入管・ビザ関連

特定技能外国人の住居確保支援|社宅・賃貸・連帯保証・家賃負担の実務

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特定技能1号外国人を受け入れる企業(受入れ機関)には、入管法に基づく10項目の義務的支援が課されており、その一つが「適切な住居の確保に係る支援」です。住居支援は努力義務ではなく義務であり、支援計画どおりに実施しないと受入れ自体に影響します。本記事では、行政書士の立場から、出入国在留管理庁の運用要領に基づき、社宅・借上・本人契約の3パターン、居室面積の基準、連帯保証人・保証会社の費用負担、家賃設定の考え方まで、実務上の要点を整理して解説します。

住居確保支援は義務的支援の一つ

特定技能1号外国人への義務的支援は、事前ガイダンス、出入国時の送迎、適切な住居の確保・生活に必要な契約に係る支援、生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援(人員整理等の場合)、および定期的な面談・行政機関への通報の10項目で構成されます。住居の確保は、外国人が安定して就労・生活するための基盤であり、受入れ機関が支援計画に沿って確実に行う必要があります。

これらの支援は、受入れ機関が自ら行うほか、出入国在留管理庁に登録された登録支援機関に委託して実施することもできます。委託する場合でも、支援が適切に行われているかを把握する責任は受入れ機関に残ります。特定技能制度の全体像については特定技能ビザのご案内もあわせてご覧ください。

住居確保の3つのパターン

運用要領では、適切な住居の確保に係る支援として、次のいずれかの方法をとることが求められています。

  • 社宅・寮の提供:受入れ機関が自ら所有する物件(社宅・寮)を提供する方法。
  • 借上げ物件の提供:受入れ機関が賃貸借契約を結び、その物件を外国人に提供する方法。
  • 本人契約のサポート:外国人本人が賃貸借契約を結ぶ際に、不動産仲介業者や物件に関する情報提供、内見・契約手続への同行、連帯保証人の確保等を支援する方法。

いずれの方法でも、入国(または特定技能への在留資格変更)までに住居を確保し、外国人が円滑に生活を開始できるよう準備することが求められます。

居室面積の基準(1人あたり7.5㎡以上)

確保する住居の居室は、1人当たり7.5㎡以上を満たす必要があります。ルームシェア等で複数人が居住する場合は、居室全体の面積を居住人数で除した面積が7.5㎡以上でなければなりません。

ただし例外として、技能実習2号などから特定技能1号へ在留資格を変更する外国人が、受入れ機関が既に確保している社宅等に引き続き住むことを希望する場合には、寝室について1人当たり4.5㎡以上が確保されていれば差し支えないとされています。同居人数が増減する場合は、改めて基準を満たすか確認が必要です。

連帯保証人・保証会社と保証料の負担

外国人本人が賃貸借契約を結ぶ場合、契約時に連帯保証人が求められることがあります。この場合、受入れ機関が連帯保証人になるか、または利用可能な家賃債務保証会社を確保したうえで受入れ機関が緊急連絡先となる対応が必要です。家賃債務保証会社を利用するときの保証料は受入れ機関が負担することとされており、これを外国人本人に負担させることはできません。

受入れ機関が借上げ物件を契約して提供する場合も、保証会社の利用料や契約に伴う費用は受入れ機関が負担します。一方で、外国人本人が賃借人として契約する場合の敷金・礼金等は本人負担が原則ですが、受入れ機関等が合意により全部または一部を任意に負担することは可能です。外国人本人に過度な経済的負担が生じないよう配慮することが、支援の趣旨です。

家賃・敷金礼金など初期費用の負担と「利益を得てはならない」原則

住居費の取扱いでは、受入れ機関が住居の提供によって利益を得てはならないという点が重要です。

  • 借上げ物件の場合:外国人から徴収できる家賃は、借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は含まない)を入居する人数で除した額以内とされています。
  • 自己所有物件(社宅・寮)の場合:実際に建設・改築等に要した費用、物件の耐用年数、入居人数等を勘案して算出した合理的な額とされています。
  • 初期費用:受入れ機関が賃貸借契約の当事者となって物件を提供する場合、敷金・礼金等の初期費用は受入れ機関が負担します。

家賃を給与から控除(天引き)する場合でも、上記の上限を超えてはならず、控除の内容について外国人本人の同意を得ておく必要があります。徴収額や算定根拠は、後日の確認に備えて記録・書面で明確にしておくと安全です。

当事務所のサポート

住居確保支援は、賃貸借契約・社宅規程・費用負担の取り決めといった契約・書類の整備と密接に関わります。行政書士法人Treeでは、特定技能の在留資格申請(認定・変更・更新)や、登録支援機関としての支援計画の作成・実施を含め、受入れ体制の整備をサポートいたします。住居支援に伴う社宅利用に関する取り決めや同意書類の作成についても、行政書士の職域内でお手伝いします。特定技能1号の認定・変更申請は50,000円(税込)、登録支援機関による月次の支援料金は10,780円/月(税込)でご案内しています。費用や進め方について、まずは特定技能ビザのご相談はこちらからお問い合わせください。ご相談は何度でも無料です。

まとめ

特定技能1号外国人の住居確保は、受入れ機関に課された10項目の義務的支援の一つです。社宅・借上・本人契約サポートのいずれかで対応し、居室は1人あたり7.5㎡以上(既存社宅への継続居住の例外で寝室4.5㎡以上)を確保します。連帯保証人や家賃債務保証会社の保証料は受入れ機関が負担し、家賃は受入れ機関が利益を得ない実費・合理的な額とすることが運用要領上のルールです。要件を満たさない住居支援は受入れに支障をきたすため、契約・書類整備とあわせて計画的に準備しましょう。

特定技能外国人の住居確保支援に関するよくある質問

Q:住居は必ず会社が用意しなければならないのですか。

A:必ずしも会社所有の物件を用意する必要はありません。社宅・寮の提供、借上げ物件の提供、外国人本人による賃貸借契約のサポートのいずれかで対応できます。ただし、いずれの方法でも居室面積基準を満たし、必要な支援を確実に行うことが義務付けられています。

Q:家賃を外国人本人の給与から天引きできますか。

A:本人の同意があれば給与からの控除自体は可能ですが、徴収できる家賃には上限があります。借上げ物件では借上げ費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・仲介手数料等は含まない)を入居人数で除した額以内とし、受入れ機関が利益を得てはなりません。控除内容は書面で明確にしておくことをおすすめします。

Q:技能実習生のときに住んでいた社宅にそのまま住み続けられますか。

A:技能実習2号等から特定技能1号へ移行し、既に確保されている社宅に継続して住む場合は、寝室について1人あたり4.5㎡以上が確保されていれば差し支えないとされています。通常の7.5㎡基準の例外的な取扱いです。

Q:住居支援を自社で行うのが難しい場合はどうすればよいですか。

A:出入国在留管理庁に登録された登録支援機関に支援の全部を委託することができます。委託した場合でも、支援が適切に実施されているかを確認する責任は受入れ機関に残ります。当事務所でも登録支援機関としての支援についてご相談を承っています。

Q:連帯保証人が見つからないときはどうなりますか。

A:受入れ機関が連帯保証人になるか、家賃債務保証会社を確保して受入れ機関が緊急連絡先となる方法で対応します。保証会社を利用する場合の保証料は受入れ機関の負担となり、外国人本人に負担させることはできません。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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