告訴状関連

傷害罪の告訴状の書き方|暴行罪との違いと証拠の集め方

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結論から言えば、暴行を受けてケガをした場合は傷害罪(刑法第204条)、ケガがなければ暴行罪(刑法第208条)が成立します。傷害罪の告訴状を作成するうえで最も重要なのは、(1)暴行の態様を具体的に記載すること、(2)医師の診断書で傷害結果を立証すること、(3)暴行と傷害の因果関係を明確にすること——この3点です。告訴状の犯罪事実には「どのような暴行を受け、その結果どのような傷害を負ったか」を一文で表現する必要があり、ここが不十分だと受理されないケースがあります。

本記事では、傷害罪と暴行罪の構成要件の違い、告訴状における犯罪事実の記載例、証拠の集め方と整理方法を順に解説します。

「暴行を受けてケガをしたが、告訴状をどう書けばよいかわからない」「傷害罪と暴行罪のどちらで告訴すべきか判断がつかない」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。告訴状作成の専門家が被害状況を丁寧に伺い、方針をご提案します。相談は何度でも無料です。

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傷害罪と暴行罪はどこが違う?構成要件を比較

告訴状に記載する罪名を正確に選ぶためには、傷害罪と暴行罪の違いを理解しておく必要があります。両罪の分かれ目は「被害者がケガをしたかどうか」という一点です。

比較項目 傷害罪(刑法第204条) 暴行罪(刑法第208条)
条文 人の身体を傷害した者 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき
結果 傷害(ケガ・身体機能の障害)が発生 傷害に至らなかった
法定刑 15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
具体例 殴られて骨折した、蹴られて打撲を負った 殴られたがケガはなかった、胸ぐらをつかまれた
公訴時効 10年 3年
親告罪か いいえ いいえ

2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています。告訴状に法定刑を記載する際は、「拘禁刑」の表記を使用してください。

傷害罪は暴行の「結果的加重犯」とされています。つまり、暴行を加えた結果として傷害が発生した場合に傷害罪が成立し、傷害の故意(ケガをさせようという意思)は不要です。殴る意思で殴った結果、予想以上の重傷を負わせた場合でも傷害罪が適用されます。

「傷害」に含まれる範囲は広い

傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能を害することを意味し、外見上のケガに限られません。判例上、以下のようなものも「傷害」に含まれるとされています。

  • 骨折、打撲、切傷、擦過傷などの外傷
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的障害
  • 継続的な嫌がらせによる不眠症・うつ状態
  • 病毒の感染

医師の診断書があれば、精神的な障害も傷害罪の「傷害」として認められる可能性があります。この点は告訴状を作成するうえで見落としがちなポイントです。

傷害罪の告訴状はどう書く?犯罪事実の記載例

傷害罪の告訴状は、基本的な構成は他の犯罪類型と同様ですが、犯罪事実の記載において「暴行の態様」と「傷害の結果」を明確に結びつける点が特に重要です。

告訴状の基本構成

  1. 表題:「告訴状」
  2. 提出先:○○警察署長 殿
  3. 提出日:作成年月日
  4. 告訴人の情報:住所・氏名・生年月日・連絡先
  5. 被告訴人の情報:住所・氏名
  6. 告訴の趣旨:「被告訴人の下記行為は刑法第204条(傷害罪)に該当すると思料するので、捜査のうえ厳重に処罰されたく告訴します」
  7. 告訴事実:暴行の態様と傷害の結果を5W1Hで記載
  8. 告訴に至る経緯:暴行に至った背景・事情
  9. 証拠資料:診断書、写真等の一覧

犯罪事実の記載例(素手による暴行の場合)

被告訴人は、令和○年○月○日午後○時○分頃、東京都○○区○○町○丁目○番○号所在の飲食店「○○」店内において、告訴人に対し、その顔面を右拳で2回殴打し、さらに腹部を足で1回蹴る暴行を加え、よって、告訴人に対し、全治約○週間を要する左頬部打撲傷、腹部打撲傷の傷害を負わせたものである。

犯罪事実の記載例(器具を使用した暴行の場合)

