結論から言えば、オレオレ詐欺(親族なりすまし型の特殊詐欺)で被害に遭った場合、加害者の処罰を正式に求める意思を示す書面が「告訴状」です。詐欺罪は告訴がなくても起訴できる非親告罪ですが、組織的に役割分担された特殊詐欺では「受け子」「出し子」といった末端の実行役と背後の指示役を結ぶ共犯関係をどう描くかが受理・立件の分かれ目になります。行政書士法人Treeでは、被害者の方が把握している事実関係を整理し、刑法246条等の構成要件に沿った警察署長宛ての告訴状・告発状の作成をお手伝いします。検察庁宛ての告訴状・告発状の作成、提出先の選定助言、受理後の捜査対応、示談交渉、刑事弁護は当事務所では行いません。必要に応じて弁護士・司法書士等の専門家と連携してご案内します。
目次
オレオレ詐欺の告訴状とは|被害届との違い
オレオレ詐欺は、特殊詐欺の手口の一つで、警察庁・警視庁の現行分類では、親族、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件・事故に対する示談金等を名目に金銭等をだまし取る手口とされています。なお、口座が犯罪利用されているなどと偽ってキャッシュカード等をだまし取る手口は主に「預貯金詐欺」、隙を見てキャッシュカード等をすり替える手口は「キャッシュカード詐欺盗」と整理されます。法的には主に刑法第246条(詐欺)が問題となります。
「告訴」とは、犯罪の被害者などが捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示をいいます。被害の事実を知らせるだけの「被害届」と異なり、告訴は処罰を求める意思が明確である点で重みがあります。告訴の方式は刑事訴訟法第241条第1項により「書面又は口頭で検察官又は司法警察員に」行うものとされ、口頭でも可能ですが、複雑な特殊詐欺では事実関係を整理した書面(告訴状)を用いるのが実務上一般的です。もっとも、当事務所が行政書士業務として作成をお手伝いするのは、警察署長宛ての告訴状・告発状に限ります。
詐欺罪・関連条文の整理(刑法)
オレオレ詐欺をめぐる主な条文は次のとおりです。法定刑は、令和7年6月1日施行の改正刑法(令和4年法律第67号)により、従来の「懲役」が「拘禁刑」へ一本化されています。施行日前の行為には従前の懲役が適用されます。
| 条文 | 罪名 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 刑法第246条第1項 | 詐欺(財物) | 10年以下の拘禁刑 |
| 刑法第246条第2項 | 詐欺(利益) | 10年以下の拘禁刑 |
| 刑法第246条の2 | 電子計算機使用詐欺 | 10年以下の拘禁刑 |
| 刑法第235条 | 窃盗 | 10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
キャッシュカードを「預かる」と偽って受け取る預貯金詐欺型の手口では受け取り段階で詐欺罪が、キャッシュカードをすり替えるキャッシュカード詐欺盗型や、だまし取ったカードでATMから現金を引き出す場面では窃盗罪(刑法第235条)が問題となるなど、被害の各場面で適用条文が変わり得ます。どの事実がどの条文に当たるのかの最終判断は捜査機関・検察官が行います。
受け子・出し子と「共犯」の立証構造
特殊詐欺は、警察庁の資料でも、指示役(中枢被疑者)の下に、被害者と接触する「受け子」、ATMで現金を引き出す「出し子」、回収・運搬役、リクルーター、犯行ツール調達役などが役割を分担して組織的に敢行されると説明されています。末端の実行役だけが摘発されやすい一方、背後の指示役まで責任を及ぼすには共犯関係の立証が鍵になります。
- 共同正犯(刑法第60条):二人以上が共同して犯罪を実行した場合、各自を正犯とする規定。だます電話を直接かけていない受け子・出し子でも、全体の計画を認識して役割を担っていれば共謀共同正犯として詐欺罪の責任を負い得ます。
- 教唆犯(刑法第61条):人をそそのかして犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する規定。
- 幇助犯(刑法第62条):実行を容易にする手助けをした者。従犯の刑は正犯の刑を減軽するものとされます(刑法第63条)。
告訴状の作成では、被害者側が把握できる客観的な事実——電話の日時・内容、受け渡しの場所・方法、振込先や受け子の特徴、防犯カメラの存在、やり取りした携帯番号など——を時系列で整理しておくことが、共犯関係の解明に向けた捜査の手掛かりになります。
告訴状に記載する主な事項
告訴状には決まった法定様式はありませんが、捜査機関が事実を把握しやすいよう、一般に次の要素を整理して記載します。
