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連帯保証契約書の書き方|テンプレート・2020年民法改正の注意点を解説

更新: 約15分で読めます

「連帯保証契約書を作りたいが、何を書けばよいのかわからない」「2020年の民法改正で連帯保証のルールが変わったと聞いたが、今の契約書がそのまま使えるか不安」――こうした疑問を抱えている方は少なくありません。

結論から言えば、連帯保証契約書は書面で作成しなければ法的効力が認められず(民法446条2項)、さらに2020年4月施行の改正民法により個人根保証には極度額の記載が必須となりました。極度額の定めがない個人根保証契約は無効です。

本記事では、連帯保証契約書に盛り込むべき必須事項・民法改正の4つの変更点・書式例・よくある不備までを体系的に整理しました。契約書の作成やチェックに不安がある方はぜひ最後までご確認ください。

「連帯保証の条項をどう書けばよいか分からない」「改正民法に対応できているか不安」という方は、行政書士法人Treeにご相談ください。契約書の作成・リーガルチェックを専門の行政書士が対応します。相談は何度でも無料・全国対応です。

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連帯保証契約とは?通常の保証との違い

連帯保証契約とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、連帯保証人が債務者と同等の責任を負うことを約束する契約です。民法446条に基づき、保証契約は書面(または電磁的記録)で行わなければ効力を生じません。口頭の約束だけでは保証契約は成立しないため、必ず契約書を作成する必要があります。

通常の保証人と連帯保証人の3つの違い

通常の保証人には民法上3つの抗弁権が認められていますが、連帯保証人にはこれらが一切ありません。この違いを正しく理解しておかないと、保証人の責任範囲を誤って認識してしまうおそれがあります。

権利 通常の保証人 連帯保証人 根拠条文
催告の抗弁権 あり(まず債務者に請求せよと言える) なし 民法452条
検索の抗弁権 あり(債務者の財産から先に執行せよと言える) なし 民法453条
分別の利益 あり(保証人が複数のとき頭割り) なし(各自が全額の責任を負う) 民法456条

つまり、連帯保証人は債権者から直接いきなり全額の請求を受けても拒めません。債権者にとっては回収の確実性が高まる一方、連帯保証人にとっては非常に重い責任を負うことになります。連帯保証契約書を作成する際は、この責任の重さを双方が正しく認識したうえで締結することが重要です。

連帯保証が必要になる典型的な場面

連帯保証は、実務上さまざまな契約で利用されています。代表的なケースは以下のとおりです。

  • 賃貸借契約: 賃料の支払いや原状回復費用の保証
  • 金銭消費貸借契約: 事業資金・個人ローンの返済保証
  • 売買契約: 代金支払いの保証
  • 業務委託契約: 委託料や損害賠償の保証
  • リース契約: リース料支払いの保証

いずれの場合も、主債務の内容を契約書で明確に特定したうえで連帯保証条項を設けることが不可欠です。契約書の種類ごとの基本的な考え方については、契約書の種類一覧と各契約書のポイントも参考にしてください。

2020年民法改正で何が変わった?連帯保証に関する4つの重要変更

2020年(令和2年)4月1日に施行された改正民法(平成29年法律第44号)は、約120年ぶりの債権法大改正と呼ばれ、保証制度に大きな変更をもたらしました。連帯保証契約書を作成するうえで押さえておくべき4つの変更点を解説します。

変更1: 個人根保証契約には極度額の設定が必須に(民法465条の2)

改正前の民法では、個人根保証契約に極度額の設定が義務付けられていたのは「貸金等根保証契約」に限られていました。しかし改正民法では、すべての個人根保証契約に対象が拡大されています。

根保証契約とは、一定期間に生じる不特定の債務をまとめて保証する契約のことです。たとえば、賃貸借契約で「賃借人のこの物件に関する一切の債務を保証する」といった条項は根保証に該当します。改正民法により、このような個人根保証契約では極度額(保証の上限額)を書面で定めなければ保証契約自体が無効となります。

なお、法人が根保証人となる場合には極度額の設定義務は適用されません。あくまで個人が保証人になるケースに限った規定です。

変更2: 事業用融資の個人保証は公正証書が必要に(民法465条の6)

事業のために負担する貸金等債務について個人が保証人となる場合、保証契約の締結日前1か月以内に、公証役場で公正証書による保証意思の確認を受けなければなりません(民法465条の6第1項)。この手続きを経ずに締結された保証契約は無効です。

