中古車販売店の開業に必要な古物商許可とは?車の転売・登録手続・古物台帳を行政書士が解説
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公開日:2026年5月13日
中古車販売店の開業には、(1)古物商許可(古物営業法)と(2)自動車登録代行業務(行政書士業務)の2つの法的整備が必要です。「ヤフオク・メルカリで車を仕入れて売りたい」「個人事業から中古車販売業に転換したい」――古物商許可なき中古車売買は無許可営業となり、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(古物営業法31条。2025年6月1日施行の改正刑法により「懲役」は「拘禁刑」に一本化)の対象となります。
本記事の結論:
- 中古車販売業の開業には古物商許可(公安委員会・申請手数料19,000円・標準1〜2か月)が必須。無許可営業は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(古物営業法31条)。
- あわせて自動車登録代行体制、展示場・保管場所の確保、古物台帳の整備、自動車保険・賠償体制の整備が必要。
- 中古自動車は古物営業法2条1項の「古物」に該当し、古物営業法施行規則上は「自動車類」「自動二輪車類及び原動機付自転車類」の品目区分。買取再販・委託販売・交換・レンタル等を業として行う場合は古物営業に該当。
- 当所は古物商許可申請(公安委員会)と自動車登録代行(運輸支局・軽自動車検査協会)のセット対応でワンストップ支援します。
目次
根拠法令
- 古物営業法 2条(古物の定義)・3条(許可制)・4条(欠格事由)・5条(許可の申請)・7条(変更の届出)・16条(帳簿等への記載)・18条(帳簿等の保存)・31条(無許可営業の罰則)
- 古物営業法施行規則 2条(古物の区分・13品目)・18条(帳簿等の様式・保存期間)
- 道路運送車両法 4条以下(登録)・12条(変更登録)・13条(移転登録)・15条(永久抹消登録)・15条の2(輸出抹消仮登録)・16条(一時抹消登録)・17条(電子情報処理組織による登録の特例)・78条以下(自動車特定整備事業の認証)
- 道路運送車両法施行規則 25条以下(自動車保有関係手続のワンストップサービス)
- 自動車損害賠償保障法 5条(自賠責保険等の加入強制)・86条の3(罰則)
- 特定商取引法 11条(通信販売の広告事項)
- 消費税法 57条の2(適格請求書発行事業者登録、2023年10月1日施行)・消費税法施行令 70条の9(古物商特例)
- 都市計画法(用途地域制度)
- 2025年6月1日施行 改正刑法(懲役・禁錮を「拘禁刑」に一本化)
1. 中古車は古物営業法上の「古物」
古物営業法2条1項は、(a)一度使用された物品、(b)使用されない物品で使用のために取引されたもの、(c)これらに幾分の手入れをしたもの、を「古物」と定義しています。中古自動車はこの「古物」に該当し、古物営業法施行規則2条で定める13品目の取扱区分では、第4号「自動車(その部分品を含む)」、第5号「自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む)」の2区分に該当します。
1-1. 古物営業に該当する行為
- 古物を買い取って売る
- 古物を買い取って修理して売る
- 古物の売買の委託を受ける
- 古物を交換する
- 古物をレンタルする
1-2. 古物商許可が不要な場合
- 自分のもの(一度も使用していない、または自己使用目的で購入したもの)の売却のみ
- 無償で譲り受けたものを単発的に売却する場合
- 相手から手数料を取って回収・処分するもの
※ただし、無償引取であっても、反復継続して中古車を取得・販売する場合や、実質的に買取・下取り・委託販売と評価される場合(処分料名目での引取、買取相当の現金交付等)は、古物商許可が必要となる可能性があります。年間数台でも反復性・利益性があれば「業として」に該当し許可必須。判断に迷う場合は所轄警察署生活安全課に事前相談することを推奨します。
2. 古物商許可申請の手続
2-1. 申請先
営業所を管轄する都道府県公安委員会(実際の窓口は所轄警察署生活安全課)。
2-2. 必要書類
- 古物商許可申請書
- 住民票(本籍記載・マイナンバー記載なし)
- 身分証明書(本籍地市区町村発行)
- 登記されていないことの証明書(法務局)
- 誓約書(個人用・法人役員用・管理者用)
- 略歴書(過去5年分)
- 営業所の使用権限を証する書面(賃貸借契約書等)
- 営業所の図面・周辺地図
- URL届出(ECサイト・自社サイトで取引する場合)
- 法人の場合:定款・登記簿謄本
2-3. 申請費用
- 申請手数料:19,000円(都道府県の収入証紙)
- 住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書等の取得費用:1人分の証明書取得費用は1,400円程度(自治体により異なる)
- 法人申請の場合:法人登記簿の取得費用(1通600円)が別途必要
※ 行政書士報酬は事案により個別見積となります。法人・複数都道府県をまたぐ営業所・複数管理者等の事情でも変動するため、まずは無料相談で状況をお聞かせください。
