告訴状関連

逮捕罪・監禁罪の告訴状の書き方|構成要件・証拠収集・記載例を解説

更新: 約13分で読めます

「職場で上司に部屋に閉じ込められた」「帰そうとしない相手から長時間拘束された」——このような被害を受けた場合、逮捕罪・監禁罪(刑法220条)に該当する可能性があります。身体の自由を拘束する行為は、法執行権限がない限り犯罪となり、悪質な場合は重い処罰の対象となります。この記事では、逮捕罪・監禁罪の構成要件・両罪の違い・告訴状の書き方を解説します。

結論として、逮捕罪・監禁罪は「不法に人を逮捕し、又は監禁した者」を処罰する犯罪で、3か月以上7年以下の拘禁刑(2025年6月刑法改正で一本化)が科されます。「逮捕」は身体の自由を直接拘束すること、「監禁」は場所的移動の自由を奪うことを指します。告訴状には拘束の方法・継続時間・場所等を具体的に記載します。

「不法な拘束・監禁の被害を受けたが、告訴状の書き方が分からない」とお悩みの方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴事実の整理から証拠収集まで、専門家がサポートします。相談は何度でも無料・全国対応です。

▶ 今すぐ無料で相談してみる

逮捕罪・監禁罪の構成要件

条文(刑法220条)

刑法220条は、「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の拘禁刑に処する」と規定しています。従来の懲役と禁錮は2025年6月1日施行の改正刑法により「拘禁刑」に一本化されました。

【罰金刑がない重罪】

逮捕・監禁罪には罰金刑の規定がありません。そのため、有罪判決が下された場合、執行猶予がつかない限り実刑判決(刑務所への収容)となります。個人の身体の自由・移動の自由に対する侵害を重く見た立法趣旨です。

構成要件の分析

要件 内容
客体 他人(加害者以外の人)
行為 逮捕または監禁
違法性 不法に(法律上の権限なく)
故意 身体の自由を不法に拘束する認識・認容

「逮捕」の意味

「逮捕」とは、人の身体を直接的に拘束する行為をいいます。手足を縛る、抱きかかえて移動を封じる、後ろ手に組み敷く等の物理的拘束が典型例です。

【逮捕と監禁の違い】

項目 逮捕 監禁
拘束方法 身体への直接的拘束 場所的脱出不能
典型例 手錠・縄・羽交い絞め 部屋に閉じ込め・車内拘束
継続時間 短時間でも成立可(瞬間は暴行罪) ある程度の継続時間が必要
手段 物理的強制 物理・心理・錯誤利用

【逮捕と暴行の区別】

瞬間的に移動の自由を奪うに過ぎない行為は暴行罪(刑法208条、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)となります。例えば、一瞬手首を掴んで引き止めるだけでは暴行罪で、継続的に拘束して初めて逮捕罪となります。

「監禁」の意味

「監禁」とは、人を一定の場所から出られないようにする行為をいいます。部屋に閉じ込める、車で連れ回す、密室化した空間に入れる等が該当します。直接身体を拘束する必要はなく、心理的な圧迫・物理的な障害・錯誤利用(だまし)によって事実上脱出が困難な状態にすることも含まれます。

【判例:錯誤利用による監禁】

最高裁判決昭和33年3月19日は、被告人が被害者に「君の家まで送ってあげる」と騙して自己の運転する原付の荷台に乗車させ、1,000メートル余り疾走した事例について、被害者の錯誤を利用した監禁罪の成立を認めています。

【継続犯としての監禁罪】

監禁罪は、法益侵害が継続する「継続犯」です。以下の実務上の影響があります。

  • 公訴時効の起算点: 監禁状態が終了した時点(被害者解放時点)から進行
  • 共犯の成立: 監禁継続中に加担した者も共犯となる
  • 証拠保全の重要性: 継続時間が長いほど、防犯カメラ・通話履歴・目撃者証言等の客観的証拠が重要

逮捕・監禁罪で成立する具体例

職場・会社内での拘束(パワハラ・カスハラとの関係)

近年、職場でのハラスメント行為が監禁罪として立件される事例が増加しています。

【退職引き止め型】

  • 退職届を提出した社員を会議室に閉じ込めて長時間翻意を迫る
  • 退職代行サービスを利用させないため、出社を強要して帰宅させない
  • 「退職を認めるまで帰さない」と告げて会議室の入口を塞ぐ

