結論から言えば、特定技能1号「航空」分野は「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2つの区分に分かれており、求められる技能試験・従事できる業務・受入れ機関の要件がそれぞれ異なります。航空運送事業者や空港のグランドハンドリング会社、航空機整備会社が外国人材を受け入れる際は、区分の選定を誤ると在留資格の許可が下りない、あるいは現場で従事させられる作業が想定とずれる、という事態になりかねません。行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士として在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請の代理を行い、区分の切り分けと協議会加入を含めた手続を一体で整えます。労務管理や社会保険の細部は社会保険労務士、雇用契約をめぐる紛争は弁護士の領域となるため、必要に応じて各士業と連携してご案内します。
目次
特定技能「航空」分野の全体像と2つの区分
特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野で一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる在留資格で、平成31年(2019年)4月に運用が始まりました。航空分野はその対象分野の一つで、国土交通省航空局が所管しています。分野別の運用方針は令和8年1月23日改正、運用要領は令和5年6月9日に一部改正されており、最新の取扱いは公式資料で確認する必要があります。
航空分野の業務は、次の2区分に整理されています。受験する技能試験も区分ごとに分かれており、許可された区分の範囲で就労します。
| 区分 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 空港グランドハンドリング | 航空機地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務、手荷物・貨物の航空機搭降載業務、航空機内外の清掃整備業務、旅客ハンドリング業務、機内食等の運搬・搭降載業務、航空燃料取扱業務 |
| 航空機整備 | 機体や装備品等の整備業務、運航整備・点検に関連する作業 など |
特定技能1号の空港グランドハンドリング業務は、社内資格等を有する指導者やチームリーダーの指導・監督の下で行います。航空機整備については、運航整備、機体整備、装備品・原動機整備等において行う航空機の機体・装備品・部品等の整備業務が対象です。いずれも、認められた業務区分を超えて自由に従事できるわけではありません。
空港グランドハンドリング区分の受入れ
空港グランドハンドリングは、出発・到着する航空機の地上支援を担う区分です。具体的には、駐機場での誘導(マーシャリング)やトーイングカーによるけん引などの地上走行支援、手荷物・貨物の搭降載やコンテナの取扱い、客室内の清掃整備といった作業が含まれます。空港の定時運航を支える現場であり、安全と品質の確保が強く求められます。
この区分で就労するには、「航空分野特定技能1号評価試験(空港グランドハンドリング)」に合格することが基本ルートです。試験は公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)が実施しており、筆記試験(安全・品質、空港グランドハンドリングの基本事項等)と実技試験で構成されています。特定技能1号評価試験の受験手数料は4,000円(税込)です(特定技能2号評価試験は10,000円(税込))。試験の日程・会場・申込期間は随時更新されるため、受験を検討する段階で必ず公式の最新情報をご確認ください。
航空機整備区分の受入れ
航空機整備区分は、運航整備、機体整備、装備品・原動機整備等において、航空機の機体や装備品、部品等を整備する業務に従事する区分です。航空機の安全な運航を支える専門的な知識・技能が求められ、原則として「航空分野特定技能1号評価試験(航空機整備)」への合格が必要です。
なお、航空機整備の現場では航空法に基づく整備の枠組みが前提となるため、受入れ機関側にも相応の認定・体制が求められます。どの作業を外国人材に任せられるかは、受入れ機関が有する認定の範囲と、特定技能の区分の範囲の両面から確認することが重要です。
日本語要件と技能試験
特定技能1号では、日本語能力の確認が求められます。航空分野の現行の分野別運用方針では、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準が必要とされており、原則として「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」N4以上への合格により確認されます。対応する技能実習2号を良好に修了した方など、所定の要件を満たす場合は、技能試験や日本語試験が免除されることがあります。
- 技能試験:航空分野特定技能1号評価試験(区分ごと・JAEA実施)
- 日本語試験:原則としてJFT-BasicまたはJLPT N4以上(航空分野の現行基準は日本語教育の参照枠A2.2相当以上)
- 受験手数料(特定技能1号評価試験):4,000円(税込)/2号評価試験は10,000円(税込)
これらに合格すると、特定技能1号としての技能水準・日本語水準を満たしたものとして、在留資格の申請に進むことができます。
特定技能「航空」の受入れ機関要件と申請前の協議会加入
航空分野の特定技能外国人を受け入れられるのは、空港管理規則に基づく承認を受けた事業者、または航空法に基づく認定等を受けた事業者など、分野が定める要件を満たす機関に限られます。また、航空分野では労働者派遣による受入れは認められておらず、直接雇用に限られます。加えて、受入れ機関は「航空分野特定技能協議会」の構成員になる必要があり、登録支援機関に支援を委託する場合も、協議会や国土交通省の調査・指導への協力が求められます。
