公開日:2026年5月5日|最終更新日:2026年5月5日
「下請業者への発注金額が大きくなり、一般建設業許可では足りなくなった」「複数業種で許可区分を変えたい」――こうしたご相談が、令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正(特定建設業許可を要する下請代金額の下限が5,000万円・建築一式8,000万円に引上げ)以降も、依然として多く寄せられています。本記事では、一般建設業許可をすでにお持ちの会社が特定建設業許可を新たに取得する「般・特新規申請」について、令和6年12月13日改正建設業法(営業所技術者等への用語整理)を踏まえて、要件・手続・費用・標準処理期間まで実務目線で解説します。
本記事の結論:
- 般・特新規は、一般建設業許可保有者が新たに特定建設業許可を申請する手続。同一業種で一般→特定に切替えると一般許可は失効し、異なる業種では一般と特定の併存が可能。
- 令和7年2月1日施行の改正により、特定建設業許可を要する下請代金額の下限は5,000万円(建築一式8,000万円)以上に引上げられた(旧4,500万円・建築一式7,000万円)。元請として下請発注がこれ以上となる見込みがあるなら特定許可が必須。
- 追加要件は、財産的基礎(資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上・欠損20%以下・流動比率75%以上)と特定営業所技術者(1級国家資格者等)。指定建設業7業種では実務経験のみでの充足は不可。
- 申請手数料は知事許可で90,000円(許可換え新規も同額)。業種追加は別区分で50,000円なので混同注意。標準処理期間は知事30〜45日、大臣90〜150日程度。
- 同改正で別論点として、主任技術者・監理技術者の現場専任義務のしきい値も4,500万円(建築一式9,000万円)に引上げ。「特定建設業のしきい値(5,000万円・8,000万円)」と混同しないこと。
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目次
根拠法令
- 建設業法 第3条(建設業の許可)、第15条(特定建設業の許可基準)、第16条(下請契約の制限)
- 建設業法施行令 第2条(法第3条第1項第2号の金額)――令和7年2月1日施行改正により、特定建設業許可を要する下請代金額の下限が5,000万円(建築工事業の場合8,000万円)に引上げ
- 令和6年12月13日改正建設業法――「専任技術者」を「営業所技術者等」に整理
- 令和7年6月施行改正刑法――「懲役」「禁錮」を「拘禁刑」に一元化(建設業法上の欠格要件で参照)
般・特新規申請とは何か
定義と位置づけ
般・特新規申請とは、一般建設業許可をすでに受けている事業者が、同一行政庁(知事または大臣)に対して新たに特定建設業許可を申請する手続を指します。建設業許可は「一般」と「特定」の区分で構成され、同一業種について一般から特定へ切り替える場合と、異なる業種について新たに特定を取得する場合があります。
許可換え新規・業種追加新規との違い
- 般・特新規:許可区分(一般⇔特定)の切替・追加
- 許可換え新規:許可行政庁の変更(知事⇔大臣、他県知事への変更)
- 業種追加新規:同一区分内で業種を追加(既に一般保有で別業種の一般を追加 等)
般・特新規および許可換え新規は「新規」扱いで、知事許可なら手数料は90,000円(収入証紙等)です。一方、業種追加は申請区分が異なり、知事許可で50,000円となるため、業種追加新規(同一区分内で別業種を追加)と並列で「同額」とは扱われません。
切替の必要性:下請総額制限のしきい値
令和7年2月1日施行改正の数字
建設業法第16条は、発注者から直接請け負った工事において、特定建設業許可がなければ一定額以上の下請発注ができない旨を定めています。令和7年2月1日に建設業法施行令が改正され、特定建設業許可が必要となる下請代金額の下限は次のとおり引上げられました。
- 建築工事業(建築一式工事):8,000万円以上(旧7,000万円)
- 建築工事業以外の工事:5,000万円以上(旧4,500万円)
1件の元請工事における下請契約総額(複数の下請への発注合計)がこの基準以上となる見込みがあるなら、特定建設業許可なしに下請契約を締結することはできません。
なお、同改正では別論点として、主任技術者・監理技術者の現場専任を要する請負代金額の下限も、4,500万円(建築一式9,000万円)以上に引上げられています。これは「特定建設業許可」のしきい値(5,000万円・8,000万円)とは別の基準ですので混同しないよう注意が必要です。また、本制限は元請(発注者から直接請け負う側)に課されるものであり、下請業者への発注金額の制限は下請業者には課されません。
違反のリスク
無許可で基準額以上の下請契約を結べば、建設業法違反として営業停止・許可取消等の行政処分のほか、罰則(令和7年6月施行改正刑法により「拘禁刑」または罰金)の対象となり得ます。施工開始後に発覚しても遡及的な許可取得はできないため、見込み段階で早めに申請に着手することが重要です。
特定建設業の追加要件
(1) 財産的基礎
