制限な受入れを防ぎ、適切な育成・支援体制を確保するための仕組みです。監理型では、常勤職員300人以下は区分ごとの固定人数、常勤職員301人以上は一般15%、優良30%、一定の指定区域要件を満たす場合45%の割合で算定されます。常勤職員数が多いほど枠が大きくなる基本構造は技能実習と共通しますが、300人以下の区間で人数が大幅に拡大された点が主な改正内容です。分野別運用方針により独自の上乗せ基準や事業所単位の制限が設けられる場合があるため、該当分野の最新情報も確認が必要です。
受入機関規模別の上限(基本人数枠)
育成就労の基本人数枠は、常勤職員の総数(本社・支社・事業所を含む法人全体。事業所ごとではない)を基準に定められます。常勤職員301人以上は一般15%・優良30%の割合で算出しますが、300人以下は技能実習と同様に区分ごとの具体的な人数が定められた段階的な人数表です。令和7年9月30日公布の関係省令(施行規則)に基づく主な区分は次のとおりです。
| 常勤職員総数 | ①一般(基本枠) | ②優良 | ③優良+監理支援+指定区域 |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 総数の15% | 総数の30% | 総数の45% |
| 201~300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101~200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51~100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41~50人 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31~40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9~30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
たとえば常勤職員が100人の企業なら、一般の基本枠は18人、優良なら36人、優良かつ指定区域なら最大54人です。常勤職員が20人なら一般で9人となります。常勤301人以上は割合(一般15%等)で算出するため企業規模が大きいほど枠も大きくなりますが、300人以下は区分ごとの固定人数で決まります。分野ごとの取扱いの詳細は、施行に合わせて最新の省令・運用方針でご確認ください。
「常勤職員数」に誰を数えるか
枠の前提となる常勤職員数の数え方には注意が必要です。出入国在留管理庁の説明によれば、常勤職員数には育成就労外国人や技能実習生は含まれません。一方で、特定技能外国人など他の在留資格で働く外国人は常勤職員として数えることができるとされています。
- 常勤職員数に含まれない:育成就労外国人、技能実習生(1号・2号など)
- 常勤職員数に含まれる:日本人の常勤職員、特定技能外国人など他の在留資格の常勤の外国人
基本人数枠の算定に用いる常勤職員総数については、特定技能など他の在留資格で常勤する外国人を含むとされています。ただし、分野別の上乗せ基準や別の人数要件では、1号特定技能外国人を除外して計算する場合があります。基本人数枠と分野別の追加基準を混同せず、適用される省令・分野別運用方針を個別に確認することが重要です。
1〜3年目の「合計」で枠を見る(区分廃止と合算)
技能実習では1号・2号・3号という年次区分ごとに枠が積み上がる構造でした。育成就労ではこの区分が廃止され、Q&Aによれば1年目から3年目までの育成就労外国人の「合計」をもって受入れ人数枠を定めます。つまり同一の事業年度に、枠の上限まで一度に受け入れることも理屈の上では可能になります。
また経過措置として、施行後も引き続き技能実習を行っている1号技能実習生・2号技能実習生がいる場合、その人数は育成就労外国人の受入れ人数枠を計算する際に「育成就労外国人の数」として合算してカウントされます。技能実習から育成就労へ移行する期間中は、自社にいる技能実習生の人数を含めて枠を見る、という点を見落とさないようにしてください。
特定技能1号との「合算」はどうなるか
誤解しやすいのが「育成就労と特定技能の人数枠は合算されるのか」という点です。出入国在留管理庁の整理では、育成就労制度と特定技能制度は別々に運用され、両制度それぞれに分野ごとの受入れ見込数(受入れ上限数)を設定して運用するとされています。したがって、企業ごとの「受入人数枠」という意味では、育成就労の枠と特定技能1号の人数は単純に足し合わせて一つの枠に縛られるわけではありません。
整理すると次のようになります。
- 企業単位の枠:育成就労の受入人数枠は常勤職員数の区分ごとに決まる(常勤301人以上は割合〈一般15%・優良30%〉、300人以下は区分ごとの固定人数)。特定技能1号には原則として企業ごとの人数上限はない(介護・建設分野など一部に固有の人数制限あり)。
- 特定技能外国人と常勤職員数:基本人数枠では特定技能など他の在留資格の常勤外国人を常勤職員総数に含める。ただし、300人以下は固定人数表であるため、常勤職員が増えても区分をまたがなければ人数枠は増えず、分野別の別基準では1号特定技能外国人を除外する場合もある。
- 国全体の上限は別物:制度全体としては、分野ごと・制度ごとに受入れ見込数が設定され、その範囲で運用される。
「合算ルール」という言葉は、(1)育成就労内部での1〜3年目および残存する技能実習生の合算、(2)常勤職員数に特定技能等を含める計算、(3)国全体での制度別・分野別の見込数管理、という複数の意味が混在しがちです。自社の採用計画を立てる際は、どのレベルの話なのかを切り分けて確認することが大切です。