【パワハラ型】

  • 営業成績不振の社員を事務所に残して帰宅させない
  • 社長室・応接室に呼び出し、長時間の叱責後も退室を許さない

【カスタマーハラスメント(カスハラ)型】

  • 取引先のクレーム対応と称して客室から出さない
  • 顧客が店舗従業員を長時間事務所に拘束し、土下座・謝罪を強要

これらの行為は、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)違反と同時に監禁罪が成立する可能性があります。

家庭内・恋愛関係での拘束

  • DV加害者が配偶者を自宅から出られないようにする
  • 交際相手を車に乗せてドライブしながら移動の自由を奪う
  • 性的虐待の目的で未成年者を自室に閉じ込める

その他

  • オレオレ詐欺の受け子が被害者を車内に閉じ込めて金銭要求
  • ストーカーが被害者の自宅前で帰宅を妨げる

関連する加重犯罪

逮捕・監禁致死傷罪(刑法221条)

刑法221条は「前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」と規定しています。これは、傷害罪(刑法204条)・傷害致死罪(刑法205条)と逮捕・監禁罪(刑法220条)の法定刑を比較し、上限・下限ともに重い方を法定刑とする意味です。

犯罪類型 法定刑 根拠
逮捕・監禁罪 3月以上7年以下の拘禁刑 刑法220条
逮捕・監禁致傷罪 3月以上15年以下の拘禁刑 刑法220条の下限3月+刑法204条傷害罪の上限15年
逮捕・監禁致死罪 3年以上20年以下の拘禁刑 刑法205条傷害致死罪(3年以上20年以下)

致死の結果が生じた場合は、裁判員裁判の対象にもなります。

略取・誘拐罪(刑法224条・225条)

18歳未満の未成年者を略取・誘拐した場合は未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)が成立し、3月以上7年以下の拘禁刑が科されます。暴行・脅迫等の強制的手段による場合は「略取」、偽計・誘惑による場合は「誘拐」となります。

※2022年4月1日施行の民法改正により、未成年者の年齢は「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げられています。これに伴い、未成年者略取罪の対象も18歳未満となっています。

営利・わいせつ・結婚・加害目的がある場合は営利目的等略取罪(刑法225条、1年以上10年以下の拘禁刑)、身代金目的の場合は身代金目的略取罪(刑法225条の2、無期又は3年以上の拘禁刑)として、より重い刑が科されます。

強盗致傷罪・強制性交等罪

逮捕・監禁と同時に強盗・強制性交等が行われた場合は、より重い犯罪として処罰されます。

逮捕・監禁罪の告訴状記載事項

告訴状の基本構成

  1. 宛先(管轄警察署長)
  2. 告訴人の氏名・住所・連絡先(2025年5月成立の改正刑事訴訟法241条2項により記載事項が明文化)
  3. 被告訴人の氏名・住所(判明している範囲、不詳の場合は「被告訴人不詳」)
  4. 告訴の趣旨(犯人の処罰を求める旨を明記)
  5. 告訴事実(犯行日時・場所・方法・継続時間)
  6. 証拠の表示
  7. 作成年月日・署名押印

【告訴権者の範囲】

告訴権者は刑事訴訟法で明確に規定されています。

  • 被害者本人(刑事訴訟法230条)
  • 被害者の法定代理人(同231条1項、被害者が未成年者の場合の親権者等)
  • 被害者が死亡した場合: 配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(同231条2項)
  • 被害者の法定代理人が被疑者等である場合: 被害者の親族(同232条)

逮捕・監禁致死罪の場合は、被害者本人が告訴できないため、配偶者・直系親族・兄弟姉妹が告訴権者となります。

【告訴の方法】

告訴は書面又は口頭で可能(刑事訴訟法241条1項)ですが、実務上は正確性確保のため書面で行うのが通常です。なお、2025年5月23日に成立した「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」により、オンラインでの提出が可能となります(2027年3月31日までに全面施行予定)。

告訴事実の記載例

記 載 例

告 訴 状

2026年〇月〇日

〇〇警察署長 殿

告訴人 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇番地

氏名 〇〇 〇〇 ㊞

第1 告訴の趣旨

告訴人は、被告訴人の下記行為が刑法220条の監禁罪に該当するものとして告訴し、厳重な処罰を求める。

第2 告訴事実

被告訴人は、2026年〇月〇日午後〇時〇〇分ころ、〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地所在の株式会社〇〇本社ビル〇階会議室において、取引面談のため来訪していた告訴人が退室しようとしたところ、「話が終わるまで帰さない」と告げて会議室の入口に立ちふさがり、告訴人が複数回にわたり退室を求めたにもかかわらず、その退去を拒み続けた。