特定建設業の許可基準(建設業法第15条第3号)として、直前決算において次のすべてを満たす必要があります。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であり、かつ自己資本が4,000万円以上であること
一般建設業許可(500万円以上の自己資本等)と比べて、ハードルが格段に上がります。直前決算で要件を満たさない場合、増資・利益計上・資本剰余金の整理など、早期の財務確認が鍵になります。なお、資本金については、申請日までに増資を行うことで基準を満たすものとして取り扱われる場合がありますが、自己資本・流動比率・欠損要件は直前決算の財務諸表を基礎に確認されるため、事前確認が重要です。
(2) 特定営業所技術者
令和6年12月13日改正建設業法により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者等」に用語整理されました。特定建設業許可では「特定営業所技術者」として、次のいずれかを満たす者を営業所ごとに配置します。
- 1級国家資格者(1級建築施工管理技士・1級土木施工管理技士・1級建築士・技術士 等)
- 指定建設業(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種)以外の業種では、一般建設業の営業所技術者要件を満たしたうえで、元請として4,500万円以上の工事を2年以上指導監督した実務経験を有する者
指定建設業7業種では、原則として1級国家資格者または国土交通大臣が同等以上の能力を有すると認めた者が必要で、指導監督的実務経験のみでの充足は認められません。
(3) その他の要件
常勤役員等(経営業務の管理責任者)・誠実性・欠格要件不該当・社会保険加入については、一般建設業許可と共通です。令和7年6月1日施行の改正刑法以降、欠格要件中の「禁錮以上の刑」は「拘禁刑以上の刑」と読み替えられます。
同一業種で切替か、異なる業種で併存か
同一業種で一般→特定に切替える場合
たとえば「内装仕上工事業」を一般で保有しており、同業種を特定に切り替える場合、般・特新規により特定の許可を取得すると、同一業種の一般許可は失効します。1業種について一般と特定が併存することはありません。
異なる業種で併存させる場合
「内装仕上工事業は一般のまま、電気工事業のみ特定を新規取得」といった運用は可能です。この場合、同一会社内で業種ごとに一般と特定が併存することになり、許可通知書にも両区分が記載されます。経営事項審査・決算変更届はそれぞれの業種について必要書類を整える必要があります。
申請の流れと標準処理期間
事前準備
- 下請発注計画の確認(5,000万円・建築一式8,000万円基準への該当見込み)
- 直前決算書による財産的基礎の試算
- 特定営業所技術者候補者の資格・実務経験確認
- 常勤役員等・誠実性・社会保険加入状況の確認
必要書類(主なもの)
- 建設業許可申請書(様式第1号)一式
- 直近事業年度の財務諸表(決算書)
- 特定営業所技術者の資格証明書写し・実務経験証明書
- 常勤役員等の経歴書・常勤性確認書類
- 登記事項証明書、納税証明書、社会保険加入確認資料
- 役員等の身分証明書・登記されていないことの証明書
申請から許可までの標準処理期間
知事許可の場合、申請受理から許可までの標準処理期間は30〜45日程度(自治体により異なります)。大臣許可は90〜150日程度(実務上は120日前後を目安)を見込みます。下請発注のスケジュールから逆算し、2〜3か月前には申請準備に着手することをお勧めします。
一般建設業許可保有期間中の実績の取扱い
特定営業所技術者の実務経験要件で「元請として4,500万円以上を2年以上指導監督」を主張する場合、一般建設業許可保有期間中に元請受注した工事の請負契約書・注文書・施工体制台帳等で、金額・期間・指導監督の事実を裏付けます。下請受注分や、しきい値未満の元請工事は実務経験としてカウントできない点に注意が必要です。
経営事項審査(経審)の更新タイミング
公共工事の入札参加を予定する場合、特定建設業許可取得後に改めて経審を受審し、業種ごとの総合評定値(P点)を更新します。決算変更届と経審申請のタイミングを揃え、有効期間(審査基準日から1年7か月)の空白を作らないようスケジュール管理することが重要です。経審の手続自体は本記事の対象外ですが、般・特新規と一体で計画することをお勧めします。
料金(行政書士法人Tree)
| サービス | 料金(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 建設業許可 新規申請(般・特新規含む) | 110,000円 | 知事許可の場合 |
| 決算書確認・財務諸表組替 | 22,000円 | 新規申請とセット |
| 建設業許可 更新申請 | 55,000円 | 5年ごと |
| 変更届出 | 27,500円 | 役員変更・営業所変更等 |
※ 別途、知事新規許可手数料90,000円(収入証紙等)が必要です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 一般建設業許可を持っていれば、自動的に5,000万円以上の下請発注ができますか?