協議会には在留資格に係る申請の前に加入手続を済ませておく必要があるため、採用・申請のスケジュールを組む際は、協議会加入のタイミングを工程に必ず織り込みます。加入手続の漏れや順序の誤りは、申請段階で手戻りの原因になりやすい部分です。
特定技能2号と在留期間・手数料の実務
航空分野では、空港グランドハンドリングと航空機整備の両区分に特定技能2号が設けられています。空港グランドハンドリングでは2号評価試験への合格に加え、現場で技能者を指導しながら作業に従事した実務経験が必要です。航空機整備では2号評価試験への合格または所定の航空従事者技能証明の取得に加え、現場で専門的な知識・技量を要する作業を実施した実務経験が必要です。また、いずれの区分も日本語教育の参照枠B1相当以上の日本語能力が求められます。特定技能2号は在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たす配偶者や子の帯同も認められます。
在留資格の手続に関しては、入管手数料が令和7年(2025年)4月1日に改定されています。在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の手数料は、窓口での申請が6,000円、オンライン申請が5,500円(いずれも収入印紙等による納付。従来は4,000円)です。申請区分により金額が異なるため、申請前に最新の金額をご確認ください。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、申請取次行政書士として、特定技能「航空」分野の在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請を代理いたします。区分(空港グランドハンドリング/航空機整備)の切り分け、技能試験・日本語要件の充足確認、航空分野特定技能協議会への加入手続の段取り、受入れ機関の要件チェックまでを一体で支援します。労務・社会保険の詳細設計は社会保険労務士、契約紛争は弁護士と連携し、職域を超えない形でご案内します。
特定技能1号の通常料金は、認定・変更申請が100,000円(税込)、更新申請が50,000円(税込)です。登録支援機関へ支援を委託する場合などは適用料金が異なることがあります。万一不許可となった場合は、料金ページ記載の保証条件に基づき無料再申請等の保証サービスがあります。詳しくは特定技能ビザ・登録支援機関の申請サポートページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
特定技能1号「航空」分野は、空港グランドハンドリングと航空機整備の2区分に分かれ、それぞれ専用の技能試験への合格と、JFT-BasicまたはJLPT N4以上の日本語要件が求められます。受入れには、空港管理規則の承認事業者または航空法の認定事業者であること、そして航空分野特定技能協議会への加入が前提となります。区分の選定、協議会加入のタイミング、受入れ機関要件の確認を初期段階で正しく押さえることが、スムーズな許可取得の鍵です。制度の運用方針・運用要領や試験日程は更新されるため、最新の公式情報を確認しながら準備を進めることをおすすめします。
特定技能「航空」に関するよくある質問
Q:空港グランドハンドリングと航空機整備は、入社後に区分を変えて両方の作業をさせられますか。
A:特定技能は許可された区分・業務の範囲で就労する制度のため、原則として区分ごとに対応する技能試験への合格が前提となります。両方の業務に従事させたい場合の取扱いは個別性が高く、最新の運用要領の確認が必要です。具体的な配置計画があれば、申請前に当事務所でご一緒に整理いたします。
Q:技能試験はどこで受けられ、費用はいくらですか。
A:航空分野の技能試験は公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)が実施しています。空港グランドハンドリングの特定技能1号評価試験の受験手数料は4,000円(税込)です(特定技能2号評価試験は10,000円(税込))。日程・会場・申込期間は随時更新されるため、受験前に公式情報のご確認をおすすめします。
Q:日本語はどの程度のレベルが必要ですか。
A:原則として、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2レベル相当の判定基準点以上、または日本語能力試験(JLPT)N4以上のいずれかが必要です。技能実習2号を良好に修了した方など、一定の場合には日本語試験が免除されることがあります。
Q:受入れにあたって協議会への加入は必須ですか。
A:はい。航空分野特定技能協議会の構成員になることが受入れ機関の要件です。加入は在留資格に係る申請の前に済ませておく必要があるため、採用スケジュールに加入手続を組み込んでおくことが重要です。
Q:特定技能1号から2号に移行できますか。
A:航空分野では、空港グランドハンドリングと航空機整備の両区分に特定技能2号があります。空港グランドハンドリングは2号評価試験への合格と、技能者を指導しながら作業した実務経験が必要です。航空機整備は2号評価試験への合格または所定の航空従事者技能証明の取得と、専門的な整備作業の実務経験が必要です。さらに、両区分とも日本語教育の参照枠B1相当以上の日本語能力が求められます。2号は在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たす配偶者や子の帯同も認められます。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


