登録支援機関

登録支援機関の登録要件7項目|2027年改正・中立性・支援体制・再委託禁止を解説

約8分で読めます

特定技能1号外国人の支援を受託する登録支援機関になるには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められた登録要件をすべて満たさなければなりません。要点を先にお伝えすると、登録の核となるのは(1)支援責任者・支援担当者の選任、(2)支援実績または相談業務経験、(3)外国人が理解できる言語での支援体制、(4)中立性の確保、(5)支援費用を外国人本人に負担させないこと、(6)行方不明者を発生させていないこと、(7)欠格事由(法令違反等)に該当しないことの7項目です。さらに登録支援機関は委託された支援業務を第三者に再委託できません。本記事では、申請取次を行う行政書士の立場から、各要件と2027年4月1日施行の要件厳格化までを正確に整理します。

登録支援機関とは|登録の有効期間と委託の位置づけ

登録支援機関とは、特定技能所属機関(受入れ機関)から委託を受けて、1号特定技能外国人への義務的支援(事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続への同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、定期面談など)を実施する機関です。受入れ機関は支援計画の全部または一部を登録支援機関に委託でき、全部の実施を委託した場合は、受入れ機関自身が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます

登録の有効期間は5年間で、継続する場合は更新申請が必要です。更新は登録の有効期間が満了する月のおおむね6か月前から4か月前までの間に申請します。この期間を過ぎて申請すると有効期間内に更新が完了せず、新規登録のやり直しが必要になるおそれがあるため、期限管理が欠かせません。なお、義務的支援の対象となるのは1号特定技能外国人で、特定技能2号には義務的支援の枠組みは適用されません。2号は熟練した技能を有し、生活基盤が確立していると想定されるためです。

要件1・2|支援体制(支援責任者・支援担当者と実績)

登録支援機関は、支援責任者を1名以上、および支援を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者を選任しなければなりません(兼任も可能)。あわせて、次のいずれかの「支援を適正に実施できる体制」を満たす必要があります。

  • 受入れ実績:登録の申請日前2年以内に、中長期在留者(就労資格に限る)の受入れ・管理を適正に行った実績があること
  • 相談業務経験:登録の申請日前2年以内に、報酬を得る目的で、業として、本邦に在留する外国人に関する各種相談業務に従事した経験があること
  • 同等の体制:選任した支援担当者が、過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること など

これらは入管法および「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」等で定められた基準に基づきます。実績要件は誤認の多い箇所で、自社に受入れ実績がない場合でも、相談業務経験や担当者の経歴で代替できる場合があります。

要件3|外国人が理解できる言語での支援体制

支援は、対象となる外国人が十分に理解できる言語で実施できる体制を整えていることが求められます。具体的には、母国語などで情報提供・相談対応ができる通訳人や翻訳者を確保し、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期面談などを当該言語で行える状態にしておく必要があります。社内に人材がいない場合は、外部の通訳・翻訳者を履行補助者として利用することが認められています(これは後述の再委託禁止には当たりません)。

要件4|中立性の確保(受入れ機関からの独立)

支援が受入れ機関の都合に偏らないよう、中立性が厳格に求められます。次のような者を支援責任者に選任している場合、登録支援機関にはなれません。

  • 特定技能所属機関(受入れ機関)の役員の配偶者、または2親等内の親族
  • 受入れ機関の役員と社会生活上密接な関係を有する者で、支援の公正な実施を妨げるおそれがあると認められる者
  • 過去5年以内に受入れ機関の役員または職員であった者で、支援の中立性を害するおそれがあると認められる者

支援対象の外国人と支援を行う側に利害関係があると、相談・苦情対応や転職支援が形骸化しかねないため、制度上この点が重視されています。

要件5・6・7|費用負担・行方不明者・欠格事由

残りの要件は次のとおりです。

  • 支援費用の自己負担禁止:義務的支援に要する費用を、直接または間接に外国人本人に負担させないこと。支援委託費は受入れ機関が負担します。
  • 行方不明者を発生させていないこと:登録の申請日前1年以内およびその後に、自らの責めに帰すべき事由により、支援対象の特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を発生させていないこと。
  • 欠格事由に該当せず必要な体制を備えていること(法令遵守等):5年以内に出入国・労働に関する法令に関し不正・著しく不当な行為がないこと、関係法令違反による罰金等の処分から一定期間を経過していること、暴力団関係者でないこと、未成年で必要な行為能力を欠く場合に該当しないこと、および支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていることなど。

なお、登録支援機関には資本金額等の明確な財産的基礎の基準は設けられていませんが、入管法第19条の26第1項第14号により、支援業務を的確に遂行するための必要な体制(人員配置・言語対応・定期面談・帳簿整備等)が整備されていることが求められる点に注意してください。