優良な実施者の枠拡大と国全体の上限
育成就労実施者が優良と認められる場合、基本人数枠が2倍に拡大されます(常勤301人以上なら15%→30%)。さらに、優良な監理支援機関の支援を受けていることや、指定された区域(主に非都市部)に所在することなどの要件を満たすと、基本人数枠の3倍(常勤301人以上ならおおむね45%)まで拡大される仕組みが示されています。地方での人材確保を後押しする狙いがあります。
国全体の上限としては、令和10年度末までの受入れ見込数が約123万人と公表されています。内訳は特定技能1号805,700人、育成就労426,200人で、これは在留者数への上乗せではなく上限値です。分野別の配分は運用方針で定まるため、自社の分野は最新資料でご確認ください。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、育成就労・特定技能・登録支援に関する在留資格手続を中心に、受入人数枠の考え方の整理、受入計画・各種申請書類の作成、登録支援機関としての支援体制づくりまでをサポートします。常勤職員数の数え方、特定技能との併用設計、技能実習からの移行に伴う枠の見直しなど、制度のはざまで判断に迷う論点を一つずつ確認しながら進めます。なお、人材紹介・職業紹介は株式会社TreeGlobalPartners(許可番号13-ユ-317879)が担い、雇用契約・労務管理は社会保険労務士、税務は税理士と連携してご案内します。
在留資格申請や登録支援の費用は、分野・人数・支援内容により個別にお見積りいたします。就労ビザ申請については就労ビザ申請代行ページ、登録支援については登録支援機関サービスページをご覧ください。お気軽にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。
【監理団体の方へ】行政書士法人Tree|監理支援機関の許可申請代行・外部監査人就任
行政書士法人Treeでは、育成就労制度の監理支援機関 許可申請の書類作成・提出代行から、許可申請時に必須となる外部監査人への就任・月次外部監査まで、行政書士法人がワンストップでお引き受けしています。施行日前申請(2026年4月15日〜2027年3月31日)に対応、全国オンライン完結です。
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まとめ
育成就労の受入人数枠は、(1)常勤職員数の区分ごとに定まる基本人数枠(常勤301人以上は割合〈一般15%・優良30%〉で算出、300人以下は区分ごとの固定人数で決定、優良で2倍・指定区域で3倍)、(2)1〜3年目および残存する技能実習生を合算する内部ルール、(3)特定技能1号とは別枠で運用され、特定技能外国人は常勤職員に数えられるため枠拡大に寄与する点、が要点です。国全体では令和10年度末まで約123万人(特定技能1号805,700人・育成就労426,200人)の受入れ見込数が上限として示されています。分野別配分は運用方針の最新を要確認のうえ、採用計画に落とし込んでください。
育成就労の受入人数枠に関するよくある質問
Q:育成就労の受入人数枠は技能実習とまったく同じですか。
A:「常勤職員数に応じて上限が決まる」という発想は共通しますが、計算方法の詳細は異なります。育成就労も常勤300人以下では区分ごとに人数が定まる段階的な人数表で、割合による算定は301人以上のみです。技能実習との主な違いは、基本人数枠の大幅な引き上げ(約2~3倍)と優良要件による拡大の仕組みです。加えて1号〜3号の区分が廃止され1〜3年目の合計で枠を見る点も変わります。分野別の取扱い等は運用方針の最新をご確認ください。
Q:常勤職員数には特定技能外国人を含めてよいのですか。
A:基本人数枠の算定では、特定技能など他の在留資格で常勤する外国人を常勤職員総数に含め、育成就労外国人や技能実習生は含めないとされています。ただし、常勤職員300人以下は固定人数表であるため、特定技能外国人を雇用しても人数区分をまたがなければ枠は変わりません。また、分野別の別の人数基準では1号特定技能外国人を除外する場合があります。
Q:育成就労と特定技能の人数は合算して一つの枠に縛られますか。
A:両制度は別々に運用され、それぞれに分野別の受入れ見込数が設定されます。企業単位では、育成就労の受入人数枠と特定技能1号の人数を単純に足し合わせて一つの枠に縛るという扱いではありません。ただし国全体としては制度別・分野別の上限の範囲で運用されます。
Q:移行期間中に技能実習生がいる場合、枠の計算はどうなりますか。
A:施行後も技能実習を続けている1号・2号技能実習生がいる場合、その人数は育成就労外国人の受入れ人数枠の計算上、育成就労外国人の数として合算してカウントされます。技能実習生を含めて枠を見落とさないようご注意ください。
Q:枠を増やすにはどうすればよいですか。
A:育成就労実施者が優良と認められると基本枠が2倍に拡大されます(常勤301人以上なら15%→30%)。さらに優良な監理支援機関の支援を受け、指定区域(主に非都市部)に所在するなどの要件を満たすと、基本人数枠の3倍(常勤301人以上ならおおむね45%)まで拡大される仕組みが示されています。要件の詳細は省令・運用方針の確認が必要です。当事務所で体制づくりからご相談を承ります。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


