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相続放棄申述書の書き方|家庭裁判所への申立書式と記載例を解説

更新: 約10分で読めます

「親が亡くなり、相続放棄をしたいが申述書の書き方が分からない」「期限が迫っているのに書式がまったく分からず焦っている」——相続放棄は家庭裁判所への相続放棄申述書の提出によって行います。期限は相続開始を知った時から3か月以内と短く、記載漏れや添付書類の不足があると補正を求められ時間を失います。この記事では、相続放棄申述書の書き方・添付書類・注意点を整理します。

結論として、相続放棄申述書は家庭裁判所所定の書式を用い、(1)申述人の氏名・住所、(2)被相続人の氏名・最後の住所、(3)放棄の理由、(4)相続財産の概要、を記入します。申述書には800円分の収入印紙と連絡用の郵便切手を添え、被相続人の死亡記載のある戸籍謄本・申述人の戸籍謄本等を添付して、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

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相続放棄申述書の概要

相続放棄の基本

相続放棄は、被相続人の財産(プラス・マイナス両方)を一切相続しないとする家庭裁判所への申述で、民法939条により「相続開始の時に遡って相続人とならなかった」ものとして扱われます。

申述の期限

民法915条1項により、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行う必要があります。この期間を「熟慮期間」といいます。期間内に家庭裁判所への申述を行えない事情がある場合、家庭裁判所に「期間伸長の申立て」を行うことで延長が認められるケースがあります。

相続放棄申述書の記入項目

書式の入手

申述書の書式は、裁判所の公式サイトからPDFでダウンロードできるほか、家庭裁判所の窓口でも入手可能です。18歳以上用と18歳未満用の2種類があります(2022年4月1日施行の民法改正による成年年齢引下げ後の区分)。

記入項目

記入欄 内容
申述先の家庭裁判所 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
申述年月日 申述書の作成日
申述人の氏名・押印 本人の署名・認印(実印は不要)
添付書類の一覧 戸籍謄本等の枚数を記載
申述人の本籍・住所・生年月日・職業・被相続人との続柄 戸籍謄本の記載と一致させる
法定代理人(未成年者の場合) 親権者または未成年後見人の氏名・住所
被相続人の本籍・最後の住所・氏名・職業・死亡年月日 除籍謄本・住民票除票等を基に記入
放棄の理由 選択肢から該当する項目にチェック(債務超過・生前の関係疎遠等)
相続財産の概要 不動産・預貯金・現金・負債等の概算

放棄の理由(選択肢)

申述書には、放棄の理由として以下のような選択肢が用意されています。

  • 被相続人から生前に受けた贈与等
  • 生活に困窮していない
  • 遺産が少ない
  • 遺産を分散させたくない
  • 債務超過のため
  • その他(自由記載)

添付書類

共通の添付書類

相続放棄申述書には、一般に以下の書類を添付します。

  • 被相続人の住民票除票または戸籍の附票(最後の住所を確認)
  • 申述人の戸籍謄本

なお、被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本や、被相続人の出生から死亡までの戸籍等は、申述人と被相続人との続柄に応じて必要となります。

続柄による追加書類

申述人の立場によって、追加の戸籍が必要となります。裁判所公式の書式に基づく整理は以下のとおりです。

申述人の立場 追加で必要な戸籍等
配偶者・子(第一順位) 基本セットのみで足りる
孫・ひ孫(子の代襲相続人) 被代襲者(親・祖父母)の死亡記載のある戸籍
父母・祖父母(第二順位・直系尊属) 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍。加えて、被相続人の子(及びその代襲者)に死亡している人がいる場合のみ、その者の出生から死亡までのすべての戸籍
兄弟姉妹(第三順位) 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍。被相続人の直系尊属(父母・祖父母等)の死亡記載のある戸籍。さらに、被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その者の出生から死亡までのすべての戸籍
甥姪(兄弟姉妹の代襲相続人) 兄弟姉妹のケースの書類一式に加え、被代襲者(甥姪の親である兄弟姉妹)の死亡記載のある戸籍

特に第三順位の兄弟姉妹・甥姪のケースでは、必要な戸籍が多岐にわたり、収集に時間がかかるため早期着手が必要です。

収入印紙・郵便切手

  • 収入印紙: 800円分(申述書右上の指定位置に貼付。申述人が消印(印鑑押し)はしないこと。裁判所が必要に応じて消印します)
  • 連絡用郵便料:裁判所ごとに金額・納付方法が異なります。申述先の家庭裁判所の現行案内を確認してください

申述後の流れ

Step 1: 照会書への回答

申述書を提出すると、家庭裁判所から申述人に「照会書」が郵送される場合があります。「相続放棄の意思に間違いないか」「放棄の理由」「財産の処分をしていないか」等の質問が記載されており、回答書に記入して返送します。返送期限や回答方法は家庭裁判所の案内に従って対応します。

Step 2: 相続放棄申述受理

照会書の回答を受けて家庭裁判所が相続放棄の要件を満たすと認めれば、申述受理の審判がなされ、申述人に通知書が届きます。この時点で相続放棄が法的に成立します。

Step 3: 相続放棄申述受理通知書と証明書の違い

申述受理後に家庭裁判所から自動的に送付されるのは「相続放棄申述受理通知書」です。債権者への通知や不動産の名義変更(他の相続人による相続登記)で正式な証明が必要な場合は、別途「相続放棄申述受理証明書」を申請します。

書類 発行方法 用途
相続放棄申述受理通知書 申述受理時に自動的に本人へ送付(1通のみ) 申述人本人向けの確認文書
相続放棄申述受理証明書 申請により何通でも取得可能(1通150円の収入印紙) 債権者への証明、他の相続人による相続登記への添付