被告訴人は、令和○年○月○日午後○時頃、○○県○○市○○町○丁目○番地先路上において、告訴人に対し、所携の木製バットで告訴人の右腕を1回殴打する暴行を加え、よって、告訴人に対し、全治約○ヶ月を要する右前腕骨骨折の傷害を負わせたものである。

犯罪事実の記載で押さえるべきポイントは以下の4点です。

  • 暴行の手段:「右拳で」「足で」「木製バットで」など攻撃手段を具体的に
  • 暴行の部位:「顔面を」「左頬部を」「腹部を」など被害箇所を特定
  • 暴行の回数:「2回殴打し」「1回蹴る」など回数を明記
  • 傷害の結果:「全治約○週間を要する○○の傷害」と診断書に基づいて記載

「よって」という接続詞で暴行行為と傷害結果を結びつけるのが、傷害罪の犯罪事実の定型的な書き方です。告訴状の基本的な書き方については「告訴状の書き方ガイド|構成・記載例・提出先を行政書士が解説」も参考にしてください。

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傷害罪の証拠はどう集める?診断書が最重要

傷害罪の告訴において、証拠の中で最も重要なのが医師の診断書です。傷害罪は「傷害」の発生が構成要件であるため、診断書は法的必須書類ではありませんが、傷害結果の立証上きわめて重要であり、実務上は受理や捜査の場面で強く求められます。

診断書を取得する際のポイント

項目 注意点
受診のタイミング 暴行を受けたらできるだけ早く受診する。時間が経つと傷が治癒し、因果関係の立証が困難になる
記載内容 傷病名・全治期間・受傷原因(「暴行による」等)が記載されていることを確認
部数 原本を告訴状に添付し、コピーを手元に保管する
精神的障害 PTSD等の精神的障害も診断書があれば傷害として認められ得る

診断書以外の有効な証拠

  • 傷の写真:受傷直後に撮影した傷・あざ・腫れの写真(日付がわかるように撮影する)
  • 防犯カメラの映像:現場に防犯カメラがある場合、店舗や施設に映像の保存を依頼する(設備により数日〜数か月で上書きされることがあるため早めに対応)
  • 目撃者の連絡先:目撃者がいる場合は氏名・連絡先を確認し、告訴状に記載する
  • 通話・メッセージの記録:暴行の前後にやり取りした通話録音、LINE・メール等のメッセージ
  • 録音・録画データ:暴行の様子が記録されている場合は最も有力な証拠になる

証拠は時間の経過とともに失われやすいため、暴行被害を受けた直後の行動が重要です。まず医療機関を受診して診断書を取得し、傷の写真を撮影し、防犯カメラがあれば映像の保存を依頼する——この3つをできるだけ早く行ってください。

暴行罪で告訴する場合の注意点

暴行を受けたもののケガがなかった場合、傷害罪ではなく暴行罪(刑法第208条)での告訴となります。暴行罪で告訴状を作成する際に留意すべき点を整理します。

暴行罪の犯罪事実の記載例

被告訴人は、令和○年○月○日午後○時頃、○○県○○市○○町○丁目○番地先路上において、告訴人に対し、その胸部を両手で突き飛ばす暴行を加えたものである。

暴行罪の犯罪事実は、傷害罪と異なり「よって…傷害を負わせた」の結果記載が不要です。暴行行為自体が犯罪事実となります。

暴行罪の公訴時効は3年

暴行罪の公訴時効は3年と、傷害罪の10年に比べて短期です。暴行被害の告訴を検討している場合は、早めの対応が必要です。なお、暴行罪も親告罪ではないため、告訴期間(犯人を知った日から6ヶ月)の制限はありません。

傷害罪と暴行罪の判断が難しいケース

暴行を受けた後、数日経ってから痛みが出たケースや、精神的な不調が生じたケースでは、傷害罪と暴行罪のどちらで告訴すべきか判断が難しくなります。このような場合は、まず医療機関を受診し、暴行との因果関係が認められる診断書を取得できるかどうかが分かれ目です。診断書があれば傷害罪の主張がしやすくなりますが、罪名の判断は受傷の有無や因果関係など事案全体で決まります。診断書が取得できなければ暴行罪として整理されやすい傾向がありますが、事案次第では他の証拠で傷害を立証できるケースもあります。

