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解体工事の発注者の責任|分別解体等の届出・元請の指導と委託契約の留意点

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建物の解体を計画されている方にとって、「解体は工事業者に任せておけばよい」と考えがちですが、実は法律上、発注者自身に課せられた手続や責任が少なくありません。とくに建設リサイクル法に基づく分別解体等の計画の届出は、原則として発注者が都道府県知事に対して行う義務であり、解体工事ではこの届出が出発点になります。また、近年は石綿(アスベスト)の飛散防止対策が強化され、発注者・元請・施工者それぞれの役割分担を正しく理解しておくことがトラブル回避の鍵となります。本記事では、解体工事における発注者の責任を、各種届出と委託契約の留意点を中心に整理します。

建設リサイクル法に基づく分別解体等の届出は発注者の義務

建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)では、一定規模以上の建設工事について、特定建設資材を分別しながら解体する「分別解体等」と、その後の「再資源化等」が義務づけられています。特定建設資材とは、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4品目です。

対象となる工事(建築物の解体工事では床面積の合計が80平方メートル以上など、工事の種類ごとに規模の基準が定められています)に該当する場合、発注者は、工事に着手する日の7日前までに、分別解体等の計画等を都道府県知事に届け出なければなりません。届出の義務を負うのは元請業者ではなく発注者である点が、解体工事の手続で特に誤解されやすいところです。自ら施工する自主施工者の場合も、同様に届出が必要です。

元請業者の説明義務と発注者・元請の役割分担

分別解体等の届出は発注者の義務ですが、実務では届出書の作成や行政との調整に専門的な知識を要するため、発注者が手続を負担なく進められるよう制度上の手当てがされています。建設リサイクル法では、対象建設工事の元請業者は、契約に先立ち、分別解体等の計画等について発注者に対し書面を交付して説明する義務を負っています。発注者はこの説明を踏まえて計画を確認し、届出を行う流れになります。

つまり、計画づくりや技術的な裏付けは工事を請け負う側が担い、行政への届出の名義人は発注者という形で責任が分担されています。発注者としては、元請業者から受けた説明の内容と、実際に届け出る計画とが食い違わないよう、契約前にしっかり確認しておくことが重要です。

石綿(アスベスト)対策における事前調査と報告の責任

解体工事でとくに注意したいのが石綿(アスベスト)への対応です。大気汚染防止法および石綿障害予防規則では、建築物等を解体・改造・補修する工事に着手する前に、石綿が使用されているかどうかを調査する「事前調査」が義務づけられています。さらに、建築物の解体・改修等については令和5年10月1日以降着工分から、工作物については令和8年1月1日以降着工分から、一定の資格者による事前調査が必要とされているため、発注者としても有資格者による調査体制があるかを確認することが重要です。

このうち、一定規模以上の工事(解体部分の床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事、請負金額が税込100万円以上の改修工事など)については、事前調査の結果を、元請業者(受注者)又は自主施工者が行政等に報告する義務があります。この報告は、原則として石綿事前調査結果報告システムを通じて行うものとされています。報告義務者は元請業者または自主施工者であって、下請業者などに代わって報告させることはできない点に留意が必要です。発注者としては、信頼できる調査・報告体制を備えた業者を選ぶことが大切です。

また、元請業者は、事前調査の結果について発注者に対して書面を交付して説明しなければなりません。発注者はこの説明を通じて、自らが発注する工事に石綿対策が必要かどうかを把握できます。

特定粉じん排出等作業実施届出は発注者等が提出

事前調査の結果、吹付け石綿、石綿含有断熱材、石綿含有保温材、石綿含有耐火被覆材といった特定建築材料の除去等を行う場合、その作業は大気汚染防止法上の「特定粉じん排出等作業」に当たります。この場合、特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに、特定粉じん排出等作業実施届出書を都道府県知事等に届け出る必要があり、届出義務者は発注者または自主施工者とされています。

ここで整理しておきたいのは、同じ石綿対策でも手続によって責任を負う主体が異なるという点です。事前調査結果の行政への報告は元請業者(受注者)が、特定粉じん排出等作業の実施届出は発注者等が行うという役割分担になっています。発注者が「すべて業者任せ」と考えていると、本来自らが届け出るべき手続が漏れてしまうおそれがあるため注意が必要です。

工事請負契約・書面交付で押さえておきたい留意点

解体工事を業者に委託する際は、契約内容を書面で明確にしておくことがトラブル防止につながります。建設リサイクル法では、対象建設工事の請負契約において、分別解体等の方法、解体工事に要する費用、再資源化等をするための施設の名称・所在地、再資源化等に要する費用といった事項を書面に記載し、相互に交付することが求められています。

発注者としては、こうした法定の記載事項が契約書に盛り込まれているかを確認するとともに、各種届出の名義や、誰がどの手続を担当するのかを契約段階で取り決めておくと安心です。各種届出書の作成や提出を専門家に依頼することで、手続の漏れや記載ミスを防ぎ、適正な手続のもとで工事を進めることができます。

解体工事に伴う届出は、種類ごとに義務者・期限・提出先が異なり、発注者と元請・施工者の責任分担を正確に理解する必要があります。建設リサイクル法に基づく分別解体等の届出をはじめとする各種届出書類の作成・代理について、当事務所が発注者のお手伝いをいたします。費用については個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。まずはお気軽にこちらのページからご連絡ください。

まとめ

解体工事では、建設リサイクル法に基づく分別解体等の計画の届出(工事着手の7日前まで・床面積80平方メートル以上等)を原則として発注者が行う義務を負い、元請業者には計画の書面による説明義務があります。石綿対策では、事前調査結果の行政への報告は元請業者(受注者)が、特定粉じん排出等作業実施届出(作業開始の14日前まで)は発注者等が行うという役割分担になっており、手続ごとに責任主体と期限が異なります。委託契約では法定の記載事項を書面で明確にし、誰がどの届出を担うかを取り決めておくことが大切です。なお、税務に関するご相談は税理士、紛争・訴訟に関するご相談は弁護士など、各分野の専門家にご相談ください。建設リサイクル法に基づく各種届出書類の作成・代理については、行政書士である当事務所までお気軽にお問い合わせください。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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