債権者からの督促対応は通常、受理通知書の写しで足りることが多いですが、相続登記手続等の正式な場面では証明書の取得が求められます。

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相続放棄申述書で失敗しやすいポイント

申述先の間違い

申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申述人の住所地ではない点に注意が必要です。誤った管轄に提出すると、時間的ロスが生じます。

被相続人との続柄の誤記

続柄は戸籍謄本の記載と一致させる必要があります。「長男」「次男」「養子」「養女」等の正確な記載が求められます。

熟慮期間の起算点の誤解

熟慮期間の起算点は「自己のために相続の開始があったことを知った時」であり、被相続人の死亡日ではありません。遠方の親戚から後日相続について知らされた場合は、その通知時が起算点となり得ます。

財産の処分による単純承認みなし

相続放棄前に相続財産を処分・消費すると、「単純承認」したものとみなされ、相続放棄ができなくなります(民法921条1号)。たとえば、被相続人の預金の引き出し・不動産の売却・動産の廃棄等は注意が必要です。

相続放棄前後に「してはいけない」行為と「してOK」な行為

相続財産を処分したり、放棄後に隠したり私的に消費した場合には、単純承認とみなされることがあります。保存行為等の例外はありますが、「葬儀費用ならいくら使っても大丈夫」「形見なら持ち帰ってよい」とは判断できません。

葬儀費用・遺品・預金の扱いは、金額・価値・使途・支出の必要性など個別の事情を確認します。個別の裁判例を、すべての行為が安全だという説明には当てはめられません。迷う場合は相続財産に手を付ける前に、弁護士・司法書士へ確認してください。

遺族年金や受取人指定の死亡保険金などは、受取権の根拠によって相続財産と区別する必要があります。支払元と契約・制度を確認しましょう。放棄時に相続財産を現に占有している方には、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまでの保存義務があります(民法940条)。

よくある質問

Q. 相続放棄の期限を過ぎてしまった場合、救済手段はありますか?

後から借金を知ったら、その日から必ず3か月やり直せるわけではありません。最高裁昭和59年4月27日判決では、相続財産が全くないと信じ、そのため調査が著しく困難で、その判断に相当の理由がある場合について、財産の存在を知った時または通常知り得た時を起算点とする例外が示されています。これを「プラスの財産しかないと思っていれば同じ」と広げることはできません。

期限を過ぎて借金が判明した場合は、何をいつ知ったか、調査できなかった事情、財産を使ったかを整理し、直ちに弁護士・司法書士へ相談してください。財産調査が終わらない場合の熟慮期間の伸長は、原則として期限内の申立てが必要です。相続放棄・期間伸長の申立書や裁判所への照会書回答はTreeでは作成・提出しません。

期限を過ぎた事情がある場合は、いつ何を知ったかを具体的に説明し、必要な資料を裁判所の案内に従って準備します。すべての申述で別紙の上申書が必須になるわけではありません。個別の可否や裁判書面の作成は、弁護士・司法書士へ確認してください。

Q. 相続放棄の申述書の記入で押印は実印が必要ですか?

申述書への押印は認印で足ります。通常、相続放棄申述書の提出に実印や印鑑登録証明書は不要です。ただし、申述人が未成年者・成年被後見人である場合や、事案によって追加資料を求められることがあるため、管轄裁判所に事前確認すると安心です。

Q. 相続放棄をした後、次の順位の相続人にはどのように知らせればよいですか?

法律上の通知義務はありませんが、次順位相続人が知らずに債務を承継してしまうのを防ぐため、相続放棄申述受理通知書の写しを送付する等の配慮が推奨されます。

Q. 未成年者が相続放棄をする場合の手続きは?

未成年者は自ら申述できないため、親権者(法定代理人)が代理して申述します。ただし、親権者自身も相続人であって利益相反に該当する場合は、特別代理人の選任が必要です。

Q. 相続放棄した後、他の相続人と利害関係が生じることはありますか?

放棄した後は法律上、相続人ではなかったものとして扱われるため、他の相続人の遺産分割協議には参加できません。ただし、相続財産を現に占有している場合の保存義務(2023年改正民法940条1項)は残るため、次の相続人または相続財産清算人に引き継ぐまで管理を続ける必要があります。

Q. 相続放棄した場合、相続登記義務化(2024年4月1日施行)の対象になりますか?

対象外です。2024年4月1日施行の相続登記義務化(相続不動産取得を知った日から3年以内の登記、違反時10万円以下の過料)は、相続人として不動産を取得した者が対象です。相続放棄により最初から相続人でなかったものとして扱われるため、放棄者は相続登記義務を負いません。

ただし、他の相続人(次順位の相続人を含む)は登記義務を負うため、次順位の相続人に相続放棄の事実を伝えて登記を促すことが、相続財産の管理責任を回避する上でも重要です。

まとめ

  • 相続放棄申述書は家庭裁判所の所定様式で、被相続人の最後の住所地管轄の家庭裁判所に提出
  • 期限は相続開始を知った時から3か月以内(熟慮期間)
  • 収入印紙800円、連絡用郵便切手、申述人・被相続人の戸籍謄本等が必要
  • 照会書回答〜申述受理の流れで成立し、受理証明書で債権者に証明
  • 相続財産を処分すると単純承認みなしで放棄不能になるため注意

相続放棄の全体像は「相続の特殊ケース完全ガイド|代襲相続・数次相続・相続放棄」、限定承認との違いは「相続放棄と限定承認の違いとは?」もご参照ください。

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※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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