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特定技能の支援委託契約書|必須条項・全部委託と一部委託・費用・届出手続

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結論から言えば、特定技能の支援委託契約書は「どの支援項目を、いくらで、いつまで委託するのか」を登録支援機関との間で明確に取り決め、その委託範囲を1号特定技能外国人支援計画と一致させることが要点です。受入れ機関(特定技能所属機関)は支援計画の作成義務を負い、その実施を登録支援機関へ委託できますが、委託しても支援の最終的な責任が消えるわけではありません。行政書士は申請取次と契約書面の整備を職域として支援しますが、委託料の税務処理は税理士、契約紛争は弁護士の領域です。本記事では出入国在留管理庁の参考様式や入管法の規定を踏まえ、契約書の作り方と委託範囲・費用の考え方を行政書士の視点で整理します。

支援委託契約とは何か|法律上の位置づけ

特定技能1号の受入れ機関(特定技能所属機関)は、出入国管理及び難民認定法第2条の5第6項に基づき、1号特定技能外国人支援計画を作成し、同法第19条の22第1項に基づき、当該支援計画に基づく支援を適正に実施する義務を負います。この支援の実施の全部または一部を、契約により登録支援機関(同法第19条の23第1項の登録を受けた者)へ委託することができます(同法第19条の22第2項)。この委託の取り決めを書面化したものが「支援委託契約」です。

重要なのは、支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合には、受入れ機関が満たすべき支援体制(支援を適正に実施することができる体制)の基準を満たしたものとみなされる(同法第2条の5第5項)という点です。自社で支援体制を整えることが難しい中小企業が、登録支援機関へ全部委託する実務上の理由はここにあります。なお、支援計画そのものの作成義務は受入れ機関に残り、委託しても受入れ機関が支援の主体である立場は変わりません。

委託できる支援の範囲|義務的支援10項目

1号特定技能外国人への支援は、必ず実施しなければならない「義務的支援」と、これに加えて任意で行う「任意的支援」に分かれます。義務的支援は10項目あり、そのすべてを支援計画に記載しなければなりません。委託契約では、このうちどの項目を登録支援機関に任せるかを明示します。義務的支援の10項目は次のとおりです。

  • 事前ガイダンス(雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前等の情報提供)
  • 出入国する際の送迎
  • 適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進に係る支援
  • 非自発的な離職時の転職支援
  • 定期的な面談の実施・行政機関への通報

これら10項目は、その全部を登録支援機関に委託することも、一部のみを委託することも可能です。ただし、一部のみを委託する場合は、支援計画上どの項目を委託するのかが明確に区分されている必要があります。

全部委託と一部委託の違い

契約書の設計は「全部委託」か「一部委託」かで大きく変わります。両者の違いを整理します。

区分 内容 留意点
全部委託 義務的支援10項目すべての実施を登録支援機関に委託 受入れ機関は支援体制の基準を満たしたものとみなされる。委託先は1社に限る(複数の機関に分割して全部委託することはできない)
一部委託 10項目のうち一部のみを登録支援機関に委託し、残りは自社で実施 みなし規定は適用されないため、自社実施部分について受入れ機関自身が支援体制の基準を満たす必要がある。委託範囲を支援計画で明示

現行制度では、登録支援機関は支援計画の全部を実施できる体制を備えていることが登録の前提であり、「一部の支援のみを行う機関」として登録を受けることはできません。実務では、定期面談や相談・苦情対応など一部の項目だけを登録支援機関へ委託し、送迎や住居確保は自社で行うといった切り分けも可能ですが、その場合でも自社実施部分の体制整備が前提になります。なお、育成就労制度と特定技能制度の改正は令和9年(2027年)4月1日に施行される予定であり、これに伴い登録支援機関や支援委託の取扱いが変更される可能性があるため、最新の公式情報で確認してください。

支援委託契約書に盛り込む条項

出入国在留管理庁は、支援委託契約書の参考様式(参考様式第5-10号)を公表しています。これを土台に作成すると、入管審査・届出の際に齟齬が生じにくくなります。契約書に盛り込むべき主な条項は次のとおりです。

  • 委託する支援の内容・範囲:義務的支援10項目のうち、どの項目を委託するかをチェック方式等で明示(参考様式では項目ごとに委託の有無を記載)
  • 委託の期間:契約期間・更新の有無
  • 委託料(支援委託料):金額・算定方法(外国人1人あたり月額など)
  • 支払方法・支払時期:振込か否か、支払期日、振込手数料の負担者
  • 再委託の禁止:登録支援機関は受託した支援業務を第三者へ再委託できないことを確認する(ただし、登録支援機関が責任主体のまま、通訳者等を履行補助者として利用することは可能)
  • 契約の変更・解除:変更・解除の条件と手続
  • 秘密保持・個人情報の取扱い:外国人本人の個人情報保護
  • 報告・連絡体制:支援実施状況の受入れ機関への報告方法

契約書上の委託範囲は、必ず1号特定技能外国人支援計画書の記載と一致させてください。両者がずれていると、在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新の審査で補正を求められる原因になります。