ただし、以下の者は公正証書による意思確認が不要とされています(民法465条の9)。

  • 主債務者が法人の場合、その法人の理事・取締役・執行役、または主債務者の意思決定を実質的に支配する者(議決権の過半数保有者等)
  • 主債務者が個人の場合、主債務者と共同して事業を行う者、または主債務者の事業に現に従事している配偶者

これらの経営者等は事業内容をよく理解しているため、特別な保護が不要と判断されています。

変更3: 主債務者から保証人への情報提供義務(民法465条の10)

事業のために負担する債務について保証を委託する場合、主債務者は保証人になろうとする者に対して、以下の情報を提供しなければなりません。

  • 主債務者の財産および収支の状況
  • 主債務以外に負担している債務の有無・額・履行状況
  • 主債務の担保として提供している、または提供しようとしている担保の内容

主債務者がこの情報提供をしなかったり、虚偽の情報を提供したりした場合で、かつ債権者がそのことを知り、または知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことが可能です(民法465条の10第2項)。連帯保証契約書には、情報提供を行った旨の条項を入れておくことが実務上望ましいでしょう。

変更4: 債権者から保証人への情報提供義務(民法458条の2・458条の3)

改正民法では、債権者側にも2つの情報提供義務が新設されました。

義務の種類 内容 根拠条文
主債務の履行状況に関する情報提供 保証人の請求があったとき、主債務の元本・利息・損害賠償等の不履行の有無、残額等を遅滞なく提供する 民法458条の2
期限の利益喪失時の通知 主債務者が期限の利益を喪失したことを知った時から2か月以内に保証人に通知する。通知を怠った場合、喪失時から通知時までの遅延損害金を保証人に請求できない 民法458条の3

とくに期限の利益喪失時の通知義務は、債権者が怠ると遅延損害金の請求が制限されるため、債権者側にとっても重要な規定です。詳しくは法務省「民法(債権法)改正」のページをご確認ください。

連帯保証契約書の必須記載事項は?

連帯保証契約書に盛り込むべき事項は、主債務の種類や保証の形態によって異なりますが、共通して記載すべき項目があります。記載漏れがあると契約書として不完全になるだけでなく、改正民法の要件を満たさず無効となるリスクもあるため、慎重に作成しましょう。

必ず記載すべき7つの項目

項目 記載内容 注意点
1. 当事者の特定 債権者・主債務者・連帯保証人の氏名(名称)・住所 法人の場合は正式な商号・代表者名を記載
2. 主債務の特定 原契約の名称・日付・契約番号等 どの債務を保証するか一義的に特定する
3. 保証の範囲 元本・利息・遅延損害金・違約金・損害賠償金・その他の費用 「一切の債務」だけでは保証範囲が不明確になりやすい
4. 連帯保証の明記 「連帯して保証する」旨の文言 連帯保証であることが明確に分かるように記載する
5. 極度額(根保証の場合) 保証人が負担する債務の上限額 個人根保証では必須。記載なしは無効(民法465条の2)
6. 保証期間 保証の始期・終期 貸金等根保証契約では元本確定期日の定めも要検討
7. 署名・押印 連帯保証人の署名(自署が望ましい)および押印 実印+印鑑証明書の組み合わせが実務上安全

情報提供義務の履行を確認する条項も重要

前述のとおり、事業用債務の保証を委託する場合、主債務者には保証人への情報提供義務があります(民法465条の10)。情報提供が適切に行われなかった場合は保証契約の取消事由となるため、実務上は以下のような条項を設けておくことが推奨されます。

  • 「主債務者は、連帯保証人に対し、民法465条の10第1項各号に掲げる事項について情報を提供したことを表明し保証する」
  • 「連帯保証人は、前項の情報提供を受けたうえで本保証契約を締結することを確認する」

このような確認条項を入れておくことで、後日の紛争予防に役立ちます。

連帯保証契約書の書式例

以下は、特定の債務(金銭消費貸借契約上の債務)について連帯保証する場合の基本的な書式例です。実際の契約ではケースに応じた修正が必要ですが、記載項目の全体像を把握する参考としてご利用ください。

連帯保証契約書

債権者 ○○○○(以下「甲」という。)と連帯保証人 ○○○○(以下「丙」という。)は、主債務者 ○○○○(以下「乙」という。)の甲に対する下記債務について、以下のとおり連帯保証契約を締結する。