告訴状の提出先と提出後の流れ

刑事訴訟法上、告訴は検察官または司法警察員に対して行います(刑事訴訟法第241条)。傷害罪・暴行罪の告訴状は、実務上は被害発生地を管轄する警察署に提出するのが一般的です。検察庁に直接提出することも可能ですが、現場検証や物的証拠の収集は警察が行うため、まず警察署への提出を検討してください。

告訴状が受理された後の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 告訴状の受理:捜査機関が告訴状の内容を確認し、受理する
  2. 捜査の開始:被疑者の取調べ、目撃者への聞き取り、証拠の収集等が行われる
  3. 書類送検:捜査資料が検察官に送致される
  4. 起訴・不起訴の判断:検察官が起訴するか否かを判断する

告訴状を提出しても、必ず起訴されるわけではありません。被害の程度、被疑者の前科・前歴、示談の有無などを総合的に考慮して、検察官が判断します。告訴後の流れについて詳しくは「告訴状を提出した後の流れ|受理から起訴・不起訴までの全体像」をご確認ください。

よくある質問

Q. 暴行を受けましたが、ケガがあるかどうかわかりません。傷害罪と暴行罪のどちらで告訴すべきですか?

まず医療機関を受診してください。医師の診断により傷害(ケガ・障害)が認められれば傷害罪での告訴がしやすくなり、認められなければ暴行罪として整理されることが多いです。ただし、最終的な罪名は事案全体を踏まえて判断されます。暴行直後は痛みを感じなくても、後から症状が出るケースもあるため、被害を受けたらできるだけ早く受診することが重要です。

Q. 診断書がなくても傷害罪で告訴できますか?

法律上、診断書の添付は告訴の要件ではないため、診断書がなくても告訴状の提出自体は可能です。ただし、傷害罪は「傷害」の発生が構成要件であるため、傷害の存在を客観的に立証する診断書がない場合、受理されにくくなります。写真や目撃証言で傷害の存在を補強できるケースもありますが、できる限り診断書を取得することをお勧めします。

Q. DV(家庭内暴力)の場合も告訴状を出せますか?

DV被害でも傷害罪・暴行罪として告訴状を提出できます。配偶者や交際相手からの暴力は、配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づく保護命令の申立てと並行して刑事告訴を行うことも可能です。DV被害の場合、被害者の安全確保が最優先となるため、警察の相談窓口や配偶者暴力相談支援センターへの相談も検討してください。

Q. 相手から示談を持ちかけられています。告訴を取り下げるべきですか?

示談に応じるかどうかは被害者の判断に委ねられます。傷害罪・暴行罪は親告罪ではないため、告訴を取り下げても検察官が起訴する可能性は残ります。ただし、実務上、被害者が告訴を取り下げ示談が成立している場合は不起訴となるケースが多い傾向にあります。示談交渉は弁護士の業務領域であるため、示談に関する判断は弁護士にご相談ください。行政書士は示談交渉の代理人にはなれません。

Q. 暴行の現場に目撃者がいない場合、告訴は難しいですか?

目撃者がいないからといって、告訴が不可能になるわけではありません。診断書、傷の写真、暴行前後のメッセージ記録、被害者自身の詳細な供述など、複数の証拠を組み合わせることで犯罪事実を立証できるケースがあります。証拠が十分に揃っていなくても告訴状の提出は可能であり、証拠の収集は本来、捜査機関の役割です。

まとめ

  • ケガが発生すれば傷害罪(15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)、ケガがなければ暴行罪(2年以下の拘禁刑等)
  • 犯罪事実には暴行の手段・部位・回数を具体的に記載し、「よって」で傷害結果と結びつける
  • 証拠の中で最も重要なのは医師の診断書。暴行被害を受けたらできるだけ早く受診すること
  • 傷の写真・防犯カメラ映像・目撃証言なども有効な証拠となる
  • 傷害罪の公訴時効は10年、暴行罪は3年。いずれも親告罪ではない

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※ 記事の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一誤りがございましたらご指摘いただけますと幸いです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。


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