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認知されていない子は相続できる?隠し子・婚外子とDNA鑑定・死後認知の訴え

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結論から言えば、婚姻関係にない男女の間に生まれ、父から認知を受けていない子(未認知の非嫡出子)は、そのままでは父の遺産を相続できません。法律上の父子関係は認知によって初めて発生するため、血縁上は実の子であっても、認知がなければ法定相続人にはならないのです。父がすでに亡くなっている場合でも、民法787条ただし書が定める「父の死亡の日から3年」以内であれば、検察官を被告とする死後認知の訴えによって父子関係を確定させる道が残されています。本記事では、死後認知の訴えの期間制限、DNA鑑定による立証、認知確定後の遺産分割の進め方を条文に沿って整理します。当事務所は行政書士法人として戸籍収集・法定相続人の確認・遺産分割協議書の作成を担い、認知の訴えなどの裁判手続は弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士と連携して対応しています。

未認知の非嫡出子とは──認知がなければ法律上の父子関係は生じない

非嫡出子(嫡出でない子。いわゆる婚外子・隠し子)とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。母子関係は、判例上、分娩の事実によって当然に発生するとされています(最高裁昭和37年4月27日判決)。これに対して父子関係は自動的には発生せず、民法779条に基づく「認知」によって初めて法律上の親子となります。認知には次の方法があります。

  • 任意認知:父が市区町村に認知届を提出する方法(民法781条1項、戸籍法60条)
  • 遺言認知:父が遺言で認知する方法(民法781条2項)。父の死亡により効力が生じ、遺言執行者が届出を行います
  • 裁判認知(認知の訴え):父が任意に認知しない場合や死亡した場合に、裁判で父子関係を確定する方法(民法787条)

認知の効力は子の出生の時にさかのぼって生じます(民法784条本文)。したがって父の死後に認知が確定した場合でも、子は相続開始の時点から相続人であったものとして扱われます。

非嫡出子の相続分は嫡出子と同等(民法900条4号・平成25年改正)

かつての民法900条4号ただし書は、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と定めていました。しかし最高裁は平成25年9月4日、この規定が法の下の平等(憲法14条1項)に違反すると決定し、これを受けて平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立、同月11日に公布・施行されて当該部分は削除されました。改正後の規定は、平成25年9月5日以後に開始した相続に適用されます。

したがって現在は、認知を受けた非嫡出子は嫡出子とまったく同じ法定相続分を持ちます。たとえば父が死亡し、相続人が配偶者・嫡出子1人・認知された非嫡出子1人である場合、法定相続分は配偶者2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつです。

死後認知の訴え──民法787条ただし書「死亡の日から3年」の期間制限

民法787条は「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない」と定めています。ポイントは次の3点です。

  • 原告となれるのは、子本人、その直系卑属(子がすでに死亡している場合の孫など)、これらの者の法定代理人(未成年の子の母など)です
  • 父の死亡後は、検察官を被告として家庭裁判所に訴えを提起します(人事訴訟法42条1項・4条1項)
  • 出訴期間は父の「死亡の日」から3年です。子が父の死亡を知った日ではなく死亡の日が原則的な起算点とされるため、父と疎遠だった場合には知らないうちに期間が進行しているおそれがあります

父の生存中であれば、まず家庭裁判所に認知調停を申し立てるのが原則です(調停前置主義・家事事件手続法257条)。これに対し死後認知では相手方となるべき父がいないため調停は行えず、直接、検察官を被告とする訴訟となります。3年の期間制限は原則として厳格ですが、父の死亡が客観的に明らかでなく期間内の提訴がやむを得なかった等の特段の事情がある場合には、起算点を「父の死亡が客観的に明らかになった時」とする最高裁昭和57年3月19日判決が認めています。父の死亡を知ったら、できる限り早く弁護士に相談することが重要です。

DNA鑑定の位置づけ──死後認知訴訟における父子関係の立証

認知の訴えでは、原告の側で血縁上の父子関係の存在を立証する必要があります。現在の実務で中心となる証拠がDNA鑑定ですが、死後認知では父本人から検体を採取できないため、立証には工夫が必要です。

  • 父の遺品(毛髪や歯ブラシなど)から検体を確保できる場合は、その鑑定結果を用いることがあります
  • 父本人の検体がない場合は、父の嫡出子(異母きょうだい)や父の兄弟姉妹・父母など、父の血族との血縁鑑定によって間接的に父子関係を推認する方法が採られます
  • 鑑定に加えて、母と父の交際状況や妊娠時期、生前の養育費の支払、手紙・写真といった父子関係をうかがわせる事情も総合的に考慮されます

血族に鑑定への協力を法律上強制する仕組みはないため、協力が得られない場合には間接事実の積み上げがいっそう重要になります。こうした訴訟活動は弁護士の職域であり、当事務所は相続手続の窓口として信頼できる弁護士におつなぎするかたちで連携します。

認知確定後の相続手続──遺産分割の前か後かで扱いが変わる

死後認知の判決が確定すると、認知の遡及効(民法784条)により、子は相続開始時から相続人だったことになります。その後の進め方は、他の共同相続人による遺産分割が済んでいるかどうかで分かれます。