以上により、被告訴人は同日午後〇時〇〇分ころまで、約〇時間〇〇分にわたり告訴人を会議室から退室できない状態に置いた。

第3 罪名及び罰条

監禁罪(刑法220条)

第4 証拠方法

会議室付近の防犯カメラ映像/やり取りの録音データ/目撃者(被告訴人会社社員〇〇)の陳述書/告訴人の診断書 ほか

※ 上記はあくまで記載例です。実際の告訴状は事案ごとに日時・場所・行為態様・証拠を具体的に特定する必要があります。

告訴に必要な証拠

客観的証拠

  • 監視カメラ・防犯カメラの映像(建物の出入口等)
  • 被害時の録音・録画データ(スマホの録音等)
  • 拘束状況がわかる写真(施錠された扉、拘束具等)
  • 暴行を伴う場合の医師の診断書
  • 通話履歴・メール記録

人的証拠

  • 同じ場所に居合わせた目撃者の証言
  • 被害者の近親者・同僚への被害直後の報告内容
  • 救援要請を受けた第三者の証言

告訴状作成のプロに依頼

行政書士法人Treeでは、告訴状の作成・証拠整備をサポートしています。

【解放後48時間以内の証拠保全が勝負】

逮捕・監禁罪は継続犯で、拘束時間・方法・心理的圧迫の状況が立件の鍵となります。被害者が解放された直後から、以下のアクションを速やかに行う必要があります。

  • 🏥 医師の診断書取得(身体的外傷・PTSD等の精神的ダメージの診断)
  • 📱 録音・録画データの保全(スマホの録音、SNSの履歴)
  • 📸 現場写真の撮影(施錠された扉・拘束具・負傷箇所)
  • 👥 目撃者・救援要請相手への事実確認(記憶が鮮明なうちに)
  • 📝 被害状況のメモ化(時系列、発言内容、行動)

【警察が告訴状を受理しないケースへの対応】

実務上、告訴状は受理までのハードルが高く、不備を指摘されて受理されないケースも少なくありません。当事務所では、不受理対応(+33,000円)として、以下のサポートを提供しています。

  • 📋 不備指摘事項への対応・再提出書類の作成
  • 🔄 複数警察署(本部・所轄間)への提出先変更サポート
  • 💼 不起訴処分時の検察審査会への審査申立サポート(弁護士と連携)

【こんな方のご相談をお受けしています】

  • 💼 職場での退職引き止め・パワハラ監禁の被害を受けた方
  • 🏠 DV配偶者からの自宅監禁被害を受けた方
  • 🚗 車内での連れ回し被害を受けた方
  • 🛒 カスハラによる長時間拘束を受けた店員・従業員の方
  • 📢 告訴状が警察で受理されないとお困りの方

【行政書士法人Treeのサポート内容】

  • ✔ 構成要件に即した告訴事実の整理
  • ✔ 証拠の収集・整備アドバイス
  • ✔ 管轄警察署への提出同行(地域による)
  • ✔ 相談は何度でも無料・全国対応

※民事損害賠償請求・示談交渉・検察庁への直告は弁護士業務のため、提携弁護士をご紹介します。

▶ まずはお気軽にお問い合わせください

逮捕・監禁罪の公訴時効

逮捕・監禁罪の公訴時効は以下のとおり、結果の重大性により大きく異なります。

犯罪類型 法定刑 公訴時効 根拠条文
逮捕・監禁罪(刑法220条) 3月以上7年以下の拘禁刑 5年 刑事訴訟法250条2項5号
逮捕・監禁致傷罪(刑法221条) 3月以上15年以下の拘禁刑 10年 刑事訴訟法250条2項3号
逮捕・監禁致死罪(刑法221条) 3年以上20年以下の拘禁刑 20年 刑事訴訟法250条1項2号

【時効起算点の注意】

監禁罪は継続犯(法益侵害が継続する犯罪)です。そのため、公訴時効の起算点は監禁状態が終了した時点(被害者が解放された時点)となります(刑事訴訟法253条1項、最高裁判例)。拘束期間が数日〜数ヶ月に及ぶ場合、拘束の終了時点からの計算となる点に注意が必要です。

