離婚関連

子どもの親権とは?決め方と判断基準を解説

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「離婚を考えているけれど、子どもの親権はどちらが持つことになるのだろう…」――離婚を検討するとき、子どもの将来を左右する親権の問題は最も大きな悩みの一つです。親権とは、未成年の子どもを養育し、財産を管理する権利と義務のことです。親権の決め方は、協議離婚なら夫婦の話し合い、合意できなければ家庭裁判所の調停・審判・裁判で決定されます。裁判所は「子の利益」を最優先に、監護の継続性・子どもの意思・養育環境などを総合的に判断します。

なお、2026年4月1日施行の民法改正により、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」が選択肢に加わりました。本記事では、改正法の内容も含めて親権の基本から判断基準までをわかりやすく解説します。

「親権をどちらが持つか話がまとまらない」「協議書に親権・養育費・面会交流の取り決めをきちんと残したい」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。相談は何度でも無料です。

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そもそも親権とは?身上監護権と財産管理権の2つの柱

親権とは、民法第818条に定められた、未成年の子どもに対する父母の権利と義務の総称です。婚姻中は父母が共同で親権を行使しますが、離婚する際には親権者を定める必要があります(民法第819条)。

親権の内容は大きく「身上監護権」「財産管理権」の2つに分かれます。

権利の種類 内容 根拠条文
身上監護権 子どもと一緒に生活し、養育・教育を行う権利と義務。子の人格尊重義務(第821条)、居所指定権、職業許可権(第823条)を含む 民法第820条〜第823条
財産管理権 子どもの財産を管理し、法律行為について子どもを代理する権利 民法第824条

つまり親権者は、子どもの日常の世話や教育だけでなく、子ども名義の預貯金管理や契約の代理なども行います。

親権はどう決める?協議離婚と裁判所手続きの違い

親権の決め方は、離婚の方法によって異なります。

協議離婚の場合

日本の離婚の約9割を占める協議離婚では、夫婦の話し合いで親権者を決めます。離婚届には未成年の子がいる場合に親権者を記載する欄があり、親権者が決まっていなければ離婚届は受理されません

2026年4月1日以降は、協議離婚でも共同親権を選択できるようになります。父母の協議により、単独親権とするか共同親権とするかを決めることになります。

話し合いで決めた親権者・養育費・面会交流(改正法では「親子交流」)などの取り決めは、離婚協議書公正証書に残しておくことが重要です。口約束だけでは、後から「そんな約束はしていない」と言われるリスクがあります。

離婚協議書と公正証書の違いについては「離婚協議書と公正証書の違い」で詳しく解説しています。

調停・審判の場合

話し合いで親権者が決まらない場合は、家庭裁判所の離婚調停を申し立てます。調停では、調停委員が間に入って話し合いを進めます。調停でも合意に至らなければ、審判や離婚訴訟に進み、裁判所が親権者を決定します。

手続き 概要 費用の目安
協議離婚 夫婦の話し合いで親権者を決定 0円(協議書作成を依頼する場合は別途)
離婚調停 家庭裁判所で調停委員を介して話し合い 収入印紙1,200円+郵便切手代
審判 調停不成立後に裁判官が判断 調停から移行のため追加費用は少額
離婚訴訟 裁判官が証拠に基づき判断 弁護士費用含め数十万〜100万円以上

なお、日本の法律では離婚訴訟を起こす前に必ず調停を経る必要があります(調停前置主義・家事事件手続法第257条)。

家庭裁判所の親権判断基準とは?