第1条(被保証債務)
丙は、乙が甲に対して負担する、令和○年○月○日付金銭消費貸借契約(以下「原契約」という。)に基づく以下の債務について、乙と連帯して保証する。
(1) 元本 金○○万円
(2) 上記元本に対する利息(年○%)
(3) 遅延損害金(年○%)
(4) 原契約に基づき乙が甲に対して負担するその他一切の債務

第2条(連帯保証)
丙は、前条の債務について乙と連帯して保証し、催告の抗弁権(民法452条)および検索の抗弁権(民法453条)を行使しないものとする。

第3条(情報提供の確認)
乙は、丙に対し、本契約の締結に先立ち、民法465条の10第1項各号に掲げる事項について情報を提供したことを表明し保証する。丙は、当該情報提供を受けたうえで本契約を締結することを確認する。

第4条(保証期間)
丙の保証債務は、原契約の債務が完済されるまで存続するものとする。

第5条(合意管轄)
本契約に関する紛争については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲丙各1通を保有する。

令和○年○月○日

【甲(債権者)】
住所:
氏名:            印

【丙(連帯保証人)】
住所:
氏名:            印

上記は特定の債務に対する連帯保証の例です。根保証契約の場合は、極度額(例:「金○○万円を限度として」)の記載が必須となります。極度額の定めを忘れると個人根保証契約は無効になるため、契約形態に応じた条項設計が求められます。

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保証人の求償権とは?連帯保証人が弁済した後の手続き

連帯保証人が主債務者に代わって債務を弁済した場合、保証人は主債務者に対して支払った分を返すよう請求できます。これを求償権といいます(民法459条〜462条)。

委託を受けた保証人の求償権

主債務者から委託を受けて保証人になった場合、弁済した額のほか、弁済の日以後の法定利息、さらに避けることのできなかった費用や損害の賠償も請求できます(民法459条1項)。また、弁済前であっても、一定の事由がある場合には事前求償が認められています(民法460条)。

委託を受けていない保証人の求償権

主債務者からの委託なく保証人になった場合でも求償権は認められますが、その範囲は限定されます。主債務者の意思に反しない場合は弁済時点の主債務者の利益を受けた限度で(民法462条1項)、主債務者の意思に反する場合は求償時点の主債務者の利益を受けた限度で(民法462条2項)求償できるにとどまります。

連帯保証契約書を作成する際は、保証人が弁済した後の求償関係についても事前に取り決めておくことで、後のトラブルを防止できます。

よくある不備・失敗と対処法

連帯保証契約書で生じやすいミスには共通のパターンがあります。契約書を作成・チェックする際は、以下の点に注意してください。

不備1: 個人根保証なのに極度額を記載していない

2020年4月以降に締結する個人根保証契約では、極度額の定めがないと保証契約自体が無効です。とくに賃貸借契約の連帯保証では、保証の対象が賃料・原状回復費用・損害賠償金など複数にわたるため根保証に該当しやすく、極度額の記載漏れが発生しがちです。

不備2: 事業用融資なのに公正証書を取得していない

事業用の貸金等債務について個人(経営者等を除く)が保証人になる場合、公正証書による保証意思宣明が必要です。この手続きを経ずに締結した保証契約は無効となります。「第三者保証だが公正証書は不要だろう」と誤解されるケースが生じうるため、保証人が民法465条の9の適用除外者に該当するかどうかを事前に確認しましょう。

不備3: 「保証」と「連帯保証」を区別していない

契約書中に「保証する」とだけ記載し、「連帯して」の文言が抜けていると、通常の保証と解釈される可能性があります。連帯保証を意図する場合は、少なくとも「連帯して保証する」旨を明確に記載する必要があります。なお、催告の抗弁権や検索の抗弁権に関する文言を補足的に置くことはありますが、連帯保証の本質は連帯保証であること自体を明示する点にあります。

不備4: 情報提供義務を果たした記録がない

事業用債務の保証を委託する際の情報提供義務(民法465条の10)を果たした証拠が残っていないと、後に保証人から保証契約の取消しを主張されるリスクがあります。情報提供の内容を書面に残し、保証契約書にも確認条項を設けることが大切です。