民事責任との関係

逮捕・監禁の被害は、民事上の不法行為(民法709条)として慰謝料・損害賠償請求の対象となります。刑事告訴と並行して民事訴訟を提起することも可能です。精神的苦痛の慰謝料は、拘束時間・状況・後遺症の有無等により50万円〜数百万円程度で算定されます。

よくある質問

Q. 強引な引き止めは逮捕・監禁罪に当たりますか?

単なる引き止めでは犯罪とならないケースもありますが、退室の意思を無視して物理的に妨げる脅迫を伴う等の事情があれば監禁罪が成立します。個別事案の判断は難しいため、専門家への相談が推奨されます。

Q. 逮捕・監禁罪は親告罪ですか?

逮捕・監禁罪は非親告罪です。告訴がなくても警察・検察は独自に捜査できます。ただし被害者の告訴・協力があると捜査が進みやすくなります。

Q. 未成年者に対する監禁の場合、特別な取扱いはありますか?

18歳未満の未成年者を連れ回す等の行為は、監禁罪だけでなく未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)の対象となる可能性があります。法定刑は3月以上7年以下の拘禁刑で、暴行・脅迫等の強制的手段による場合は「略取」、偽計・誘惑による場合は「誘拐」となります。

※2022年4月1日施行の民法改正により、未成年者の年齢は「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げられています。これに伴い、未成年者略取罪の対象も18歳未満となっています。

【未成年者略取罪の特徴】

  • 対象者の同意があっても成立する可能性あり(監護権の侵害)
  • 親告罪であり、被害者または保護者の告訴が必要(刑法229条)
  • 監禁罪(刑法220条)と併せて成立する場合、観念的競合または牽連犯として処理される
  • 営利・わいせつ・結婚・加害目的がある場合は営利目的等略取罪(刑法225条、1年以上10年以下の拘禁刑)
  • 身代金目的の場合は身代金目的略取罪(刑法225条の2、無期又は3年以上の拘禁刑)

また、18歳未満に対する監禁の場合は、各都道府県の青少年保護育成条例違反が併せて問題となるケースがあります。

Q. 拘束時間が短くても犯罪になりますか?

短時間であっても、拘束の事実があれば犯罪成立の可能性があります。ただし、立件に至るかは拘束時間・方法・事情を総合考慮して検察が判断します。

Q. 警察官による逮捕は犯罪になりますか?

刑事訴訟法に基づく適法な逮捕(令状に基づく逮捕・現行犯逮捕等)は、「不法に」逮捕したとは評価されないため犯罪になりません。一般私人による現行犯逮捕も刑訴法213条の規定により適法です。

まとめ

  • 逮捕・監禁罪は刑法220条に定める犯罪で、不法に身体の自由・移動の自由を拘束する行為
  • 法定刑は3か月以上7年以下の拘禁刑(2025年6月刑法改正による一本化、罰金刑なし)
  • 「逮捕」は身体の直接拘束、「監禁」は場所的脱出不能の状態(錯誤利用による監禁も成立=最判昭33.3.19)
  • 致死傷罪(3月〜15年/3年〜20年)・18歳未満への略取誘拐罪等への発展にも注意
  • 公訴時効は本罪5年・致傷罪10年・致死罪20年(継続犯のため解放時点から起算)
  • 2025年5月成立の改正刑訴法でオンライン提出が段階的に可能化

他の身体犯告訴状については「傷害罪の告訴状の書き方|暴行罪との違いと証拠の集め方」、ストーカー被害は「ストーカー被害の告訴状の書き方」、DV離婚は「DV離婚の手続きガイド」もご参照ください。

告訴状の作成は行政書士法人Treeへ

サービス 料金
告訴状作成(スタンダード) 38,280円(税込)
告訴状作成(お急ぎ特急) 49,280円(税込)
不受理対応 +33,000円(税込)
告訴事実の整理・事前相談 何度でも無料
  • ✔ 構成要件に沿った告訴事実の整理
  • ✔ 証拠の収集・整備アドバイス
  • ✔ 相談は何度でも無料・全国対応

▶ 無料相談の予約はこちら

※ 本記事の内容は2026年4月時点の刑法・刑事訴訟法に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言ではありません。訴訟対応・民事損害賠償は弁護士にご相談ください。

行政書士法人Tree