調停や裁判で親権者を決める際、家庭裁判所は「子の利益」を最も重要な基準として、以下のような要素を総合的に判断します。

1. 監護の継続性(現状維持の原則)

現在、子どもを主に養育している親(主たる監護者)に親権を認める傾向があります。子どもの生活環境が急激に変わることは子の利益に反するという考えに基づきます。ただし、一方の親が無断で子どもを連れ去った場合には、この原則がそのまま適用されないケースもあります。

2. 子どもの意思

子どもがおおむね10歳以上になると、家庭裁判所は子どもの意思を重視する傾向があります。15歳以上の子どもについては、家事事件手続法により、裁判所は子どもの意見を聴取しなければならないとされています(家事事件手続法第152条第2項・第169条第2項、人事訴訟法第32条第4項)。

3. 子どもの年齢と母性的な養育者

乳幼児の場合、日常的に養育を担っている親(多くの場合は母親)に親権が認められる傾向があります。ただし、これは「母親だから有利」ということではなく、実際に主たる養育を行っている親がどちらかという実態に基づく判断です。父親が主な養育者であれば、父親に親権が認められた裁判例もあります。

4. 養育環境の安定性

住居の安定、経済的な基盤、親族のサポート体制など、子どもの養育にふさわしい環境が整っているかが考慮されます。

5. きょうだい不分離の原則

きょうだいがいる場合、原則として一緒に育てることが子の利益にかなうと考えられています。ただし、絶対的なルールではなく、個別の事情により分離が認められるケースもあります。

6. 親子交流(面会交流)への協力姿勢

離婚後に子どもが他方の親と交流できるよう協力する姿勢があるかどうかも判断要素の一つです。一方の親を子どもから遠ざけようとする態度は、不利に評価される可能性があります。

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2026年4月施行|共同親権制度で何が変わる?

2026年4月1日施行の改正民法では、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」が選択肢に加わりました。これは従来の単独親権制度を廃止するものではなく、共同親権と単独親権を選べる「選択的共同親権制」です。

共同親権の決め方

  • 協議離婚の場合:父母の協議で共同親権か単独親権かを選択
  • 裁判離婚の場合:裁判所が子の利益を考慮して決定

単独親権となるケース

以下のような事情がある場合、裁判所は必ず単独親権と定めなければなりません。

  • 父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合(虐待等)
  • DV(配偶者暴力)のおそれがある場合、またはその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難と認められる場合(連絡が取れない・協議が成立しないケース等も含む)

法律上は、上記の2類型(改正民法第819条第7項第1号・第2号)のいずれかに該当する場合に、裁判所は単独親権と定めなければなりません。

その他の改正ポイント

  • 法定養育費制度の創設:養育費の取り決めがない場合でも、取り決めるまでの間、子ども1人当たり月額2万円を請求できる制度(暫定的・補充的な位置づけ)。2026年4月1日以降に離婚した場合に適用され、施行前に離婚した場合には遡及適用されない
  • 養育費の先取特権:養育費の不払いがあった場合、他の債権より優先して弁済を受けられる仕組み(子ども1人当たり月額8万円を上限)
  • 「面会交流」から「親子交流」への名称変更:電話やメールなど多様な交流方法を含む趣旨

親権と監護権はどう違う?

親権から身上監護権だけを切り離して、別の親に「監護権」として持たせることが可能です。たとえば、父親が親権者、母親が監護権者というケースでは、子どもは母親と一緒に暮らし、財産管理や法律行為の代理は父親が行います。

親権と監護権を分けるケース

  • 親権を譲りたくない親と、実際に子どもと暮らしたい親の妥協点として
  • 子の養育は一方に、財産管理は他方に任せるのが合理的な場合

分離する場合の注意点

親権と監護権を分離すると、子どもの携帯電話の契約やパスポートの申請など、法律行為のたびに親権者の同意が必要になります。離婚後の父母間の連絡がスムーズでないと手続きが滞るリスクがあるため、分離は慎重に判断すべきです。親権者と監護権者の違いやそれぞれのメリット・デメリットは「離婚時における親権者及び監護権者の違い」でも詳しく解説しています。

親子交流(面会交流)との関係

親権者にならなかった親にも、子どもと定期的に会う権利があります。民法第766条では、離婚時に父母が「子の監護について必要な事項」を協議で定めるとされており、親子交流の頻度・方法もその一つです。

親子交流の取り決めは、以下のような項目を具体的に決めておくと後のトラブルを防げます。

  • 交流の頻度(月1回、隔週等)
  • 交流の方法(直接会う・電話・メール・ビデオ通話等)
  • 交流の場所時間
  • 子どもの受け渡し方法
  • 長期休暇中の宿泊の可否

これらの取り決めを離婚協議書に明記しておくことで、離婚後も子どもが両方の親との関係を維持しやすくなります。面会交流の具体的な決め方については「面会交流の決め方や離婚協議書における書き方」で、離婚協議書の作成方法については「離婚公正証書の作り方」もあわせてご覧ください。

行政書士は親権問題にどこまで対応できる?