- 告訴人:被害者の氏名・住所等。被害者が高齢で意思表示が困難な場合、刑事訴訟法第231条により法定代理人等が告訴できる場合があります。
- 被告訴人:判明していれば氏名等。氏名不詳でも「氏名不詳の者」として告訴は可能です。
- 告訴の趣旨:処罰を求める旨と該当する罪名(例:詐欺罪)。
- 告訴事実:いつ・どこで・誰から・どのような電話を受け、いくらをどの方法で交付したかを時系列で具体的に。
- 立証方法・資料:通帳の写し、振込明細、録音、メモ、防犯カメラの存在など。
事実の記載は、被害者ご本人の記憶と手元資料に基づき、正確に行うことが重要です。誇張や推測の混入は受理・捜査の妨げになりかねません。
告訴後の流れと注意点
制度上、告訴は刑事訴訟法第241条により検察官又は司法警察員に対して行うものとされています。ただし、当事務所が行政書士業務として作成をお手伝いするのは、警察署長宛ての告訴状・告発状です。告訴が受理されると捜査機関による捜査が進み、検察官の起訴・不起訴の判断につながります。詐欺罪は親告罪ではないため、告訴がなくても起訴は可能ですが、被害者が処罰を求める意思を明確に示すことには事実上の意義があります。
なお、告訴状が必ず即時に受理されるとは限らず、捜査機関の判断で被害届として扱われたり、追加資料を求められたりすることもあります。受理の可否や提出先の最終的な選定、受理後の捜査対応は捜査機関・弁護士の領域です。当事務所は、提出される書類が事実関係を過不足なく伝えられるよう、作成面でサポートします。
当事務所のサポート
行政書士法人Treeでは、オレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺被害について、被害者の方からお伺いした事実関係を整理し、刑法246条等の構成要件に沿った警察署長宛ての告訴状・告発状の作成をお手伝いします。受け子・出し子・指示役といった関与者の整理や時系列の組み立てなど、警察署へ提出する書面化の作業を丁寧に支援します。
料金は、警察署長宛ての告訴状・告発状の作成 38,280円(税込)〜(事案の複雑さにより変動します)です。なお、当事務所が対応するのは警察署長宛ての書類作成までであり、検察庁宛て書類の作成、提出先の選定助言、受理後の捜査対応、示談交渉、刑事代理は行いません。弁護士・司法書士等の関与が必要な局面では、連携できる専門家をご案内します。詳しくは告訴状・告発状作成サポートのページをご覧ください。ご相談は何度でも無料です。
まとめ
オレオレ詐欺は刑法第246条の詐欺罪を中心に、手口によっては窃盗罪(第235条)や電子計算機使用詐欺罪(第246条の2)も関係します。組織的な特殊詐欺では、受け子・出し子と指示役を結ぶ共同正犯(第60条)等の共犯関係の解明が重要で、告訴状では被害者が把握する客観的事実を時系列で整理することが捜査の手掛かりになります。書類作成は行政書士、捜査対応・刑事弁護は弁護士という役割分担を踏まえ、当事務所は告訴状作成の面から被害回復への一歩を支えます。
オレオレ詐欺の告訴状に関するよくある質問
Q:詐欺罪は告訴しないと処罰されないのですか。
A:いいえ。詐欺罪は告訴がなければ起訴できない親告罪ではなく、告訴がなくても検察官は起訴できます。ただし告訴は被害者が処罰を求める意思を明確に示すもので、事実関係を整理して捜査機関に伝える意義があります。
Q:犯人の名前が分からなくても告訴状は作れますか。
A:はい。被告訴人を「氏名不詳の者」として告訴することは可能です。電話の内容や受け渡しの状況、防犯カメラの存在など、判明している事実を具体的に記載することが捜査の手掛かりになります。
Q:受け子だけが捕まり、指示役は罰せられないのですか。
A:末端の実行役が先に摘発されることはありますが、刑法第60条の共同正犯などにより、計画を認識して役割を担った指示役も詐欺罪の責任を負い得ます。共犯関係の立証は捜査機関が行います。
Q:高齢の親が被害に遭い、本人が手続できません。家族が告訴できますか。
A:刑事訴訟法上、一定の場合に被害者の法定代理人等が告訴できる規定があります。具体的な可否は事案により異なるため、書面作成は当事務所が、提出や捜査対応は弁護士・捜査機関がそれぞれ対応する形でご案内します。
Q:行政書士に頼むと、警察への提出や示談交渉までやってもらえますか。
A:いいえ。当事務所が対応するのは、警察署長宛ての告訴状・告発状の作成までです。検察庁宛て書類の作成、提出先の選定助言、受理後の捜査対応、加害者との示談交渉、刑事手続の代理は当事務所では行いません。必要に応じて弁護士・司法書士等の専門家をご案内します。
※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。