2-4. 審査期間
標準処理期間は40日(土日祝除く実稼働日数。古物市場主は50日)。各都道府県警察の審査基準で定められた目安で、都道府県により30〜50日程度の幅があります。起算点は「警察署が書類を受理した日」(申請書を持参した日ではない)で、書類に不備があると受理前に差し戻されるため、実務上は1〜2か月を見込むのが一般的です。
3. 欠格事由(古物営業法4条)
- 破産手続開始決定を受けて復権を得ない者
- 拘禁刑以上の刑、または古物営業法31条の罪(無許可営業・名義貸し・不正手段による許可取得・営業停止命令違反)、刑法235条(窃盗罪)・247条(背任罪)・254条(遺失物等横領罪)・256条2項(盗品等関与罪)を犯して罰金刑に処せられ、執行終了または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(同条6号。2025年6月1日施行の改正刑法により「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化)
- 住居の定まらない者
- 古物営業許可取消処分後5年経過しない者
- 未成年者(2022年4月1日施行の改正民法により18歳未満。婚姻による成年擬制は削除済み。営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者、相続による営業継続等の例外あり)
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
4. 営業所の要件
4-1. 営業所として認められる場所
- 独立した事務所スペース
- 賃貸物件:賃貸借契約で「事務所利用可」の確認(用途違反は契約解除事由となり得る)
- 分譲マンション:管理規約で「事業利用可」の確認
- 用途地域の確認:都市計画法に基づく用途地域(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域等)では店舗・展示場の用途制限があるため、中古車展示場を兼ねる場合は特に注意が必要
4-2. 展示場・保管場所
- 中古車展示場:駐車場として用途地域確認
- 仕入れ車両の保管場所
- 整備のための作業スペース(必要に応じて)
5. 古物台帳の整備義務
古物営業法16条により、古物商は一定の取引について帳簿等に記録する義務があります。また、古物営業法18条により、帳簿等は最終記載日から3年間保存する必要があります。台帳の不記載・虚偽記載は同法33条2号により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となります。
5-1. 記録事項
- 取引年月日
- 古物の品目・特徴(車種・型式・車台番号・走行距離等)
- 取引価格
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢
- 相手方の確認方法(運転免許証・マイナンバーカード等)
5-2. 保管期間
最終記載日から3年間。電子データでの保管も可能。
6. 自動車登録代行業務(行政書士業務)
6-1. 自動車登録の場面
- 新規登録(道路運送車両法7条):未登録車両の初回登録
- 移転登録(同法13条):所有者変更(売買時)、変更があった日から15日以内
- 変更登録(同法12条):使用者・住所等の変更、変更があった日から15日以内
- 永久抹消登録(同法15条):解体・滅失時
- 一時抹消登録(同法16条):一時的な使用中止
- 輸出抹消仮登録(同法15条の2):海外輸出時。輸出抹消仮登録証明書の取得が必要
6-2. 行政書士の業務範囲
- 運輸支局(普通車)・軽自動車検査協会(軽)への登録代行
- OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)対応
- 車庫証明取得代行
- 譲渡証明書・委任状等の作成
6-3. 自動車登録の法定費用(参考)
- 移転登録手数料:700円(登録車、2026年4月1日施行の改定後の窓口申請金額。OSSは600円)
- 車庫証明書発行手数料:2,000円〜2,800円程度(都道府県により異なる)
- ナンバープレート交付手数料:1,500円〜2,000円程度(都道府県・希望ナンバーの有無により異なる)
- OSS利用時の手数料は道路運送車両法施行令で定められた金額
※ 行政書士報酬は、エリア(多摩・23区)、依頼区分(個人・法人・ディーラー)、件数(スポット・ボリューム)等で個別見積となります。当事務所の車両手続料金はsyaryou ページでご確認いただけます。
7. 中古車販売業のその他リーガル整備
7-1. 自動車保管場所証明書(車庫証明)
展示車両そのものに常に車庫証明が必要となるわけではありません。ただし、販売店名義で登録する車両、試乗車・代車として使用する車両、使用の本拠を変更する車両などは、登録手続に伴い保管場所証明が必要となる場合があります(自動車の保管場所の確保等に関する法律)。
7-2. 自動車整備工場の認証
