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育成就労の失踪対策|受入れ企業が施行前に整える失踪防止体制・環境整備・早期対応

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結論から言えば、育成就労における失踪対策の柱は、①待遇・費用負担の透明化により「失踪する理由」を取り除く環境整備、②勤怠と面談で兆候をつかむ早期発見、③発生時に監理支援機関・機構・警察へ速やかにつなぐ通報体制の3点です。技能実習制度では令和5年に9,753人が失踪し、制度見直しの大きな要因となりました。令和9年(2027年)4月1日に施行される育成就労制度は、転籍の制度化や相談機能の強化など、失踪の構造的要因への手当てを盛り込んでいます。本記事では、入管手続を専門とする行政書士法人Treeが、受入れ企業・監理支援機関が施行前から準備できる失踪防止策を整理します。なお、賃金・労務管理は社会保険労務士、損害賠償等の法的紛争は弁護士の職域であり、当法人は必要に応じてこれら専門家と連携して対応しています。

技能実習生の失踪者数の推移|令和5年9,753人・令和6年6,510人(最新データ)

出入国在留管理庁が公表する失踪者数は、監理団体等から外国人技能実習機構に対し「行方不明」となった旨の技能実習実施困難時届出書が提出された技能実習生を集計したものです。直近の推移は次のとおりです。

失踪者数
令和4年(2022年) 9,006人
令和5年(2023年) 9,753人(過去最多)
令和6年(2024年) 6,510人(速報値・前年比33.3%減)

令和6年は大きく減少したものの、なお年間6,000人を超える水準です。政府の有識者会議では、失踪の背景として、原則転籍が認められない仕組み、来日前に送出機関へ支払う手数料による借金、賃金や人間関係への不満が指摘されてきました。失踪は本人の資質だけでなく、制度と受入れ環境の問題として捉える必要があります。

育成就労制度に組み込まれた失踪対策の枠組み

育成就労制度を創設する改正法(令和6年法律第60号、令和6年6月21日公布)は、一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日に施行されます。失踪対策の観点から重要な変更点は次のとおりです。

  • 本人意向による転籍の制度化:同一の受入れ機関での就労が分野ごとに1年〜2年を超えるなどの要件(技能検定基礎級等又は育成就労評価試験の合格、及び日本語教育の参照枠A1相当以上(日本語能力試験N5等)から特定技能1号移行水準までの範囲内で分野別運用方針が定める日本語試験の合格)を満たせば、同一業務区分内または試験により技能水準の共通性が確認された業務区分間での転籍が可能になります。「逃げるしかない」状況を減らす仕組みです。具体的な要件は令和8年1月23日閣議決定の分野別運用方針および関係省令で定められているため、分野ごとの転籍制限期間・試験水準は最新の運用方針で確認してください。
  • 外国人育成就労機構への改組:外国人技能実習機構は外国人育成就労機構に改組され、母国語による相談援助や転籍支援など、外国人本人への支援・保護機能が強化されます。
  • 来日前費用の負担軽減:送出機関に支払う手数料等について本人負担を軽減する方向が示されており、失踪の一因である借金問題への対応が図られます。
  • 監理支援機関の許可制:受入れ企業からの独立性・中立性を高めた監理支援機関が外部監査等の下で支援・監理を担います。

失踪防止のための環境整備|「失踪する理由」をなくす

受入れ企業がまず取り組むべきは、失踪の動機そのものを生まない職場づくりです。施行を待たず、現在の技能実習・特定技能の受入れから実践できます。

  • 賃金・控除の透明化:給与明細の内容(残業代の計算、寮費・水道光熱費等の控除根拠)を母国語資料や翻訳アプリを使って説明し、「聞いていた金額と違う」という不信感を防ぎます。
  • 昇給とキャリアパスの提示:転籍制限期間を1年超とする分野では、1年経過後の昇給等の待遇向上が求められる方向です。育成就労から特定技能1号・2号への移行モデルを示すことが定着につながります。
  • 来日前の費用の把握:本人が送出機関等にいくら支払い、どの程度の借金を抱えているかを受入れ時に把握し、無理のない生活設計を一緒に確認します。
  • 相談しやすい体制:ハラスメント防止研修、母国語相談窓口(機構・監理支援機関)の周知、生活面のサポート担当者の明確化を行います。