行政書士は、離婚協議書や公正証書原案の作成を通じて、親権に関する取り決めを書面化することができます。具体的には以下の業務が可能です。

  • 離婚協議書の作成:親権者の指定、養育費、親子交流の条件、財産分与などを盛り込んだ書面を作成
  • 公正証書の原案作成:公証役場での手続きをサポート
  • 離婚届の証人代行:証人2名分・郵送料込みで税込5,000円

一方で、以下の業務は行政書士の権限外です。

  • 調停・審判の代理(弁護士の業務範囲)
  • 相手方との交渉(弁護士の業務範囲)
  • 訴訟の代理(弁護士の業務範囲)

話し合いがまとまらず調停・訴訟に発展する場合は弁護士への相談が必要です。一方、夫婦間で親権者について合意が取れている場合は、行政書士による協議書作成で法的に有効な書面を残すことができます。

よくある質問

Q. 親権者は離婚後に変更できますか?

はい、家庭裁判所の調停または審判によって変更が可能です(民法第819条第6項)。子の利益のために必要があると認められる場合に限り、親権者の変更が認められます。当事者の話し合いだけで変更することはできず、必ず裁判所の手続きが必要です。2026年4月以降は、単独親権から共同親権への変更、またはその逆の変更も裁判所に申し立てることができます。

Q. 父親でも親権を取れますか?

はい、父親が親権を取得することは可能です。裁判所は性別ではなく、実際にどちらが主たる養育を担ってきたか、養育環境の安定性、子どもの意思などを総合的に判断します。父親が主な養育者であった場合や、母親側に養育上の問題がある場合には、父親に親権が認められた裁判例も存在します。

Q. 共同親権を選んだ場合、子どもはどちらの家に住みますか?

共同親権であっても、子どもの主な居住先(監護の分掌)は定める必要があります。共同親権は「父母双方が親権を持つ」ことであり、子どもが両方の家を行き来するという意味ではありません。日常の世話を主に担う親の元で暮らし、もう一方の親も親権者として重要な決定に関与するという形が想定されています。なお、日常の監護教育に関する行為(通学・通院・日々の生活上の判断など)は、同居する親が単独で行使できるとされており(改正民法第824条の2)、何をするにも両親の合意が必要というわけではありません。

Q. 親権と養育費は関係がありますか?

親権者にならなかった親にも、子どもの扶養義務があります。そのため、親権者でない親は養育費を支払う義務を負います。2026年4月からは、養育費の取り決めがない場合でも子ども1人当たり月額2万円の法定養育費を請求できる制度が始まります(2026年4月1日以降に離婚した場合に適用。施行前の離婚には遡及適用されません)。養育費の金額は、父母の収入に応じて裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に決めるのが一般的です。

Q. 離婚届に親権者を書かないとどうなりますか?

未成年の子どもがいる場合、離婚届に親権者の記載がなければ受理されません。これは法律上の要件であり、親権者欄が空欄のまま提出しても市区町村役場の窓口で受け付けてもらえないため、離婚届の提出前に必ず親権者を決めておく必要があります。

まとめ

親権は子どもの将来を左右する重要な問題です。決め方と判断基準のポイントを整理します。

  • 親権は身上監護権財産管理権の2つで構成される
  • 協議離婚では夫婦の話し合いで親権者を決定。親権者の記載なしでは離婚届は受理されない
  • 裁判所の判断基準は「子の利益」が最優先。監護の継続性・子の意思・養育環境等を総合判断
  • 2026年4月施行の民法改正で共同親権が選択可能に。法定養育費制度も創設
  • 協議で合意できた内容は離婚協議書・公正証書に残しておくことが重要

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。

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