不備5: 保証範囲があいまい

「一切の債務を保証する」という包括的な文言のみで、元本・利息・遅延損害金・違約金などの範囲を個別に特定していないケースがあります。保証範囲があいまいだと、後日争いになった際に保証人が想定外の責任を負うことになりかねません。

契約書の記載に不安がある場合は、専門家にリーガルチェックを依頼することで見落としを防げます。リーガルチェックの流れや確認ポイントは契約書のリーガルチェックガイドをご覧ください。

よくある質問

Q. 連帯保証契約書は自分で作成しても有効ですか?

有効です。保証契約は書面(または電磁的記録)で行えば成立します(民法446条2項・3項)。ただし、法的に有効であることと、内容が適切であることは別の問題です。改正民法の要件(極度額の記載など)を満たしていない場合や、保証範囲があいまいな場合は、後にトラブルの原因となり得ます。

Q. 極度額はいくらに設定すればよいですか?

極度額の金額について法律上の基準はなく、当事者間で自由に定められます。賃貸借契約の場合、国土交通省「極度額に関する参考資料(平成30年3月)」によると、裁判所の判決において認容された連帯保証人の負担額は、中央値で賃料の約12か月分・平均で約13か月分・最大で約33か月分とされています。ただし、極度額が高すぎると保証人保護の趣旨に反し、低すぎると債権者の担保として不十分になるため、取引の実態に即した金額設定が求められます。賃貸借契約の場合、同省資料では家賃の2年分(24か月分)相当額を目安とするケースが実務上多く見られます。なお、「極度額は月額賃料の〇か月分」という表記方法は具体的な金額が確定しないため無効となる可能性があります。必ず「金〇〇万円」のように確定額で記載してください。

Q. 2020年4月の改正前に結んだ連帯保証契約はどうなりますか?

改正民法の施行日(2020年4月1日)前に締結された保証契約には、原則として改正前の民法が適用されます(附則21条)。したがって、施行前に極度額の定めなく締結した個人根保証契約が直ちに無効になるわけではありません。ただし、施行日以降に保証契約を更新・変更する場合は、改正民法が適用される点に注意が必要です。法定更新(賃貸借における借地借家法上の更新)の場合は従前の保証が継続することがある一方、合意更新で改めて保証人と書面を取り交わす場合には、原則として極度額の定めが必要になります。賃貸借の更新時に新たな保証契約書面を交わす場合は、極度額の記載漏れに注意してください。

Q. 連帯保証人を解除してもらうことはできますか?

連帯保証人の解除(免除)は、原則として債権者の同意が必要です。保証契約は債権者と保証人の間で成立する契約であり、主債務者や保証人が一方的に解除することはできません。債権者が同意すれば合意解除は可能ですが、代わりの担保(別の保証人や物的担保の提供など)を求められることが一般的です。

Q. 行政書士に連帯保証契約書の作成を依頼できますか?

行政書士は、権利義務に関する書類の作成を業とする国家資格者です(行政書士法1条の2)。連帯保証契約書の作成・チェックは行政書士の業務範囲に含まれます。ただし、紛争が既に発生している場合の示談交渉や代理は弁護士の業務領域となりますので、状況に応じた専門家選びが大切です。行政書士への依頼のメリットや費用感については「契約書作成を行政書士に依頼するメリットと費用」もご参照ください。

まとめ

連帯保証契約書は、記載すべき事項を漏れなく盛り込み、改正民法の要件を満たしたうえで作成することが重要です。本記事のポイントを振り返ります。

  • 連帯保証契約は書面で作成しなければ無効(民法446条2項)
  • 個人根保証契約では極度額の記載が必須(民法465条の2)
  • 事業用融資の個人保証では公正証書による意思確認が必要(民法465条の6)
  • 主債務者から保証人への情報提供義務を果たした記録を残す(民法465条の10)
  • 保証範囲・連帯保証の文言・署名押印など基本的な記載事項を確認する

連帯保証契約書の作成は、法的知識と実務上の注意が求められる書類です。条項の設計に少しでも不安があれば、専門家に相談することで無効リスクやトラブルを回避できます。

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※ 本記事は2026年4月時点の民法に基づく一般的な解説です。個別の契約内容・取引事情により対応が異なる場合があります。紛争が発生している場合は弁護士にもご相談ください。本記事の情報に基づく行動の結果について、当法人は一切の責任を負いかねます。最新の法令はe-Gov法令検索(民法)でご確認ください。

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