結論から言えば、IT導入補助金(2026年公募からは「デジタル化・AI導入補助金2026」へ改称)の「セキュリティ対策推進枠」は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、かつIT導入支援事業者が事務局に登録したサービスの利用料・導入費を、5万円から150万円まで補助する制度です。補助率は中小企業で2分の1以内、小規模事業者で3分の2以内、最大2年分の利用料が対象となります。行政書士は、行政書士法第1条の3に基づき、官公署に提出する書類の作成を業務とする立場にあり、補助金の交付申請に必要な書類作成の支援も含まれます。当事務所では雇用関係助成金は社会保険労務士、税務処理は税理士と連携し、申請から実績報告までを過不足なくお手伝いします。本記事では制度の要点を実務目線で整理します。
目次
セキュリティ対策推進枠とは何か
セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃の脅威にさらされる中小企業・小規模事業者が、対策サービスを導入する際の費用の一部を補助する申請枠です。近年は中小企業を踏み台にしたサプライチェーン攻撃やランサムウェアの被害が増加しており、限られた予算でセキュリティ体制を整える手段として位置づけられています。
この枠の最大の特徴は、補助対象が「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスに限定されている点です。汎用的なソフトを自由に選んで申請するのではなく、あらかじめ国の基準を満たすと認められたパッケージ型サービスを導入するという建て付けになっています。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業に対するサイバー攻撃への対処として不可欠な機能をワンパッケージにまとめ、民間事業者が提供するサービスです。IPAが2021年春に制度を開始し、基準を満たすサービスに「お助け隊マーク」を付与して普及を進めています。
サービスに含まれる主な機能は次のとおりです。
- ネットワークの監視(UTM等による通信の見守りと、攻撃の検知・通知)
- 端末の監視(EDR等による端末の不審な挙動の検知・通知)
- 緊急時の駆け付け・支援対応(インシデント発生時の技術者による対応)
- 被害に備えた保険等の付帯
個別のツールを別々に契約・運用する負担を抑え、「見守り」から「いざというときの対応」までを一括で受けられる点が、専門のIT人材を置きにくい中小企業に適しています。補助対象となるサービスの具体的な登録一覧は、IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」で公開されています。
補助額・補助率・補助対象期間
補助の金額条件は次のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 補助額(下限・上限) | 5万円 〜 150万円 |
| 補助率(中小企業) | 2分の1以内 |
| 補助率(小規模事業者) | 3分の2以内 |
| 補助対象期間 | 最大2年分のサービス利用料 |
補助対象となるのは、お助け隊サービスリストに掲載され、かつIT導入支援事業者により事務局へ登録されたサービスの導入費用および利用料です。月額・年額で発生する利用料についても、上限の範囲内で最大2年分がまとめて対象になり得る点が、単発のツール購入とは異なる特徴です。なお、補助率や上限額・対象範囲は公募回ごとに見直されるため、申請前に必ずその回の公募要領で最新の条件をご確認ください。
申請の流れとスケジュール
申請は事務局のポータルサイトから電子申請で行います。手続には事業者の認証基盤である「GビズIDプライム」アカウントと、情報セキュリティ対策の自己宣言である「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が必要です。交付申請時には、SECURITY ACTIONの宣言済みアカウントIDを入力します。導入するサービスはIT導入支援事業者を通じて選定・申請するため、まずは支援事業者を決めるところから始まります。
公募は複数の締切回に分けて実施されます。直近の締切回の日程の例は次のとおりです(各回で日付は異なるため、申請時点の公募要領で必ず確認してください)。
- 交付申請の受付開始:2026年3月30日
- 申請締切:2026年7月21日 17:00
- 交付決定(予定):2026年9月2日
- 事業実施期間の終期(予定):2027年2月26日 17:00
重要な注意点として、補助金は「交付決定後」に発注・契約・支払いを行ったものが対象です。交付決定前に発注・契約してしまった費用は原則として補助対象外となるため、フライング発注は避けてください。
申請時の注意点