早期発見|失踪の兆候をつかむ日常管理

失踪は多くの場合、突然ではなく兆候があります。次のようなサインを日常の勤怠管理と面談で拾う体制を整えてください。

  • 無断欠勤・遅刻の増加、連絡が取りにくくなる
  • 給与の前借りや借金に関する相談の増加
  • 同僚との交流の減少、表情や生活態度の急変
  • 寮の荷物の整理、退去をうかがわせる行動
  • SNS等での転職勧誘(ブローカー)との接触の形跡

月1回程度の定期面談(可能な限り母国語対応)、監理支援機関の訪問時の聴取内容の共有、寮の管理人や現場リーダーからの情報集約ルートをあらかじめ決めておくと、兆候段階で待遇改善や転籍支援につなげられます。兆候を把握した際に「引き留める」のではなく「不満の原因を解消する」姿勢が重要です。

失踪発生時の通報・届出体制

それでも失踪が発生した場合は、次の手順を社内フローとして文書化しておきます。

  • 事実確認:本人への連絡、寮・同僚・緊急連絡先への確認を行い、事件・事故の可能性がある場合は速やかに警察へ相談します。
  • 監理支援機関(監理団体)への即時連絡と機構への届出:現行の技能実習法では、団体監理型の場合、実習実施者が監理団体へ通知し(第19条第2項)、通知を受けた監理団体が機構へ届け出る義務を負っており(第33条)、「行方不明」の場合は外国人技能実習機構へ実施困難時届出書が提出されます。育成就労制度でも同様の届出の枠組みが引き継がれる見込みです。届出を怠ると受入れ機関としての適格性に影響します。
  • 賃金・社会保険等の手続:未払賃金の精算や社会保険・雇用保険の資格喪失手続が必要です(具体的な労務手続は社会保険労務士の職域のため、当法人は連携先をご紹介します)。
  • 再接触時の対応:失踪した外国人が戻ってきた場合や他社で発見された場合、在留資格の状態を確認せずに就労させると、不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われるおそれがあります。同罪は令和6年改正法(令和6年法律第60号・令和6年6月21日公布)により法定刑が引き上げられ、現行の3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金(2025年6月1日施行の改正刑法により懲役・禁錮は拘禁刑に一本化)から、5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(併科あり)へ厳罰化されます。この罰則強化は施行期日を定める政令(令和7年政令第340号)により、育成就労制度の施行に合わせ令和9年(2027年)4月1日に施行されることが確定しています。必ず在留カードの確認と専門家への相談を経てください。

やってはいけない対応|法令違反となる「自衛策」

失踪を恐れるあまり、次のような対応を取ることは現行の技能実習法で明確に禁止されており、育成就労制度でも同様の保護規定が維持される方向です。むしろ許可・認定の取消しや刑事罰のリスクを生みます。

  • 旅券・在留カードの取上げ・保管(技能実習法第48条第1項で禁止)
  • 外出制限など私生活の自由の不当な制限(同法第48条第2項で禁止)
  • 「失踪したら罰金」等の違約金・損害賠償額の予定契約(技能実習法第47条で禁止)、強制貯金(労働基準法第18条で禁止)
  • 行政への申告を理由とする不利益取扱い:外国人本人は法令違反の事実を出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣に申告でき(同法第49条第1項)、申告を理由とする不利益取扱いは禁止されています(同条第2項)。

これらの行為は失踪を防ぐどころか、外部への相談を封じることでかえって失踪を誘発します。管理職・現場責任者への周知徹底が不可欠です。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeは、技能実習・特定技能から育成就労への移行を見据え、在留資格関係の申請手続、受入れ体制に関する書類整備、失踪発生時の在留資格関係の入管手続について、出入国在留管理局への申請取次を含めてサポートします。なお、行方不明に係る実施困難時の通知・届出は受入れ形態により育成就労実施者または監理支援機関が担うため、当法人は書類確認・連携面でサポートします。制度の詳細(受入計画の認定基準、講習、技能評価等)は政省令・分野別運用方針で順次具体化されるため、最新情報を踏まえた準備のご提案が可能です。労務管理・社会保険は社会保険労務士、紛争対応は弁護士と連携し、人材紹介は許可を受けたグループ会社の株式会社TreeGlobalPartners(許可番号13-ユ-317879)が担当する体制で、職域を明確に分けて対応します。料金は案件内容により個別にご案内しています。詳細は就労ビザサポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