支援業務の再委託は禁止|履行補助者との違い

重要な実務上の制約として、登録支援機関は受入れ機関から委託を受けた支援業務をさらに第三者へ委託(再委託)することはできません。支援を実施できる体制を自ら整えていることが登録の前提だからです。

一方で、前述のとおり通訳・翻訳などの履行補助者を利用すること自体は認められています。両者の違いは、支援業務の「責任主体」を別の機関に丸ごと移すか(再委託=不可)、登録支援機関が責任を保持したまま個別の作業を補助させるか(履行補助=可)にあります。ここを取り違えると登録の取消し・指導の対象になり得るため、業務設計の段階で明確に切り分ける必要があります。

2027年4月1日施行の要件厳格化に注意

令和6年法律第60号(改正入管法)により、登録支援機関の要件は2027年(令和9年)4月1日から厳格化されます。現時点で示されている主な方向性は、支援を行う事務所ごとに常勤の役職員から支援責任者を選任すること、支援責任者・支援担当者に一定の業務経験(過去5年間に2年以上の生活相談業務など)を求めること、法務大臣が定める講習の修了を要件化すること、さらに支援実績や支援費用の内訳等のインターネット公表を義務づけることなどです。あわせて、支援担当者1人あたりの担当人数や担当受入機関数に上限を設ける方向も示されています。講習の具体的なカリキュラム・費用・頻度等は今後の告示等で示される見込みであり、最新の運用は出入国在留管理庁の発表で必ず確認してください。これから登録を目指す場合は、新要件を見据えて常勤体制や担当者の経歴・研修計画を早めに整えておくことをおすすめします。

登録支援機関の登録申請は専門家への相談を

登録支援機関の登録申請は、支援責任者・支援担当者の選任や中立性、実績・体制の疎明資料の整備など、形式面・実質面の両方で正確な準備が求められます。当事務所では、申請取次を行う行政書士が、登録要件の充足確認から登録申請書類の作成・提出までを一貫してサポートいたします。特定技能の在留資格申請や受入れ機関の体制づくりとあわせてのご相談も可能です。特定技能・登録支援機関に関するご相談はこちら。費用は個別にお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。義務的支援の内容を整理した義務的支援10項目の解説記事や、登録支援機関の役割・届出を解説した記事もあわせてご覧ください。

まとめ

登録支援機関の登録要件は、(1)支援責任者・支援担当者の選任、(2)受入れ・相談業務の実績、(3)外国人が理解できる言語での支援体制、(4)中立性の確保、(5)支援費用の自己負担禁止、(6)行方不明者を発生させていないこと、(7)欠格事由(法令遵守・体制整備を含む)に該当しないこと、の7項目に整理できます。委託された支援業務の再委託は禁止され、通訳等の履行補助者の利用のみが認められます。登録の有効期間は5年で、2027年4月1日からは要件が厳格化されます。早めの体制整備が安定運営の鍵です。

登録支援機関の登録要件に関するよくある質問

Q:登録支援機関の登録の有効期間は何年ですか。

A:5年間です。継続する場合は、有効期間が満了する月のおおむね6か月前から4か月前までの間に更新申請を行う必要があります。この期間を過ぎると有効期間内に更新が完了せず、新規登録のやり直しが必要になるおそれがあるため、期限管理が重要です。

Q:受入れ実績がなくても登録支援機関になれますか。

A:可能な場合があります。過去2年以内の受入れ実績がなくても、報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種相談業務に従事した経験や、選任された支援担当者が過去5年間に2年以上の生活相談業務経験を有するなど、別の方法で「支援を適正に実施できる体制」を疎明できれば要件を満たし得ます。

Q:支援業務の一部を他社に外注してもよいですか。

A:委託された支援業務そのものを第三者に再委託することはできません。ただし、通訳・翻訳などを履行補助者として利用することは認められています。責任主体を移す再委託と、補助的作業の履行補助は明確に区別してください。

Q:受入れ企業のグループ会社が登録支援機関になれますか。

A:中立性の要件に注意が必要です。受入れ機関の役員の配偶者・2親等内親族や、過去5年以内の役職員などを支援責任者に選任していると登録できない場合があります。人選の段階で中立性を確認することが重要です。

Q:2027年4月の厳格化で何が変わりますか。

A:常勤の支援責任者の選任、担当者の業務経験、法務大臣が定める講習の修了、支援実績・費用のインターネット公表などが要件化される方向です。詳細は今後の告示等で示されるため、出入国在留管理庁の最新情報を確認のうえ、早めに体制を整えることをおすすめします。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

行政書士法人Tree