分解整備・電子制御装置整備など、道路運送車両法78条以下に定める「特定整備」に該当する作業を自社で行う場合は、自動車特定整備事業の認証が必要です。車検まで自社で完結する場合には、指定自動車整備事業(民間車検場)の指定も別途問題になります。軽微な清掃・洗車・用品取付のみであれば、直ちに認証が必要となるわけではありません。
7-3. 適格請求書発行事業者登録(インボイス制度)
消費税法57条の2(2023年10月1日施行)に基づく適格請求書発行事業者登録は、BtoB取引が多い中古車販売業では事実上必須。免税事業者からの仕入れは経過措置期間を経て段階的に仕入税額控除の対象外となるため、買取先・販売先の登録状況の管理が重要です。なお、中古車買取については古物商特例(消費税法施行令70条の9)により、適格請求書発行事業者でない個人から仕入れた場合でも一定の要件下で仕入税額控除が可能となる特例があります。
7-4. 自賠責保険・任意保険
自動車損害賠償保障法5条により、自動車を運行する場合は自賠責保険(共済)への加入が強制されており、未加入での運行は同法86条の3により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となります。中古車販売店では、販売前の展示車両も含めて自賠責保険の有効性を確認し、試乗・配送時の事故対応のため業務用任意保険(対物・対人・車両)への加入も実務上必須です。
8. ECサイト取引の追加要件
8-1. URL届出義務(古物営業法5条1項6号)
自社サイト・ECモール(ヤフオク・メルカリ・カーセンサー等のプラットフォームで自分専用のページを設けて取引する場合)で古物の取引を行う場合、URLの届出が必要です。URLが変更された場合も14日以内に変更届出が必要(同法7条)。届出を怠ると10万円以下の罰金(同法35条)の対象となる可能性があります。
8-2. 景品表示法・自動車公正競争規約への対応
中古車をインターネット上で販売する場合、景品表示法および自動車公正競争規約により、価格、走行距離、修復歴、保証内容、支払総額等について、消費者に誤認を与えない表示が必要です。自社サイト・広告媒体・オークション出品ページの表示内容を整備し、虚偽表示・誤認表示を防止する体制を構築します。
8-3. 特定商取引法表示
通信販売(インターネット販売を含む)の場合、特定商取引法11条により、販売価格・送料・代金の支払時期と方法・引渡時期・返品特約(返品の可否・条件・送料負担)・事業者の氏名(法人の場合は法人名と代表者氏名)・住所・電話番号・許可番号等の表示義務があります。中古車は高額商品のため、契約不適合責任・契約解除条件・走行距離・修復歴の表示等の整備も特に重要です。
9. 業務範囲の整理
9-1. 行政書士の業務範囲
- 古物商許可申請
- 自動車登録代行(移転・変更・抹消)
- 車庫証明取得代行
- OSS(ワンストップサービス)対応
- 営業所変更等の許可関連届出
9-2. 業務範囲外(提携専門家を紹介)
- 会社設立・登記 → 司法書士業務
- 税務(インボイス・所得税・消費税の試算・申告) → 税理士業務(税理士法2条)
- 整備工場の技術検査・整備実務 → 自動車整備士・専門技術者(認証申請書類の作成は行政書士業務範囲)
- 古物商許可取消処分・営業停止処分等に対する不服申立て、取消訴訟、行政事件対応 → 弁護士業務(弁護士法72条)
FAQ|よくあるご質問
Q1. 個人で古物商許可を取って法人化したらどうなりますか?
個人許可は法人に承継されません。法人として新規申請が必要。法人化を予定する場合は最初から法人で申請することを推奨。
Q2. オークション会場で仕入れて転売する場合も許可必要ですか?
はい。業として反復継続する場合は古物商許可必須。「USS」等のオートオークション参加にも許可が要件。
Q3. 営業所が自宅でも許可は取れますか?
取れます。ただし賃貸物件は事務所利用可の確認、マンションは管理規約確認が必要。
Q4. 申請から許可まで何日かかりますか?
標準処理期間40日(土日祝除く)。実務上は1〜2か月。
Q5. 古物商許可取得後の継続義務は?
古物台帳の整備・保管(3年)、営業所変更時の届出、URL変更時の届出、管理者変更時の届出等。
Q6. 中古車を個人売買のみで業に当たらない範囲は?
明確な数量基準はありませんが、年数台・利益目的の継続性がない場合は古物営業に該当しない可能性。判断は警察署生活安全課に事前相談を推奨。
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まとめ
中古車販売業の開業には、古物商許可(古物営業法)と自動車登録代行(行政書士業務)の2つの法的整備が必要です。古物商許可の標準処理期間は40日(実稼働日数)、申請手数料は19,000円。営業所要件・古物台帳整備(最終記載日から3年間保存)・URL届出(EC取引)等の継続義務にも対応必須。自賠責保険は強制加入(自動車損害賠償保障法5条)、適格請求書発行事業者登録(インボイス制度)はBtoB取引で事実上必須で、古物商特例(消費税法施行令70条の9)の活用も検討します。会社設立は司法書士業務、税務は税理士業務、整備工場認証の技術検査部分は専門技術者という業際を踏まえ、専門家チームでの開業支援が安心です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