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行政書士法人Treeでは、育成就労制度の監理支援機関 許可申請の書類作成・提出代行から、許可要件として求められる外部監査人への就任・月次外部監査まで、行政書士法人がワンストップでお引き受けしています。外部監査人は監理支援機関から独立した中立の立場で監査を行う必要があるため、外部の専門家に委任する方法が実務的です。施行日前申請の受付は2026年4月15日から2027年3月31日までですが、申請は監理支援事業を開始する6か月以上前までに行う必要があるため、施行日(2027年4月1日)から監理支援事業を行うには2026年9月30日までの申請が求められています。

料金プラン:監理支援機関 許可申請代行 198,000円(税抜/税込217,800円)/外部監査人就任+月次外部監査 29,800円/月(税抜/税込32,780円・監理支援事業所1か所、受入れ機関20社まで)/育成就労計画 認定申請 29,800円/人(税抜/税込32,780円・2〜9人目19,800円、10人目以降14,800円)。月次外部監査を12ヶ月同時にご契約の場合、許可申請代行を148,000円(税抜/税込162,800円)に割引し、初年度セットは505,600円(税抜/税込556,160円)です。不許可時の再申請は無料です。全国オンライン完結です。

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まとめ

技能実習の失踪者数は令和5年に9,753人と過去最多を記録し、令和6年も速報値で6,510人にのぼります。令和9年4月1日施行の育成就労制度は、転籍の制度化・機構の相談機能強化・来日前費用の負担軽減により失踪の構造的要因に対処しますが、最終的に失踪を防ぐのは個々の受入れ企業の環境整備です。待遇の透明化で動機をなくし、日常管理で兆候を発見し、発生時は届出・通報のフローに沿って適法に対応する。この3層の体制を施行前から整えることが受入れ企業の必須準備です。

育成就労の失踪対策に関するよくある質問

Q:育成就労制度になれば失踪は減るのですか。

A:転籍の制度化や来日前費用の負担軽減など、失踪の構造的要因への対策が制度に組み込まれるため、改善が期待されています。ただし待遇や人間関係への不満が残れば失踪は起こり得るため、受入れ企業ごとの環境整備が引き続き重要です。

Q:外国人材が失踪した場合、受入れ企業は処罰されますか。

A:失踪の発生自体で直ちに処罰されることはありませんが、実施困難時の届出を怠った場合や、失踪の原因が賃金不払・人権侵害等の法令違反にあった場合は、改善命令・認定取消し・刑事罰の対象となり得ます。速やかな届出と誠実な原因究明が重要です。

Q:失踪防止のためにパスポートを会社で預かってもよいですか。

A:できません。技能実習法第48条第1項は旅券・在留カードの保管を明確に禁止しており、育成就労制度でも同様の保護規定が維持される方向です。発覚すれば受入れ停止等の重い処分につながります。

Q:本人から転籍したいと言われたら、失踪を防ぐために拒否できますか。

A:要件を満たす本人意向の転籍は制度上認められた権利であり、受入れ企業が妨げることはできません。転籍希望の申出はむしろ不満を把握する機会と捉え、待遇改善で選ばれる職場を目指すことが実質的な失踪防止策になります。

Q:失踪した元従業員が「また働きたい」と戻ってきた場合、雇用できますか。

A:在留資格・在留期限の確認が先決です。失踪後に在留資格の変更や取消しが生じている場合があり、就労できない状態で働かせると不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われるおそれがあります。同罪の法定刑は令和9年4月1日から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金へ引き上げられ、罰則面のリスクは今後さらに高まります。雇用前に必ず行政書士等の専門家にご相談ください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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