- 対象サービスの確認:必ず「お助け隊サービスリスト」掲載かつ事務局登録済みのサービスを選ぶこと。リスト外のセキュリティ製品は対象になりません。
- 交付決定前の発注・契約等に注意:交付決定前に発注・契約・支払いを行った経費は、原則として補助対象外となります。
- SECURITY ACTIONの宣言:「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言を済ませ、交付申請時に宣言済みアカウントIDを入力する必要があります。
- 実績報告と事業実施期間:定められた期間内に導入・支払いを完了し、証憑をそろえて実績報告を行う必要があります。
- 2026年公募からの制度名:IT導入補助金は2026年公募から「デジタル化・AI導入補助金2026」へ改称され、セキュリティ対策推進枠は引き続き設けられています。名称変更後も枠組みの考え方は維持されています。
当事務所のサポート
行政書士は、行政書士法第1条の3に基づき、他の法律で制限されているものを除き、官公署に提出する書類および権利義務・事実証明に関する書類を作成することを業務としています。補助金の交付申請に必要な官公署提出書類の作成も、この業務範囲に含まれます。当事務所では、セキュリティ対策推進枠について、対象となるお助け隊サービスの確認、申請に必要な要件(GビズID・SECURITY ACTION等)の整理、交付申請書類の作成、交付決定後の手続・実績報告までを一貫してサポートします。雇用関係助成金が関係する場合は社会保険労務士、消費税・経理処理の論点は税理士と連携し、職域を越えない体制でご案内します。
補助金申請のご相談・お問い合わせはこちらの補助金サポートのご案内ページからお気軽にどうぞ。料金や進め方は事案により異なりますので、個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。
補助金の申請でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、公募要領の確認から事業計画書・申請書類の作成、交付決定後の各種手続までサポートします。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
IT導入補助金(2026年公募からはデジタル化・AI導入補助金2026)のセキュリティ対策推進枠は、お助け隊サービスリスト掲載のセキュリティサービスを、5万円〜150万円・補助率2分の1(小規模事業者は3分の2)以内・最大2年分で導入できる制度です。対象サービスの選定、交付決定前発注の回避、SECURITY ACTIONの実施といった要件を押さえることが採択と適正な受給の鍵になります。制度内容は公募回ごとに更新されるため、最新の公募要領を確認のうえ、書類作成は行政書士、税務は税理士、雇用関係は社労士と、専門家が連携して進めることをおすすめします。
セキュリティ対策推進枠に関するよくある質問
Q:どんなサービスでも補助の対象になりますか?
A:いいえ。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、かつIT導入支援事業者が事務局に登録したサービスに限られます。市販の一般的なセキュリティソフトを単独で購入しても対象外となるため、まず対象サービスかどうかの確認が必要です。
Q:補助はいくらまで受けられますか?
A:補助額は5万円から150万円の範囲です。補助率は中小企業で2分の1以内、小規模事業者で3分の2以内とされ、最大2年分のサービス利用料が対象になり得ます。上限額・補助率は公募回によって変わることがあるため、申請時点の公募要領をご確認ください。
Q:契約はいつ結べばよいですか?
A:交付決定後に発注・契約・支払いを行ったものが補助対象です。交付決定前に契約・支払いを済ませてしまうと原則として対象外となりますので、必ず交付決定を待ってから手続を進めてください。
Q:IT導入補助金が名称変更されたと聞きましたが、この枠はなくなりましたか?
A:なくなっていません。IT導入補助金は2026年公募から「デジタル化・AI導入補助金2026」へ改称されましたが、セキュリティ対策推進枠は引き続き設けられています。申請にあたっては最新年度の公募要領で枠の内容を確認してください。
Q:申請に必要な事前準備は何ですか?
A:主に、事業者向け認証アカウント「GビズIDプライム」の取得と、情報セキュリティ対策の自己宣言「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が必要です。交付申請時には宣言済みアカウントIDを入力します。あわせて、補助対象として事務局に登録されたお助け隊サービスと、そのサービスを提供するIT導入支援事業者を選定しておく必要があります。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