認知確定時の状況 認知された子の立場
遺産分割がまだ行われていない 共同相続人として遺産分割協議に参加する
すでに遺産分割その他の処分が済んでいる 分割のやり直しは求められず、他の共同相続人に対する価額のみによる支払請求権を持つ(民法910条)

民法910条は、すでに成立した遺産分割の効力を維持しつつ、認知された子の利益を金銭で調整する規定です。支払われるべき価額の算定基礎について、最高裁令和元年8月27日判決は、分割の対象とされた積極財産の価額であり、相続債務を控除しないと判断しています。また、価額算定の基準時は「価額の支払を請求した時」とされています(最高裁平成28年2月26日判決)。

認知後に必要となる戸籍・登記・税務の手続

裁判認知が確定したときは、訴えを提起した者が確定の日から10日以内に、裁判の謄本を添えて市区町村へ届出を行います(戸籍法63条)。これにより子の戸籍の父欄に父の氏名が記載され、父の戸籍にも認知事項が記載されます。相続手続では、この戸籍をもとに法定相続人の範囲を確定し直すことになります。あわせて次の点にも注意してください。

  • 相続登記の義務化:2024年4月1日施行の改正不動産登記法により、不動産の取得を知った日から3年以内の相続登記申請が義務となり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。登記申請は司法書士の職域です
  • 相続税:申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。死後認知により相続開始後に相続人となった子については、相続税法基本通達27-4により「認知の裁判の確定を知った日」がこの起算日として取り扱われます。認知により相続人の数が変わると基礎控除額や各人の税額も変動するため、税理士への相談が必要です

当事務所のサポート

行政書士法人Treeは、相続分野では戸籍の収集、法定相続人の確認、遺産分割協議書の作成をお手伝いしています。非嫡出子が関係する相続では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべてたどり、認知した子の有無を正確に確認することが手続の出発点です。認知の訴えや調停などの裁判手続は弁護士、相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士の職域であり、当事務所が窓口となって必要な専門家におつなぎします。なお、相続放棄の申述書は家庭裁判所提出書類にあたり、その作成・提出は司法書士または弁護士の業務です。当事務所では取り扱わず、提携する司法書士・弁護士をご紹介します。

遺産分割協議書の作成は、ご事情に応じてミニマムプラン43,780円(税込)、スタンダードプラン87,780円(税込)、すべて丸投げお任せプラン217,800円(税込)の3つの料金プランをご用意しています。詳しくは遺産分割協議書作成サポートのご案内をご覧ください。ご相談は何度でも無料です。

相続手続でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、戸籍の収集による相続人調査から遺産分割協議書の作成までをサポートします。書類作成に関するご相談は何度でも無料です。※相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続放棄など家庭裁判所へ提出する書類の作成は司法書士・弁護士の業務であり、当法人では取り扱いません。

遺産分割協議書作成サポートの詳細を見る

まとめ

認知を受けていない非嫡出子は、血縁があっても法律上の相続人ではありません。父の死後に相続権を主張するには、死亡の日から3年以内(民法787条ただし書)に検察官を被告とする死後認知の訴えを提起し、DNA鑑定等で父子関係を立証する必要があります。認知が確定すれば相続分は嫡出子と同等であり、遺産分割前なら協議への参加、分割後なら価額支払請求(民法910条)が可能です。期間制限の厳しい手続ですので、心当たりのある方は早めに専門家へご相談ください。

未認知の非嫡出子の相続に関するよくある質問

Q:認知されていない子は、父の遺産を一切相続できないのですか。

A:法律上の父子関係がない以上、法定相続人にはなりません。ただし、父の生前の任意認知や遺言認知のほか、父の死亡の日から3年以内であれば死後認知の訴え(民法787条ただし書)で父子関係を確定し、相続権を得ることができます。父が遺言で遺贈しておく方法もあります。

Q:父の死亡から3年を過ぎてしまったら、もう何もできませんか。

A:認知の訴えは原則として提起できなくなります。起算点は原則として父の「死亡の日」です。ただし、期間内に提訴できなかったことがやむを得ない特殊事情がある場合には、父の死亡が客観的に明らかになった時から起算できることがあります。個別の事情により判断の余地がないかを含め、早急に弁護士へ相談してください。

Q:父が亡くなっていてもDNA鑑定はできますか。

A:父本人の検体がなくても、父の嫡出子や兄弟姉妹など血族との血縁鑑定で父子関係を推認する方法があります。遺品から検体を確保できる場合もあります。どのような鑑定や証拠を用いるかは、訴訟を担当する弁護士と検討することになります。

Q:認知が認められたとき、すでに遺産分割が終わっていたらどうなりますか。

A:遺産分割のやり直しは請求できませんが、民法910条により、他の共同相続人に対して相続分に相当する価額の支払を請求できます。算定の基礎は分割対象とされた積極財産の価額で、相続債務は控除されません。財産の評価は価額の支払を請求した時を基準とします。

Q:行政書士には何を依頼できますか。

A:戸籍の収集による法定相続人の確認と、遺産分割協議書の作成をご依頼いただけます。認知の訴えなどの裁判手続は弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士の職域のため、当事務所が連携先をご紹介しながら相続手続全体を進めます。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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