いいえ。一般建設業許可では、5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の下請契約を締結できません。特定建設業許可が別途必要です。なお、本制限は元請として発注者から直接請け負った工事に課されるもので、下請業者に対する制限ではありません。
Q2. 同一業種で一般から特定に切り替えると、一般許可はどうなりますか?
同一業種について一般と特定は併存しません。特定許可を取得した時点で、同業種の一般許可は失効します。
Q3. 業種ごとに一般と特定を分けて持てますか?
はい。例えば内装仕上工事業は一般、電気工事業は特定、という運用は可能です。許可通知書には両区分が併記されます。
Q4. 自己資本4,000万円に届かない場合、どうすればよいですか?
増資、利益剰余金の積み上げ、資本剰余金への組替などの選択肢があります。直前決算前の財務計画が重要です。
Q5. 特定営業所技術者は、社内に1級資格者がいれば足りますか?
営業所ごとに常勤の1級資格者等を配置する必要があります。指定建設業7業種では実務経験での充足は不可です。
Q6. 般・特新規の申請手数料はいくらですか?
知事許可の新規申請として90,000円(収入証紙等)です。許可換え新規も同額の90,000円ですが、業種追加(同一区分内で別業種を追加)は申請区分が異なり、知事許可で50,000円となります。
Q7. 標準処理期間はどのくらいですか?
知事許可で30〜45日程度、大臣許可で90〜150日程度(実務上は120日前後を目安)です。自治体・地方整備局により差があります。
Q8. 一般許可期間中の元請実績は、特定の実務経験として使えますか?
指定建設業7業種以外の業種では、原則として元請として4,500万円以上の工事を2年以上指導監督した実績が必要です。下請受注分はカウントできません。指定建設業7業種では実務経験のみでの充足は認められず、原則として1級国家資格者等が必要です。
Q9. 決算書の数字が要件未達のまま申請したらどうなりますか?
財産的基礎要件不該当として不許可となります。直前決算で要件を満たすことが前提です。
Q10. 社会保険未加入でも申請できますか?
適用事業所であるにもかかわらず未加入の場合、許可は受けられません。事前に加入を完了する必要があります。
Q11. 経審はいつ受け直せばよいですか?
特定許可取得後、決算変更届とあわせて経審を受審し、業種ごとのP点を更新します。空白期間が出ないよう計画してください。
Q12. 改正刑法施行で欠格要件はどう変わりましたか?
令和7年6月施行の改正刑法により「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に一元化されました。建設業法上の欠格要件中の刑名も読み替えとなります。
般・特新規申請を計画的に進めるなら
下請発注額のしきい値超過は、現場の進行と直結する重要な経営判断です。財産的基礎・特定営業所技術者の要件確認から、申請書類の作成・提出代行まで、行政書士法人Treeにご相談ください。
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まとめ
般・特新規申請は、下請発注規模の拡大に伴って避けて通れない手続です。令和7年2月施行改正で、特定建設業許可を要する下請代金額の下限が5,000万円(建築一式8,000万円)に引上げられたとはいえ、元請として一定規模の工事を担う事業者にとって、特定建設業許可は事業展開の必須条件となっています。財産的基礎(自己資本4,000万円以上等)と特定営業所技術者(1級資格者等)という2大要件は、決算サイクル・人材確保サイクルと密接に絡むため、思い立った時点で着手しても間に合わないケースが少なくありません。下請発注計画から逆算した、計画的な準備こそが成功の鍵です。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。