委託費用の考え方と相場

支援委託料に法定の上限はなく、登録支援機関ごとに自由に設定されています。外国人1人あたりの月額料金を定める方式のほか、事前ガイダンス、送迎、住居確保支援などを実施の都度請求する方式もあります。料金を比較する際は、月額料金だけでなく、義務的支援10項目のうち何が含まれるか、通訳費、交通費、夜間対応費、初期支援費などが別途発生するかを確認してください。

費用面で注意したいのは、義務的支援の費用を外国人本人に負担させることは認められない、という原則です。支援に要する費用を賃金から控除したり、本人から徴収したりすることはできません。委託料はあくまで受入れ機関が負担します。なお、委託料の消費税の取扱いや経費計上の可否といった税務判断は税理士の領域ですので、具体的な処理は税理士にご確認ください。

契約締結後の届出義務

支援委託契約を新たに締結・変更・終了した特定技能所属機関は、出入国管理及び難民認定法第19条の18第1項第3号に基づき、その事由が生じた日から14日以内に、地方出入国在留管理局へ届出を行う必要があります。届出には、参考様式の届出書に加え、必要に応じて新たに締結・変更した契約内容を証する資料(支援委託契約書の写し等)を添付します。届出は電子届出システム、窓口持参、郵送のいずれでも可能です。この届出を怠ると、受入れ機関としての適正性に影響しうるため、契約締結・変更時には届出期限の管理が欠かせません。

当事務所のサポート

行政書士法人Treeでは、特定技能の在留資格手続を申請取次行政書士が一貫してサポートします。申請取次は行政書士の業務であり、1号特定技能外国人支援計画書の整備、支援委託契約書(参考様式第5-10号)の内容確認、委託範囲と支援計画の整合チェック、契約締結後の届出までを職域の範囲でお手伝いします。委託料の税務処理は税理士、契約上の紛争対応は弁護士と連携してご案内します。

特定技能1号の通常料金は、認定・変更申請が100,000円(税込)、更新申請が50,000円(税込)です。登録支援機関サービスを当事務所へご委託いただく場合は、認定・変更申請50,000円(税込)、初回の在留資格切替時の更新申請無料、2年目以降の更新申請25,000円(税込)の限定料金が適用されます。義務的支援の内容・費用は個別にお見積りします。万一不許可となった場合の無料再申請保証も付いています。詳しくは特定技能ビザ・登録支援機関サポートのご案内ページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

特定技能外国人の受入れをご検討の企業様へ。行政書士法人Treeでは、在留資格の申請取次から支援計画の作成・各種届出までをサポートします。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

特定技能の支援委託契約書は、(1)義務的支援10項目のうち委託する範囲を明示し、(2)委託料・期間・支払方法・秘密保持などの条項を整え、(3)その委託範囲を支援計画と一致させることが核心です。全部委託すれば受入れ機関は支援体制の基準を満たしたものとみなされますが、支援計画の作成義務と支援主体としての責任は受入れ機関に残ります。契約の締結・変更・終了からは14日以内の届出義務が生じる点も忘れてはなりません。出入国在留管理庁の参考様式を土台に、計画書と契約書の整合をとって整備することをおすすめします。

特定技能の支援委託契約に関するよくある質問

Q:支援計画の作成も登録支援機関に任せられますか。

A:支援計画の作成義務は受入れ機関(特定技能所属機関)に残ります。受入れ機関が自ら作成するほか、官公署提出書類である支援計画の作成を有償で依頼する場合は、行政書士または弁護士等の法令上作成権限を有する専門家へ依頼する必要があります。委託できるのは支援計画に基づく支援の実施であり、作成義務そのものが登録支援機関へ移るものではありません。

Q:義務的支援の一部だけを委託することはできますか。

A:可能です。10項目のうち一部のみを登録支援機関に委託することもできます。ただし一部委託の場合は「みなし規定」が適用されないため、自社で実施する部分について受入れ機関自身が支援体制の基準を満たす必要があり、委託範囲を支援計画上で明確に区分しなければなりません。

Q:委託料を外国人本人の給与から差し引いてもよいですか。

A:認められません。義務的支援に要する費用を外国人本人に負担させること(賃金からの控除や本人からの徴収)は禁止されています。支援委託料は受入れ機関が負担します。費用の税務上の取扱いは税理士にご確認ください。

Q:支援委託契約を変更したら何か手続が必要ですか。

A:必要です。契約の締結・変更・終了のいずれの場合も、事由が生じた日から14日以内に地方出入国在留管理局へ届出を行う義務があります(入管法第19条の18第1項第3号)。届出には契約内容を証する資料の添付を求められることがあります。

Q:複数の登録支援機関に分けて全部委託できますか。

A:できません。全部委託による「みなし規定」の適用を受けるには、委託先を1つの登録支援機関とする必要があります。複数の機関に項目を分割して全部委託する形では、みなし規定は適用されません。複数に分ける場合は一部委託の整理となり、自社の支援体制の基準充足が前提になります。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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